410話 ダブルウィング
「よし、こんなもんか」
仮設劇場の外観が完成し、現在は内装に着手している。
そんな劇場の一角、作業の邪魔にならない場所にテーブルと椅子を持ち込み、パーテーションを立てて簡易休憩スペースを設けた。
その休憩スペースで、俺は二枚のポスターを描き上げる。
一枚は、リアルな画風の人魚姫のイラスト。
もう一枚は、人形劇で使用する人形を描いたイラスト。
どちらも同じ構図にしてあるので対比が面白いことになっている。
「わぁ~、どっちも可愛い~☆」
マーシャが二枚のポスターを見比べてにこにこしている。
リアルな人魚も、人形の人魚も、どちらもお気に召したようだ。
「物語の内容を前面に出すならこっちのリアルタイプ、この劇場の特色を前面に出すならこっちの人形タイプがお勧めだな」
「うむ。まるで異なる印象になるな。しかし、どちらも捨てがたい」
「だったら、両方並べて貼っちゃえば~?」
両方気に入ってるマーシャは、どちらも採用したいらしい。
まぁ、それもありだな。
その分、金はかかるけど。
「しかし、つくづく器用だな貴様は」
「ベッコに描かせりゃ、もっとキレイな仕上がりになるぞ」
「いやいや、拙者にはこのような迫力ある構図は思いつけないでござる。さすがヤシロ氏でござる」
へー、ほーっと、感心したように息を漏らし続けるベッコ。
そのうち、空気抜けてしおしおになるぞ、お前。
「ベッコ、これの版画を頼むぞ」
「拙者が原盤を彫るでござるか?」
「こけら落とし公演だからな、クオリティは可能な限り上げておかないとダメだろう」
「カタクチイワシの申すとおりだ。金は惜しまぬ、最高のものに仕上げてほしい」
「そこまで言っていただけるなら、全身全霊で取り組ませていただくでござる!」
まぁ、そこらの職人を使うより、ベッコにやらせた方が安上がりなんだけどな、実は。
でもまぁ、ゆくゆくは三十五区の画家なり版画家なりを使っていくことになるだろうから、そこはちゃんと育てとけよ。
俺はノータッチでいくからな? 教育はそっちでしっかりやるように。
「ねぇねぇ、ござる君。版画って、こんなキレイな色が出せるの?」
マーシャが俺の描いたポスターを指さしてベッコに尋ねる。
今、出回っている版画といえば、情報紙が真っ先に思い浮かぶのだろう。
情報紙は黒一色で非常に地味だ。
そんな出来では、到底納得できないぞ☆ ――と、マーシャの顔に書いてある。
なるほど、表情に表れるってこんな感じなのか。
どうせなら、顔じゃなくてホタテに書いてくれればいいのに。
そしたら注意されても「まだ読んでる最中なの!」って数秒は時間稼ぎが出来るのに。
「色をつけることは可能でござるよ。もちろん、このように美しい色をつけようと思えばそれなりに技術を要するでござるが、拙者にお任せいただければご納得いただけるものに仕上げてみせるでござる」
お前が色付けまでやるなら、わざわざ版画にする意味ないじゃねぇか。
お前は筆で同じ絵を何枚もコピー出来るんだからよ。
「色付けは他のヤツに任せとけ。公演が続く限り何枚も刷り続けることになるだろうから。ルシア、ベッコと予定を合わせて職人の指導を行っといてくれ」
「うむ。こちらで適任者を選出し、追って連絡をする。それでよいか、ベッコ殿」
「は、はは。なんだか、ルシア氏にかしこまられると、こそばゆいでござるな」
「そうか、ならば普段通り接するとしよう。文句はないな、おもしろ丸メガネ」
「一瞬で消え失せたでござるな、敬意!? いや、予定に関しては一切の文句はござらぬけれども!」
「そう騒ぐでない、ムキムキボンバーヘッドよ」
「せめて拙者の特徴を捉えてくだされ!? ムキムキでもボンバーヘッドでもござらぬゆえ!」
ルシアがとっても楽しそうだ。
欲しければやろうか?
必要な時にちゃんと送り返してくれればそれでいいから。
「ベッコ、達者でな」
「いらぬわ!」
「勝手な授受と、明確な拒絶!? せめて一言、拙者の意見も聞いてほしいでござる!」
「「え、なんで?」」
「ホント似てきたでござるな、お二人は!?」
ベッコが失礼なことを言う。
心外極まれり、激おこぷるんぷるん丸だ。
「激おこぷるん!」
「到底怒っているとは思えぬ楽しげな擬音が漏れてるでござるよ、ヤシロ氏!?」
「ほんと、ヤシロ君はござる君が好きだよね~☆」
「そんなことねぇよ。俺のベッコに対する好感度は、マーシャから見たキャルビンくらいなもんだぞ、きっと」
「ござる君、ヤシロ君にどんな酷いことしたの!? 殺意抱かれてるよ!?」
「副ギルド長にどんな感情を抱いてるでござるか、マーシャ氏!?」
マーシャも、ベッコに突っ込まれてにっこにこだ。
なんか、港の再開発でベッコが美女に気に入られてるんだよなぁ。ベッコのくせに。
「ベッコ、お前さ……」
「なんでござるか、ヤシロ氏?」
「『ベッコの恋人候補大募集』って大々的に公募したのに、応募者がゼロ人で無駄に傷付けばいいのに」
「そっち方面に関しては、拙者のハートは傷だらけでござるよ!? もうこれ以上傷が付く余地もないほどに!」
嘘吐け。
ルシアやマーシャと仲良くなって、イメルダがちょいちょい家までやって来て、モコカに『師匠』とか言われて懐かれてるくせに。
「せめてノーマには嫌われろ」
「せめてよき友人ポジションにとどまりたいでござる!」
涙目ですがりついてくるベッコ。
この暑苦しさが、もっと女子連中に広まればいいのに。
「お前、俺ばっかじゃなくて、ルシアやマーシャにもすがりついてこいよ」
「それをすると、拙者、翌日の朝日を拝めなくなるでござるよ!」
んまぁ、変質者には生きづらい世の中だこと!
