421話 寝落ちした夜に
「わぁ!」
陽だまり亭に戻り、閉店した店内で揚げたて天丼を食べながらオイルライターに火を付けてみせると歓声が上がった。
「お、お兄ちゃん! やってみたいです! やらせてです!」
「……マグダは、もうマスターした気がしている」
早ぇよ、マグダ。
やはりというか、みんなノーマと同じくらい食いついた。
ちなみにノーマは、ライターの完成に喜んではしゃいでいたところ「あ、もう終わったのね。じゃあ陽だまり亭におかえりなさい」と、乙女たちに工房から追い出されたため、本日は陽だまり亭にご宿泊することになっている。
さっきからずっと背後から怨嗟の声が漏れ聞こえてておっかないんだよなぁ……
「まずはジネットが使ってみろ。やってみて火付け布の方がやりやすいってんなら、別に無理して変える必要はないし」
「分かりました。では、お借りしますね」
まずは、俺専用のサクラケースのオイルライターで使用感を試してみる。
陽だまり亭ケースの方は、まだオイルを入れてないんだ。
教えながらオイル交換やフリント交換のやり方を覚えてもらおうと思ってな。
構造を知っていると、理解が深まり、理解が深まると事故や怪我の軽減につながる。
「ここを回すんですね……」
と、ジネットがホイールに親指を添える。
そして――
かりかりかり……
「いや、遅い! もっと一気に」
「す、すみません。少しドキドキしてしまいまして」
勢いよく回せば火が付くとやってみせたせいか、ちょっとビビっちまったらしい。
俺の火付け布を笑えないじゃねぇか、お前。
「では、思いっきり……えい! あっ、付きました!」
火の付いたライターを全員に見せて嬉しそうに笑うジネット。
そんだけ振り回しても消えないだろ?
一瞬しか火が出ない火付け布より使いやすいだろう?
「消す時は、蓋を閉じて……消えました!」
自動車教習所に来た生徒のように、丁寧に一つ一つの動作を確認しながら行うジネット。
そんだけ慎重に扱ってりゃ、事故も起こらないだろう。
「じゃ、次はマグダな」
「……任せて」
順番に着火の練習をしていく。
練習を怠って火事になりました、なんて洒落にならないからな。
「……余裕」
着火させて胸を張るマグダ。
尻尾が毛羽立って太っと~くなってるけどな。
めっちゃビビってんじゃねぇか。
「じゃあ、次はロレッタ。悪い見本をよろしく」
「しないですよ!? 普通に、よい子のお手本になるような使い方をするですよ!」
ぼちぼちおもしろ失敗例が欲しいんだが……ロレッタも普通に着火、消化させた。
「少し、緊張します」
微かに震える指でライターを持つカンパニュラ。
構えて、ホイールを親指で回す――
かりかりかり……
「いや、だから弱いって!」
「……さっき見た光景」
「店長さんと同じです!?」
「分かります、カンパニュラさん! ちょっと怖いですよね!」
ジネットだけが物凄く共感していた。
「はい。君たちは今後二度と俺の火付け布をイジらないように」
「大丈夫ですよ! 店長さんとカニぱーにゃの分まで、あたしたちがイジり倒してあげるですから!」
いい度胸だな、ロレッタ。
「ロレッタの頭ぱっかぁ~ケースのライターを作ろう」
「やめてです! そーゆー面白いの、求めてないですからね!?」
などとロレッタが騒いでる間に、ジネットがカンパニュラにやり方を教えて、無事着火に成功する。
消化は蓋をするだけなので安心だ。
「テレサもやってみるか?」
「ぁい!」
嬉しそうに小さい手を伸ばしてライターを受け取る。
こんな小さいガキがライター持ってると、ちょっとどきどきしちゃうんだけどな。
ちなみに俺は過去、ライターで二度事故を起こしている。
一回目は俺が小学生低学年だったころ。
石油ストーブの燃えるとこと――燃焼筒のすぐ脇、あの銀色の反射板に囲われたところに百円ライターを置いてしまい、爆発させた。
百円ライターで着火させて、そのままぽんって燃焼筒のそばに置いちゃったんだよなぁ。
熱で本体のプラスチックが溶けて、中の液体ガスが気化して引火、ガスが広がった分だけ炎が燃え広がって「ぼんっ!」って爆発したんだよなぁ。
使い古したライターだったから大事には至らなかったが、一歩間違えれば大惨事になるところだった。
……親方に、吐くほど叱られた。
道具の扱い、片付けの大切さを叩き込まれたのはあの頃だったっけ。
二回目は小学生高学年のころ。
百円ライターのホイールの下にあるレバーを引くとガスが気化して「しゅーっ」って出てくるんだが、その気化したガスを軽く握った拳の中に溜めて、溜めて、溜めて、目一杯溜めた後で、手を開きながら溜め込んだガスに引火させると、手のひらから「ぼぉう!」ってそこそこデカい炎が燃え広がる『メ◯ゾーマ!』って遊びが流行ってさぁ…………前髪、焦がしたんだよなぁ。
……女将さんに、吐くほど叱られた。
ライターはオモチャじゃないって。
便利な道具も使い方一つで危険なものに変わるんだって、真剣に叱ってくれたっけなぁ。
「いいか、テレサ。ライターは危険な道具だから十分に注意して――」
