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異世界詐欺師のなんちゃって経営術  作者: 宮地拓海
報労記

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報労記77話 会談始まる

 朝食のピーク時にマーゥルが給仕長のシンディと、シンディを除けば唯一の給仕であるモコカを引き連れてやって来た。

 マーゥルが二人を引き連れてやって来るのは珍しい。


 今、館はもぬけの殻か。


 ……あぁいや、以前からマーゥルもシンディも頻繁に館を空けていたから今さらか。

 にしても、大きなイベントでもないのに二人を引き連れてってのは珍しい。

 なんとなく、物々しい雰囲気を感じる。


「うふふ。少し早めに来ちゃった」

「朝食はこちらでいただこうかと思いまして」

「店長さんの朝飯、めっちゃうめぇですから、楽しみだぜです!」


 パッと見た感じでは、殺伐とした雰囲気は微塵もないのだが……なんというか、その奥底に「やったんぞ、コラ」みたいな凄みが見え隠れしてんだよなぁ。

 敷地内に不法侵入されたの、かなり怒ってるっぽいな、これは。


 まぁ、それはそれとして。


「ピーク時に来てんじゃねぇよ」

「あらあら、忙しい時はヤシぴっぴも動いているのね。新鮮だわぁ」


 俺は割といつでも動いてるっつーのに。

 人をいっつも端っこの席で座ってるだけのサボり従業員みたいに言いやがって。


「で、ご注文は?」

「おすすめは何かしら?」

「ん~……朝だからなぁ。焼き魚定食とかどうだ?」

「じゃあ、それをいただくわ。シンディとモコカも、好きなものを頼みなさい」

「では私は、プリンアラモードを」

「陽だまり亭懐石が食いたいだぜです!」

「じゃあヤシぴっぴ、焼き魚定食を三つね」

「「えぇーっ!?」」


 なかなか賑やかにやってんだな、こいつのとこも。

 朝食にプリンアラモードはねぇだろ、シンディ。

 あとモコカ、主のおごりで主より高いもん頼んでんじゃねぇよ。

 なんでもいいって言われても、ある程度限度ってあるから。

 モコカには難しいかぁ、そうかぁ。


「は~い、カツカレー二人前お待ちどう様~」

「「うっは! 微笑みの領主様が持ってきてくれたカレー、輝いて見える!」」

「そなたら、注文はなんにするのだ?」

「「スマイルをお持ち帰りで!」」

「くれてはやれぬ。なので、こちらで堪能してゆくがよい」

「「うはぁ! トキメキ領主様のスマイルきたぁ~!」」

「その呼称は認めておらぬぞ!」

「今日は一段と賑やかねぇ」


 ウェイトレスをやってるエステラとルシアを、大工どもが締まりのない顔で眺めている。


 ん?

 タダ飯食ってやがったから働かせただけだが?

 あいつら、割と需要があるからな。


 ナタリアとギルベルタはこの後の会談の準備で忙しいから、手伝いとか頼めなかったし。

 マーシャは水槽だし、カウンターの中で適当に愛嬌を振りまいてもらってる。

 だからだろうけど、今日は珍しくカウンター席から順に埋まっていった。


「ウーマロ。天井付近にガラスの水路を作って、人魚が自由に回遊できるように改造できないか?」

「それ、陽だまり亭じゃなくて港の人魚カフェでやったらどうッスかね?」


 確かに。

 陽だまり亭に人魚を回遊させて男性客を釣るのは、ちょっと違うか。


「じゃあ、カウンターの横にガラス張りの更衣室を作るのは?」

「それ、更衣室の役割果たしてないッスよ!?」


 いや、着替えられればそこはもう更衣室だろうが!

 周りの目なんか気にするな!

 自分を貫けよ!

 惑わされるな!


「ダメですよ、もぅ」


 焼き魚定食を持ってやって来たジネットに叱られる。

 まぁ、そんなサービス、この街の連中にはもったいなさ過ぎて実施できないけどな。


「それはそうと、俺、厨房に注文通してないんだけど?」

「マグダさんが通しに来てくれましたよ。ピークはもう終わるでしょうから、わたしも出てきちゃいました」


 いつの間にか、マグダがマーゥルたちの注文をジネットに伝えていたらしい。

 そうなんだよ。ちょっとでも手がすくと仕事を掻っ攫われるんだよ、ここ。

 だから、俺は仕事をしてないんじゃなくて、仕事をさせてもらえてないだけなんだ。仕事をする隙がない的な?


 いやいや、俺だって仕事してるぞ。

 空いた皿を下げて、洗ったりしてるし。


「おい、この皿、まだ残ってるけど下げるぞ」

「下げるのは空いてからにして!?」


 大工が真っ当なことをほざく。

 仕方がないので空いた皿だけを下げて、厨房へと入る。


「んきゅっ…………ひゃうっ!?」


 厨房では、カンパニュラがへっぴり腰でフライパンを振っていた。

 カンコンと、弾けたコーンが鉄の蓋にぶつかる音が響いている。


「まだ慣れないか?」

「えっと、危険はないと分かっているのですが……やはりまだ少し怖いです」

「いやいや、油断すると火傷するからな。慎重になることは大事だぞ」


 とはいえ、腰が引け過ぎているけどな。

 ジネットですら、慣れるまでに数回はかかった。

 カンパニュラが数日かかってもおかしくはない。

 チート持ちのジネットの数回は、常人の数日分だからな。


「かにぱんしゃ、とーもろこ!」

「あの、こちらが終わってからで……」

「うん!」


 トウモロコシ補充係が背後からぐいぐい圧をかけている。

 テレサにはまだフライパンを触らせられないので補充係なのだが、トウモロコシに関われるのが嬉しくて仕方ないようだ。

 前面の破裂音と後ろからの圧で、カンパニュラは大変そうだな。


 ちなみに、練習中のポップコーンは客に出すわけにはいかないので身内で消費することになる。

 ――って言ったら、エステラとルシアがずっとつまみ食いするようになったんだよな。

「次はうすしおがいいな」とか、リクエストしてやがった。

 まったくエステラは……ブラックペッパー味だろ、そこは。


「カンパニュラ。味付けは俺に任せてくれ」

「え? ですが、エステラ姉様が次はうすしおがいいとおっしゃっていましたよ」


 ブラックペッパーの小瓶を握り締める俺を見て、カンパニュラが不安そうな顔を見せる。

 大丈夫だ。

 エステラは絶対好きだから。

 食う前に「うすしおがよかったのに」とか文句言うけど、一口食ったら「なにこれ、美味しい! おかわり!」とか言うから、絶対!