「カタクチイワシよ、親友との戯れはもう十分堪能したか?」
「誰がだ、こら」
「傍から見てると、と~っても仲良しにしか見えないよ~☆」
えぇ~、心外~!
「とにかく、劇場の外観が完成してよかった。信じられないくらいの驚異的な速度であるにもかかわらず、威厳と強度が申し分ないという完璧な出来だ。トルベック工務店とカワヤ工務店、そしてハム摩呂たんと我が義理の弟妹たちには感謝の念に堪えぬ」
「感謝に願望を練り込むな」
物凄い異物感あったから、今。
「さすがに内装までは間に合わぬから、この劇場の前に仮設のステージを設けて、明日よりそこで人形劇を上演するつもりだ」
「ここが仮設なのに、その前にまた仮設を建てるのか?」
仮設の仮設って、どんだけ仮設だよ。
「そちらは、舞台と申し訳程度の座席を設けた質素なものだ。とはいえ、背後に構えるこの仮設劇場のおかげで、それなりの見栄えにはなるだろう」
その仮設の仮設ステージを作るために、現在ウーマロはマグダを伴って劇場の表に行っている。
……マグダを伴わせてんじゃねぇよ。どんだけ本気出させる気だ、ウーマロに。
「上演するなら、パンフレットでも作っておけば収入が増えるぞ」
「パンフレットだと?」
「あぁ。ポスターと同じ絵を表紙にして、登場キャラクターの説明や裏設定、あらすじとか、制作秘話、役者へのインタビューなんかを載せておくと、ファンにはたまらない逸品になる」
「なるほど……この人形劇だけに特化した情報紙、ということか」
「まぁ、そんな感じだな」
四十二区で桃太郎のパンフレットなんか作ったら、マニアが大量購入するだろうな。
「しかし、このサイズは少々大き過ぎないか?」
ルシアが、俺の描いたポスターを見て眉を寄せる。
「いやいや、この絵柄をそのまま縮小して、パンフレットに適したサイズにするんだよ」
劇場に張り出す特大ポスターサイズなわけないだろうが。
考えたら分かるだろう、それくらい。
ぱぱ~っと縮小するんだよ。
「無茶を軽々しく口にするでない。元の絵を寸分違わずサイズだけ変更して描き直すのにどれほど優れた技術を要するか、考えずとも分かるであろう?」
え、そんな難しいっけ?
「ベッコ、出来るよな?」
「然り!」
「そなたらは、常識の範囲外にいる人物なのだと自覚を持て」
なんか、失礼な感じで褒められた!?
失敬風称賛!?
なんか嬉しくないな、それ!?
「じゃあ、まぁ、ベッコ。ポスター用とパンフ用に版画作っといてやれ」
「心得たでござる。なぁに、帰りの時間までには完了するでござるよ」
「んじゃ、俺の彫刻刀使っていいぞ」
「かたじけないでござる。ついでに、絵の具もお借りしてよろしいか? 色のノリを確認して彫り方を整えたいのでござるが」
「んじゃ、上質な紙も持ってきてるから、試し刷りに使っていいぞ。バレンとローラーもあるから、適当にやっといてくれ」
「至れり尽くせりでござる! さすが、ヤシロ氏のカバンでござる」
「やはり、なんでも出てくるな、貴様のカバンは」
「私も欲し~なぁ~、ヤシロ君のカバン☆」
なんでも出てくるんじゃなくて、必要になるであろうものを予測して事前に準備してただけだっつーの。
このカバンはウクリネスのところに売ってる普通のカバンだ。
……いや、まぁ、ちょこちょこっと自分で改造した部分はあるけども。
「まったく……貴様の目には、世界がどのように映っておるのか、一度覗き込んで確かめてみたいものだな」
俺の目を覗き込んでも、わくわくしたお前の顔が映り込んでるだけだと思うぞ。
見えてる景色は一緒だからな。
ま、見ている角度は、ちょっと違うかもしれないけども。
ベッコが休憩スペースの脇に巣を作って版画制作に勤しみ出したころ、俺はもう一つの課題に取り掛かっていた。
「新しい、別の物語と言ってもなぁ……」
イーガレスの連中が人魚姫に飽きてきやがったので、新しい話を考えなければいけないのだ。
「文句言うな、木っ端貴族」と黙らせることも可能といえば可能ではあるのだが……
意欲の落ちた人間は成長を止めてしまうものだ。
連中の成長があの段階で止まってしまっては目も当てられない。
俺の経験則でいえば、ピアノでも絵画でも、基礎をみっちりと教え込まれ、延々と基礎練ばっかりやらされたヤツよりも、サラッと基礎をやったあと好きな曲や絵を思うままに練習したヤツの方が断然長続きしていたし、長続きするということはそれだけ成長の期間が長いということでもあるため、結果的に上達していた。
何も知らないうちに基礎を叩き込まれても、初心者にはなかなか理解できないんだよな。
「この繰り返し練習に意味があるのか?」って疑念が生まれれば、練習が苦痛になってくる。
嫌々やらされる練習が身に付くかといえば、多くの場合はそうではない。
普通にうまいのに「いや、まだまだダメだ」って公表しないヤツより、ヘッタクソな自己満作品を「どう、これ? よくね?」とじゃんじゃんSNSなんかで発信して、反応をもらってその成果を感じられるヤツの方が上達したりするんだよ、これが。
好きでやり続けて、どっかで壁にぶち当たって、「基礎、やってみるか」って自分から基礎練に取り組むようになった方が、基礎練は身に付きやすい。
もっとも、そういうヤツは口を揃えて「もっと早くきっちり基礎やっとけばよかった」って言うけどな。
なので、どっちがいいとか、どうすべきってのは人それぞれだとしか言えないのだが……イーガレスに関しては、楽しんで芝居に携わらせてやった方がいいと思う。
褒めればどこまでも有頂天になり、どこまでも努力するような性格だからな、連中は。
エカテリーニなんか、見る見る料理の腕を上達させてるし、イーガレスも寝ずにメンコに打ち込んで新しい技術とか技を編み出してるらしい。
きっと息子娘連中もその遺伝子を受け継いでいるのだろう。
なので、気分転換、気晴らしに新しい話をやらせてやった方が、結果として人魚姫も、それから今後増えていくであろう芝居も、いいものになるんじゃないかと、そう推測できるというわけだ。
……だからって、なんで俺が話を考えなければいかんのやら。
俺以外に話を考えられるヤツがいないからだよ、分かってるよ、くそ。
「カタクチイワシよ。そなたが一人で演じた話芸があったであろう? たしか落語とかいったか。あれの中に良さそうなものはないのか?」
落語を人形劇で?