「ついたー!」
「なんでも出来るな、この天才幼女は!?」
カンパニュラよりも物怖じしない分、こういうのはすぐ覚えるんだよな。
「たのしい!」
「気持ちは分かるが、必要な時以外は使うなよ。特に、ライターをオモチャにするのは絶対ダメだ」
テレサに言いつつ、その場にいる者たちにも言い聞かせておく。
「俺の故郷では、火遊びをするとおねしょするって言われててな、子供が遊びで火を使うことを厳しく取り締まったものだ」
「火遊びをすると、おねしょをするんですか?」
「あぁ、有名な話だ」
ガキが火遊びしないように、ガキが一番嫌がるおねしょと結びつけて、親がガキどもにそう言い聞かせていたってのが有力な説だが、とある学者が「火遊びをした際、子供は興奮状態に陥り、その時の記憶が脳に鮮明に焼き付けられ、そのため炎の夢を見る可能性が高くなる。そして、夢の中で炎を消そうと水分――つまりおしっこを体が自然と出してしまうからおねしょする可能性が高くなるのではないか」という仮説を立て、それがある一定の支持を得ていた。
まぁ、なくはないかな~、くらいの信憑性だけどな。
「なので、ライターを使うのは大人と一緒にいる時だけにするように。いいな?」
「ぁい!」
「分かりました」
「……ヤシロ。独り身のノーマはどうしたらいい?」
「アタシはもう大人だからいいんさよ!」
マグダ、よく怨嗟を吐き続けるノーマをイジれたな、お前。
最強かよ。
あと、独り身とか言ってやるな。
真実は、何より心に突き刺さるものなのだから。
「じゃあ、次にオイルの入れ方と芯と発火石の取り付け方をやってみせるぞ。覚えきれなくてもいいから、構造だけなんとなく理解しておけ」
交換は、基本的に俺がやってやるつもりだ。
でも、出来ないより出来た方がいい。
なので、教えておく。
そのうち、説明書でも作って印刷させるさ。
ノーマがやる気になっているし、きっと量産されるだろうからな、オイルライター。
「この辺のパーツの量産はどうするんさね?」
「今んとこ未定だ。エステラ案件だな」
「火付け布の連中を交えて話してやってほしいもんさねぇ」
「そうですね。このオイルライターというものはちょっと、すごく便利ですからね」
ジネット的にも、ライターがあれば火付け布は廃れるだろうと予測がついたようだ。
けどまぁ、布を作っていた連中なら芯の量産とかきっと得意だろう。知らんけど。
無理でも覚えろ。おまんまのために。
「インサイドユニットは鋳造で量産すりゃあ数は揃うだろうし、ケースもこだわりたいヤツだけ別料金で凝ったものを作るってことにしときゃ、安価な量産品とこだわりの高級品で棲み分け出来そうさね」
こりゃ、アッスントが喜んじゃうな、また。
「金物細工師っているよな?」
「こういう細工はまだ四十二区には浸透してないさね。ヤシロが作った髪飾りやお風呂のオモチャを見て、職人を育て始めたところさよ」
現在、金物ギルドでは急ピッチで細工師を育てているらしい。
そうか、いなかったのか、こういう細工をするヤツ。
「今までどんな仕事してたんだよ?」
「彫金さね」
銀や金の塊を彫り込んで、貴族の服の装飾品などを作るのが主な仕事だったらしい。
鉄板にポンチで凹凸を生み出すような加工はまだまだこれからってところらしい。
「じゃ、ケースの加工は当分無理か」
「いんや、やらせてみせっさね。難しいものならアタシがやってもいいしねぇ」
ノーマは、全ジャンルに精通するつもりなのだろうか。
寝てください、マジで。
「でも、三十三区になら腕のいい細工師がいるんじゃないかぃねぇ?」
鉱山関連の仕事をメインとする三十三区。
酒と鉱石の街。
そこになら、金細工師や銀細工師がたくさんいるかもしれない。
わざわざ他所に発注するほどのことでもないが……こういう物があるぞと話を振ってやればうまいこと釣り上げられるかもしれない。
いい話題作りには、なってくれるかもしれないな。
オイルライターの構造を説明しながら各パーツの交換方法を教え、陽だまり亭ケースのオイルライターでの着火テストを終える。
「あぁ……素敵ですね、このケース。なんだか、嬉しくなってしまいます」
陽だまり亭が描かれたケースがとても気に入ったらしいジネット。
両手で大切そうに持って、じっと模様を眺めている。
「これで、もっとお料理が楽しくなりそうです」
「これ以上!?」
「……店長が厨房から出てこなくなる可能性」
「イヤです! 店長さんとは、もっと他の場所でもずっと一緒にいたいです!」
「だ、大丈夫ですよ、みなさん!? お料理が楽しくても没頭してみなさんを蔑ろにするようなことはしませんからね!?」
今でさえかなり楽しそうなのに、これ以上となると周りが見えなくなるのではないかという懸念はあったが、どうやら大丈夫そうだ。
「そっちのライターはどうだ?」
「はい。とても使いやすいです」
オイルを充填した陽だまり亭ライターも、使用感は問題ないようだ。
これで、今後陽だまり亭ではライターが使用されることだろう。
ザマァ、火付け布!
