報労記23話 スイートルーム
「デッカ!?」
海漁ギルドの豪華客船『ブルーオーシャン号』のスイートルームは、予想以上の豪華さだった。
広さもさることながら、内装が高級感を「これでもか!? どや!? どやねんな、自分!?」とばかりに訴えかけてくる。
……あ、レジーナは無事確保した。
予想通り、二階から三階へ上がる階段の裏側という、暗くてじめっとした場所で。
「なんで捕まったんやろ、ウチ?」
「一人でかくれんぼなんかしてるからだ」
やめとけよ。
一人でかくれんぼすると幽霊が寄ってくるなんて都市伝説もあるんだからな。
「ヤシロさんが鬼になると、なぜかいつもすぐにみんな見つかっちゃうんですよね」
なぜかも何も、ガキどもが隠れる場所が単純過ぎるんだよ。
俺から逃げ切るつもりなら、もっと本気で身を隠さないとな。
まぁ、ジネットの場合、おっぱいがはみ出してすぐ見つかると思うけど。
とか言うと怒られるから黙っておこう。
「まぁ、ジネットの場合、おっぱいがはみ出してすぐ見つかると思うけど」
「むぅ! そんなことないですもん!」
あぁっ、しまった!?
黙っておくつもりが、ついつい口を突いて!?
「どうしてヤシロは、黙っておいた方がいいことを黙っておけないんさね?」
「いや、俺も一回は黙っておこうと思ったんだぞ?」
「じゃあなんで口にするんさね……」
「俺の意思を、視覚からの情報が上回ったんだろうな、きっと」
あの暴力的なまでの大きさを押しとどめることは、もはや不可能なのだろう。
人類にとっては。
「むぅ」
ジネットの怒り方がカンパニュラに似てきたな。
互いに影響受けてるんだろうか。
「じゃあ、飯を食ったらみんなでやってみるか、かくれんぼ」
「みなさんで、ですか?」
「酔っ払いと釣り人は放っておいて」
「いやいや、ワシは参加するぞ。ヤシロと直接対決する機会はなかなかないからな」
「俺、前に木こり対決で勝ったけどな」
「あれはイメルダがそっちにいたからだろう!?」
「相撲でも」
「あれは妹ちゃんに負けただけだ!」
そういえば、直接対決ってしたことって、あんまりなかったか?
つーか、ハビエルと直接対決する意味がないからなぁ。
「大食い大会では圧勝したがな!」
「アレは…………思い出させるな。今でもちょっと泣けてくる」
ウサギさんリンゴが可哀想で食えなかったんだよな、お前は。
そんな、思い出して泣くほどのことかよ。
……とか思ってると、ハビエルのデカい手が俺の頭にぼふっと置かれた。
「今もお前がここにいる。それだけで、十分かもしれんなぁ」
言って、「いかんな、酒が入ってると緩んじまう」と目頭を揉む。
……いや、お前が涙ぐんでんの、俺のせいかよ。
居心地が悪くてジネットに視線を向けると、にっこりと微笑まれた。
えぇい、くそぅ。こんな話持ち出すんじゃなかった。
「この前イメルダのところの給仕長に聞いたんだが……『ワタクシの服とお父様の服を一緒に洗わないでくださいまし!』って言われたんだって?」
「やめろぉおお! それは本気で泣くから! ちょっと前までは『おとうしゃま、おとうしゃま』って可愛らしかったのによぉ!」
父、号泣である。
「ふふ、それは、イメルダさんのドレスと、ハビエルさんの仕事着では生地の厚さが違い過ぎるため、見習い給仕さんが混乱しないように、との配慮からだとおっしゃっていましたよ」
「その話は本当か、店長さん!?」
「はい。給仕長さんがそうおっしゃっていました。優しいお嬢様ですと」
「よかったぁ! やっぱり可愛い、ワシの娘!」
どうもいかんな。
俺がハビエルをいじめると、ジネットがハビエルを庇って、結果ハビエルばかりがいい思いをしてしまう。
「ジネットは、俺がいじめられてもそうやって庇ってくれるか?」
「はい。もちろんですよ」
「その前に、ヤシロさんをイジメられる人間がいないッスよ」
「然り、然り」
「ほら、いじめられた」
「それは、仲良しさんの冗談ですよ」
「「いや、冗談じゃ……まぁ、いいッスけども」でござるけども」
いじめっ子をスルーしたな、ジネット!?
やっぱり、俺にだけ厳しい気がするなぁ。
「ですが、みなさん紙芝居に夢中なようですし、かくれんぼに付き合ってくださいますでしょうか?」
あぁ、それもそうか。
かくれんぼをやると結構時間を食うからな……特に、負けず嫌いが多いこのメンバーだとな。
「じゃ、また後日だな」
「はい。その日を楽しみにしていますね」
ということにしておこう。
教会のガキどもを交えて盛大にやればいいだろう。
豪華客船でかくれんぼってのは面白そうなんだけどな。なんなら、そういう船旅を企画してもいいかもな。『船上かくれんぼ大会』って。
案外楽しいかもしれん。
「しかし、大きい部屋ッスねぇ」
「ウーマロ氏! こっち来てみるでござる! ベッドが物凄いデッカいでござるよ!」
「お、どれどれ、ワシにも見せろ!」
オッサンたちがベッドルームへ駆け込んでいく。
「そして、組んずほぐれつ――」
「えぇねっ!」
「よかないさよ……レジーナを焚き付けるんじゃないさね、ヤシロ」
冷ややかな目を向けるノーマ。
ついさっきまで桃太郎で二次BL紛いの話を嬉々として作ってたチームに属してたくせに。
あれか? 三次元は認めない派か?