まぁ、出来なくはないかもしれんが……落語って基本的に時代劇だから、こっちの連中に伝わらない部分がありそうなんだよなぁ。
殿様は王様に、お坊さんは教会のシスターに変換すれば、まぁなんとか話の筋は伝わると思うが、人情とか江戸っ子気質とかは伝わらないんじゃないかなぁ。
『目黒のサンマ』とかやっても分かんないだろうし。
ある日殿様が目黒に赴いた際、たまたま立ち寄った店で食べたサンマがすごく美味くて、殿様はまたあのサンマが食べたいと言うんだが、殿様に献上するサンマに不備があってはいけないと家来たちが変な気を利かせ過ぎて、骨を取ったり身をほぐしたりして、出てきたサンマは大して美味くない。
そこで殿様は「サンマは目黒に限る」って言うんだが……目黒は内陸でサンマなんか獲れないとか、美味しくない理由はそれじゃないとか、そもそもどっちも江戸前の美味いサンマだったんだぞとか、説明しなくても感じ取れる情報が落語にはいろいろ仕込まれてるんだよ。
それらが丸ごと伝わらないこの街で落語をやるのは、かなり大変だと思う。
俺がやる時だって、伝わりやすい話を選んだからな。
この街で上演するなら、とことん分かりやすいものがいいだろう。
「たとえば、一休さんとか、か」
「それはどのような話なのだ?」
わがままな殿様が一休という小坊主に無理難題をふっかけるが、一休が見事なとんちで殿様をやり込めるという笑い話だ。
「屏風に描かれたトラを捕らえてみよ」
「では、屏風からトラを追い出してください」
的な、な。
そんな話を説明すると――
「王族が、そんなあからさまな嘘吐いちゃっていいのかなぁ?」
「そもそも、意味もなく教会の関係者を追い込むような真似をされるはずがない。下手をすれば、その芝居自体が不敬と言われても反論はできぬぞ」
……な?
こうなるんだよ。
「殿様はこの街の王様じゃないし、俺の国では少々ひょうきんな方が人気あったんだよ」
わがままな殿様やおバカな殿様を挙げれば枚挙に暇がない。
そして、そういう殿様の方が庶民には広く愛されたものだ。
……まぁ、物語の中でなら、だけどな。
実際国を治める殿様がおバカだったらと思うとゾッとする。
「貴様の故郷は王族まで変わり者なのだな」
失敬な。
他国にも敬意を払えよ、ルシア。
俺を見ろ。
こうして異国に来ても、きちんと貴族や王族に敬意を払っているだろう?
「どの口が言っておるのだ、この不敬イワシが」
「ヤシロ君に敬意を払われると、領主君たちはみんな『ぞわぞわ~』ってしちゃうよね☆」
もしそうなら、ぞわぞわしちゃう領主に問題があるだろうに。
「貴様の故郷の王族ではない、異国の王族の話はないのか?」
異国の王族……外国の王様の昔話と言えば…………
「王様の耳はロバの耳、とか?」
「ほんのりと不敬の香りがするな。危険なので聞かないでおこう。他には?」
「裸の王様」
「不敬ど真ん中ではないか!?」
「昔々、あるところに――」
「語り始めるな! 不敬で貴様と連座など真っ平だ」
なんだよぉ、お前がお話を欲しがるからいろいろ聞かせてやろうとしてるのにさぁ。
「ヤシロ君が知っているお話を、この街風にカスタマイズした方がいいかもねぇ~☆」
「この街風にカスタマイズ、か…………ふむ」
それならば、一ついい話を思いつた。
「裸の女王様」
「一緒だ! 不敬度合いが一切変わっておらぬ!」
「裸の姫様」
「王族から服を奪うな、戯け!」
「だって、マーシャがこの街風にカスタマイズしろって!」
「それはこの街風ではなく、四十二区風だ!」
「あはは~、エステラが聞いたら怒りそう~☆」
まったくだぞ、ルシア。
「四十二区風なら、『おっぱいの姫様』になってるっつーの」
「どちらにしても上演できないではないか、タワケクチイワシめ」
出来る、出来ないじゃない!
