418話 オイルライター
オイルライターのデザインにこだわっている間に、内部構造であるインサイドユニットの設計図をノーマに奪われた。
オイルライターは、ケースの中にフリントやウィックなど重要なパーツがひとまとめになったインサイドユニットというものが収められている構造で、ケースは完全に趣味に走れるが、インサイドユニットは緻密な計算の上、確かな技術をもって作成する必要がある。
そうでないと、快適な動作や着火が望めないからな。
「この丸いのは歯車かぃね?」
「それは、フリントを摩擦するホイールだ」
発火石であるフリントを鉄製のヤスリで摩擦すると火花が飛ぶ。
その鉄製のヤスリを円形のパーツにしたものがホイールだ。
ライターで火を付ける時に親指でぐるっと回す、あのパーツだな。
「ただ溝を掘るんじゃなくて、網目状に出来るか?」
「お安い御用さね! 鉄ヤスリも、ウチの主力商品だからねぇ。……あのキツネ大工が、まぁ~あネチネチとクレームをつけてきやがったからさぁ、ぐぅの音も出ないような完璧なヤスリを作ってやったことがあるんさよ」
鉄製のヤスリやカンナ、カナヅチなど、大工道具には金物ギルドが制作するものが多い。
……その度にバチバチやり合ってるのか。だから技術がどんどん上がってるって節もあるんだろうな、きっと。
「インサイドユニットは鉄製なんさね」
インサイドユニットは軽さと頑丈さが求められる。
人目に付く場所ではないので機能性に全振りでいいだろう。
その分、ケースは素材やデザインにこだわって趣味全開で作るつもりだ。
「こりゃあ、この形の金型を作っちまった方が安価で安定したものが作れそうさねぇ……」
「いや、量産はしないから」
薄い鉄板を折り曲げて、接合部分を溶接するだけでいい。
金型を作るのも大変だし、今後使用しないなら無駄な労力になる。
「ヤシロ。……今後作られない可能性なんて、皆無さね」
「俺専用だっつってんだろ。人目に触れさせなきゃ、欲しがるヤツなんか出てこねぇよ」
と、ノーマを見ると、なぜか自分を指さしていた。
挙手しながら。
「欲しいさね」
「……まぁ、ノーマは協力してくれるから、ついでに作ってやるけども」
「あの、火付けが楽になるのでしたら、わたしも……欲しい、です」
遠慮がちに、ジネットも挙手をする。
いつの間にフロアに出てきていた?
掃除は?
あ、もうとっくに終わったの。さすがだねぇ。
「お兄ちゃん、あたしも欲しいです!」
「……マグダはトラの模様にしてほしい」
「ヤー君、それがあれば、私やテレサさんでも火起こしが出来るようになるでしょうか?」
「あーしも、かまど、つかえぅ?」
いつの間にやら勢揃い。
まぁ、新しい便利道具には興味が湧くよな。
しかし……
「お子様には危険だな」
簡単に火が起こせるからこそ、火事のリスクが高くなる。
誰彼構わず持たせるわけにはいかない。
「……そういうことだから、カンパニュラとテレサとロレッタは諦めて」
「さらっと自分を除外したですね、マグダっちょ!? あたしの方が年上ですよ!」
マグダやロレッタも危険だな。
ロレッタに持たせると、弟妹が絶対欲しがるし。
「というわけで、金型を作るさね」
「どんなものかも分からずに先走るなよ。えらい額の損失を出すかもしれないぞ」
「大丈夫さよ。ヤシロが自分用に欲しがるものが出来損ないなわけはないからね」
どこから湧いてくる自信だ?
……まぁ、俺が自分で使うものには、一切の妥協をするつもりはないけれども。
「とりあえず、一個試作品を作る。量産は、それを見てからだ」
こっちの発火石がオイルライターに使えるかどうか、使えたとして費用的に量産に向くかどうか、いろいろ検討することはある。
作ってみて火が付きませんでしたでは、話にならない。
「ほいじゃ、ぱぱーっと作ってきてやるさね」
「マグダ、そこのテンション上がり過ぎて記憶力がゼロになった社畜鍛冶師を取り押さえといてくれ」
「……ノーマ。鍛冶場で火災はシャレにならないから」
「むぐぅ~! 鍛冶場に戻りたいさねぇ~!」
マグダに取り押さえられ、床の上でジタバタもがくノーマ。
おぉ、ノーマが組み敷かれてる光景は珍しい。
「ジネット、火打ち石ってあるよな?」
「はい。火付け布が普及する以前は、火打ち石で火をつけていたとお祖父さんが言っていました。ウチにもあるはずですよ」
「ちょっとだけ分けてもらえないか?」
「はい。ちょっと探してきますね」
「あぁ、待てジネット! ……ちょっと、削り取ることになるんだけど……?」
「もう火打ち石を使うことはありませんから、壊れちゃっても大丈夫ですよ」
いや、祖父さんの使ってた道具なら壊さずに取っておきたいんじゃないのかと思って……大丈夫なのだろうか。
……あ、行っちゃった。
悩んでいる間にジネットはフロアを離れ、おそらく二階へと向かった。
程なくして、手にすっぽりと収まる程度の白っぽい石を持って戻ってくる。
「いくつか残っていましたので、こちらを使ってください」