 というわけで、ブラックペッパー味を作る。

 コショウをたっぷり、塩で味を調えて……ほい、ピリッと辛くて美味いぞ、これは。


「ぅやっ!? かゃい! ない!」


 テレサはお気に召さなかったようだ。

 カンパニュラも、眉根を寄せている。

 お子様には、ちょっと刺激が強過ぎたか。


「かにぱんしゃ、きゃらめぅぽっぷきょん!」

「そうですね。甘いポップコーンも作りましょうね」


 お子様二人が次のポップコーンに取り掛かる。

 あぁ、コーンの計量とフライパンの温度、油を引くタイミングとか、結構無駄が多いなぁ。

 マグダなら、もうすでに次のポップコーンが弾け始めてる頃合いだ。

 こういうちょっとしたところに差が出て、それが決定的な差になるんだろうな。


 ま、最初から出来るもんじゃない。

 経験を積めば、おのずと力量も上がっていくさ。


「ヤシロ、ピーク終わったよ」

「働いた分の褒美を寄越すのだ」


 ロレッタ一人で出来るような内容を二人でやっていた領主たちが偉そうな態度でやって来る。

 タダ飯の対価としての労働なのに、それに見返りを求めるとか、なんて図々しい。


「ほれ、ポップコーンブラックペッパー味だ」

「えぇ~っ! ボクはうすしおが食べたかったのにぃ」

「余計なことをするのではないわ、カタクチイワシ!」

「いいから食ってみろ」

「む~……なんでコショウなんて……美味しっ!? なにこれ!? ピリッと辛いのがクセになる!」

「うむ、エールが欲しくなる味だな!」


 思った通り、一口で虜になりやがった。

 お前らは、文句を一回飲み込む癖を付けとけ。

 くるくる手のひら返しやがって。


「よし、会談のお茶請けはこれにしよう」

「そしたら、お前らずっと食ってるじゃねぇか」


 横でぽりぽりポップコーン摘ままれたら気になって話どころじゃなくなるわ。


「そうだよ~。店長さんが作る取って置きの料理もあるんだから、お腹に余裕持たせておかなきゃダメだよ☆」


 カウンターからこちらを覗き込むマーシャが釘を刺してくる。

 そうそう。

 俺らは会談に合わせて、ちょっと早いランチを食うことになるんだから、満腹にはなるなよ。

 ジネットもその辺は分かっているようで、マーゥルたちの焼き魚定食は飯が少し少なめだった。

 あれは、会談中にお腹が鳴らないように『軽く腹に入れておく』程度の量だな。


「整った、準備が、会談の」


 会談スペースで作業をしていたギルベルタが報告にやって来る。

 その後ろから、ナタリアがやって来て、涼やかな声で告げる。


「間もなく、関連領主様方と組合の皆様がお見えになります」


 今回、ノートン工務店の連中は先走らないように組合役員のネグロと一緒に来ることになっている。

 デミリーやハビエルたち、身分が上の者がいる中、敢えて最後に来るように調整してある。


 ほどなくして、デミリーとハビエルが揃って来店し、やや遅れてダックとトト、クルスがやって来た。

 エステラ、ルシア、マーゥル、マーシャ、ウーマロはすでにここにいる。


 朝飯を食っていた大工たちがみんないなくなり、陽だまり亭のフロアに静けさが訪れる。



 そして、ゆっくりと近付いてくる馬車の音が店の前で止まり――



「失礼します。ノートン工務店の皆様をお連れしました」


 ネグロが、三人の男を伴って陽だまり亭へとやって来た。





「ようこそ、陽だまり亭へ」


 ジネットがネグロと大工たちを出迎える。

 ジネットだけが。


 俺は少し離れた位置からその様子を窺っている。

 何かしでかそうものならすぐに出て行けるように。

 さらに俺の両隣にはマグダとロレッタが控えている。

 俺が間に合わないようなら、この二人が飛び出していく。


「本日は、場所の提供、ありがとうございます」


 貴族であるネグロがジネットに頭を下げると、慌てた様子でノートン工務店の大工たちが頭を下げた。

 粗野で品のないお辞儀ではあるが、とりあえず不平不満をぶち撒けて暴れ出すようなことはなさそうか。


 顔を上げると、耳よりもかなり高い位置まで髪を刈り上げた白髪の大男が店内に視線を巡らせる。

 あいつがノートン工務店の棟梁、ドノバン・ノートンか。

 そして、あいつが探したのはマーゥルの姿だろう。


 マーゥルたちは入り口からは見えないパーテーションの向こうに座っている。

 連中からは見えていない。


「どうぞ、こちらへ」

「痛み入ります」


 マーゥルが用意した会談場所の管理者であるジネット。

 平民であるジネットに対し、貴族のネグロが謙ることで、マーゥルの顔を立てることになり、同時にこの場にいるすべての者がノートン工務店の大工たちよりも格上であると暗に分からせている。