するかしないかだ!
……あ、しないのね。
へいへい。
「……『ちっぱい領主と七人のぷるん』」
「それは四十二区で上演するがよい」
「えっとぉ、デリアちゃんと~、店長さんと~、イメルダちゃんと~……」
「数えずともよいのだ、マーたん」
ルシアが肩を落として息を漏らす。
それはそうと、マーシャ。あわよくば自分も出演しようとしてたろ、今?
全然ウェルカムですけどね☆
「何か、桃太郎のようなもので、海と陸に関係するような話はないのか?」
港に作る、人魚も見に来る劇場で上演するから、海の要素が欲しいって?
条件を追加するんじゃねぇよ。
けどまぁ、桃太郎っぽくて海が出てくるって言えば、アレだな。
「浦島太郎って話があってな」
「それ、どんなお話?」
「珍妙な王族は出てこぬであろうな?」
浦島太郎に殿様は出てこねぇよ。
「昔、砂浜でウミガメをイジメていたガキたちがいたんだ」
「え? それって、どこの子たちかな★」
「マーシャ、フィクションだから」
笑顔が黒いよ!?
いいかお子様たち、海の生き物をイジメちゃダメだぞ!
一切シャレの通じない怖い人魚に、何十年も何百年も根に持たれちまうからな!
これ、マジだからな!?
「で、あんなことやこんなことがあって、玉手箱を開けたら、爺さんになっちまったんだ」
「恩を仇で返されたのか!?」
「それはきっと、その人間が乙姫様に不埒な視線を向けてたからだよ~。タイヤヒラメの舞い踊りの段階から、『あれ? なんか視線、ヤバくない?』って思ってたもん★」
マーシャの意見に、ルシアが引いている。
珍しい光景だ。
やっぱ、亀を助けた程度で何十年も居座って飲み食いして騒ぎ続けるのはよくないんだろうな。
京都的ぶぶ漬け状態だったに違いない。
空気読め、浦島。
「しかし、その話は陸と海にいらぬ諍いを生みそうだ。子供たちが見て海が怖い場所だと勘違いされても困る」
「でもでも、陸では動きが制限される海の生き物をいじめるのはよくないって勉強にはなるんじゃないかな? ところでヤシロ君」
「なんだ?」
「最初の、イジメてた子供たちは、その後どうなったのかな?★」
「フィクションにその後なんかねぇよ」
怖ぇよ、笑顔が。
「カタクチイワシよ。……もう少し、平和な話はないのか?」
「注文が多いんだよ、お前らは」
……まったく。
こりゃ、元からある話を改造するより、新しい話を作っちまった方が楽かもしれないなぁ。
「とはいえ、だ」
俺がここで新しい話を作ったとしても、問題は残る。
「話があっても人形が作れないと人形劇は上演できないぞ」
「そうであったな……人形制作の技術者の育成も急務か。木工細工師と服飾ギルドの者たちに協力を仰ぐとして、人形の構造や図解はまたそなたらに頼らねばならぬと思う。……ふっ、借りばかりが増えていくな」
こちらの技術に頼りっきりな現状を、ルシアも少しは申し訳なく思っているのだろう。
無理やり浮かべた笑みに少々陰りが見えている。
「まぁ、きっちり代価を支払ってくれりゃ、相応の仕事はしてやるよ」
港の再開発は、四十二区にも影響が出る事業だからな。
こちらの労働に見合った代金を支払ってくれりゃ、文句は言わないでおいてやるよ。
――と、非常に寛容な心を見せつけてやったというのに、ルシアの視線がじと~っと湿度を上げていく。
「……網タイツか?」
「お前の網タイツ、万能じゃないからな?」
網タイツごときでどんな願いも叶うと思うなよ?
「バニーまで付けさせる気か!?」
いや、だから……
こいつ、何気に自己評価高いんだよなぁ。
そりゃ、お前が網タイツバニーになりゃあ、その辺の大工は生涯無償労働をお前に捧げるかもしれないけれども。
俺には通用しねぇよ、そんなもん。
「ヤシロ君の場合は~、網ブラジャーが一番効果あるんじゃないかな~? なんてね☆」
「網……っ!? か、隠れないではないか、それでは!?」
ルシアをからかってけらけら笑うマーシャ。
マーシャ、お前なぁ……
「天才じゃね?」
「食いつくな、バカクチイワシ!」
さすがに不許可だった。
でも、新しい発想は得られた。
ふむ、たまには遠征してみるのもいいものだ。
「じゃあ、三十五区には網ブラジャーのお話を――」
「いらぬ! まかり間違って根付いてしまったらどう責任を取る気だ!?」
「そこはほら、人魚さんからのご提案ってことで、友好の証に。な、マーシャ?」
「そんな友好はいらないかなぁ~☆」
くぅ!
寝返ったかマーシャ!?
お前発信のナイスアイデアなのに!
「仕方ない、網ブラジャーは四十二区に持ち帰るとして――」
「マーたん。そこのアミクチイワシよりも先に四十二区へ戻り、エステラに事の次第を伝えておいてはくれぬか?」
「うん、任せて☆ 馬車より断然早く四十二区に行けるから☆」
本気出すとかズルいぞ!
これは、下手したら帰って即懺悔もあり得るな。
遠征帰りに懺悔はきついなぁ……よし!
「まぁ、冗談はこの辺にして」
「懺悔を恐れおったな」
「全然冗談には見えなかったけどね~☆」
いいんだよ、俺が冗談だと言ったら、それはもう冗談なんだから。
ほら、いじりとイジメの境界も分かってないウザい先輩が限度を見誤ってやり過ぎた時に「じょーだんだよ、じょーだん」とか言って言い逃れするだろ?