白っぽい石と鉄のヤスリを手渡される。
この石は石英か。
これなら、いいフリントになりそうだ。
これを砕いて研磨して、ライターに収まる形状に加工するわけだが…………砕く段階で石がぱっかり割れる恐れもある。
「それは、壊れても大丈夫ですよ」
俺の逡巡を感じ取ったのか、ジネットが俺を安心させるように笑みを向けてくる。
……むぅ。
「……祖父さん、すまん。使わせてもらうぞ」
火打ち石を握り、まぶたを閉じて断りを入れておく。
ふと、祖父さんの笑顔がまぶたの裏に浮かんだ気がした。
……そうかい。許してくれるのか。
「ありがとよ」
もう消えてしまった祖父さんの残像に礼を述べてまぶたを開けると、ジネットが嬉しそうに俺を見つめていた。
「……なんだよ?」
「いえ。ヤシロさんらしいなぁ、と思いまして」
多くは語らず、笑みを深める。
日本人はな、たとえそこにいなくても、目に見えなくても、敬意を払う習慣が体に染み付いているんだよ。
「実はそれ、予備にと買ったまま、一度も使わなかったヤツなんです。ですので、どうかお気になさらずに」
「あ……そうなの」
くすくすと、若干気にし過ぎていたらしい俺を見て肩を揺らすジネット。
それならそうと、先に言え。
無駄に気を遣ったわ。
「でも、嬉しいです。ヤシロさんが、またお祖父さんを思い出してくださって」
祖父さんのことなら、思い出す必要もないくらい日々感じているよ。
陽だまり亭のどっかで、今日もジネットのことを見守ってるんだろうなぁ~ってな。
まぁ、そんなことを口にするのは憚られるし、これ以上いい人だと誤解されるのも勘弁なので、言葉を濁す代わりに火打ち石を二度ほど鉄のヤスリにぶつけてみる。
カッカッと音を鳴らして、小さな火花が飛び散って消える。
うん、いい石だ。
儚く消えていく火花を見つめ、俺は心に浮かんだ言葉を口にする。
「っていうか、これがあるなら俺、普通に火起こせるわ!?」
使ったことがなかった火付け布なんて訳の分からない欠陥商品が苦手なだけで、火打ち石があるなら普通に火を起こせるんだけど、俺!?
あれ?
もしかして、ライターとか作る必要ない?
いろいろ考えたけど、火打ち石で問題解決しちゃった感じ!?
「お兄ちゃんが、高度なことを考え過ぎて最も単純なことを見落とした時の顔してるです!?」
「……ヤシロはよくそういうミスをする」
「大人の方が、子供にも分かるようなことを見落とすことはよくあるようで、三十五区ではそういうことを『灯台下暗し』と言っていました」
「えーゆーしゃ、うっかりしゃん!」
ぐっ……テレサの言葉が地味に刺さる。
「落ち込む必要はないさね。折角設計図まで作ったんだから、完成させちまえばいいんさよ」
「そうですよ、ヤシロさん。それに、不便だから火付け布が発明されたわけですし、その火付け布よりも便利な道具が出来れば、きっと多くの方が喜ばれると思いますよ」
俺、別に多くの人に喜んでほしいとか思ってないもん!
俺が「火付け布下手」とか言われなければそれでいいんだもん!
「……くっ、なんか悔しいから、めっちゃこだわったライターを作ってやる……っ!」
俺は火打ち石を見落としていたんじゃない、あえてそこに手を出さなかったのだ!
そう、オイルライターを生み出すためにな!
けどまぁ、うん。
オイルライターが完成するまでは、火打ち石で火起こししよう、そうしよう。
オイルライターの設計図を書き終え、マグダ監修のもとカンパニュラが作ったというポップコーンを食べながら、「これはもうすでに商品として表に出しても問題ないのでは?」なんて話をジネットとしていると、ノーマが設計図を小脇に抱え、「ちょっとだけ! ちょっとだけだから!」と、下心しかないナンパ男みたいな発言を繰り返しながら鍛冶場へと帰っていった。
どこからどこまで作ってくる気なんだろうか……
「ノーマ、今日はもう戻ってこないかもな」
「でも、少しだけとおっしゃっていましたし、そのうち戻られると思いますよ」
まぁ、もともと善意で手伝ってくれると言っていただけだから、「仕事をすっぽかして!」って感じはしてないけども。
今日の陽だまり亭はフルメンバーいるわけだし。
これが明日だったらキツかったかもしれないけどな。
……明日、不用意な発言はしないように気を付けよう。うん。
「ゼルマルは、銀細工はしないよな?」
「そうですね。ゼルマルさんは木工細工師ですから。ゼルマルさんの木彫りは見事だとお祖父さんも絶賛されていましたよ」
「さすが客商売。リップサービスがうまい」
「うふふ。お祖父さんは、そんな器用な方ではありませんでしたよ」
いやいや、お世辞、お世辞。
褒めときゃバカみたいに金落としていくのが目に見えてたから適当に持ち上げてただけだって。
「四十二区で銀細工が得意だという方は、ちょっと思い当たりませんね……」
と、頬に手を当て思案にふけるジネット。
右上に向いていた視線が、ふと俺の方へと向く。
「……ヤシロさん以外は」
言って、にこりと微笑む。
なにそれ?
してやったりな感じなわけ?