「こりゃすげぇな! ふかふかじゃねぇか! 何を使ってんだ、海漁!?」
「それはねぇ、綿花栽培が盛んな国で作られているマットレスっていうヤツだよ~☆」
マットレスか。
綿花栽培ってことは、中は綿なわけね。
……綿布団じゃねぇか。敷き布団だよ、それは。
ちらっと寝室を覗くと、ハビエルが嬉しそうにマットレスを持ち上げていた。
分厚い……ぱっと見10センチくらいないか、あれ?
その中に綿がぎっしり? ……重そう。
まぁ、この街のベッドって、木枠にワラを詰め込んだようなものだし、それに比べたら、って感じか。
いや、それは庶民レベルであって、貴族はもっといいもの使ってんじゃないか?
「ハビエルんとこのベッドは何敷いてんだ?」
「ウチのは羽毛だな。だが、ワシの体を支えるには心許なくてなぁ」
羽毛をふんだんに使った敷き布団を使っているようだが、デカくて重いハビエルの体を支えるには強度が足りず、結局、木板に薄い布を敷いて寝ているような感覚なのだそうだ。
……そりゃ痛いわ。
「王族ともなると、羊毛を使った布団を使ってるらしいぞ」
「硬くなりそうだな」
「そうなったら買い換えるんだろうよ」
金かかりそうだな、おい。
俺なんか、日本で暮らしてた時に布団を買い換えるなんて、拠点を移す時くらいしかしなかったぞ。
基本、買ったら使い続けてたな。
「しかし、こんだけみっちみちに綿が詰まってると、しっかりと体を支えてくれそうだな」
「人魚が寝ると、カビて大変なことになるけどねぇ~☆」
「よぉし、近寄るな海漁! ワシは今日、この布団で寝ると今決めた! 濡らすんじゃねぇぞ!」
「うふふ~☆ フリ、だね~☆」
「違うからな!? 濡らしやがったらぶっ飛ばすぞ、マジで!?」
「負けないけどね~☆」
やめろやめろ、布団くらいで。
つか、あの分厚さでみっちみちに綿が詰まってんのか……よく片手で持てるな、ハビエル。
「そういえば、二階の部屋のベッドって何敷かれてた?」
「あっちはワラ~☆」
なるほどね。
スイートはそういうところも特別扱いなのか。
「エステラとイメルダが仲良くこのベッドで寝ると思う人~」
挙手を誘えば、パウラとネフェリーとノーマが手を上げた。
だよな。目に浮かぶようだよ、見たことないマットレスに大はしゃぎする貴族令嬢二人のバカ騒ぎが。
じゃあもう、釣りの結果なんかどうでもいいな、うん。
スイートルームは寝室と執務室、そしてリビングのような広い部屋で構成されており、トイレが自室についていた。
ただし、作りは簡素なもので、排泄物はそのまま海へ垂れ流す仕様だ。
……蓋を開けると、ほの暗い水の底がゆらゆらと揺れ、どこまでも深く深く続くかのように口を開けている。怖ぁ……
「魚が遡ってこねぇだろうな……」
「遡ってきたら捕まえて夕飯に追加してもいいよ~☆」
「お断りだよ」
なんでトイレで捕れた魚を食卓に並べるんだよ。
即リリースするわい。キャッチせずリリース!
広くて豪華なスイートルームではあるが、まぁこんなもんかと言えばその程度のクオリティだ。
想像を超えない。
片田舎のホテルよりは頑張っている。そんな印象だな。
「おぉおい、ヤシロ、見ろ見ろ! 海が一望できるぞ!」
「ここの窓の作り、これ面白いッスねぇ! テーマパークの海賊エリアで是非マネさせてもらうッス!」
「むむむむっ! この意匠……これが高級感でござるか!」
うっせぇなぁ、オッサンどもは。
「こっちの部屋は、こんな感じなんだね」
「似てるけど、やっぱりちょっと違うねぇ」
「左右反転してんさね。不思議な感じがするさね」
事前に女子用のスイートルームを見ていたのであろう女子たちは落ち着いたもんだ。
「ヤシロさん、小さなキッチンがあります! お夜食なら、ここでも作れますね!」
「火も使えるんだね。飴、作れちゃうかも……」
キッチンというのもおこがましいレベルの調理スペースだ。
おそらく、従者が主のためにお茶を淹れるためのスペースなのだろう。
小さなストーブみたいなかまどが設置されている。
……鉄製のかまどなら教会に罰せられずに自宅に持てるんじゃないか?
パン、作り放題だな。
教会って、『精霊の審判』を盲信するあまり、規律ががばがばなところあるよなぁ。
「人々の善意を信じます」って? だから悪人が悪用しまくるんだよ、あの街の制度。
「あの街の教会、もう一回制度とか戒律を見直すべきだよな」
「え?」
「鉄のオーブンなら所持し放題だろうに。パンの密造やり放題だぞ」
「精霊神様は、人々を信用してくださっているんですよ」
そこが悪用されてるっつーのに。
「ふふ……」
「なんだ?」
「いえ。オールブルームのことを『あの街』と言われたので、『あぁ、今街の外にいるんだなぁ』と改めて思ってしまって」
街の中にいれば『あの街』なんて言い方はしないもんな。
けど、今は海の上だし、街は岩山に阻まれて見えないし、『あの街』で合ってるだろう。
ジネットにとっては、なかなか経験することがない状況なわけだ、今って時が。
ちょっとしたことが不思議でおかしく感じるほどに。
「そういえば、マグダたちは何してんだ?」
「厨房を探検するそうですよ。人魚さんたちと仲良くお話されていました」
あいつらなら、人魚とも秒で仲良くなるだろうな。
ジネットが戻って料理するのを待っている状況か。
「スイートルームは、ヤシロさんが紙芝居を作られている間にみなさんと一緒に見学しましたので」
「それで、まだ見たことがない厨房の探検してんのか。満喫してんなぁ」
「はい。わたしも、このあと初めて海の上でお料理するので、すごくわくわくしてるんです」
そりゃあ、よかったな。
精々堪能するといいさ。
そんな、何も変わらないと思うけども。
「じゃあ、飴を作りながら鯛飯のレシピを教えるよ」
ジネットとミリィは早く解放してやるべきだろう。
ジネットは早く厨房に戻って昼飯に間に合わせなきゃいけないし、ミリィも早く飴を作りたいだろうし。
「水飴がどれだけ確保できるかが問題だな」
「みりぃ、いっぱい持ってきたょ。……ぁの、船の上で時間が余ったら、作ろうかなって……でりあさんやかんぱにゅらちゃんもいるし……ね?」
しゃべるほどに、ミリィの頬が赤く染まっていく。
張り切ってしまっていた自分の心情を告白して照れているのだろう。
うむ、かわよい!