そーゆーヤツは確実に潰すなぁ、俺なら。
……あれ? 俺、潰される!?
え、誰に!?
ベルティーナとか? やだ、怖い。
「妙案を思いついたのだが?」
「マーたんに口封じをするつもりか? 小賢しい」
「私のお口は、お高いよ~☆」
ルシアとマーシャがにやにや笑って詰め寄ってくる。
嬉しそうな顔しやがって。
「今ある人形を使って別の話をやればいい」
物語に合わせて人形を作ると、時間も労力もかかってしまうが、すでにある人形を使って出来る話を考えるなら割とすぐに形に出来るだろう。
キャストが先に決まっていて、あとからキャストに合わせて脚本を書く『当て書き』というヤツだな。
「ちなみに、どんなお話になるの?」
マーシャがわくわくした顔で尋ねてくる。
ここで頑張れば、帰宅即懺悔を免れることが出来るだろう。
人魚姫以外で人魚の話となると……
人魚の肉を食べて不老不死になった人間の伝説があったな。
……ダメだ。確実にマーシャの逆鱗に触れる。
逆鱗と言えば、人魚の赤ん坊を拾った老夫婦が人魚を大切に育てるが、欲に目がくらんで美しく成長した人魚を高値で売っぱらい、人魚の逆鱗に触れて町ごと大嵐に飲み込まれてしまうという話も…………うん、人魚が大勢攻め込んでくるな、こんな話を公開すると。
あぁ、あとあれだ。
人魚の鱗は不老不死の妙薬になると聞きつけた貧しい商人が人魚を妻に娶り鱗で大儲けするが、大金を得た商人は人間の女に浮気をして、夫のためにとすべての鱗を使い切った人魚を「もう用なしだ」と海へ捨ててしまい、怒った人魚が海龍の姿に変身して人間の町を滅ぼす……って、そんな話しかないのか、人魚伝説!?
今この状況で人魚への裏切りの話なんかをマーシャに聞かせたら、謂れのない罪を上乗せされて懺悔が三日三晩続きかねない。
ん~……どうするか。
何か、ハッピーで人魚が納得するような話は…………あ、アレがあるじゃねぇか。
「先代イーガレスの話なんかどうだ?」
近海に出没する魔獣を討伐するため人間と人魚が手を組んで活動していた折、一人の人魚が魔獣に襲われそうになったところへ、先代イーガレスが身を挺してそのピンチを救ったという実話がある。
それを脚色して、今ある人形でどうにかこうにかやりくり出来るような脚本にすれば、イーガレスたちのやる気も出るだろうし、人魚たちも喜んでくれるだろう。
人魚の間では有名な話だってマーシャが言っていたし、先代イーガレスは人魚の間でも好感度高いようだしな。
「三十七区には、『灯台守と人魚の娘』って話をやらせて、三十五区と三十七区で競い合わせるのも面白いかもしれないな……必死にならなきゃ客をごっそり持っていかれるぞと脅してやれば、イーガレスもメンコにばかりうつつを抜かしていられなくなるだろう」
「ふむ、それは面白そうではあるが……先にこちらが始められるようにしておくとしよう。カタクチイワシよ、しばらくは箝口令を敷かせてもらうぞ」
三十五区領主の命令を素直に聞いてやる謂れはねぇよ。
「同時に始めても負けないように、自区の貴族を鼓舞しとけ」
「うむ……まぁ、人形劇と紙芝居は対等に扱うと以前より言われておったしな。やむを得ん」
ルシアが胸を張り、領主の顔で言う。
「箝口令は十日間程度にとどめてやろう」
「往生際悪ぃな、この領主!?」
勝利を確実にしたくて仕方ないのか!?
「まぁ、わざわざ俺に会いに来て協力を仰いだのはお前の方だしな。言われてもいないのにこっちから出向いてお節介を焼いてやるつもりはない」
三十七区領主は待ちの姿勢だからな。
三十五区の動きを察知して慌てて四十二区にやって来るまでは放置でもいいだろう。
「そうか。なら、少しは有利に戦えるであろう」
ルシア的には、紙芝居は人形劇を脅かすほどの脅威だと感じているってことか。
潰し合うことはないだろうが、それでも一歩先に行っていたいって気持ちはあるんだろうな。
「貴様と仲良しでよかった」
にこっと、無防備な笑顔を見せるルシア。
随分と素直に喜びを表現したな……と思ったら、急に頬を赤く染め、ばっと顔を逸らした。
「……今のは、その、言葉の綾だ」
嬉しくてついうっかりぽろりした感情だったのかよ、今の。
油断し過ぎじゃないか?
うっかりが過ぎるぞ、最近。
「よかったねぇ~、ルシア姉☆ ヤシロ君と、な・か・よ・し・で☆」
「むぁああ! いじくり返すのではない、マーたん!」
「私もヤシロ君と仲良しだよ~☆ だから、いいお話を作ってね、ヤシロ君☆」
お前な……、それ、俺のこともいじってるだろ?