俺はお前に銀細工なんかしてみせたことないだろうに。
まぁ、得意か不得意かと聞かれれば、かなり得意だけれども。
あとは消耗品の発火石を頼む石工細工師だが……まぁ、これは後でいいだろう。
素材の検討と共に後程考えるとしよう。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」
ロレッタが、俺の描いたケースのデザイン画を持ってやって来る。
「どのデザインにするですか?」
オイルライターのケースに使用するデザインは、比較的自由度が高い。
なので、いくつか良さげなデザインを描いてみたのだが、どれもなかなかの出来だ。
中学生にぶっ刺さりそうな昇り龍のデザインは、縁日の輪投げの目玉商品にうってつけだろう。
まぁ、描いていて「これはないな」と思ったけども。
中坊のころなら、一も二もなくこれを採用しただろうけどな。
「あたし、この魔獣が空に昇っていくヤツ、かっこいいと思うです!」
ロレッタの感性は中学生並みらしい。
っていうか、魔獣に見えるのか。
「このバッテンのヤツもシンプルで可愛いですけどね」
おぉーっと、それも中学生が大好きな、超有名ブランドのマークだ。
先の広がった三本線が交差する十字架。
錆びつかない心、媚びない心、そんな思いが込められた、クロムでハーツな、若いメンズが一回は「かっけー!」と思ってしまう青春の通過点にいるブランド――の、偽物だ。
いやぁ~、縁日とか駅前の露天に並べとくと飛ぶように売れて……まぁ、いいじゃないか、昔のことは。
「今ロレッタが選んだ二つは、絶対採用しない」
「なんでですか!? かっちょいいですよ? お兄ちゃんにぴったりです!」
やめてくれ。
人を永遠の中学生みたいに言うの。
俺、中学二年生症候群は患っていないから。
「今ロレッタが持ってるヤツは全部冗談で描いたものだ」
「えっ、これ全部ですか!?」
当たり前だろう。
般若とか、鬼とか、見返り美人とか、とある夢の国のメインキャラクターとか、俺がそんなライターを所持するわけないだろうが。
あぁ、いや、もとい、もとい。アレはただ黒い丸が三つくっついているだけの現代アート的なヤツだ。決して何か夢の国的なキャラクターを模した記号ではない。
「本命はコレだ」
俺が採用しようとしているデザイン画を広げると、ロレッタよりも先にジネットが覗き込んできた。
「わぁ……、素敵なデザインですね」
「あれ、このお花、どっかで見た気がするです」
「これは、ヤシロさんがお好きなお花、ですよね?」
「あぁ~! お兄ちゃんのお誕生日会でミリリっちょとマーゥルさんが鉢植えにしてた花ですね!」
「桜っていうんだよ」
枝を広げる桜の木と、大きな桜の花。
そんなデザインにしてある。
まぁ、ベタではあるが、やかましくもなく、年を取っても使っていられそうなデザインだろう。
「荒ぶるおっぱいと悩んだんだけどな」
「悩まないでください!」
「ちなみに、そっちのデザイン画が、ここに――」
「没収です!」
広げる前に没収されてしまった。
あ~ぁ、きっちり折り目つけられちゃってまぁ。
くしゃくしゃにしないところが、実にジネットだな。
「……ヤシロ」
こちらでデザイン画を見て盛り上がっていたころ、マグダはカンパニュラとテレサを連れてテーブルを拭いていた。
「……描けた」
「私も、下手ですが、出来ました」
「かいたー!」
「テーブル拭いてたんじゃないのかよ」
どうやら、向こうのテーブルでお絵かきをしていたようだ。
どれどれ……
マグダの絵は…………トラ、か?
丸い顔の獣らしき生き物が「がおー」と鳴いている。
マンガか。吹き出しを使うな。
カンパニュラのデザインは…………家?
あっ、陽だまり亭か、これ!
ちゃんと氷室まで描かれてるわ。
縦横のバランスが違うから、陽だまり亭っぽくは見えないけどな。
で、テレサのデザインは…………うん。分からん。
「テレサは何を描いたんだ?」
「おねーしゃ!」
そうか。
ぐちゃぐちゃな感じがすごく似てる。
よく特徴を捉えているじゃないか。
コレを、絵、イラスト、デザインのいずれかと認めるならば、だが。
「んじゃ、お前らのデザインを清書すると、こんな感じか――」
マグダから順番に、各々のデザインを清書していく。
簡単に、でも迫力満点に――っと。
「……よき」
「さすがです、ヤー君!」
「おねーしゃ、かわぃい!」
マグダのトラは、俺の描いた昇り龍と対を成すような迫力のデザインに。
カンパニュラの陽だまり亭は、記念硬貨にでもなっていそうな威厳ある姿に。
そして、テレサのバルバラはかなりデフォルメしてライターの真ん中に描いた。
デフォルメバルバラは、蓋を開けたら頭が「ぱっかー」と開く仕様だ。
……ぷっ、蓋の中身も空っぽだからちょうどいいんじゃねぇーの。
「素敵ですね、これ」
ジネットが陽だまり亭のデザイン画を手に取りじっと見つめる。
「じゃあ、陽だまり亭用に一個作っておくか」
「いいんですか?」
「全員分作るわけにはいかないからな。みんなで一個を使うくらいは、まぁ、いいだろう」
おそらく、ノーマは自分の分を作るだろうし、その時点で俺専用じゃなくなるもんな。
なら、別に他にもういくつかあったって構わないだろう。
どーせそのうち量産されそうだし、この勢いだと。
「他のは、量産が決まったらエステラにでもねだってくれ」
「……おねだりは、得意」