「ミリィ型キャンディを作ったら、絶対売れるな!」
「ふふ、食べてしまいたくなりますね」
「ぁううっ、じねっとさんまでぇ~!」
『じねっとさんまで』って……俺は弄るのが当たり前みたいな認識か?
では今後もご期待に沿えねばなるまいな!
「服をぺろぺろしたら、どんどん色が薄くなって――!」
「にゃぁあ! そんなこと、しちゃだめぇ!」
「ヤシロ、その話、もう少し詳しく!」
「はびえるさんは出てきちゃ、だめっ!」
おぉ、ミリィがハビエルを寝室へ押し込めた。
しかし残念! ハビエルが物凄く嬉しそうな顔をしていたから、ご褒美を与えた結果になっちまってるぞ、ミリィ。
そういう時はイメルダを見習って、虫を見るような冷たい視線で「黙れ、ヒゲ」って突き放すのが正解だ。
というわけで、ミリィに水飴を、レジーナに食紅を、ジネットに砂糖をもらって、スイートルームの小さいキッチンで飴作りを始める。
……香料がないのがちょっと寂しいな。
「レジーナ、リンゴの香料」
「さすがに用意してへんわ、そんなもん」
「お前っ、リンゴの香料がなきゃ死ぬ病気が蔓延したらどうするつもりだったんだ!?」
「あらへんわな、そんなけったいな病気」
リンゴの香りに弱いウィルス……まぁ、ないか。
で、水飴と砂糖を水で煮立たせ、混ぜ、食紅を添加してカラフルな飴を作る。
赤と青と白。
粘り気が出たら丸めて冷まし、ある程度冷めたら細く伸ばして、細く細く伸ばして、三色の細い飴をまとめてねじる!
「まかんこーさっぽー!」
「ぇっ、なに!? なに!?」
気にするな。
男というのは、時に叫びたくなる生き物なのだ。
さて、俺の叫びからも分かるように、三色の飴はまとめられ、ねじられることで美しい螺旋を描く。
その螺旋のカラフルな飴を、今度はぐるぐると巻いていく。
渦巻きにして、ガキの一口に収まる程度のサイズになったら飴をカットする。
飴が完全に固まる前に竹串を刺して――ペロペロキャンディの完成だ。
味は、……まぁ、甘いだけだ。
「可愛いですね」
「ペロペロキャンディって呼んでたな、俺らは」
「ふふ、確かにペロペロしたくなりますね」
「俺が本気を出したらもっとペロペロしたくなるような形状も――」
「懺悔してください」
「まだ詳細言ってないのに!?」
「言わんでも分かるわな。自分、視線が正直過ぎんねん」
ペロペロしたいものがそばにあれば見るでしょう、JK! じょーしきてきにかんがえてー!
「今は時短のために少量でやったが、これを三十ほど作ってくれるか?」
「三十個配るの?」
「まぁ、そんくらいあれば足りるだろう」
告知したわけでもないし、そこら辺に偶然いたガキを釣れればそれでいい。
むしろ、それ以上集まってくると紙芝居どころじゃなくなるからな。
「ウーマロに言って、キャンディストッカーでも作ってもらえばいい。こう、ずらっとペロペロキャンディが並んでると可愛いだろ?」
「それはいいですね! あとでお願いしてみます!」
「あぁっぁあ、あの、聞こえたッスから! 大丈夫ッスから! 作るッスよ!」
ジネットにお願いに来られると緊張して大変だと、ウーマロがキッチンの向こうから大声で返事を寄越してくる。
「アイツ、やっぱ失礼じゃね?」
「そこは、ご性分ですので、仕方ないですよ」
誰でも苦手なものはありますからと、ジネットは大人の対応だ。
なら、物凄く好き過ぎて堪らないものに対する配慮も見せてもらいたいのだが!?
そーゆー性分なもので!
「自分、何考えてんのか分かり過ぎるから言ぅといたるけど、……無理やで?」
「いや、言ってみなければ分からん!」
「分かるっちゅーねん。また懺悔させられるで」
レジーナのクセに、真っ当なことを言うな!
この、非真っ当の代表格め!