 下手に暴れるなよという牽制だ。


「あ、あのよぉ、エーリン様は……」


 しびれを切らしたように口を開いたノートン。

 だが、その言葉はネグロの「こほん」という咳払いによって遮られる。

 まだ、お前が話す時じゃねぇよ。


 気が急いているのであろうが、ぐっと奥歯を噛みしめてノートンが言葉を飲み込む。

 一応、最低限の躾はしてきたのか。

「勝手な行動を取ると先はなくなる」って、ちゃんと教えてきたのだろう。

 会って間もない貴族の言葉を、このノートンがどこまで理解しているかは分からないけどな。


「さぁ、入りましょう」


 ネグロが、黙ったノートンに言う。

 ノートンを窺うように見つめている他二人の大工もデカい体を縮こまらせている。


「さぁ」

「あ、……あぁ」


 思考が空回っているのか、動かなかったノートンにネグロが声をかけて入店を促す。

 それでも、どこかおっかなびっくり動きが鈍いノートン。

 特に、奥に設置されているこれ見よがしなパーテーションが恐怖心を煽っているようだ。

 何度もそちらに視線が向かい、すぐさま逃げ出している。

 物々しいオーラが漏れ出てきてるもんなぁ、あの一角。


「何してるんッスか」


 その物々しいパーテーションの向こうからウーマロが姿を現す。

 入り口に突っ立ったままのノートン工務店の大工たちを見て、短く息を吐く。


「早く入ってくるッス。みなさん、お待ちかねッスよ」

「てめ……」


 言いかけて、ノートンが口を閉じる。


 おぉ、命拾いしたな。

 反射的に「テメェ」なんて口にしてたら、マグダが飛びかかってたぞ、今。


 言葉を飲み込んだということは、過去の軋轢がどのような経緯で生まれたのか、最低限のことは理解していると思ってもいいだろうか。

 ウーマロが殴り込んできたのは、組合が仕組んだことであり、トルベック工務店がノートン工務店を潰そうと画策したわけではないってことが。

 頭で理解しても感情が追いつかないかもしれないが、トルベック工務店が絶対悪であると断じることは筋が通っていないってことくらいは理解していると思いたい。


 周りに相談もせずに乗り込んでいっちまったウーマロにも非はあるが、組合役員のグレイゴンにまんまと乗せられて美味い汁啜っていたお前らにも非はある。

 少なからず、そのやり方は他人に恨みを買うものだということは理解しておくべきだろう。


「早くこっちに来るッスよ。たぶん、あんたらが思ってるような最悪な事態にはならないッスから」

「………………あぁ」


 ウーマロの方から歩み寄り笑みを浮かべてみせるが、ノートンは視線を逸らして無愛想に言葉を吐き捨てるだけだった。


 はい、どーどー。

 マグダ、どーどー。

 赤モヤ出そうとしないの。

 年取ったオッサンってのは素直になるのに時間と理由ときっかけが必要なんだから。


「……痩せたッスね」

「…………まぁな」


 ウーマロはまっすぐにノートンを見て、ノートンは一切ウーマロを見ずに言葉を交わす。

 後ろめたく思っているのはノートンの方か。

 傍目に見れば、ウーマロが優位に立っていることは明らかだ。


 追い込まれてるな、ノートンは。


「入ってくるッス。話をしようッス」

「……分かった」


 ここで初めて、ノートンがウーマロの顔を見る。

 顔を見て――


「……すまん」


 と、呟いた。


「……むふん」


 隣で、満足げな息が漏れる。

 マグダがなんでか胸を張っている。

 あ、ロレッタも胸張ってやがるわ。

 なに?

 それは突っつき放題だよってアピール?

 じゃあ、遠慮なく…………手首チョップされたわぁ。酷くない?


 痛む手首をさすっていると、ネグロを先頭にノートンたちが店の奥へと入ってくる。


「さぁ、こちらへ」


 パーテーションの前で立ち止まり、ノートンたちを奥へ誘導するネグロ。

 ネグロを超えてパーテーションの向こうを覗き込んだノートンが息を飲む。

「ひっ!?」って声を詰まらせて、デカい体を硬直させた。


 そりゃそうだろう。

 そこにいるのはマーゥルだけだと思っていたら、それ以外に領主四人に三大ギルド長のうち二人が並んでるんだもんな。

 ルシアとダックにはさほど面識がないかもしれんが、エステラとデミリーはよく知っているだろう。


 憎き敵である四十二区の領主と、そんな敵に寄り添う腹立たしい自区の領主デミリー。

 ハビエルには、先日話を持ちかけて断られてたんだっけ? たしかそん時に悪態ついて帰ってきたんだってなぁ。


 生きた心地してないだろうな、今。


「お座りください」

「ひっ!?」


 いつの間にか背後に立っていたナタリアに着席を促され、ノートンが短い悲鳴を上げる。

 分かる分かる。

 びっくりするんだよなぁ、アレ。


 偉いさんたちの視線が自身に集中している中、ノートンは真正面に座るマーゥルに視線を向ける。

 鬼気迫る迫力。今にも飛びかかりそうな切羽詰まった表情だ。


「エーリン様!」


 言って、ノートンは床に手を突く。

 土下座だ。


「その節は、大変なご無礼を致しました! 心から謝罪いたします!」


 雷が落ちたのかと思うようなデカい音で叫んで、額を床に打ち付ける勢いで頭を下げるノートン。

 そんなノートンの謝罪に、シンディが動いた。

 土下座するノートンの真正面に立ち、直立不動でひれ伏すノートンを見下ろす。

 そして、これまで一度も聞いたことがないような低い声で言葉を落とす。


「誰が主様に話しかけてもよいと許可しましたか?」

「…………え?」


 言葉に重さがあるように、その一言はずしりと音を立ててノートンの上に落下したように思えた。

 重たい言葉を浴びせられ、ノートンがゆっくりと首を持ち上げる。

 シンディの顔を見上げた瞬間、ノートンが三度引きつった音を漏らす。


「『謝罪いたします』とは何事ですか? あなたが勝手に行った謝罪を受け取れと、我が主様に指図するおつもりなのでしょうか?」

「そ、そんなことは――っ!」

「ならばまずは、給仕長である私に『謝罪させていただいてもよろしいでしょうか』と許しを得るのが筋というものです! 貴族と会話をしたいのであれば、最低限の常識とマナーを身に付けてからになさいませ!」


 声量は大したことないのに、密度がえげつない。

 さっきのノートンの馬鹿デカい声とは比べものにならない破壊力を伴った声に、誰も何も言えなかった。


 ……そっか。

 不法侵入を一番怒ってたの、シンディなんだ。


 やっぱり給仕長ってのは、主への無礼が一番許せないことなんだろうなぁ。

 とりあえず、あとでエステラに謝りに行こうかな。

 散々無礼働きまくりだし。

 ……あんな怒られ方したら、俺、泣いちゃうし。


「……もうしわけ、ございません…………」


 190センチ以上ありそうな筋骨隆々のオッサンが、床で縮こまって涙声で謝っている。

 貴族、怖い……


「シンディ」


 マーゥルが静かな声でシンディを下がらせる。


 ……やだ。マーゥルの呟き、さっきのシンディの万倍怖い。

 背筋に氷張ってないかな、俺、今。寒ぅ……っ!