「あたしもめっちゃねだっちゃうです!」
瞳をキラリと輝かせ、十指をわきょわきょ蠢かせてほくそ笑むマグダとロレッタ。
一体どんなおねだりをやらかすつもりだ。
「大変なのは消耗品の製造だな」
普段使いするのであれば、消耗品をある一定数は作り続けなければいけない。
ウィックの編み込みもさることながら、フリントの削り・成型はかなり技術を要する。
フリントには石英や堆積岩が用いられる。
海底に堆積して生み出される堆積岩であれば、マーシャに頼めばなんとか手に入るかと思っていたんだが……加工も、となると話は変わる。
「やっぱ、三十三区は味方にしておかないといけないようだな」
ガラスの製造、そしてオイルライターの命とも言えるフリント。
それらを生み出せるのは、三十三区の職人だろう。
こりゃちょっと、何がなんでも噴水の記念祝賀会に三十三区領主を引っ張り出さなきゃいけなくなってきたな。
今俺がいくつかまとめて作れば、しばらくは持つだろう。
それが尽きるまでの間に、なんとか三十三区領主を口説き落とさないとな。
石と酒にしか興味を示さない領主……さて、どうしたもんかなぁ。
昼前。
いいところにウーマロが来店したので、ぱぱっと編み機を作ってもらった。
円盤の外周に等間隔で設けられた突起に糸をセットし、そこから糸を引っ張ってきて中央の穴から下へ垂らして底面の治具に固定して、ハンドルを回すと円盤が回転して自動で紐を編み上げてくれる、組紐の織り機を物凄く簡略化したような、一昔前に流行ったリリアンを編むオモチャのような、そのような織り機だ。
「物凄い複雑なギミックを要求されたッス!?」
なんかウーマロが燃え尽きているが、欲しいものが手に入ったのでよしとする。
「あぁ、これでマグダが欲しがっていたオイルライターに一歩近付いたなぁ」
「……ウーマロ、ありがとう」
「その一言ですべて報われたッス!」
安いなぁ、お前は。
「お前の技術はすごいんだから、あんま安売りするなよ? 価値が落ちるぞ」
「ヤシロさんッスよ、一番お手軽に使ってくるのは!? けどまぁ、他では見られない発想の宝庫なんで、正直こっちもありがたいんッスけどね」
言いながら、自分で作った編み機のギミックを再確認して、「へぇ~ここでこうなるんッスねぇ~」とか、感心している。
自分で作ったもので感心できるとか、お手軽でいいな、お前の人生。
「俺は、自分で描いたエッチな絵では『むふふ』な気持ちになれないんだよなぁ……」
「それと今のオイラの感動を同列に語らないでッス!」
自給自足って、難しいよなぁ。
とかなんとか言っている間に、オイルライターのウィックが完成した。
うん。目も詰まっていていい感じだ。
あんまスカスカだと使い物にならないからな。
「ヤシロさん、出来たんですか?」
「あぁ、こんな感じだ」
「なんだか楽しそうでしたね」
「やってみるか?」
「いいんですか!?」
いいんですかも何も、今のは思いっきり催促だったろうに。
「では、少しお借りします」
「使い方は分かるか?」
「はい。見ていましたから」
席を立ち、ジネットに場所を譲る。
「では、その間、ヤシロさんはそこで少し懺悔していてください」
「実際エッチな絵を描いたわけでもないのに!?」
「大きな声でそのようなお話をされていたからですっ」
ぷくっとほっぺたを膨らませて、ジネットが「カンパニュラさんやテレサさんもいるんですからね!」と叱ってくる。
へーへー。懺悔懺悔。
ごめんちゃい。
「それで、ヤシロさん。それは何に使うんッスか?」
わくわく顔で、ウーマロが俺の持つウィックを覗き込んでくる。「劇場関連ッスか?」と、興味津々だ。
今、完全に劇場に意識が向いてるんだな、こいつ。
「残念ながら、こいつは趣味だ。趣味というか、俺の尊厳を守るための道具というか……この街に革命を起こす道具かな」
「趣味で革命起こしちゃうんッスか!?」
大袈裟に、仰け反るように驚くウーマロ。
オーバーな。
「まぁ、ヤシロさんの規格外な発想はいつものことッスけども」
「失敬な。俺がいつ規格外なことなんかやったよ?」
「プレハブで仮設劇場を作るなんて、普通の人には思いつかないッスよ!?」
いや、それに関しては俺も驚いてるから。
むしろ、お前らが規格外なんだぞ、今回の件に関しては!
「自分の非常識を、他人のせいにしてんじゃねぇよ」
「その言葉、そっくりそのままお返しするッスよ」
お前な、一日で劇場を建てちまう大工と、オイルライターを自作するイケメン、どっちが非常識だと思うよ?
通行人百人に聞いたら、百人中百人がお前の方が非常識だって言うっつーの。
「ロレッタ。俺とウーマロ、どっちが非常識だ?」
「お兄ちゃんです」
即答された!?
「よく考えろよ。こいつ、ランドリーハイツ建てた翌日に三十五区まで行って劇場建ててきたんだぞ?」
「それ全部、ヤシロさんに言われてやったことッスよ!?」
「やっぱりお兄ちゃんが原因じゃないですか!?」
吠えるウーマロはともかく、ロレッタまでそんなことを……
あぁ、そうか。
ロレッタはまだ三十五区の仮設劇場を見てないからなぁ。
アレを見たら、「こいつ、マジか!?」ってなるって、絶対。
「確かに、ウーマロさんは一般人からは大きく隔絶された超人ですけど、お兄ちゃんはその超人の枠組みをも飛び越えた、もうなんだか分からない領域の人です」
お前は、俺を天狗や仙人の類だとでも思っているのか?