「それじゃ、早速作ってみるッス!」
「ぁ。まって、うーまろさん!」
行動を起こそうとしたウーマロのもとへ、ミリィがペロペロキャンディを持って駆けていく。
「ぁのね、うーまろさん。ペロペロキャンディって、このくらいの大きさだからね……」
と、そんな会話をして、ミリィが再びキッチンへと戻ってくる。
なんだか、不満そうな顔をして。
「……うーまろさん、みりぃと、普通にぉ話、してくれた……」
あぁ、そっか。
ミリィ、成人女性とは認められなかったのかぁ。
「やっぱ、失礼だよな、アイツ?」
「ぇっと……それはきっと、ミリィさんがとても可愛らしい方だから、ではないかと?」
「みりぃ、大人だもん!」
たしか、以前は若干緊張してた気がするんだが……慣れたのかなぁ。カンパニュラとかテレサとかを見てて。「あ、ミリィは同じカテゴリーだ」って。
「ミリィが、ウーマロの病気を治すきっかけになるかもな」
「ぅぅ……じゃぁ、頑張る」
頑張るんだ。
健気だなぁ。
放っておけばいいのに。
なんだか釈然としないミリィを連れて、レシピを覚えたジネットは船の厨房へと向かった。
ウーマロ。あとで謝っとけよ。
それから十数分経ち――
「よし、本文はこんな感じでいいだろう」
「見せて見せて!」
「その前に書き写しましょう」
「あ~、待ってナタリア! チラッとだけ!」
パウラとネフェリーの突撃を避けるように、原稿を高く掲げてするすると身をかわしていくナタリア。
あれは、自分が一番に見たいって感情だろうな。
「まず、私が一部書き写しますので、それをもとにギルベルタさんは複製をお願いします」
「了解した、私は。その間、排除する、ナタリアさんの仕事が遅延する要因を」
「えぇ~、待って待って、ギルベルタ!」
「排除って、酷くないかな!?」
騒がしいパウラとネフェリーがギルベルタにがっちりと拘束されて連行される。
「ふふ……実に賑やかだ」
そんな様を、ルシアが座って眺めている。
……大人しいな。
「何を企んでいる?」
「どういう意味だ?」
「もしかしてお腹痛い? 何を拾い食いしたんだよ」
「突拍子もない誹謗を寄越すな、バカクチイワシ!」
「どんな口だよ、そのイワシ」
キッと眉をつり上げこちらを睨むルシア。
ご機嫌を伺うために、ミリィが「いくつかやってみてぃ~い?」と試作して置いていったペロペロキャンディを一つ差し出す。
「おぉ、ミリィたんの飴か! 舐めるとミリィたんの味がしそうだ! あぁ、ぺろぺろ! いとぺろぺろ!」
なんだ、元気そうじゃねぇか。
「なんか大人しいな」
「ふん……、紙芝居の完成をこの目で見届けねばならぬなと思っておるだけだ」
「なに責任感じてんだよ、らしくもない」
「ほざけ。……私は、いつでもおのれの言動の責任を感じて生きておるわ」
「その結果がアレか!?」
「『ソレ』が許されるところでしかやっておらんだろうが」
なんで俺の前で『アレ』が許されると思ってんだ、こいつは?
すっげぇ、謎。
「貴様が遊ぶ時間を削っておるのでな……せめて付き合ってやろうと思ったまでだ」
「何を殊勝な……気味が悪いぜ」
「ふん。貴様のような男なら、私を見ているだけでやる気が出てくるであろう?」
「え、今湧き上がってきてるこの感情って『やる気』なの? 俺ずっと『殺意』だと思ってたわ」
「まったく、可愛げのない男だな、貴様は」
俺がマジで「お前がそばにいてくれると頑張れるよ」とか言ったら照れるくせに。
「そりゃあ、可愛いルシア様から見れば、可愛げは足りてないだろうよ」
「ぅぐ……っ、この、また………………ありがと」
お礼言った!?
可愛いって言われて、神経が熱暴走でも起こしたか!?
「……ふん。甘いな、これは」
「気のせいかな、紅茶を入れろって催促された気がする」
「気がするのであれば、即行動に移さぬか。よい執事になれぬぞ」
「ならないからいいけどな」
「給仕長を超える紅茶を用意して参れ」
ルシアが言う『給仕長』はナタリアのことだな。
「ナタリアの紅茶を超えるなんて無理に決まってんだろう。俺が知る限り、一番美味いんだぞ、あいつの紅茶は」
「もふーん!」
なんか、遠くで変な生き物が変な声で鳴いた。
「自重してほしい、作業の妨げになるような言動は、友達のヤシロ」
「俺、悪くなくないか、今の?」
「お茶をお入れ致しましょう」
「いいから書いてろ! パウラたちが暴れ出すから」
うっきうきの澄まし顔でやって来たナタリアを執務机へと押し返す。
澄ませてなかったぞ、全然。
「ま、ヤシロはウチで飲む緑茶も好きだけどねぇ」
張り合うな、ノーマ。
美味いから、お前のお茶も。
でも今、紅茶の話だから。
「そういや、玄米茶飲みたいな」
「なんさね、それ?」
「米を焙じたものを茶葉に混ぜて……焙じ茶も飲みたいなぁ」
「作るさね! で、入れ方を教えとくれな!」
まぁ、ナタリア以上の紅茶なんか無理なんだし、焙じ茶でも作るか。
それに、飴には紅茶も焙じ茶も、結局合わないしな。
「またジネぷーに拗ねられるぞ」
「ジネットはもう知ってるよ」
俺が教えるまでもなく、祖父さんに聞いて知っていた。
焙烙も陽だまり亭にあったしな。
作るのは簡単。ちょっと一手間加えるだけだ。
その一手間が面倒と言うヤツもいるだろうが、ジネットは一手間を好んで行うヤツだ。
「ギルベルタ、綺麗な紙をくれるか?」
「進呈する、私は、大いなる期待を寄せて」