「ドノバン・ノートンね」

「…………はぃ」


 声、小っちゃ!?


「いいわ。座りなさい」

「……………………はひ」


 泣いちゃったぁ!


「ほら、大丈夫ッスから」


 蹲って立てないノートンに肩を貸し、ウーマロがノートンを椅子へと誘導する。


「……とるべっく…………ごべぇん、なぁぁ……」

「もういいッスから」


 ノートンのデカい背中をぽんぽん叩いてやるウーマロ。

 お前、本当に面倒見いいなぁ。


 で、なんでマグダとロレッタは揃って腕組んで「うんうん」ってやってんの?

 お前らは何者なの? どの立場?


 ともかく、貴族の怖さをたっぷりと味わったノートンが泣きべそをかいて着席し、会談は始まった。





「エステラ様、ごめんなさい」

「いいよ、そんなことしなくて」


 エステラの隣に座る際、小声で謝罪しておいた。

 貴族、怖い。


「それに、ウチの場合、給仕長が君側に付きそうだからね」


 しら~っとした目で澄まし顔のナタリアを見やるエステラ。

 ということは、俺はエステラに無礼を働いても、あんな風には怒られないっと。


「お前って、横から見るとホント薄いよな」

「とはいえ、率先して無礼を働くな!」


 ばか、拳で脇腹をグリグリしてくるな!

 くすぐったがりがバレたらどうする!?

 やめい、こちょぐったい!


「イチャ付くなと言っている!」


 エステラの向こうからルシアがこちらを覗き込んで小声で怒鳴るという離れ業をやってのける。

 奇妙な特技を身に付けてんじゃねぇよ、お前は。


「集中しておれ」


 と、ルシアが前方を指さす。


 前方には、涙に目を赤くしたノートンと、おそらく普段は恐れられているのであろうノートンが泣かされたことにショックと恐怖を植え付けられて硬直して真っ白になっている大工が二人。


 今、テーブルの下座にはノートン工務店の三人が座り、その向かいには右から順番にデミリー、マーゥル、俺、エステラ、ルシアが座っている。


 ……なんで俺が真ん中なんだかなぁ。


 脇のテーブルにはハビエルとマーシャ、ダックが座っている。

 トトとクルスは壁際に立ち、給仕長たちはそれぞれ主の背後に控えている。


 あ、ネグロがナタリアに誘導されてダックの隣に座った。

 組合の役員だから、威厳を出すために座ってろってことか。

 本人はクルスやトトの隣で立ってる方が気楽だったろうに。


「さて。それじゃあ……ミスター・ヴィッタータス」

「はい!」


 マーゥルに名を呼ばれ、危機一発な黒髭よりも勢いよく立ち上がるネグロ。

 折角の威厳が台無しだ。

『起立』というより『発射』だったな、今の動きは。


「あなたの顔を立てて、彼らの謝罪を受け入れます」

「ありがとうございます!」

「今後、二度とこのようなことがないように、あなたの方から厳重に注意してくださることを望みます」

「もちろんでございます! お任せください! この命に代えましても私が身命を賭して再発の防止に――っ!」

「落ち着きなさい」

「はい」


 すとんっと、着席するネグロ。

 お前は毎回「落ち着け」って言われないと落ち着けないのか。

 マーゥルが短く息を吐く。

 まだまだ未熟なネグロに先が思いやられているのか、はたまた若い世代の『BU』っ子の現状を嘆いているのか。


 まぁ、なんにせよ、これでノートンたちは「ネグロのおかげで命拾いした」と理解しただろう。

 ネグロの言うことなら、聞くようになるかもしれない。

 これまで後ろ盾だったグレイゴンが失脚して頼れる者がない身だし、取り込むのは容易いだろう。


「それで、どうしてあのようなことをしたのかしら?」


 マーゥルが本題を切り出す。

 今回は、別にノートン工務店を吊し上げようという会ではない。

 ノートン工務店がかなり切羽詰まっている様子なので、その理由を探ろうというわけだ。

 ウーマロたちの邪魔をされないように釘を刺しておくってのも一つの目的ではあるが。


「…………」

「…………はぁ。直答を許します」


 シンディに心胆寒からしめられたノートンは、マーゥルに話しかけてはいけないと学習したようだ。

 直答を許すって、王族かよ。

 まぁ、貴族なら、普通そんなもんなんだろうけどなぁ。

 この街、特殊だからなぁ。


 たぶんこの街くらいなんじゃねぇの?

 貴族の現当主が「マーたんとマグマグ、どっちのベッドに潜り込もうかなぁ~、う~ん……今回は、マグマグだ~!」とか言って平民のベッドに潜り込んでくるの。

 あり得ないって、普通。


 一方で、マーゥルは一応貴族らしい一面を持っている。

 あくまで一面だけだけどな。

 どこでもかしこでも、面白そうだからって自ら足を運んで一般人に混じってイベントを楽しむのは貴族っぽいとは言えない。

 辛うじて貴族って感じだな、マーゥルで、ようやく、ギリ、無し寄りの有り。


 そんな辛うじて貴族のマーゥルに問われ、ノートンが口を開く。


「……実は…………金が、必要で」


 そりゃそうだろう。

 そんなことは分かってんだよ。


「ヤシぴっぴ、タッチ」


 マーゥルが俺の二の腕に手を添える。

 タッチしてんじゃねぇよ。

 で、触れた瞬間にザワッてすんなノートン工務店とネグロ。

「え、ボディータッチ!?」じゃねぇんだわ。

 二十年くらい遅いから!