まったく、人魚は楽しいこと好き過ぎるだろう。
「ちなみに、人間と人魚の恋物語にするのと、無鉄砲イーガレスのドタバタコメディーにするの、どっちがいい?」
「もっちろん、恋物語~☆」
「イーガレスのドタバタなど、見ていても疲れるだけであろうに。少々誇張しても構わぬから、きゅんきゅんするような話にしてくれ」
わぁ、さらっと難題を押し付けられたわー。
ルシアも、きゅんきゅんするような恋物語が好きなのか。
孤高の女領主とか言われてたのも今は昔。
すっかりトキメキ女帝が定着したなぁ。
「んじゃ、ウーマロが仮設劇場前の仮設ステージを作り上げる前に書き上げちまうか」
ウーマロは仕事早いからなぁ。
自分を追い込んで、俺はしばらく集中して脚本を執筆した。
どれくらい集中していただろうか、不意にベッコの声が聞こえてきた。
「ヤシロ氏、ようやく納得のいくものが完成したでござる。着色を別の人物に依頼することを考えて少々趣向を凝らした構造にしてみたのでござるが、意見を聞きたいでござる」
「ん、あとで確認するから先代イーガレスのムキマッチョ人形よろしく」
「視線も向けずに思いも寄らない依頼を放り投げられたでござる!?」
必要以上にデカいリアクションを寄越してくるベッコ。
雛壇芸人か。
視聴者の心に爪痕残したい若手か、お前は。
「お前、筋肉マスターしたろ? それをややデフォルメして動かしやすい人形に落とし込んでくれ」
「むむむ……これはまた難易度の高い依頼でござるが……ちょうどまた筋肉を彫りたいと思っていたところでござる」
そんな暑苦しい『ちょうど』があるんだな。
俺は思ったことないけどな、「あ、もう一回筋肉彫りたい」なんて。
「ヤシロ氏の課題、必ずや納得いただけるものに仕上げてみせるでござる! ――して、先代イーガレス氏の風貌はどういったものだったでござるか? 拙者お見かけしたこともござらぬゆえ……」
「現当主のヨル爺を白髪ロン毛にして、後ろで一つ縛りにした感じだ」
ルシアが先代イーガレスの風貌について答える。
ロン毛だったのかよ……威圧感すごかったろうな、巨体のロン毛。
「棒使い人形は以前制作の手伝いをしたので構造はなんとなく分かるでござる。では、市場へ出向いて材料を調達してくるでござるゆえ、しばしお待ちくだされ」
「あー、材料なら俺のカバンに入ってるから適当に持ってってくれ」
「本当に、なんでも出てくるな、貴様のカバンは!?」
ルシアが素っ頓狂な声をあげる。
お前がいろいろ用意しとけ的なことを言ったんじゃねぇか、出発前に。
イーガレスに会うなら、メンコと人形劇と駄菓子の準備は必須だろうが。
「ちなみに~、『これから船に乗って漁に行こう~』って言ったら、それ用の道具とか出てくる?」
「出るわけないだろう」
マーシャは何かを勘違いしている。
俺は未来の世界の猫型ロボットじゃねぇーっつーの。
「マーシャがそういう素振りを見せていたなら、一応準備はしてきただろうけどな」
「そっかぁ~。じゃあ、今後は何かと匂わせるようにしとくね~☆」
それらをすべて察して準備を怠りなくしておけって?
さすがにめんどいわ。
まぁ、マーシャなら、何かやりたいと思った時には分かりやすくアピールしてくるだろう。
そのアピールがあった後でも十分に間に合う。
こっちの負担が大きくなるようなおねだりは、あんまりしないからな、マーシャは。
たまにとんでもない超弩級のおねだりが来るけれども。
それからさらに十数分。
お茶の肴に俺の執筆姿を見物しているルシアにめっちゃ見られながら、脚本を書き上げていった。
「よし、こんなもんでいいだろう」
「完成したでござるよ、ヤシロ氏!」
「ヤシロさーん! 仮設ステージが出来たッス!」
わぁ、ほぼ同時。
「でも、俺が一番だったな」
「拙者、二番でござる」
「何を争ってたッスか!? オイラ、その話聞いてないッスよ!?」
聞いていようがいまいが、俺が一番であることに変わりはない。
スタート時間にバラつきがあろうと、俺が一番であることに変わりはないのだ。
「ふむ、どれから仕上がりを見るべきか、迷ってしまうな」
「そうだねぇ~☆ とりあえず、ござる君の人形とポスターが見たいかも~☆」
マーシャがベッコを指名する。
まぁ、ぱっと見てぱっと終われるしな。
あと、さっき見せに来たポスター、一切触れずに放置しっぱなしだったし、さすがに見てやるか。
「じゃあ、ベッコ、見せてくれ」
「心得た! こちらでござる」
ベッコが見せてきたのは、夜中に勝手に動き出しそうなくらいにリアルで生々しい、筋肉と笑顔が暑苦しいロン毛のイーガレスだった。
「お前は、なんでこんな呪物を作り上げたんだ?」
「ヤシロ氏からの依頼でござるよ!?」
えぇ~、こんな仕上がり、想定しないぞ、俺は。
こっち向けんな。夢に見たらどうする。
「ふむ、良い出来だ」
ルシアがうんうんと頷いている。
こんな感じで正解だったらしい。
「して、版画の方はどうなった、ベッ…………ボッコ」
「なんでわざわざ言い直して間違えたでござるか!?」
「バカだなぁ、ベッコ。知り合いと思われたら一大事だからに決まってんだろうが」
「知り合いでござるよ!?」
「大きな声を出すのではない! ……人に聞かれたらどうするのだ」
「めっちゃ声を潜めて寄越された注意がこの上もなく失礼でござるぞ、ルシア氏!?」
けらけらと、ベッコをイジメて笑うルシア。
いじめっ子め。
「しかし、見事な色使いだ。さすが、カタクチイワシの両翼であるな」
誰がだ、こら。
勝手に決めるな。
で、勝ち誇ったような顔すんなベッコ。
隣で悔しそうな顔すんなウーマロ。
俺、両翼とか持ってないから。
「色ごとに原盤を作り、何度も色を重ねていくことで、ヤシロ氏の繊細な色使いに近付けるよう制作してみたでござる」
見せられたポスターは、少々大味ではあるが、グラデーションの美しい、実にいい出来栄えだった。
「このクオリティであれば十分であろう。作業を他人に任せても大丈夫そうか?」
「然り! ズレにさえ気を付けていただければ、これと同じ色使いで刷り上がるはずでござる」
んじゃあ、トンボでも描いて原盤がずれないようにしておくか。
トンボってのは、印刷物がずれないように位置を決める記号のことだ。
『十』みたいな形でセンターを記しているから、その見た目からトンボと呼ばれている。
トンボを付けとけば、そうそうズレることもないだろう。
「では、続いてもう片翼の仮設ステージを見に行きたいところではあるが――」
やっぱ、両翼の片割れはウーマロなのかよ。
なんかそんな気はしてたよ。
予想通りだから、そこまであからさまに喜ぶなウーマロ。
で、この二人を両翼なんて言うと、高確率でノーマが拗ねるぞ。
それも、かなり面倒くさい仕上がりで。
口外法度を発令しなきゃな。
「――しかし、立って脚本を読むのも疲れる。先に大将の作品を拝見させていただこうか」
誰が大将だ。
うまいこと言えてないから、「うまいこと言った」みたいなドヤ顔やめてくれる?