「よし、じゃあこの火付け布は雑巾にしよう」
「いえ、あの、薬品が塗布されていますので雑巾には……どこか、必要とされている方に差し上げて使っていただくのがいいかと思います」
「そうだな。庭で燃やそう☆」
「ヤシロ、あんた……どんだけ火付け布が嫌いなんさね」
ノーマが呆れ顔で天ぷらにかじりつく。
時間が経っても「さくっ!」っと小気味よい音を響かせる天ぷら。
マジ美味い。
銀座の高級天ぷら屋が裸足で逃げ出すレベルだ。
「ジネット。獅子唐ってまだある?」
「はい。追加しますか?」
「四本お願い!」
「どんだけ好きなんさね? 好き嫌いのはっきりしてる男さねぇ」
「ノーマさんは、何かいりますか?」
「そんじゃあ、このフキノトウってのを頼むさね」
「はい。ヤシロさんにはレンコンも追加で持ってきますね」
にこにこ~っと笑ってジネットが厨房へ入る。
あ、ライター持ってった。
あれで火を付けるつもりか。
誰も厨房にいない時はいちいち火を落としてるからな。
「マグダたちはおかわりいいのか?」
「……平気」
「あたしたちは、お兄ちゃんたちが帰ってくる前にいっぱいつまみ食いしたですから!」
「ロレッタ姉様。それは秘密のお約束では?」
「はっ!? そうだったです!?」
着実に感染拡大してるなぁ、ジネットの特技・つまみ食い。
そのうち、この食堂から第二のベルティーナが誕生してしまわないか心配だよ。
「テレサは何の天ぷらが好きだ?」
「おいもさん!」
俺の問いに元気よく答えたテレサに、その場にいた者たちがほっこりした表情を見せる。
「やっぱり可愛いですね~、テレさーにゃは。もう少し大人になると、かぼちゃの天ぷらのよさが分かるようになるですよ」
カボチャも子供に人気の天ぷらだっつーの。
大人振るな、そんなもんで。
「アタシは山菜の天ぷらが好きさねぇ」
「……ヤシロは根菜」
「決めつけんなよ、マグダ。まぁ、好きだけど」
「あと、獅子唐好きですよね、お兄ちゃん」
「獅子唐が食いたいがために天ぷらを注文してるようなところもあるからな」
「……以前、ヤシロは、マグダの獅子唐と自分のエビを交換してくれた」
「何してるですか、お兄ちゃん!? エビは天ぷら界の大御所、スーパースター、主役ですよ!?」
うっせぇ。
俺にとってのエビは、獅子唐の引き立て役ポジションなんだよ。
エビは大抵どの天ぷら屋に行っても出てくるが、獅子唐はなかなか出てこない。
そういう特別感もあるんだよ、獅子唐には。
「やっほ~☆ 来たよ~☆」
エビの話をしたせいか、マーシャが陽だまり亭にやって来た。
「今日もお泊まりよろしくね~☆」
「あたいも泊まっていいかな? 明日の朝早いんだろ?」
マーシャの水槽を押して、デリアもやって来る。
「デリアが泊まるとなると、カンパニュラも泊まってくのか?」
「オッカサンがそうさせてもらえって」
……あの父母、またイチャコラしでかすつもりなんじゃないだろうな?
「では、テレサさんも構いませんか? 明日のお話をしながら一緒のベッドで寝たいです」
「いっしょ、うれしい!」
「んじゃ、ヤップロックに許可取り行かないとな」
「あ、それならあたしが行ってくるです。今日はあたし、帰るですから」
こういう時はノリで泊まっていくことが多いのに、ロレッタは帰るという。
「今日は妹たちとお風呂に入る約束してるです」
「それは大変だなぁ。手伝ってやろうか?」
「接近禁止ですよ、お兄ちゃんは!?」
なんだよぉ、数が多いからさぁ、大変かと思ってさぁ、人が親切にさぁ。
「次女は平気な顔で『いいよ~』とか言いそうだから怖いんです……」
あぁ、言いそうだな、次女なら。
ホント、もうちょっとしっかりしろ、次女。
というわけで、明日一緒に出かける面々が泊まることになった。
イメルダとエステラは、教会への寄付が終わったタイミングで合流することになるだろう。
そして、金物ギルドへの接近禁止中のノーマも陽だまり亭に泊まっていくことになる。
「デリアとノーマは客室でいいか?」
「ん~……ノーマは寝相悪いからなぁ……。マグダ、ノーマいらないか?」
「……いらない」
「酷い言い草さね、二人とも!?」
河原のテントで一泊した時に、デリアはノーマとは「もういいや」と言っていた。
どんな寝方してたんだよ、ノーマ……
「じゃあ、私と一緒に水槽で寝る~?」
「無茶を言うんじゃないさね!?」
水槽で寝れるのはお前だけだよ、マーシャ。
「私、ノーマ姉様と一緒に寝たいです。ノーマ姉様がお嫌でなければ」
「あぁっ、可愛いさね、カンパニュラ! デリアもちったぁ妹分を見習いなね!」
「カンパニュラ。嫌なことは嫌だってはっきり言わなきゃダメなんだぞ?」
「イヤじゃないっつってんさよ、カンパニュラは!」
いやまぁ、イヤではないんだろうが、気は遣ってると思うぞ。
でも、ノーマもお子様と一緒だと思えば大人しく眠るかもしれない。
「テレサも一緒だが、平気かノーマ?」
「任せっさね。小さいお子様の相手は慣れてんさよ」
「子供いたことないのになぁ」
「うっさいさよ、デリア!?」
「あ、ごめん。彼氏いたことないのにさぁ」
「もっとうっさくなったさよ!?」
デリア。
見ててハラハラするから、地雷原に裸足で突撃していくのやめてくれる?
お前にしか出来ない芸当だとはいえ。
「デリアさん、マーシャさん、いらっしゃいませ。天丼、食べませんか?」
「あ、食べたい! ありがとな店長」
「いいえ」
急に人が増えても嫌な顔一つしないジネット。
むしろ、「これでまたお料理が出来る」とか思っていそうな顔だ、あの嬉しそうな表情は。
「何か具材でリクエストはありますか?」
「はまぐり~☆」
「わぁ、それは美味しそうですね」
ハマグリの天ぷらか……絶対美味いじゃん!