「たぶんですけど、お兄ちゃんは精霊神様に近しいナニカだと思うです」
「んなわけねぇーだろ」
あんな、よく分からない魔法を国全体に施すような、超常をさらに超えている存在と一緒にするな。
精霊神が巻き起こす現象は、一つたりとて理解できるものはないんだから。
「あぁ、同族嫌悪なんッスかねぇ、ヤシロさんの精霊神様に対する反発は」
同族じゃねぇし。
精霊神の巻き起こす奇跡には度肝を抜かれてばかりだ。
言葉だけでなく文字まで含めて、すべての言語が強制的に翻訳される『強制翻訳魔法』。
この街で行ったすべての会話が文字として記録される『会話記録』。
嘘を吐いた人間をカエルに変えちまう『精霊の審判』。
洞窟内に存在した絶対に破壊できない壁。
突如現れ、突如姿を消すカエルの群れ。
数十メートルの崖から落とされても無傷で湿地帯へ着地する謎の力。
湿地帯へガキが捨てられるとベルティーナに届くお告げ。
あと、ベルティーナが座っても一切音を鳴らさなかったブーブークッション!
すげーのからしょーもないのまで、精霊神の力はこちらの理解を軽々と超えてくる。
俺が、そんな精霊神と似ているはずも、近しいはずもない。
俺は、ちょっと知識があるだけの一般人だからな。
「精霊神に比べれば、俺なんか凡庸も凡庸。Aカップが間違って買ったGカップ用ブラジャーみたいなもんだよ」
「そのたとえはちょっとよく分かんないですけども!?」
物分かりの悪いロレッタめ。
「じゃあ、もっと分かりやすく、片方だけなくした乳パッドみたいなもんだ」
「たとえが胸元から離れないッス!?」
「そして相変わらず、分かりにくいですよ、お兄ちゃん!?」
なんでだよ~?
「要するに、大して役に立ちゃしないってことだ」
まぁ、やりようによっては、何かしらの役に立つこともあるけどな。
なんでも出来ちまう精霊神と違って、俺にはなんの力もないから、毎度毎度頭を悩ませて、あっちこっち駆けずり回らなければいけないわけだ。
あ~ぁ、愚鈍なおのれの身の程を嘆くばかりだよ。
「出来ました!」
こちらで話をしている間も、もくもくとウィックを織り込んでいたジネット。
完成品を織り機から取り外し、完成品の出来栄えをチェックしている。
納得行く出来だったようで、完成品を俺に差し出してくる。
「……うん、いい出来だ。これなら実際オイルライターに使っても問題ないだろう」
「本当ですか。この織り機がすごく使いやすくて高性能だからですね」
この織り機を使えば、結構誰でも同じ品質のウィックが作れる。
とはいえ、ハンドルを回す速度や糸のセッティングなど、細かい部分に気を付けないと網目が緩んだり飛んだりチグハグになっちまうだろうけどな。
「ジネットは合格だな」
「えへへ」
褒めてやると嬉しそうに頬を緩め、その顔のままジネットは俺の手を握る。
「では、ヤシロさんは懺悔しましょうね」
「えぇ~……またぁ?」
「大きな声で変なお話をされていたからです! もう、懺悔してください!」
合格をもらって緩んでいたほっぺがぷっくりと膨らんで、自分が座っていた席を俺に譲り着席を促す。
返ってきちゃった、この席。
「いいですか、ヤシロさん。子供たちは大人の話を意外とよく聞いているのです。だからこそ、我々大人は口にする言葉を――」
――と、とてもありがたいジネットの説教が始まり、大人の会話をよく聞いていても、善と悪の取捨選択がバッチリ出来ていそうなカンパニュラが「しっかりとジネット姉様のお話を聞いてくださいね」なんて、励ましなんだかお説教なんだか分からない言葉を俺の耳元で囁いていった。
ここにいるお子様には、どんな話を聞かせても大丈夫だって。
そこらの大人より利口なんだし。
だから懺悔はもうちょっと手加減を……あ、だめ? そっかぁー、ちぇ~。
懺悔が終わりしばらくまったりしていると、ノーマが陽だまり亭に戻ってきた。
六人の乙女に取り押さえられながら。
「はーなーせー! 離すさねぇえ!?」
「ノーマちゃん、なにこっそり鍛冶場に戻って仕事してんの!?」
「しばらく出禁って言っておいたでしょ!?」
「なんであんなに鉄を乱打してバレないと思ったのよ!?」
「すぐ分かるわよ! ノーマちゃんの鉄を打つ音、他の誰より荒々しいんだから!」
「違うさね! 仕事しに戻ったんじゃないさね! 趣味なんさよ!」
「趣味で他の鍛冶師よりも凄まじい槌捌き見せつけないでっ!」
相当暴れたのか、ノーマの体はぶっとい縄でぐるんぐるん巻きにされていた。
俄にもエロスを感じさせない、完全無欠のぐるぐる巻きだ。
完全に下手人の扱いだな、アレは。
「ノーマ」
「あぁっ、ヤシロからも言っておくれな!」
「大人しくしてろ」
「なんでそっちの味方に付くんさね!?」
「「「さっすがヤシロちゃん、男前♪」」」
しばらくは鍛冶場に近寄るなってのに。
「もうすぐエステラがイロハたちを連れて飯を食いに来るから、陽だまり亭の手伝いを頼む」
「むぅ……それは、やぶさかではないけどさぁ」
制作途中で邪魔されて、ノーマは大いに不服顔だ。
こりゃ、ほどほどに毒気を抜いてやらないと、面倒くさい拗ね方されちまうな。
「なぁ、乙女ども。夕方、二時間ほど炉を貸してくれるか?」
「ヤシロちゃんが使うの?」
「いや、ノーマと一緒にちょっと作りたいものがあってな」