「あ~……っと、ドノバン・ノートン。他二名」

「お、おぉ」


 俺が声をかけると、ノートンがこちらを見て幾分か緊張を和らげる。


「俺は貴族じゃないから、普段通りの口調で話してくれて構わない」

「そ、……そう、なの、か?」

「おう。まぁ、ちょっと偉人オーラが迸っちゃってるかもしれねぇけども」

「いや、そいつは見えねぇなぁ」

「んだよ、もう目にキてんのか? 耄碌ジジイ」

「オレはまだ四十代だ!」


 身を乗り出して俺に牙を剥くノートン。

 よくテーブルを「どん!」ってするのを思い留まったな。

 普段ならやってるんだろうけど、さすがにこれだけ貴族が座ってるテーブルを叩く勇気はなかったか。

 よかった。

 学習能力もないバカじゃなくて。


「じゃ、そんな感じで質問に答えてくれるか?」

「お、おう。なんだって聞いてくれ」


 ようやく肩の力が抜けたノートンが、チラリとウーマロを見る。


「もう、今さら何も隠し立てするつもりもねぇ」


 トルベック工務店との間で起こったいざこざも含めて、洗いざらい話すつもりがあるってわけか。

 なら。


「グレイゴンとの付き合いは長かったのか?」

「グレイゴン様……あ、いや。グレイゴンと付き合いがあったのは親父だ。年齢が近くてな、組合の中でも意見がよく合ったらしい」


 言った後で、ノートンは眉間にシワを寄せる。


「今思えば、気に入らないヤツを排除するために、都合良く使われていただけかもしれねぇけどな」


 あの顔は、思い当たる節があるのか。

 というか、言われてみれば――って感じか。


「お前とグレイゴンの関係は?」

「オレは……、まぁ、ガキのころから可愛がってもらってたから、信用、していた。仕事も斡旋してくれたし」


 ノートンの話を聞く限り、グレイゴンはノートンを手駒のように扱ってはいなかったようだ。

 明確に「誰々を潰せ」とか「こういう悪だくみに加担しろ」と言われたことはないらしい。

 ただ、時折「え、なんでそんな行ったこともないような他所の区の仕事を?」って案件を振られることはあったとか。


 ……グレイゴンって、港の建設中に乗り込んできて、海に落ちてギャーギャー喚き散らしてた老害を絵に描いたようなクソジジイだよな?

 あの短絡思考で選民意識バリバリの強欲ジジイが、自分の意を悟られないように他者を言葉巧みに操るなんて出来るか? 無理だろう、どう考えても。

 溺れた時に人魚に媚びへつらうことすら出来なかったんだぞ。

 あのジジイには『腹案』なんて言葉は似合わない。


 ってことは、もっと単純に、幼いころから面識のあるガキが大人になって組織の長になったから力になってやろうって親心か?