「ジネット、こっちにもそれを」
「アタシにもおくれでないかい」
「みんなじゃんじゃん食べてね~☆」
大盤振る舞いのマーシャ。
三十五区の仮設劇場の完成が本当に嬉しいらしい。
もう、ずっとにっこにこだ。
「じゃ~ねぇ~、今日は寝る前に『ラブダイブ』のお話を教えてあげる~☆」
「ネタバレしてやんなよ!?」
せっかく明日見に行くっつってんだから。
明日、劇場で見て、帰り道ででも熱く語り合ってきてくれ。
「なんかも~ねぇ~、私はヤシロ君のことをと~っても大切にしてあげないといけないな~って感じ☆」
人形劇の導入も、そこで上演される演目も、俺が持ち込んだものだからだろう。
おまけに、英雄王の噴水や聖女王のレリーフが三十五区の港に出来た。
マーシャにとっては、今まで以上に陸の世界が近しいものになった気がしているのかもしれない。
それで、こんなに大盤振る舞いしてくれているのか。
バカだなぁ。
そんなに気を遣わなくても――
「ほんのちょっと突っつかせて――」
「店長さ~ん☆」
「懺悔してください」
そーゆーこっちゃないらしい。
やっぱりなぁ~……ちぇ~……
その後、俺が先に風呂に入り、女子たちが風呂に入っている間にフロアへ布団を運び込もうとしたら――
「あの、ヤシロさんには明日一日陽だまり亭をお任せするわけですし、今晩はゆっくりと自室でお休みいただいた方がいいと…………あの、ヤシロさんを信用しても構いません、よね?」
――と、ジネットに自室で寝るように言われた。
「信用して構わないか」という質問は、「ふざけたことをせずさっさと寝ろ」とか「部屋から出てくるなよ」とか、そういう脅しの一種なのだろう、きっと。
……進んで騒ぎなんか起こさねぇよ。
この面子を敵に回したら、命がいくつあっても足りゃしねぇ。
てなわけで、女子連中が風呂に入っている間に俺は自室へと向かい、そっから一晩こもることになった。
フロアや厨房の片付けは、俺が風呂に入っている間に完璧に終わっていた。
明日一日出かけるせいか、やたらと気合いのこもった後片付けだったな。
「さて、もう寝ちまってもいいんだが……」
窓を開けると、風に乗って微かに「きゃっきゃっ」と騒ぐ女子たちの声が聞こえてくる。
窓とは逆方向なんだが、どんだけ騒いでんだよ……
風呂場に屋根がなく、廊下に窓があれば覗けるのに。
……ウーマロめ。
「よし。この次の陽だまり亭の改装に合わせて、理想の風呂場を導入しよう」
というわけで、俺の理想の風呂場の設計図を描いてみる。
もちろんフルオープン。
それでいて、外からは覗けず、身内だけには丸見えな夢のような空間だ。
理想の設計図に描かれた浴室には『混浴』と書かれた暖簾をかけておこう。
うわっ、これ完璧じゃね?
陽だまり亭リフォームの日程は未定だが、これが実装されるならば急がねばならんだろう。
あとは、如何にしてジネットを納得させるか……難題だ。
「どうせなら、シャワーも欲しいよなぁ……」
さて、シャワー。
ポンプのないこの街で再現するとしたらどうすればいいか……
「簡単なのは、トイレみたいに頭上にタンクを置いてそこに湯を溜める方法なんだが……」
それだと、汲み上げるのが大変だし、使い切れずに残った湯が冷めてしまう。
冷めた湯に新しく湯を追加すると最初からぬるい湯が出てくることになるし……
「デッカいタンクに複数の蛇口を取り付けて、コックをひねったところからだけ湯が出るようにしておいて、タンク自体には常に熱い湯が循環するようなシステムに出来ればいつも熱々の湯でシャワーが出来るんだけどなぁ……」
巨大タンクに常に湯を循環させるシステム。
常時熱い湯が追加され、タンクの容量を超えた湯は排出されていく。
構造としては簡単だ。
入水口を上に、排水口を下に取り付けておけばいい。
入水と排水の量を調節してタンクの八割くらいが常に湯で満たされているようにすることは、そう難しいことではない。
計算式は面倒くさいが、知ってりゃ出来る範囲だ。
「あぁ、でもそうか。シャワーを使うと排水量が変わるから排水量を計算してバランスを取るやり方だと湯が足りなくなるか……」
じゃあ、水洗トイレのタンクのギミックを使えばいいか。
浮きを取り付けたレバーをタンクの中に仕込んでおけば、ある一定の水量になった時点で排水口の蓋を開けることも、逆にある一定の水量になったら入水口の蓋を閉じることも出来る。
そこがクリア出来れば、あとは常に湯を供給する仕組みだが……
「そこが一番の難関なんだよなぁ」
楽なのは、ウッセやベッコ辺りに湯を汲み上げさせ続けることなのだが……熱気が立ち込める場所での肉体労働はつらい。
体力バカのウッセでも倒れるかもしれない。
人力では無理だ。
「そうか。湯を沸かしてるんだから、蒸気の力が使えるか」
蒸気を細い通路を通して噴出させ、その力で風車を回転させる。
風車の回転を歯車に伝えて動力とすれば、湯を沸かしている間中、自動で湯を汲み上げ続ける仕組みが作れるかもしれない。
風車の回転を水車に伝えて、水車でお湯を汲み上げる。……うん、イケそうだな。
水車に桶を取り付けて、下で沸かした湯を汲み上げさせ、ぐる~んっと回転しながら高い位置にあるタンクへ汲み上げる。
弱い力を大きな力に変換して巨大水車を回すような構造は、ここ数年で金物ギルドが磨き上げてきた歯車とベアリングの技術を駆使すれば可能になる。
おぉっ、シャワーが作れるかもしれない!?