見てるこっちが恥ずかしい。
「ヤシロさんの新作ッスか? オイラもちょっと興味あるッス」
「拙者もでござる」
「まぁ、待て。先に私が目を通す」
「私も一緒に読む~☆」
「では一緒に引っ付いて読もう、ほっぺたをスリスリさせながら!」
「俺の脚本に病気が伝染るから、発症するなら向こうでしてくれる?」
脚本読むヤツみんながルシアみたいになったらどうする?
美女フィルターのない一般人がお前みたいになると、それはもうただの変態だからな。
……ルシアももうかなり手遅れだけどな!
「……ふむ」
「あっ、…………ふふっ、くすくす」
ルシアとマーシャが揃って黙読を始め、要所要所で分かりやすいリアクションを見せる。
書き手としては、「あ、あそこウケたか」とか「あの辺は反応イマイチか」とか、いろいろ感じ取れるところがある。
案外、こういうのが次回作の参考になるのだ。
……次回作なんぞ書くつもりはないけどな。
「うむ。よい出来ではないか」
「面白かった~☆ 早く本番で見てみたいな~、これ☆」
マーシャの期待が膨れ上がっちまったみたいだから、イーガレス、死ぬ気で頑張れよ。
中途半端な出来だったら、マーシャのおヘソが曲がっちゃうぞ★
「あぁ~、なるほどッス。先代イーガレスと人魚の恋物語を脚本にしたんッスか」
「むむむ……こういうシーンがあるのでござれば、あの人形、別の動きも出来るように少々改造したいでござるな」
「あ、だったら、ここのシーンにはこういう舞台装置とかどうッスかね?」
「なるほど、それでござったら今の人形でもいい感じで感情の表現が可能でござるか……いやはや、さすがヤシロ氏の片翼でござるな、ウーマロ氏」
「やはは、お前の人形もかなりいい出来で、ヤシロさんの片翼の名に恥じないクオリティだと思うッスよ」
俺の名を勝手に持ち出して褒め合うな。
見ててサブイボが立つわ。
俺、両翼システム取り入れてないから。
「しかし、あれッスね……結構女子受けしそうな話ッスね」
「うむ、男の身からすれば少々甘ったるいでござるが、女性はこういうのにキュンと来るのでござろう」
「とりあえず、男二人で読むものじゃないッスね」
「然り。……朗読してみるでござるか?」
「なんでッスか!? やんないッスよ」
「拙者、人魚をやるでござる」
「自ら進んで女性役を!?」
「主人公は譲るでござる」
「いや、だから、やんないッスよ!?」
「『気に入らない人間め……でもどうして、こんなに気になるの? 目を閉じれば、まぶたの裏にあいつの顔が……』」
「やんないって言ってんッスよ! あと、裏声がキモいッス!」
「カタクチイワシよ。実に愉快だな、貴様の両翼は」
「俺、それ承認してないんで」
勝手に押し付けないでくれるか、あんな面白コンビ。
関係者だと思われないように、ちょっと距離とっとこっと。
あとがき
どうも!
元気ハツラツな、宮地です♪
(≧□≦) パイオーツ!
(≧▽≦) カイデー!
――で、お馴染みのオロナ○ンC……あ、あれはリポビ○ンDでしたか!?
え、リポDもそんなことは言ってない?
ちょっと何言ってるか分からないですけども
とりあえず、元気ハツラツです☆
つい先日なんですが、
土曜に結構歩き回り、
日曜にとある資格を取るための勉強をして夜更かしした翌日の月曜日
眠いわ、ダルいわ、しんどいわで
起きた時から会社に行きたくない病を発症して
最寄り駅へ行く足取りも重く
混み合う電車を想像して憂鬱になり
「今日が金曜日ならいいのに。いやいっそ、土曜日がいい」とか現実逃避していたころ
さすがにこれじゃいかんと
何か元気になれるものはないかと
考えた結果、
元気ハツラツのオロナ○ンCを飲んでやろうと
自販機で「ぴっ!」って買ったんです、Suicaで
交通系ICで
そしたら、なんと
交通系ICにチャージしていたお金の残高が――
11111円
ゾロ目!?Σ(・ω・ノ)ノ!