「へいへい。あとで飲ませてやるよ」
ギルベルタから上質の紙をもらう。
これがあれば焙じ茶が出来る。
「マーシャ、茶葉って厨房行けばもらえるかな?」
「キッチンの戸棚に用意してるよ~☆ なにせ、ここはスイートルームだからね~☆」
言われた場所を探すと、紅茶と緑茶の茶葉が用意されていた。
至れり尽くせりだな。さすがスイート。
日本で、初めてスイートに泊まった時は、部屋に置かれた無料のドリンクは全部飲み干してやった。
二回目以降は、必要な分しか飲まなかったけど。
最初だけだよな、テンション上がるの。
何回も泊まってると、水すら飲まなくなるし。
「かまどの火は……まぁ、こんくらいならいけるか」
あまり強過ぎると紙が燃えるし、弱過ぎると熱が伝わらない。
オーブンの形状的に手が鉄に触れそうな距離でちょっと熱いけど、なんとかなるだろう。
「紙の上に茶葉を広げる」
「それを炒めるんかぃね?」
「炒めるんじゃなくて焙じるんだよ」
作り方を見に来たノーマに説明をしながら、茶葉の載った紙を火の上に持ってくる。
細かく揺すりながら、茶葉を静かに紙の上でスライドさせる。
「何が違うんさね?」
「炒めるは油を使って食材に熱を通すことで、焙じるはこうして火にかけて水分がなくなるまで焦がしつけること……かな?」
どう違うと言われても、はっきりとは分からんな。
とりあえず、炒めるとは違う。
でも、煎ると焙じるの違いは……微妙だな。
「あっ、いい香りがしてきたさね」
茶葉が熱せられ、香ばしい香りが立ち上る。
「茶葉が緑から赤茶色に変わってカラカラになれば完成だ」
「それでお茶を淹れるんかぃ?」
「あぁ、あとは一緒だ」
ティーポットに茶葉を入れ、湯を注ぐ。
ふわりと、香ばしい空気が立ち上る。
「はぁ~、いい香りさねぇ……。茶葉焙じ屋があれば、その隣に住みたいくらいさね」
分かるわぁ。
俺も、京都行った時に、お茶屋の前でたまらん焙じ茶の香りを嗅いで、移住しようかと真剣に考えたことがあった。
「俺の故郷では、この香りで客を引きつけるお茶屋があったぞ」
「そりゃあ、利用しない手はないさね」
ノーマに言えば、茶葉焙じ器も作れるかもな。
デッカい鉄の筒を回転させ、じっくりゆっくりと茶葉を焙じる機械。
あれのそばは、いい匂いがするんだ。
思わず足を止めずにはいられないくらいにな。
「ほい、出来たぞ。飲んでみるか?」
「ルシアさんに持ってかなきゃ、ヘソを曲げるさよ」
「そんなことはないが、さっさと献上するのが貴様の務めだと自発的に気が付くべきであろうが、カタクチイワシ」
「待ってろ、今紅茶を入れてやる」
「焙じ茶を寄越せ!」
「ほぅら、ヘソを曲げたさね」
くすくすと、ノーマが上機嫌に笑う。
ここも結構仲良くなってんだよな。
飲ミニケーションってのも、案外バカに出来ないのかもしれない。
……俺は御免だけど。
「ナタリアも、一段落したらお茶どうだ?」
「はい。いただきましょう。ちょうど一部書き終わったところです」
「あずかる、私も、ご相伴に」
ギルベルタの後ろから、ハビエルがのそりと顔を覗かせ小鼻をひくつかせる。
「いい香りだな。 ん? なんだ、茶かぁ。まぁ、飲むか」
「いらんなら飲むな」
「いや、飲む飲む。キツネの嬢ちゃん、こっちにも頼む」
「はいはい。ちょいと待ってておくれなね」
『嬢ちゃん』と言われ、ノーマの尻尾が微かに揺れていた。
……大丈夫か、そんなにチョロくて。
八百屋の前とか通る度に、関係ない野菜まで買わされてない?
そんなに野菜買い込むなよ? 一人暮らしなんだか……わぁ、こっち見た!?
「ヤシロ……お茶、さね」
「うん、ありがとう。今日も笑顔が素敵だよ、ノーマ」
だから普通に笑ってください。ごめんなさい。
「ほぅ、これは美味いな」
ルシアが驚いてコップをまじまじと見ている。
なんなんだろうな、あの、美味い飲み物を飲んだ後、ちょっと遠ざけてまじまじ見ちゃう感じ。
ペットボトルみたいに成分表示が書かれてるわけじゃないのについついやっちゃうんだが、ルシアもそうなのか。
「うん。私これ好きかも」
「でもちょっと苦くない?」
「緑茶よりは、拙者は飲みやすいと思うでござるぞ」
ネフェリーとベッコは気に入ったようだが、パウラはちょっと苦手な様子だ。
ちょっと焦がし過ぎたか?
「あたしはグレープフルーツジュースの方がいいな」
あ、違うわ。
パウラはお茶よりジュースがいいだけだ。
お子様舌め。
「これ、お寿司に合うかなぁ☆」
「寿司には緑茶か煎茶だろうが……まぁ、焙じ茶でもいいと思うぞ」
日本の店に慣れてると、緑茶ってイメージだけどな。
海漁ギルドの寿司屋だ、好きにすればいい。
「バカ、海漁の。寿司には清酒だろうが!」
「お酒のみのオジサンの意見は聞いてませ~ん☆」
俺の入れた焙じ茶は、概ね好評を得た。
ジネットの入れたヤツの方が美味いが、あれはプロの技だからな。
無謀な挑戦はすまい。
あとで玄米茶入れてもらおっと。
焙じ茶を啜りつつ、各々が仕事を進め、――さらに十分ほど経ったころ、演者の練習タイムが始まった。
「吠えろ、デスファング!」
「喰らいなさい、ウィングカッター!」
「あとは任せろ! 一刀流桃奥義、ダンシングアサシン!」
「さすがに鬼が可哀想!」
「がおー、やーらーれーたー」
「でもないかも!?」
ギルベルタが鬼を演じると、なんかほんわかするなぁ。
つーか、勝手に必殺技作らないでくれる?