もっとも、風車と水車と特大タンクと超巨大かまどが必要になるから、設置するにしても大衆浴場並みのデカい施設が必要になるけどな。
「あぁ、そうか……かまどに水を汲み上げる仕事もあるのか……」
そこは水道で……ってなると、設置できる場所が限られる。
シャワーなんて作ったらデミリーとかも欲しがるだろうし、水道が設置できない場所でも使えるようにしないと……
「やっぱ、手押しポンプが欲しいな」
異世界と言えばコレ、的な定番アイテムで、ちょっと昔の日本を描いた映画だと高確率で登場する手押しポンプ。
簡単な構造でとっても便利なそいつは、作ろうと思えば割と簡単に作れる。
知識と技術があればな。
知識は俺が持ってるし、仕事を依頼することになる金物ギルドの技術は折り紙付きだ。
問題があるとすれば、現在出禁のノーマが本格的に金物ギルドへの接近禁止令を出されかねないってところか。
……手押しポンプ、絶対大ヒットするからなぁ。
全区から注文が殺到するに違いない。
ほら、やっぱ滑車って面倒なんだよ!
みんなそう思ってるって!
「たしか、構造はこんなんで……材料は…………寸法はこんな感じにしとけばどんな井戸にも取り付けられるか。そうそう、木の蓋を取り付けとけば鳥や小動物の侵入を防げるし、雨や泥水の混入も防げていい感じだな」
さらさらと、何パターンかの手押しポンプの設計図を描いていく。
ホント、最初にコレ考え出した人、天才だな。
よくこんな単純な仕組みで、井戸からの水汲みなんて苦行を劇的に改善してみせたもんだ。
栄誉ある賞を片っ端から贈ってもまだ足りないくらいの大発明だろ、これ。
水と火。
その二つが簡単に制御できるようになることで、人間は安全な生活圏を手に入れられたといっても過言ではない。
人類の歴史には、ライターやポンプといった大発明がしっかりと刻み込まれている。
これがなければ、人間はここまで進化していなかったかもしれない。
「蒸気機関もな」
机の上の設計図と、手元のライターを見て思う。
先人は偉大だ。
「俺は、その叡智をちょこっと拝借してるだけだもんな。頭が下がるぜ」
足を向けて寝られないなんてもんじゃない。
年に一度、全世界のおっぱいをお墓の方向に向けて祈りを捧げなければいけないのではないかとすら思えてくる。
俺がその偉人だったら、きっとそーゆーことをしてくれると嬉しい。
毎年その日に成仏しちゃう。
「くぁ…………っ」
知らず知らず、随分と熱中していたようだ。
デカいあくびを噛み殺し、大きく伸びをすると背骨が「ばきっ」と音を鳴らした。
折角気を遣ってくれたんだから、ゆっくりと休ませてもらうかね。
明日は寄付の後、早々にジネットたちが出発することになっている。
出かける準備をする時間を取れるように、俺も早起きして仕込みを手伝う予定だ。
起きる自信がないのでジネットに「起こしてね☆」とお願いもしておいた。
「片付けは、明日でいいか」
自覚すると、一気に眠気が襲ってきた。
光るレンガのランタンに布をかけて部屋を薄暗くし、ベッドに潜り込む。
光るレンガのランタンには蓋になるケースがついているのだが、薄手の布を巻き付けることで間接照明的な薄ぼんやりとした灯りに調整することが出来る。
この豆球的な灯りが、落ち着くんだよなぁ……
ぼんやりとした灯りの中、そっとまぶたを閉じるとあっという間に眠りに落ちていった。
そこから先は、とても静かな時間だった。
部屋の外を行き交う足音や話し声が聞こえたような気がしたが、俺の意識はもう眠りの中に取り込まれていた。
あぁ……寝る。
――コンコン。
「ヤシロ、まだ起きてんさろ? 窓から灯りが…………あれ? もう寝てんかぃね?」
「ヤシロさん、お休みになられてますか?」
「ぐっすり寝てるっぽいさね」
「では、お話はまた明日に」
「なんだぃ、折角ライターのことでちょっと聞きたいことがあったのにさぁ……」
「明日、お留守番の時にたっぷり質問してくださいね」
「そうするさね。……で、あの明るいの、消さなくていいんかい?」
「あれは光るレンガのランタンですので、布を巻いていても燃える心配はないんですよ」
「燃えやしなくてもさ、……こんなに明るけりゃぐっすり眠れないんじゃないかぃねぇ?」
「うふふ。ヤシロさんは、真っ暗よりも明るい方が安心してお休みになれるようですよ」
「どんだけ怖がりなんさね……」
「あっ、ノーマさん……、ダメですよ、勝手に入っては」
「平気さよ。明日の朝も起こすように言われてんさろ? 勝手に入ったって怒りゃしないさね」
「もぅ……少しだけですよ」
「……くふふっ、ぐっすり寝てるさね。店長さん、見てご覧な、可愛い寝顔さよ」
「い、いえ、わたしは……………………では、少しだけ」
「ほら、ご覧な」
「ふふっ、本当に、可愛い寝顔ですね」
「で、これが光るレンガのランタ…………これはなんさね?」
「え? それは光るレンガのランタンですよ?」
「いや、それじゃなくて、この設計図さね」
「これは…………もぅ、ヤシロさん。こんな丸見えのお風呂なんて不許可ですよ。おまけに『混浴』だなんて。懺悔してください」
「そうじゃなくて、これさね」
「これは…………なんでしょうか? ぽんぷ、と書かれていますね」
「これ…………すごいさよ」
「そうなんですか?」
「これが作れりゃ、この国に、いや、世界に革命が起こるさね!」
「そ、そんなに、ですか?」
「これ、ちょいと借りていくさね」
「あの、でもヤシロさんの私物ですし……っ!」
「あとで事後報告しとくさね」
「それは何の解決にもなっていないと……ノーマさん!? あの、ノーマさん!?」
――とてててっ、……バタン!