Suicaって、最大2万円までしかチャージできないんですね
なので、5桁のぞろ目って11111しかないんです
……まさか引き当てるとは!?(・_・;)ごくり
とりあえず……
朝からめっちゃテンション上がっちゃいましたよね☆
(≧▽≦)/ねぇ、みてみて! これ! ゾロ目!
(≧▽≦)/そこのリーマンさん、JKさん、ご高齢の皆様!
(≧▽≦)/見て! ゾロ目!
思わずツイッター(現X)にツイートしちゃいました
(≧ω≦)てへっ
昨日の疲れとか
ダルさとか
眠気とか
一瞬で吹き飛んでいきましたよね☆
ピンゾロですよ!
ピン(=1)ゾロ(=揃う)!
これはやっぱ、あれですかね……
宝くじ、ですかね?
(*´ω`*)わくわく
スクラッチで、最高当選額200万のところ
1億とか当たらないですかね?
「限界突破だー!」とか言って♪
買うか……
買っちゃうか!?
私、宝くじって買ったことないんですよね
……あれ、前に一回友人とスクラッチ買ったっけな?
…………っていうか、あいつ、友人だったっけな?
………………貸してたマンガをチョコフレーク食べながら読んでて、ページの間にチョコフレーク挟み込んで返却しやがったから、いいシーンの主人公のアップの顔に謎の茶色染みがついて、「おい、ここで主人公に謎のホクロ出来てんじゃねぇか!?」って文句言ったら「必殺技を使った時の反動だよ!」って反論してきて「そっかぁ……すげぇリスクだな」って私を見事に論破しやがったんですよねぇ…………
……うん、あんな奴、友人じゃない!(# ゜Д゜)きしゃー!
まぁ、挟まっていたチョコフレークは、本の持ち主がその後美味しくいただきましたけれども。
森永さん。本気で復活、お待ちしております!
買いますから!
週4で買いますから!
マジで!
♪森永っ、チョコフレーーーーク!
というわけで、
宝くじって、買ったことないんですよね~
(*´ω`*)
初めて買ってみましょうか
ピンゾロの宮地、爆誕しましたし
トランプだったらAの5カードですよ?
ロイヤルストレートフラッシュより強いんですよ!
最\(≧▽≦)/強
少し前に、
宝くじに高額当選された方の話を人づてに聞いたんですが、
なんか、その高額当選者さんは朝起きた時に
「あ、今日宝くじ当たるわ」ってなんでか確信していて
電車乗ってたら「あ、ここで降りなきゃ」ってなんでか思って下車して
駅前歩いてたら「あ、ここだ」って初めて見る宝くじ売り場に当たり前のように並んで
そこでスクラッチくじを購入して
その場でスクラッチしたら見事に1等が当たって
喜ぶかと思いきや
「あ、やっぱ当たった」って冷静というか素で換金したそうです
宝くじって、そんなもんなんだよ~って話をつい先日聞いたんですが……
これ、フラグ回収来ましたかね?
(*´ω`*)わくっわくっ!
あぁ……
まぶたを閉じると、白いひげを蓄えた
優しそうな神様が浮かんできます――
神様「ピンゾロを引き当てたお前に、幸運を与えてやろう」
宮地「あざっす!」
神様「宝くじの高額当選くじと、『スポブラ! パイスラ! ぷるんぷるんカーニバル!』の招待券、どちらか一方を授けてやろう。どちらが――」
宮地「ぷるんぷるんカーニバルの方で!」
よぉ~しっ!
今年の夏は忙しくなるぞ~ぅ!
(*´▽`*)
世の中、お金よりも大切なことがありますよね☆
……おかしい
いいこと言ってるはずなのに共感が得られていない気がする
(・□・;
さて本編ですけども
いつも一緒にいるメンバーがいない出掛け先での雰囲気をお楽しみいただければと
こんな感じになっております
エステラもジネットもいない中
他所の区の人達ばかりに囲まれて
そこでの関係性をうまく作って、回していく感じ
ほら、主人公がレギュラーチーム以外のメンバーと協力したり
新キャラと関係築き上げたりするのって
最初は違和感あるけど、気付いたら馴染んでいて
でも主人公の居場所はここじゃないから、イベント終えたらまた離れ離れになって
「なんだよ、あのキャラ好きになってきたとこなのに~」みたいな愛着がいつの間にか出来ていて
でもやっぱり、主人公が元の場所に帰ってくるとほっとして
レギュラーメンバーが登場すると「やっぱ、こいつらだよね!」ってなる感じ!
あれ、好きなんです!
なんといいますか、こう……
「おっ、やっとそろった!」みたいな、
そんな感動と安心感がありますよね(*´ω`*)
というわけで、ヤシロも三十五区のメンバーと協力して…………
ほとんどベッコやウーマロとばっかり協力してる!?
Σ(゜Д゜;)
ワン○ースでも行く先々で新しい人と協力するでしょう!?
しろよ、協力!
え、「のわ」の人?
あれはもう身内!
けどまぁ、
ルシアとマーシャがベッコを結構気に入ってるので、ベッコ率が高くなるのは仕方ないかもしれませんねぇ
四十二区を出ると輝くベッコ
……出てけばいいのに(ぽそっ)
ベッコ「出て行かないでござるよ!?」
というわけで、
マーシャとルシア
ウーマロとベッコ
この辺との絡み、お遊びをたっぷり書けて楽しかったです☆
……ノーマさん、どこかでガッツリかまってあげないと拗ねそうだなぁ
死なない程度にお仕事振ってあげませんとね
四幕は、いろんな人と絡んで新たな一面を発見するような話を増やしていければと思います☆
(*´▽`*)
次回もよろしくお願いいたします。
宮地拓海