で、ナタリア。……桃太郎を踊る暗殺者にしないように。
「サルも、必殺技出しちゃって!」
「遠慮はいらないわ、さぁ!」
「ほな……飲み物に睡眠薬さらさら~」
「お巡りさん、こいつです!」
お前がやると、危険度が桁違いなんだよ、レジーナ。
眠らせた後で何するつもりだ、おい。
というわけで、桃太郎の練習が始まったのだが、こいつら、遊んでやがるなぁ。
そういうのは二次創作でやれっつーのに。
「なぁ、なんでウチまで出演せなアカンのん?」
「推薦者多数につき、拒否権を剥奪した結果だ」
「さらっと鬼畜なこと言ぅなぁ、自分」
「そして、推薦者は一様に『ルール違反はしてないけど、頑なに名前を呼んでくれないから罰を』だそうだ」
「……そんなん、ルール破ってへんのに、ズルない?」
船の上では『クマ耳はん』『ニワトリはん』的な呼び方はやめて名前で呼ぶようにというルールを設けられたレジーナだったが、こいつはずっと名前呼びをうまく避け続けている。
それが、連中には不評らしい。
名前を呼ばれるのを楽しみにしてたみたいだし。
「はぁ……ほんなら、名前で呼んだらサル役免除されるんかいな、ぱぅ……パウラはん?」
「くふふ~! なんかくすぐったいね、レジーナに名前で呼ばれるの!」
「ほな、もうやめとかへんか?」
「ダメダメ! 四十二区に戻っても名前で呼んでほしいもん」
「船の上だけちゃうんかいな!?」
「慣れちゃえばなんてことなくなるって! ねぇ?」
「そうそう。あ、私はすでに名前呼びが確約してるから、反故にしないようにねレジーナ」
「はて? とんと記憶にあらへんなぁ」
「……そういうこと言うと…………タンスの二段目の話をバラすわよ」
「冗談やんか! ちゃんと覚えてるやんかぁ、ネフェリーはん!」
お前……あれだけ酷い生態をさらされてもなお隠しておきたい秘密なんかあるのか?
どんな惨状になってたんだよ、タンスの二段目……
「タンスの二段目って……あぁ、『かもんべいべー』って書かれたパンツの話?」
「なんでバラすねんな、パウラはん!?」
「いや、だって、ネタでしょ、あれ?」
ネタだとしても、きっついなぁ……
「いや、違うで!? ウクリネスはんに冗談で『こんなパンツ作ったら売れるで~』って言ぅたら、『ほな試作したさかい、試しに穿いて感想聞かせてや~』って勝手に置いていかはったんやさかいな!? ウチのオーダーやないんやで!」
「いらないなら捨てろよ」
「捨てたら、誰かに見られて、『いやっ! あの人こんなパンツ穿いてはんねんや!?』って話題になってもぅて、それを真に受けたメンズらぁが『独り寝の夜が寂しいんだろう? 俺たちが可愛がってやるぜ』って家に押し入ってきて、『うっひょ~、こいつは聞きしに勝るべっぴんだぜ~!』ってウチがモテモテになってまうやん、そんなん困るわ!」
「久しぶりに聞いたなぁ、その地味にイラッてするポジティブ混じりの被害妄想」
治らねぇもんだなぁ、人の悪癖って。
「…………モテるんかぃね?」
「待て、ノーマ! 突っ走る前によく考えてみて!」
絶対モテないから!
つーか、それで寄ってくるような男にモテちゃダメだから!
「とにかく、普通に練習しろ」
「はーい」
「まぁ、普通のバージョンも、面白いもんね。ヤシロの朗読、すごく楽しかったし」
「真面目に取り組まないと、ヤシロ様一人でやる方がいいと言われかねませんからね、とあるぺったんこに」
「いや、ナタリア氏が言っていいでござるか、そーゆー発言!?」
何を今さら。
こいつが一番弄ってるじゃねぇかよ、エステラのぺったんこは。
「というわけで、やる気を出してくださいね、ノーマさん」
「……けっ」
ノーマが物凄くやさぐれている。
というのも、仕方のないことで……
改変版桃太郎では若く美しい時代が長く、見せ場も多かったお婆さん役が、通常版桃太郎では、洗濯をする普通のお婆さんだからだ。
「拙者は、ノーマ氏にはお似合いの役だと思うでござるよ」
「どういう意味さね、ベッコ!? 事と次第によっちゃ海の底へ沈めるさよ?」
「ち、ちち、違うでござる! ともすれば埋もれがちな役も、ノーマ氏の魅力で引き立って見えるという意味で……拙者、ノーマ氏のお婆さん好きでござるぞ!」
「嬉しくないさね!」
「ぁっ………………っついでござるっ!」
おぉ……赤かったなぁ、今の灰。
というか、あれは『火球』と呼ぶべき物体か。
「まぁ、ノーマがイヤなら俺が爺さんとまとめてやってやるよ」
「いや、さすがにヤシロには無理じゃないかぃねぇ……?」
「『そんなことございませんのじゃ』」
「「「めっちゃお婆ちゃんヴォイス!?」」」
パウラ、ネフェリー、ノーマが驚愕の声を上げ、ナタリアがオーディションで主役をポッと出の新人女優に掻っ攫われた看板女優みたいな顔で俺を睨む。
睨むな睨むな。
声なんか、その気になればいくらでも変えられるもんだから。
「『のぅ、婆さんや』『なんですか、お爺さん?』」
「すごい、二人いる!?」
「お爺さんとお婆さんの演じ分けって、どうやってるの!?」
「あんた、ほとほと器用さねぇ……」
まぁね!