ゆっくりと体を揺すられ、意識が覚醒していく。
……ん、もう朝か。
「おはよう、ジネット」
「おはようございます。……ふふ、そのまま寝てしまわれたんですね」
指摘され、自分の格好を見てみれば、……あぁ、そういや昨日は限界が来るまで設計図を描いていたんだった。
眠たくなってそのままベッドに直行したんだ。
「じゃあ、今から寝間着に着替えるよ」
「二度寝はダメですよ。余計にしんどくなりますから」
ジネットは二度寝を許さない。
自分は子供のころ、祖父さんに甘えて二度寝してたくせに。
「それから、――懺悔してください」
と、昨日俺が描いた理想の風呂場の設計図を手に持って言ってくる。
……ち、見られたか。
「でもな、ジネット。混浴だから覗きとかそーゆーのは気にしなくても大丈夫な風呂なんだ」
「大丈夫じゃありません。……もぅ」
眉根を寄せて、設計図を眺める。
「このシャワーというのは何なんですか?」
「お湯を雨みたいに頭上から降らせる装置だ」
「そんなものが作れるんですか?」
「作れると、体を洗うのが楽になるぞ」
「今でも十分、楽になりましたよ」
風呂が出来るまで、湯を張ったたらいで体を拭いていたわけで、そこから比べると劇的に便利になっているだろう。
でも、まだもう少しだ。
「火付け布が便利でも、ライターがあるともっと楽になるだろ? そんな感じだ」
「とても贅沢なものなんですね。……ふふ。贅沢に慣れてしまうのが、ちょっと怖い気もしますね」
何もなかったからなぁ、この街には。
夜を照らす灯りですら不足していたくらいだ。
もうちょっとくらい贅沢したって罰は当たるまい。
ジネットが理想の風呂の設計図を楽しそうに見ている間に、俺もベッドから起き出し窓の木板を持ち上げる。
……わぁ、真っ暗。
窓、意味ねぇ。
「出かける準備は出来てるのか?」
「はい。ヤシロさんを起こしに来る前に済ませました」
「カンパニュラたちは、寄付前に一回帰らせるか?」
「いえ、このまま一緒にお出かけする予定です。親御さんからも、そのようにしてほしいと伝言を預かっていますし」
「カンパニュラの親からはデリアがメッセージを持ってきたとして、ヤップロックんとこの伝言はいつ聞いたんだよ?」
「さきほど、ロレッタさんから」
「あいつ、もう来てるのか?」
「はい。仕込みのお手伝いをしてくださるそうです」
こりゃ、さっさと下に降りないと、ロレッタに好き勝手やられちまうな。
あいつは、勝手な『プラスワン』を追加して手間を増やしやがる時があるんだ。
野放しには出来ない。
「ノーマもいるし、仕込みは楽出来そうだな」
「はい。あ、そうです。ノーマさんと言えば、ライターに関してお話を聞きたいことがあるそうですよ。昨夜そんなことをおっしゃっていて、ヤシロさんのお部屋を覗いたんですが、もうすでにお休みになられていて」
俺が寝た後、部屋に来たのか。
そりゃ悪かったな。
もうちょっと起きとけばよかった。
「そっか、部屋に来たの、か………………んんっ!?」
ない。
ないぞ!?
「ジネット。それと一緒に、ここに置いてあった手押しポンプの設計図を知らないか?」
「あ……っ、それでしたら……えっと、後ほど事後報告が……」
持ってったのか、ノーマ!?
「……見られちまったかぁ」
「えっと、申し訳ないとは思いつつ、ノーマさんと一緒に少しだけ寝顔を……あ、いえっ、えっと、その、お部屋の中へ……本当に寝てらっしゃるのかな~って?」
入ってきちゃったのか……
「俺の寝顔、可愛かったか?」
「はい。とっても」
あぁ、そうかい。
逆だったら罪を清める聖法衣を着て重めの懺悔をさせられるんだろうが……、いいな女子は。可愛いは正義か? けっ。
「それで、ノーマは昨日ちゃんと寝たのか?」
「えっと……、わたしはマグダさんと一緒に自室で寝ただけですので、ノーマさんのことまでは……」
「マグダと寝たのか?」
「はい。客室でデリアさんとマーシャさんが、マグダさんのお部屋でノーマさんとカンパニュラさんとテレサさんがお休みになったんですよ」
で、マグダはジネットの部屋か。
そっと、マグダの部屋に接する壁に耳をくっつけてみる。
……金物の音は、していない、な。
「カンパニュラたちが避難してきた、なんてことは?」
「ありませんよ」
「ちなみに、もう起きてるのか?」
「どうでしょうか? ヤシロさんをお起こしした後様子を見に行こうと思っていましたので」
俺、今回結構早めに起こされたんだな。
まぁ、カンパニュラたちはギリギリまで寝てても問題ないからな。
とか思っていると、部屋にノーマが入ってきた。
「店長さん、ヤシロは起きたかぃね? あっ、ちゃんと起きてるさね」
感心感心と、嬉しそうに尻尾を振って入室してくるノーマ。
お前は感心できないようなことになってないだろうな?