「ヤシロっ! やっぱ、あんたはいい男さね!」
簀巻きのノーマから「ぶわっ!」っと歓喜のオーラが迸った。
めっちゃ上機嫌だ。
「まぁ……ヤシロちゃんがいるなら、ノーマちゃんも暴走しないかもしれないけど……」
「仮に暴走しても、ヤシロちゃんが止めてくれるなら……ねぇ?」
「今日、作らせてやらないと、拗ねるぞ?」
「「「それは面倒くさいわね!」」」
ノーマのことをよく知っている者たちの、正しい判断だ。
「ロレッタ。今日の午後から、ノーマ先生の講演会を陽だまり亭で開催するから、質問のあるヤツはその時に集まるよう宣伝してきてくれないか? 夕飯前にケーキでも食いながら、優雅に裁縫談義に花を咲かせませんかってな」
「わぁ、それ、めっちゃ楽しそうですね! 分かったです! ちょっとひとっ走り触れ回ってくるです!」
どぎゅんっと、ロレッタが陽だまり亭を飛び出していく。
「これで、夕方には少し体が空くだろう」
「なるほどねぇ。昼のうちにまとめて話を聞くんさね。集まる場所が難しくて個別に対応してたけど、陽だまり亭でケーキを食べながらだったら、みんな気軽に集まれるっさね」
他人の質問を聞くのも、新しい発見があって楽しいかもしれないしな。
「陽だまり亭なら、特別講師のジネットもいるからな」
「わたしも参加していいんですか?」
「ここでやるんだから、一緒におしゃべりすればいいだろ。厨房は、俺が見とくから」
「嬉しいです! なんだかわくわくしてきました」
ジネットも、裁縫好きでおしゃべり好きだ。
講演会の間くらい、自由に行動させてやればいい。
「あっ、では、ケーキの仕込みをしておきましょう。数は十分ですが、追加が必要になりそうな気がしますので」
ジネットがキリッと眉をあげて厨房へと駆け込んでいく。
裁縫の講演会であり、お茶会だもんな。
他人が食べているケーキも気になって、折角だからそれもついでに――なんて気分にもなるだろう。
「その代わり、講演会が終わったらしばらく陽だまり亭を空けるから、そっからは頼むぞ、マグダ」
「……任せて。店長にもその旨伝えておく」
マグダは、講演会中も、俺が外出している間も、ずっとサポートをしてくれるだろう。
頼もしくなっちゃって。
「カンパニュラとテレサも、ウェイトレスをしっかり頼むぞ」
「はい。微力を尽くします」
「びみょーにつつきましゅ!」
「テレサのソレは仕事できてないから、頑張れ」
「ぱい!」
返事はいいんだよな。
元気があり余っててさ。
「ヤシロちゃん。準備しておくことは何かあるかしら?」
「パーツはこっちで成型して持っていくから、ロウ付けの準備をしておいてくれ」
「分かったわ。い~ぃ、ノーマちゃん? 講演会が終わるまで、鍛冶場には立入禁止だからね!」
「わぁ~ってるさよ! しつこい男だねぇ、まったく」
いやいや。
分かってなかったから釘を刺されてるんだよ、お前は。
反省してねぇなぁ、こいつ。
「それじゃ、ノーマちゃんが使ってた材料、この木箱に全部詰め込んであるから」
「ちょいとお待ちな、トヨシゲ! 足りない材料があるからここまで届けとくれな。……でなきゃ、取りに戻るさよ?」
どんな脅しだ。
で、効果テキメンみたいだな、その脅し。
それから、口頭で必要なものを伝えて、トヨシゲたちを見送るノーマ。
ぶっとい縄でぐるぐる巻きにされて床に転がるノーマ。
ユニークになっていくな、日に日に。
「どうする、ノーマ? 縄、解く?」
「当たり前さね!?」
そっかぁ。
しかし、ぶっとい縄がぎっちぎちに巻かれてるからなぁ。解くのも一苦労だ……獣人族の力を借りるか。
「テレサ、悪いが手伝ってくれるか?」
「ぱい!」
「じゃあ、俺は胸元から解いていくから、テレサは足の方から頼むな☆」
「ぱい!」
「ちょいとお待ち! ……逆にしな」
ちぇ~……
しょうがないので、足首に「これでもか!? これでどーだ!?」とばかりに、若干の怨嗟を込めてキツく結ばれた縄を解きにかかる。
……うん。無理。
「ノーマ、動くなよ」
右腕を振って、仕込みナイフを取り出す。
もう、切っちまおう。
えい。
じぐじぐ、じぎじぎじぎ…………
「でぇえい、切れん! マグダ、まさかり!」
「アタシが真っ二つになっちまうさね!」
そうだよなぁ。
ノーマが全力を出しても千切れないような縄で、ノーマが暴れても解けないように縛ってあるんだもんな。
俺が刃物を使ったところで、そうそう簡単に解けるわけがないんだよ。
「モーマットを刺し殺すより大変だな、これは」
「モーマットを刺殺したことあるんかぃね?」
「まだないな」
「……いつか実行する予定でもあるんかぃね?」
それは分かんないじゃん。
予定は未定だし。
未定とは、無限の可能性だし。
「えーゆーしゃ、なわ、ほどけない」
テレサにも無理だったか。頑張って解こうとして指を痛めたようで、小さい手をぷらぷら揺らしている。
「マグダ待ちだな、これは」
頑張ったテレサを褒めてやり、手指のマッサージをしてやる。
無茶なことさせて悪かったな。
「つくづく人間じゃねぇな、お前んとこの乙女どもは」
「一対一なら負けやしないけどね……さすがに、群れで来られると厄介さね」
「視覚的暴力でもあるしな」
「嗅覚的暴力もさよ」
そっか、メンズフレーバーも脅威なのか。
なにあいつら? 歩く兵器なの?