 あぁ、そういえば、どうしようもないド三流なバカ姪にも激甘だったっけなぁ。

 身内には甘いジジイだったのだろう。


「それが、まさか……ウィシャートの口車に乗せられて、組合を崩壊させる手助けをさせられていたなんて……」


 連中が狙ったのは組合の崩壊ではなく、トルベック潰しだったのだが、結果としてトルベック工務店の力が強過ぎて組合が崩壊してしまったわけだ。


「まぁ、あの件に関してはオイラたちもあんたらも、どっちも被害者みたいなもんッスよ」

「そうね。ウィシャートはそういうことを悟らせずに、組織を腐らせていく天才だったわ。地方の一工務店がその意図を察知するなんて、不可能だわ」


 ウーマロの意見にマーゥルが賛同し、ノートンがほっと息を漏らす。

 グレイゴンがすべての元凶として吊し上げられ失脚した今、ノートン工務店は悪事の手助けをしていたと思われるようになっている。

 本人たちにその意思があろうとなかろうと、関係なく。


 今ここで、自分たちも被害者だったのだと認めてもらえて、かなり救われただろう。


「とはいえ、ケリが付いた話を統括裁判所へ提訴したのはやり過ぎだったと思うわよ。その点はきっちりと謝罪するべきではなくて?」


 マーゥルの指摘に、マグダとロレッタが「うんうん!」と激しく頷く。


「あれは……」


 ノートンが唇を噛みしめ、苦渋に満ちた表情を浮かべる。


「あん時は、余裕がなくて、頭に血が上っちまって…………申し訳なかった」


 椅子に座ったままだが、ノートンが深く頭を下げる。

 やむにやまれない事情があったのだろうか。


「いや、あの時はオイラたちのやり方もマズかったッスから、頭を――」

「あんたらの謝罪はすでに受け取っていた! ……それを蒸し返したのはこっちだ。本当にすまなかった!」


 言葉には、思いがこもる。

 ノートンの口にする謝罪には、追い詰められた現状から逃げ出したいというような逃避も、保身に走る卑劣さも感じられない。

 そこにあるのは、タダ純粋な後悔。

 そんな気がした。


「話してくれないッスか? もしかしたら、力になれるかもしれないッスから」


 ウーマロも同じように感じたのだろう。

 俯くノートンに声をかけ、慈しむような笑みを浮かべていた。


「実は……娘が生まれたんだ」


 そしてノートンは語り出す。

 ウーマロから聞いたあの時の事件の、ノートン側から見た経緯を。





 口火を切ったのは、ノートンが連れてきた大工二人だった。


「親方、結婚したんです」

「子供のころから知ってる女の子で、そりゃあもう仲睦まじくて、俺ら全員、その結婚を祝福したんです」

「お前らっ、……そんな話はどうでも…………いや、全部話すべきか」


 柄にもなく、でかぶつのノートンが顔を真っ赤に染める。


「去年成人したばっかの子で、花嫁修業が終わるまで待ってほしいってことで、親方、焦らされてて」

「親方、もう辛抱堪んなかったらしくて『早く結婚したい、早く結婚したい』ってそればっかり言ってて」

「ばっ、そ、そんなには言ってねぇだろ!?」

「裏で俺ら『ロリコン暴発間近』って言ってて」

「結婚前に手を出したら即刻衛兵に突き出してやろうって言ってたんっすよ」

「テメェら、陰でそんなこと言ってやがったのか?」

「「いや、こいつが!」」


 うっかり滑らせた口の咎を互いに擦り付ける大工ども。

 まったく、大工はどこでも似たような性格してやがるな。


 話を聞くと、花嫁修業が終わって待ちに待った結婚をしたのが、ちょうど四十二区の区民運動会直前だったらしい。


「それで、オレは仕事を頑張ろうと、どんな仕事でも請け負った」


 そのころから、「ん? なんでそんな離れた区の仕事を?」って不可解な仕事が舞い込むようになったそうだ。

 ちょうど、グレイゴンがトルベック潰しを始めたのがその時期なのだろう。


「念願の結婚をして、仕事がどんどん舞い込んできて、バラ色の未来が眼前に広がっていたころ、トルベック工務店が乗り込んできた」


 ノートンからすれば、順風満帆、幸せいっぱいの時期に他所の大工が難癖を付けて乗り込んできたように見えたらしい。

 自分たちは組合に振られた仕事を懸命にこなしていただけで、後ろ暗いところは何もない。

 そこへ持ち込まれたクレームは難癖以外の何物でもなく、ノートンは幸せな家庭と仕事に対するプライドを踏みにじられたように感じたらしい。


「それで、必要以上に反発しちまって、な」

「あの時は、オイラたちも頭に血が上ってて、冷静に状況を把握できてなかったッスし、お互い様ッスよ。むしろ、アレに関してはオイラたちの方が悪かったッス」

「いやいや、こっちも、あそこまで反発する必要はなかった。口さがないこともかなり言っちまった」

「ま、悪いのはグレイゴンだ。反省の応酬はその辺にしとけ」


 俺が言うと、双方ピタリと口を閉じる。

 マーゥルが隣でゆっくりと頷く。

「よく言ったわ」ってか? やかましいわ。


 状況が分からないまま、不当な攻撃を受けていると感じれば、誰だって頭にくるし一言文句を言ってやらなきゃ収まらない。

 そう仕向けたヤツがいたってだけだ。


「それで、まぁ、トルベックから謝罪を受けて、自分たちの正当性が証明されて、そん時は勝ったって浮かれてたんだが……」


 その直後から、ノートン工務店への依頼は目に見えて激減した。

 途切れることなく入っていた仕事がなくなった。


「正直焦った。新婚で、新しく家でも建てようかなんて話してた矢先でよ。……大工ってのは悪評が命取りになるもんなんだ。もし、あの騒動のせいで悪評が立って、今後一切仕事が来なくなったら、オレはこいつをどうやって養っていけばいいんだって……そう思うと、焦っちまって」


 それで、ノートン工務店はトルベック工務店へ乗り込んだ。

『テメェらのせいで、謂われのない悪評がついて仕事が減った! どう責任取るつもりだ!』と。


「それで、トルベックから仕事をもらって、結構いい依頼主の仕事もあって、これでまた立て直せると思った……だが」


 仕事は続かなかった。

 そりゃそうだ。

 トルベック工務店の腕を見込んで依頼してきたのなら、事情があって他の大工が施工を請け負うことになろうとも、次はまたトルベック工務店に、次こそはトルベック工務店にってなるだろう。


 実際、ノートン工務店が行ったゲラーシーの蔵の修繕を見る限り……技術はトルベック工務店に比肩するほどではない。

 まだまだだった。


「もらった仕事はどんどん終わっていく。年末から年始にかけての予定はぽっかりと空いていた。来年以降もだ! ……そんな時、娘が生まれたんだ」


 そして、焦り、切羽詰まって、統括裁判所に提訴した。


 公的な機関を使い、貴族が大々的に『ノートン工務店に一切の非はない』と宣言することで信頼を取り戻し、仕事を得ようとした。

 すべては、新婚の妻と生まれたばかりの娘を養っていくために。


 裁判では圧勝し、ノートン工務店の目論見は成功したように見えた。

 だが、しばらく後にウィシャートが失脚。

 グレイゴンが捕まり、組合は世間から非難を浴びせられるようになる。


 そして、グレイゴンから仕事を斡旋されていたノートン工務店は、グレイゴンの手先として拭いきれない悪評をその身に刻み込まれた。


「どうしていいか分かんなくなったんだ……っ! もう、何やったってダメで……どうあがこうと、オレらは終わっちまったんだって…………けどっ、それでもよ! こんなオレを信じて、一生を添い遂げてもいいって言ってくれた女を路頭に迷わせるわけにはいかないんだ、オレは! ……なのに、仕事がなくて…………っ!」


 嗚咽……ではない。

 あれは、魂が削れる音だ。


 ノートンは、今この瞬間も、魂を摩耗させている。

 放っておいたら死ぬな、これは。


「あ、あのっ! 親方はここ数日、日中はずっと街中を歩いて仕事を探してるんです。生まれたばっかの娘さんと一緒にいる時間も取れないくらいに……」

「この間、日が暮れても仕事探そうとしてる親方を無理やり家に連れて帰ったら、娘さん寝てて……親方、その寝顔に向かって謝ってんすよ。『悪ぃな』って……、このままじゃ、娘さん、教会に預けることになっちまうから……」


 そうか。

 こういう感じで、教会に預けられるガキが出てきちまうのか。


 ノートン工務店の本拠地は四十区。

 そこの棟梁なら、家も四十区にあるんだろう。

 預けるなら四十区の教会か。


「そいつは、困ったな」


 ロレッタに合図を送り、ジネットを呼んできてもらう。


「四十区教会は、寮母の引退で引き受けられるガキの数が減ってんだ。おかげで四十二区の教会にガキが増えてよぉ。毎朝寄付に行ってるこっちは大変だ。これ以上増えられると身が持たないかもしれん」


 ノートンが生活苦を理由にガキを教会に預ければ、そのガキは自動的に四十二区へ移されて、そして毎朝毎朝陽だまり亭の飯を食って、食い終わったら「兄ちゃん遊んで~!」と俺に飛びかかってきて、やれ「抱っこしろ」だの「肩車で庭を走れ」だの「ムーンウォーク教えろ」だの言ってくるのだろう。


 つまり、ノートン工務店の仕事が見つからないと、俺の負担が増えるってわけだ。


「エステラ」

「はいはい。なんとかしないとヤシロが迷惑を被るからね。分かってる分かってるって」


 嬉しそうに言って、俺の頭を勝手に撫でてくる。

 なんにも分かってないだろ、お前?