「……工房に戻ってないだろうな?」
「大丈夫さよ。手押しポンプは作ってみたいけど、自制心くらいは持ち合わせてるっさね」
うわ~、初耳~。
「それにね、カンパニュラに言われたんさよ。『ノーマ姉様の情熱は素晴らしいですが、勢いのまま突き進めば、今よりも強い接近禁止令が出されてしまうかもしれませんよ? こちらの素晴らしい大発明を形に出来るのはノーマ姉様をおいて他にはいませんでしょうから、来たるべき時に備えて準備を万全にしておくことこそが、今ノーマ姉様に求められていることなのではないでしょうか』――ってね」
「一切似てないけど、すげぇ可愛かったな、今のモノマネ」
「そうですね。もう一度聞きたいです」
「にっ、似てないとか……そんなんはどうでもいいんさよ」
あれだけ長々とモノマネしといて照れるなよ。
可愛かったぞ、全然似てなかったけど。
「それにね、『私と一緒に寝てくださるというお約束を反故にはなさいませんよね? 私はノーマ姉様をカエルにはしたくありませんよ』ってさ……あんたが仕込んだんかぃ?」
「俺じゃねぇよ。たぶん母親だ」
そーゆー黒い駆け引きは、ほぼ間違いなく母親仕込みだから。
……そうか、そーゆーのも教わってんのか、カンパニュラ。
ウィシャート家のスキル、受け継がれてんだな。
スキルに罪はない。
使い方次第で善にも悪にもなるもんだ。
カンパニュラなら、悪用はしないだろう。
……ノーマをちょっと脅したみたいだけど。
「あんたが、アタシに寝ろ寝ろうっさいから、カンパニュラがそーゆーとこばっかりマネしちまうんさよ」
「なら、寝ろ寝ろ言われないように寝ろよ」
人のせいにすんじゃねぇよ。
「昨夜はちゃんと寝たさね。カンパニュラとテレサに昔話をしてやったんさよ」
「桃太郎か?」
「そんな創作、アタシには無理さよ。大食い大会の話さね」
「なんの話聞かせてんの!?」
俺、あんまりあの大会にいい思い出ないんだけど!?
「四十二区が一丸となってこの街を守るために戦った、思い出の一戦さね」
あぁ、そんな解釈になってんだ、ノーマの中では。
「あの大会は、本当に大切なことを気付かせてくれたからねぇ……」
とか言って、じっと俺を見ないでくれるか?
あぁいうやり方はもうしないって、何遍言っても、誰に言っても信じてもらえなくて居心地悪いんだよ、その話。
「じゃあ、おねだりされたんじゃないか? チアガールリーダーを生で見たいって」
「……その辺のことは話してないさね」
なんでだよ!?
一番の目玉だったろう!?
チアガールリーダー!
「よし、今日はチアガールフェアだ!」
「着ないさよ!?」
むぅ……売上、絶対上がるのに。
「それより、あの手押しポンプはすごいさね。完成したら世界がひっくり返るさよ」
「まぁ……俺の故郷でも革命的な発明だったからな」
「あぁいうのを知ってるから、ヤシロは井戸の水汲みが面倒だ面倒だって言ってたんさねぇ」
「ノーマさんのお陰で、他所より随分と軽くなりましたのにねぇ」
くすくすと、ジネットが笑う。
俺が水汲みをして腕をさすりながらぶーたれてると、よく笑うんだ、こいつ。
俺の苦労が好きでたまらないらしい。
「まぁ、そんなわけで、下手に作っちまうといろんなところに支障が出る」
絶対注文が殺到するから。
「なので、まずはエステラに言って、四十二区の外に漏らさない方策が必要だ」
「ルシアにも教えないんかぃね?」
「港で劇場作ってる真っ最中に、こんなもん持ち込んだら、大工が戻ってこられなくなるだろう?」
「それもそうさねぇ……」
隠したって、マーゥルやハビエルみたいな、四十二区にしょっちゅう顔を出すヤツには見つかっちまう。
その辺のヤツにも口止めしなきゃイケないし、とりあえずは保留だ。
「ウーマロとノーマがあと3ダースくらいいるなら、今すぐGOサイン出すけどな」
「アタシはともかく、あのキツネ大工が三十六人もいると思うとゾッとするさね……」
青い顔をして自身の二の腕を抱きしめ摩擦するノーマ。
ノーマのやわふわおっぱいが三十六対もあるとパラダイスだけどな☆
「けど、試作くらいはいいんさろ?」
と、昨日完成したばかりのオイルライターをチラ見せしながら聞いてくるノーマ。
……こいつにも、変な言い逃れスキル、教えちゃったかもしれないなぁ……
とりあえず、今は工房接近禁止だってこと、今一度思い出せよ、ノーマ。
でもまぁ、陽だまり亭の中庭にこっそりと試作品を設置するくらいなら、きっとセーフだよね☆
これで、水汲みの苦痛から解放されるっ!
うっひゃひゃ~い♪
あとがき
適性検査で「めっちゃ神経質」と言われました、宮地です
あと、協調性がないそうです(´・ω・`)
(´・ω:;.:… きょうちょうせいってなに……
いや~まさかまさか、
自分が神経質だとは思いませんでした。
神経質な人って、再現ドラマとかだと
たいてい眼鏡でぴっちりした髪型してて
ちょっときつめな言動で、やや潔癖的に描かれるじゃないですか?
なんか、私は真逆だと思っていたんです。
家の中に虫が入ってきても気にしませんし、
お風呂もまぁ、人に会いさえしなければ四日くらいは……五日、行けるか?
バスタオルなんか、気が向いた時に洗濯する派ですし
……と書いていて気付いたのですが、
どうやら私は『神経質=潔癖』だと思い込んでいたようです
私のような、ズボラでいい加減な神経質もあるんですねぇ
あぁ、いえ『ズボラ』ですよ?
『スポブラ』とは言ってませんからね?