「お困りのようですね」
颯爽と、ナタリアが現れる。
タイミングを見計らったように。
「もうすぐエステラが来るのか?」
「はい。それで、『ヤシロのことだから、何か問題を招きこんでいる可能性は否定できないスカ。ちょっと先に行って状況を把握しつつ、問題があるようなら除去しておいてほしいスカ。スーカスカスカ』と」
「わぁ、そっくり、特に語尾が」
「毎日観察しておりますので」
「あんたは、本当にエステラが好きさねぇ」
ナタリアのエステラいじりに呆れ顔のノーマ。
だが、ぐるぐる巻きで床に転がっている状態では、その澄まし顔も滑稽にしか見えない。
「マグダさんは留守なのですか?」
状況から、事態を正確に判断したナタリアが尋ねてくる。
確かに、マグダがいれば、こんな縄を解くのは造作もないのだろうが……
「ケーキの準備に行ったジネットのところへ伝言をしにな」
「では、伝言ついでに盛大に甘やかされているところですね」
「きっと、イチゴか生クリームをつまみ食いさせてもらってるんさね」
全員、正確に厨房の様子を予想できているようだ。
きっと今頃、ジネットがマグダにおやつを与えて盛大に甘やかしている最中だろう。
もうしばらく、マグダはフロアに出てこない。
「では、僭越ながら私が、ほんのりエロスを交えつつ、ノーマさんの縄を解きたいと思います」
「余計なことはするんじゃないさよ!?」
「よっ! 待ってました、大統領!」
「煽るんじゃないさね、ヤシロ!」
いや、でも、ナタリアの責任の元、ナタリアの意思で行われることなもので。
第三者がとやかく言う資格はないもので。
そこはかとない期待が抑えきれないもので。
「ナイフを使いますので動かないでください。動くと……」
ナイフを構えて、ナタリアが鋭い視線のまま告げる。
「乳首が、チクリとしますよ?」
どやぁ!
「いや、『どやぁ!』じゃねぇーわ!?」
「真剣な顔で、なにしょーもないこと言ってんさね!?」
「乳首ー、チクリー、ちょっぴりしくじり、うっかりぽろりー♪」
「韻を踏んでんじゃないさよ!?」
「SAY!」
「ぽろりー♪」
「SAYしてんじゃないさよ、ヤシロ!」
ノーマが吠え、カンパニュラがそっとテレサを厨房へ連れていく。
わぁ、気の利くいい子。
「……カンパニュラに気を遣わせてんじゃないさよ、領主の両翼がさ」
「え、待って。俺、いつの間にエステラの片翼になったの?」
自覚ないんですけど?
「そうですね。ヤシロ様は片翼に収まるような器ではありませんね」
「エステラの両サイドでやいやいふざけ倒している両翼さよ」
「「それに関しては、否定できないな」できませんね」
「胸張ってんじゃないさね……」
盛大なため息を吐き、「さっさと解いておくれな」とノーマがナタリアに頼む。
「では」と、短く言って、ナタリアがナイフを投げ、はらりとぶっとい縄がノーマの体から離れて床に落ちる。
ようやく解放されたノーマは体を起こし、立ち上がって服についたほこりを手で払い……ナタリアに詰め寄った。
「なんで投げたんさね!?」
「いえ、威力を高めようかと」
「ものっすごいヒヤッとしたさよ!?」
「私を信じてくださっていないのですか?」
「投げずに手に持って切ればよかったじゃないかさ!?」
「いえ、ですが、エンターテイメントとしては派手な方がよろしいかと」
「やられる方の身にもなってみな!」
なんだか、めっちゃ怖かったらしい。
まぁ、一瞬殺気こぼれてたしな、ナタリア。
俺なら泣いてたな。
かくして、ノーマは無事解放され、「……あいつらのせいで」と乙女たちに対する逆恨みを募らせていた。
そもそも、お前が鍛冶場に戻ったのが原因なんだが……ま、自分のことは棚に上げてるんだろうな、きっと。
あとがき
イエス! アイアム、宮地です☆
今回のタイトルはオイルライターということで、
私も、持っておりました、
オイルライター!
しかも、昇り龍の!
\(≧▽≦)/
もう、絵にかいたような
「うっわ、中学生が好きそう!」
みたいなデザインのオイルライターを縁日の輪投げでゲットしましたとも!
煙草も吸わないのに!(≧▽≦)
……あっ!?
この話、前回書きましたね!?
Σ(゜Д゜;)
まさかのネタ被り!
……いっそ、このまま行き切ってみましょうか……いや、さすがにそれは
よし、違う話をしましょう(*´ω`*)
先日、マスクをして自転車に乗っていると、
虫が飛んできてマスクに「ぴたっ!」ってくっついたんですが、
見たことない虫だったので、スマホでパシャって画像検索してみた結果――
トゲアリトゲナシトゲトゲ
……いや、どっち!?Σ(゜Д゜;)
ややこしいこと、この上ないな!?
どんな虫なんだろうと名前で検索してみると
『どっちだよ!?』
『ふざけてんのかwww』
『結局トゲあるのかないのか、どっちなんだい!?』
と、結構いろんな方がネタにされていました(*´ω`*)
有名人……もとい、有名虫だったんですね~
進化の過程としては、
ハムシが、トゲハムシというトゲのある虫、通称トゲトゲに進化する
その後、トゲのないトゲトゲが見つかり、トゲナシトゲトゲと名付けられる
その後、トゲのあるトゲナシトゲトゲが見つかり、トゲアリトゲナシトゲトゲと名付けられた――らしいです。
じゃあ、そのうち、トゲナシトゲアリトゲナシトゲトゲが出てきますね
もしくは、ラメ入りトゲトゲとか。
ラメ、入ってんじゃねぇよΣ(゜Д゜;)
スマホの検索機能、かなり活用しています
あと、最近のスマホって、話しかけると答えてくれるじゃないですか?