 見ろ。お前の考え無しな行動のせいで、ノートン工務店の大工がざわざわしてんぞ。

「いいこいいこ」じゃねぇっつの。


「ネグロ、組合にお願いしたいことがあるんだけれど、窓口になってくれるかい?」

「へ? あ、はい! もちろんです」

「ボクが直接言うと、貴族からの圧力になっちゃうからね」

「そんなことは……ですが、はい。お任せください」


 ネグロを通すことによって、こちらは組合に貸しを一つ作れる。

 また、ネグロからノートン工務店に話を卸すことで、ノートン工務店はネグロの派閥に組み込まれることになる。

 もしいつか、ネグロに反発して腐った組合を維持しようと目論む他の役員がノートン工務店に粉をかけようとしても『自分はネグロ派なので』と突っぱねることが出来る。


 話を聞く限り、このノートンって男、性根の腐ったヤツじゃなさそうだ。

 結婚と出産、そんなタイミングでトラブルが舞い込んでくれば、家族を守る立場の男なら多少乱暴になっちまうのも頷ける。


 きっとオルキオだって、シラハとの幸せな時間をぶち壊そうとするヤツが現れたら相当えげつないことであろうとやってのけるに違いない。


「みなさん、少し早いですがランチにいたしましょう」


 ジネットが料理を運んでくる。

 この後は、飯でも食いながら今後のことについて話し合おう。


 だがその前に、一つはっきりさせておかなきゃいかんよなぁ。

 なぁ、ノートン?


 成人したてってのは十五歳だよな?

 十五歳の少女と結婚したのが運動会の時期で、子供が生まれたのが年末の猛暑期?

 日本の暦に換算すると、十月に結婚して十二月に出産?



 ノートン。



 ギルティ!







あとがき




どうにもこうにも、宮地です☆


ギスギスしそうだったノートンたちの話し合いですが

そこまで難航することなくスムーズに進みそうです


さすがマーゥル

さすが貴族


……怖っ(・▽・;



こういうところで、しっかりと貴族なんですね

という感じでした。


そして、心も体もまんまるオバチャンのシンディ給仕長

やる時はやります!


まぁ、あのマーゥルの館の給仕長ですから

そりゃそうでしょうという貫禄でした

平民を泣かせるなんて朝飯前です


おそらく、貴族の出、でしょうね

いや、知りませんけども

あまりにも教育が行き届いておりますので


いや、知りませんけども!




そして、くだされる有罪判決


いくら成人していようが

いくら正式な夫婦であろうが

15歳相手はギルティです!(#゜Д゜)


その辺、詳しくは、次回!




というわけで、

前回は新しいキーボードとスマホであとがきを書きましたよ~と言っておりましたが

今回は、お馴染みポメラで執筆中です。

いえ、思いがけず仕事が早く終わりまして

空いた時間にお外でさらさら~っとね☆


やはりポメラは書きやすい!

キーのポジションがいいですね!

すらすら書けます


ただし、再変換できませんけども。


変換を確定して

「あ、この漢字じゃなかった」って思っても再変換できないので

全部消して入力からやり直しです。


ワードに慣れていると、それが不便に感じるんですが

まぁ、その辺も慣れですね。


あと、スマホはディスプレイにタッチして画面動かしたり

カーソルを好きなところに移動させたり出来るんですが

ポメラは全部十字キーで移動ですので、若干遅い……


一長一短ですね(^^;

顔文字は、作りやすいですけども、ポメラ。



そんなポメラで今回お届けするのは、

お菓子の縛りプレイ的なお話!



いえ、この前オフラインの方と話していて

仮にこの方をフライさんとしますけども、えぇ、オフラインのフライさんです

「昔こんなことしてたよね~」っていうので「あぁ、あるある!」となったので、

あるあるのお裾分けを☆



フライ「あのさ、チョコとクッキーがくっついてるお菓子って、分離させて食べるよね?」

宮地「分かる! めっちゃ分かる!」

フライ「クッキー、チョコ、クッキーってなってるヤツは、クッキーを綺麗に剥がして、チョコだけにして食べたいんだよね」

宮地「まぁ、だったら最初からチョコ食っとけって話なんだけどね」

フライ「ブルボンの、チョコ&コーヒークッキー」

宮地「クッキーの真ん中にチョコクリームかコーヒークリームが入ってるヤツね! 丸いクッキーで、外側だけ綺麗にさくさく食べてチョコ残しをするヤツ!」

フライ「あれ、周りはイケるけど、底のクッキーとチョコを剥がすのが難しいんだよね」

宮地「いや、まぁ、そこはさ、そこまで頑張ったんだってことで、一緒に食べてもいいんじゃない?」

フライ「いいや! チョコだけで食べたい!」

宮地「もう一回言うけど、じゃあ最初からチョコ食っとけよ」

フライ「先にクッキー部分を食べて、最後にチョコを食べるのが正義」

宮地「ポッキーも?」

フライ「それは無理じゃね!?」

宮地「先にプリッツの部分を食べて、チョコを綺麗に残して?」

フライ「無理だっつの!」

宮地「じゃあオレオは?」

フライ「そこは、クリームだけ先に」

宮地「なんで苦い方残すんだよ。クッキー先にいけよ」

フライ「あと、チョコじゃないけど、ギンビスの『アスパラ』を、綺麗に二つに割れたら、勝ち」

宮地「あれ難しいよね! 一撃目で半分から折れちゃう時があってね!」

フライ「それは敗者」

宮地「あと、あれね。 雪の宿の白いところだけを最初に綺麗に剥がして――」

フライ「それはない」

宮地「ぷぅ!」( >3<)




みたいな、どーでもいい話をしてたんですけども

お菓子の縛りプレイてありましたよね。

とりあえず、『とんがりコーン』と『なげわ』は指にはめて食べるとか


…………おかしい。

フライさんと話してた時は「そーそー!」って

めっちゃ盛り上がってたんですが、書いてみるとたいしたことないですねぇ……



あれですかね?