決めつけて読み間違えないでくださいね?
「宮地はどーせ『スポブラ』とかしか言わないっしょ」とか、偏見ですからね!
さて、そんなズボラで神経質な私に当てはまる事象で
一つのことが気になると他のことに注意が向かない
というのがありまして。
あぁ、これは確かに、と納得でした。
ドラマとかで、セリフを一個聞き逃すと
「さっき、なんて言ったの?」って気になって
それ以降の会話、ストーリーが一切頭に入ってこなくなるんです。
しかも全然重要じゃないシーンのセリフとかで、なんですよ
女「ま、あなたにはお似合いよね」
男「うっせーな」
女「〇〇〇〇」
男「へいへい……」
みたいなシーンで、
絶対重要じゃないじゃないですか、こんなセリフ
でも、「もしかしたら、すっごいオシャレなジョーク言ってたかもしれない」とか思っちゃって
気になっちゃうんですよねぇ~(^^;
で、結果、
後半のストーリーが一切頭に入ってこないので
「あのドラマ、面白くなかったなぁ」って感想に……
なので、私は
特に見たかったアニメやドラマや映画は、
いつでも巻き戻せるサブスクとかDVDを、
家族がいないところでしか見ません!
ちょこちょこ巻き戻すとウザがられるので……(^^;
あぁ、なるほど、これは確かに神経質
車の運転する時に、
看板とかに気を取られて対向車とか前の車とか歩行者とかを見落としやすいんだそうです
気を付けなきゃ!
免許、持ってませんけども!
ドヤ( ̄▽ ̄)ァ!
それと、夜寝る前とか、
「ん? 何の音?」みたいなのが聞こえると、解決するまで眠れなくなるんですよね
冷蔵庫の「ぶーん」とか
Gカップの「ゆっさり」とかだと別に気にならないんですけども
……いや、Gカップの「ゆっさり」は気になりますね!?
一体どこから!?
(*´ω`*)「私は、喉から」
Σ(゜Д゜;)「マジか!?」
先日も、寝よう~って思って電気消して
お布団入って
スマホの目覚ましセットして
枕元に置いて
目を閉じたら――謎の音が…………
グーアシ「あなたが一番美しいとわたしはいつも思っています」
宮地「グーアシさん!?」
※三つ四つ前のあとがきのネタです☆
なんかこう、「カサカサ」とか「カリカリ」とか「コツコツ」って小さい音がしたら
探しますよね、出所を――
まぁ、大抵見つからないんですけども……
あの謎の音は一体どこから……
(*´ω`*)「私は、喉から」
Σ(゜Д゜;)「マジか!?」
はい、使いまわしました☆
あと、どうやら私は、協調性がないようです。
まぁね、
一家団欒でテレビが見れない子でしたからねぇ
テレビにツッコミまくってたら
兄貴に「うっせぇ!」って言われたことありますからねぇ……
あと、友人に「宮地ってどんな人?」って聞くと
「絡みにくい」って言われることがしばしば……
ちょっと角度の急なボケを振ってみたりするだけじゃないですか!
ちゃんと乗っかって打ち返してこいよ、関西人!
(# ゜Д゜)きしゃー!
……確かに、協調性ないですねぇ(^^;
そして、一人で過ごすのがまったく苦じゃないんです
学校とか職場で
一人でぼーっとしてたり、
そばにいる人にテキトーにしゃべりかけたりするので
初対面では、誰とでも仲良くなれる人的なことを言われがちなんですが
今現在、友人がゼロ人ですからね
ちなみに、私の友人の定義は
宮地「今日飯行く?」
友人「あ、行く行く」
これが出来る人です!
もしくは、「今度泊まりに来いよ」って言われても
「えぇ~、メンドくせっ」って思わない人、ですかね。
いないんですよねぇ……
陽だまり亭になら、いつだってお泊まりに行きたいですけども!
……あ、ヤシロ並みに信用ある人でないとお泊まりできないんですか?
嫁同伴だとOK? あぁ、タイタが一回ルピナスと一緒に泊まりましたっけね?
お泊まりのハードル高っ!?Σ(゜Д゜;)
そんなハードルを楽々と飛び超えていく女子たち。
やっぱり可愛いは正義なんですね!
というわけで、ノーマさんが来ている時にヤシロさんがやらかしました!
\(≧▽≦)/
一部、ちょこっと一人称から外れる書き方でした♪
ノーマとジネットの会話シーン
今回の四幕は、結構『異世界詐欺師風』から外れる書き方してますねぇ
チャレンジチャレンジ(*´ω`*)
さぁ~て、一番見つかってはいけない人に見つかってしまった設計図
この後どうなるのかは――次回、お楽しみ!(≧▽≦)
おぉ、前回と今回と、二回続けて次回予告みたいなことを!?
ふふふ……なんかちょっとプロっぽくないですか?
そうでもないですか?
そうですか……(´・ω・`)
(´・ω:;.:…
↑ ちょっとお気に入り♪
この辺書いてて楽しかったんですよね~
早く続きを読んでいただきたい♪
というわけで皆様、
一回未来へタイムスリップして軽ぅ~く次話に目を通して戻ってきてください☆
って、そんなこと出来るかぁ~い\(≧▽≦)
あっ、いっけね☆
絡みにくいとこ出ちゃった☆
(≧▽≦)ぎゃふーん!
……こういうとこ直さないと、車で事故起こすんでしょうねぇ…………
免許、持ってませんけども!
ドヤ( ̄▽ ̄)ァ!
天丼!( ̄▽ ̄)ドヤァ!
次回もよろしくお願いいたします、ね!(≧▽≦)/
宮地拓海