「明日の天気」とか言うと、この辺の天気を表示してくれるっていう機能なんですが
私の滑舌が悪いのか、はたまたウチのスマホの耳が悪いのか
全然見当違いなことを言われることがあるんですよ
一番よく聞くのが「明日の天気」なんですが、
夜寝る前に、明日の出勤時間雨降らないかな~とか、
気温どんなもんだろうな~、何着て行こうかな~とか
軽く考えておきたくて尋ねるんですけども
たまにですね、言葉が通じないんです。
自分が言った言葉が、一応文字になって画面に表示されるんですが――
宮地「ヘイ、シリ!」
スマホ(アップルではない機種)「尻の画像を検索します」
宮地「ごめん。シリじゃないんだね。ちなみに、君の名前は何?」
スマホ「では、クイズです。わたしの名前はなんでしょう?(マジでこう返されます)」
宮地「ホステスか!?」
スマホ「『ホステスか』では今度からそう呼んでください。返事できるか分かりませんが(本当にこう返されました!)」
宮地「じゃあ、ヘイ、ホステス!」
スマホ「…………」
宮地「返事しないのかよ!?」
的なことを挟みつつ、ちなみに、アプリ名称は『Googleアシスタント』だそうです。
グーアシさんですね、じゃあ。
宮地「グーアシさん。明日の天気!」
グーアシ「『ランサンタナ20』」
宮地「いや、言ってないよ!?」
グーアシ「すみません。意味がよく分かりません」
宮地「こっちこそがだけども!?」
たまに、まったく見当違いな聞き取られ方をするんです
滑舌が悪いんでしょうか……
他にも
メグ・ライアン関連で映画を見た時、
ノッティングヒルの恋人って映画の主演女優さん誰だっけな~?
と思いまして、グーアシさんに検索してもらおうとしたんです――
宮地「グーアシさん。ノッティングヒルの恋人」
グーアシ「『乗ってる人の恋人』」
宮地「言ってない!」
なんか、「こんな車にはこんなカップルが乗ってるよね~」ってあるあるっぽい雰囲気のイラストが表示されてました。
あと、
宮地「水琴窟」
グーアシ「『スフィンクス』」
宮地「言ってないってば!?」
えぇ、もちろん、
当然のようにスフィンクスの画像が表示されてましたよ
……日本ナレーション学院にでも通いましょうかね。……滑舌。
アメンボ赤いな あゐうゑを!
旧仮名遣い!?Σ(゜Д゜;)
あわよくば、声優さんとしてデビューしちゃって
どこかのアニメにちょい役で出演しちゃうかも(≧▽≦)
宮地「水琴窟ー!」
音響監督「『スフィンクス』?」
宮地「言ってないですし、なんだこのセリフ!? どんなアニメの何のシーンだ!?」
やっぱり、声優さんは無理ですかね
ほら、私って人前に出るのとか苦手ですし、
基本全裸で過ごしてますし
……過ごしやすい気候になってきましたね~(*´▽`*)
いや、それでですね、
話しかけて、変に聞き間違えられるだけならまだいいんですよ。
私の滑舌だったり、周りの環境音が影響してるのかなって思えるので
ところが、先日――
会社に向かっている途中、ズボンのポケットに入れていたスマホから急に女性の声――
そうです、グーアスさんの声が結構な音量で聞こえてきたんです。
グーアス「あなたが一番美しいとわたしはいつも思っています」
宮地「いや、どうした、急に!?」
めっちゃビックリしました。
基本的にスマホの音量なんてそんな上げてないんですが、
ほぼ最大ボリュームで、めっちゃグーアスさんの声が聞こえてきたんですよ。
で、何か変なとこ触っちゃったのかと思ってスマホの画面を見てみたら、
しゃべりかけると自分の言葉が文字として表示されるところに、こんな言葉が……
『君の瞳は綺麗だね』
いや、言ってない!Σ(゜Д゜;)
通勤中の、しかも外ですよ!
駅前で学生さんもわんさかいる中、
スマホに向かって「君の瞳は綺麗だね」とか言いませんって!
ずっとポケットに入れてましたから!
え、それともなんですか?
ズボンに入れてたから、衣擦れの音がたまたま「君の瞳は綺麗だね」って聞こえたんですか?
どんな衣擦れだ!?(ノ゜Д゜)ノ⌒┻━┻
ズボン「君の瞳は綺麗だね☆」
怖い怖い怖い!
こうして文字にするとバカバカしい話なんですが、
あの瞬間、本気で怖かったんですよ!
((((;゜Д゜))))私の太ももがスマホをナンパしてる可能性ー!?
というわけで、世の中、何が起こるか分かりません。
本編でも、まさかノーマさんがぐるぐる巻きにされて運ばれてくるなんて思いもしませんでした(^^;
登場回数が増えるほどに残念度が加速していく頼れるみんなのお姉さん、ノーマ
登場回数、もっと抑えた方がいいんですかね?
出れば出るほど婚期が遠のいて……いえ、なんでもないです!
というわけで、次回以降ノーマさんをたっぷりとご堪能ください!
みんなで温かく見守っていてあげましょう(笑)
次回もよろしくお願いいたします。
宮地拓海