家で冷凍たこ焼き食べようとしてレンジに入れて

袋をさっさと捨てちゃって、「あ、時間見てないや」ってなった時

たまたま近くにいた家族に――



宮地「ごめん、温め何分って書いてある?」

家族「ん? ん~……330分」


宮地「五時間半!?」Σ(゜Д゜;)



みたいな、

ご家庭のちょっとしたオモシロハプニングは

わざわざ書くほどのことでもないし、

書いても大して話が広がらない、みたいな感じですかね?


あ、たこ焼きの温め時間は3分30秒でした。

たぶん、ウチの家族、漢字が読めないんだと思います。

数字だけ見てたっぽいので



あぁ、じゃあついでなので、

もう一つフライさんとのお話で――


フライさん、シュウマイがそんなに好きじゃないみたいなんですね

シュウマイでご飯は食えない、と

まぁ、それはなんか分かると


餃子でご飯はイケるんですよ。

でも肉まんでご飯はイケないんです。

シュウマイは、どっちかというと、肉まん寄り

春巻きは…………見た目餃子っぽいけどご飯イケないのでシュウマイ寄り!



みたいな話をしていた時に飛び出した発言なんですが、



フライ「シュウマイって、最上級のグリーンピースの台座だからね」

宮地「グリンピースメインなの、あれ!?」

フライ「もう、グリーンピース界でも選ばれし精鋭しかたどり着けない、グリーンピース界の序列でトップの、最上級で最高級なセレブなグリーンピースだけが使うことを許される台座が、シュウマイ」

宮地「一粒でシュウマイ一個を独占していると考えると、確かにシュウマイの上に鎮座してるグリーンピースは、最上級のグリーンピースなのかもしれないね」

フライ「全グリーンピースの憧れ」

宮地「じゃあ、シュウマイ弁当とかで、ずらーっと並んでるグリーンピースはエリート集団なんだ」

フライ「みんなの憧れだね、あれは」

宮地「逆に、一番序列の低いグリーンピースは何になるの?」

フライ「冷凍のミックスベジタブル」

宮地「あぁ、主役じゃないね」

フライ「しかも、めっちゃ凍らされてるしね」

宮地「ホストクラブで、真冬に駅前でチラシ配りさせられるくらいの下っ端」

フライ「もう、温かいところには絶対入れてもらえないし、調理する時に2~3粒ころころ~って落ちても拾ってももらえない」

宮地「それは序列が低いね」

フライ「最底辺だね」

宮地「じゃ、それよりちょっとよくなると?」

フライ「オムライスの中身」

宮地「あぁ~、子供には人気ある感じだ」

フライ「ただ、嫌いな子もいるから」

宮地「そこは賭けだね」

フライ「めっちゃ避けられて、食べられない可能性もある」

宮地「それは、まぁ、そうか、オムライスは下から二つ目くらいか……どの辺まで行けば、グリーンピースとして、『お前は一人前だ』って認められてるのかねぇ?」

フライ「やっぱ、豆ご飯じゃない?」

宮地「豆ご飯ね! 豆嫌いな人は食べないしね」

フライ「冠番組、みたいなもんだから」

宮地「豆ご飯だもんね! 天下取った感はあるよね」

フライ「ただ、集団でないと弱い」

宮地「確かに、豆ご飯にグリーンピース一粒だと、女将呼ぶかな。『ちょっと、お前、これはどういうことだ?』って」

フライ「板前、平謝りしてくるだろうね」

宮地「『すみません、今日は一粒しか手に入らなくて!』って?」

フライ「じゃあ、なんで豆ご飯やろうとしたんだっていうね」

宮地「メニュー、先に告知しちゃってたから。急な変更はちょっと出来なかった」

フライ「それはもう、豆ご飯じゃなくて豆inご飯だからね」

宮地「金は取れないね」

フライ「そうなってくると、やっぱりシュウマイの上のグリーンピースは最上級だね」

宮地「一番目に付くしねぇ。それに一粒で十分役目を果たしてるし」

フライ「逆に、あれが二粒三粒になるとうるさい」

宮地「オールスター夢の共演とか」

フライ「あぁもう、うるさいうるさい」

宮地「やっぱ、シュウマイの上には一粒か」

フライ「ショートケーキで言ったらイチゴのポジションだからね」

宮地「それはもう主役だね。間違いないわ」

フライ「だから、シュウマイっていうのはもう、台座は残してもいいから主役だけ食べればOK」

宮地「いや、それはない」



あと、台座じゃない!

あ、あくまで、シュウマイがあんまり好きじゃない方の意見ですので

深く考えないようにしてくださいね~(*´ω`*)

戯れ言ですので


崎陽軒のシュウマイにはグリーンピース載ってませんしね



とまぁ、普段からこういう内容のない会話をとりとめもなくやり続けているのですが

こういうやり取りの中から物語のヒントがぴぴーんっとひらめいたりするわけで

無駄に思えるような時間こそが得がたい時間なのだなと思います


何よりテンポ良く会話が続くというのは気持ちがいいですしね

あり得ない設定をどんどん突き詰めて話を膨らましていくのって

楽しいんですよねぇ(*´ω`*)


なんだ、グリーンピース界の序列って(笑)



――と、ここまでで40分。

やっぱりポメラの方が速いなぁ!

前回より1000文字も多く書いてるのに、速い!


執筆環境も見直しつつ、

また次回からも頑張ります!


……もうちょっと実のあるあとがきを探してきます



次回もよろしくお願いいたします。

宮地拓海

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― 新着の感想 ―
[気になる点] フライさんとの話しだから、てっきり上位にかき揚げが出てくるものと思ってましたよ。 フライだけに(笑)
[気になる点] ノートン、ギルティ! マカフィーとかトレンドマイクロって名前だったらセーフだったかもしれないのに(なワケない) エステラってキャラは濃いのに乳は薄いよね(サクー!) 第77話、7は麻…
[一言] 幼妻……いい響きだ……!
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