一流の詐欺師なもので!
演技なんてもんはお手のもんよ!
「あれれ~? おっかしぃ~ぞ~?」
このように!
「……アレやる時だけ、妙に下手になるんさよね」
「わざとなのかな?」
「こだわりが強過ぎると、逆にうまくいかないことあるよね? そういう感じなんじゃない?」
うまくいかないとはなんだ!?
めっちゃうまいわ!
「ハビエル」
「おぅよ~!」
出来上がってるな、このオッサン。
「鬼役でちょこっと出てくれるか?」
「おぅ、いいぞ。セリフはなんだ?」
「桃太郎が出てきた時に笑ってくれ」
「がはは! ワシに挑むとは命知らずもいいところだ!」
ハビエルがやれば、怖さ倍増だろう。
「…………解任された、私は…………しゅん」
「いや、違う違う! メインはギルベルタだから!」
ただちょっと笑ってもらえば迫力が増すかと……えぇい、もう!
「じゃあ、手下の鬼をやってくれ」
「ハビエルギルド長を従えるとは、大物だな、ウチのギルベルタは」
からからと上機嫌に笑って、ルシアがギルベルタを応援している。
「簡単、子分のセリフは。大丈夫、言っておけば、『へい、おやびん』と」
「おう。なら練習もいらねぇな」
ん~……まぁ、いいか。
「語りと爺さんは俺がやるよ。婆さんは……」
「……まぁ、やるけどさ」
ノーマが不貞腐れてるなぁ。
やりたくなきゃやらなくてもいいんだが、役を外すともっと不貞腐れるだろうし……
うん。今だけ、解禁。
普段は絶対しない手口だが……
「この老夫婦は子供にこそ恵まれなかったが、二人でずっと幸せに暮らしていたんだろうな。洗濯と山仕事、二人で支え合って仲良く暮らしてたんだ」
「まぁ……そう、なんだろぅねぇ」
「そんな雰囲気が俺たちの演技で観客に伝わるといいな」
「演技で、かぃね?」
「あぁ。桃太郎が生まれてよかったねって、思ってもらえるような、見ていて幸せな気分になる老夫婦だ。いないか、近所に?」
「あぁ、いるさねぇ。見てるとほっこりする夫婦が……くふふ、あんな感じかぃね」
「ノーマ」
「ん? なんさね?」
「『今までずっと、ワシと一緒にいてくれてありがとうのぅ』」
「ヤシロ……いや、『爺さん……』」
「『これからも、一緒にいてくれるかい?』」
「『何言ってんだぃ。……そんなの、決まってるじゃないかさ……言わせんじゃないよ、……バカだね、まったく』」
「うわぁ、ノーマちゃんチョロ~い☆」
言うんじゃない、マーシャ。
俺も、普段は絶対使わない結婚詐欺の初級の初歩の練習問題みたいなテクニックを使ってるんだから。
ノーマに気分よく演じてもらうには仕方ないことなんだよ。
「アタシ、お婆さんを極めてみるさね!」
ただ、ノーマ……ちょっと心配になるから、本気で気を付けてね!
「いつかアタシも、長く添い遂げられる相手と…………くふふ」
「では、そろそろ焦らないと猶予がござらぬゎぁああああ熱っ、熱いでござるぅぅうう!」
だから、学習しろよ、ベッコ。
火球が飛んでくるんだから、そーゆーこと言うと。
……つか、今の、火球というより、火柱だったよなぁ。
あとがき
スイートと聞くと真っ先にポテトが思い浮かぶ、宮地です。
宮地「お~ぅ、すうぃ~と♪」
というわけで、
みんなでスイートルームにご宿泊です!
小さいころは「すっごい甘いお部屋なんだろうな~」と思っておりましたが
SweetではなくSuiteだそうです。
意味は……まぁ、「なんかいい感じの~」とか、そんなんじゃないんですかねぇ、知らんけど!
とりあえず、ベッドルームとリビングがついてるような
ハイクラスのお部屋です。
アメニティもワンランク上の高級感!
冷蔵庫の中の飲み物もハイクラス!
水しかないような部屋と一緒にしないでください!
ビジホとか行くと水すらないですからね!?
いや、北海道行った時、ホテルの部屋にお水がなくて
自販機でピーチネクター買ってきましたからね。
寒い北海道で、キンキンに冷えた自販機のピーチネクター……
うまー!(゜▽゜)
まぁ、割りかし部屋はどんなんでも楽しめちゃうんですよね☆
ただ、私、実は……
スイートルーム、泊まったことがあるんです!
(≧▽≦)イヤン、リッチ!
最初は、東京の海辺にあるホテルで、
普通のお部屋を予約したんですが、フロントで
フロントさん「ちょうど空いているので、ランクアップしてみませんか?」
みたいなこと言われて、
お値段そのままで、スイートルームに部屋を変更してくれたんです!
なんか、たまにあるらしいですね、
お部屋のグレード上げてくれること。
ホテル側の親切か――
あの日、ホテルマンの誰かが密室トリックを使ったか……
コ○ン「あなたはあらかじめ、307号室の宿泊客を『グレードアップしてやるぽ~』などと言って誘い出し、307号室を空にしたんだ!」
とかなんとか、
きっとあの日の夜にあったのでしょう。
よかったです、巻き込まれなくて
私は平和に過ごし、レストランで美味しいディナーをいただいて――
コ○ン「待ってください、みなさん! 犯人は、この中にいます!」
宮地「いゃん、巻き込まれた!?」
危ない危ない。
うっかり夕飯も食べられませんね、このホテルは!
あぁ、そうそう!
そうですよ、そうです!
そのグレードアップしてくれた時って、
たしか書籍版『異世界詐欺師』の発売目前で、
スイートルームの執務室に置いてあったメモ帳に
エステラぬりかべの落書きしたんですよ(笑)
懐かしいなぁ~(*´▽`*)
で、ですね、
実は私、以前からずっと、
一度は泊まってみたいな~っていうホテルがありまして――
その名も、ホテルミラコスタ!
ご存じない方のために、
ホテルミラコスタというのは、千葉にある夢の国の海の方
そのパーク内にデデーンと存在するホテルなんです。
パークの風景の一部!
そのホテルに宿泊できるんです!
初めて知った時は「え、あそこ泊まれるの!?」とクリビツ・テンギョーしたものです。
で、まぁ、
部屋によってピンからキリまであるのですが、基本的にお値段はお高め。
それでも物凄い人気で、まぁ、予約が取れない!
三ヶ月前くらいから予約が開始されるんですが、開始直後に満室になるくらいの大人気ホテルなんです。
日本で予約が取れないホテルのトップ10には入ってるんじゃないかってくらい
競争率が激しいホテルなんです。
それもそのはず、
そのホテルは、部屋の窓からパーク内が見渡せるんです!
エントランス入ってすぐの港町とか
シンボリックな巨大な火山とか
ショーをやってる海(湖?)とか
そーゆーのが部屋から見られるんです!
(※部屋によってパーク内は見えず、駐車場しか見えないところもあります)
で、そこに泊まりたいな~っちゅうことで、
夢の国に詳しい人にお願いしてホテルを予約してもらったんです。
仮にこの方を、夢の国の使者、『夢使』と書いて『ユメシ』と呼びましょう
宮地「ねぇねぇ、ゆめっつぁん」
ゆめっつぁん「ユメシって呼ぶんちゃうんかい!?」
宮地「ミラコスタ泊まりたいよ~。一番安い部屋でもいいから~」
ゆめっつぁん「逆に、安い部屋の方が早く埋まるんだよ」
宮地「マジか!? 窓の外、駐車場でも?」
ゆめっつぁん「埋まる埋まる」
宮地「窓の外、墓地でも!?」
ゆめっつぁん「ねぇよ、そんな部屋」
宮地「窓の外、女子従業員更衣室でも!?」
ゆめっつぁん「そこは秒で埋まる」
そっかぁ……
確かに、レストランとかお土産屋さんとか
部屋以外にも楽しいところいっぱいあるんですよ、ミラコスタ。
しかも、ミラコスタに宿泊すると、開園時間より早くパークに入れたり、
ミラコスタ専用ゲートで入退場できたりとお得がいっぱいなんです!
そりゃ、埋まりますよねぇ……
ゆめっつぁん「逆に高い部屋は埋まるの遅いよ(誤差の範囲だけど)」
宮地「マジで!? けど、お高いんでしょう?」
ゆめっつぁん「一泊50万」
宮地「ふざけるな!? そんだけあったらベックスコーヒーのカレーが二杯は食えるわ!」
ゆめっつぁん「いや、もっと食えるけど!?」
宮地「だって、お腹いっぱいになるし……」
ゆめっつぁん「一回の食事で、なの!? じゃあ無理だね!?
私、結構小食なので
「牛丼100杯食えるじゃん!」とか言えないんですよねぇ
ゆめっつぁん「ちなみに、このスイートならそこそこお手頃価格で予約取れるぞ」
宮地「マジ!? じゃあ、取って!」
という感じで、頑張れば払えるランクのスイートに泊まってきました!
もうね、すべてがラグジュアリ~
アメニティも、布団もカーペットもカーテンまでも!
みんなハイクラス!
そして、ウェルカムフルーツがすっごい飾り切りで、食べるのがもったいないくらい!
食べましたけども!
あぁ、そうそう!
そのフルーツ、
ホテルマン「食べる時は呼んでください。皮を剥きに伺います」
って、ビックリなサービス付き!
剥きに来てもらいました(*´▽`*)
で、その日はパークに入らずに、チェックインからチェックアウトまで
ずーっと部屋にいてやりました
ホテルから一歩も出ず!
いいんです、パークは、いつでも行けますから。
私のお部屋は、火山の真ん前で、ヴェネチアっぽいゴンドラのそばでした。
(分かる人には分かる!)
その部屋で、
ずっとパークで遊ぶ人たちを眺め、ショーをお部屋で見て、
閉園時間には、帰っていく人たちに手を振ってお見送りしました
あの日、あの部屋で手を振ってたの私ですよ~!
この中であの集団の中にいた人いますか~!?
(≧▽≦)/わーたーしーだーよー!
窓から手を振るのはお約束みたいで、
もし、夢の国の海の方へ行く機会がありましたら、
閉園時間ごろに帰る際は
是非、ホテルを見上げてみてください。
みんな手を振ってますから☆
で、翌朝。
……パーク内を軽トラが走ってました(・_・;
準備に奔走するスタッフ
しっかりと清掃するスタッフ
朝早くから、みなさんがとっても頑張っていて感動しました
で、キャラクターたちがショーの練習してたんです!
(≧▽≦)
音は鳴ってませんでしたが、船に乗って湖の上を移動して
ダンスの練習してました
かわヨ☆
Mッキー「今日の練習始めるぞ」
Mニー「お客さんには、最高の笑顔をプレゼントしないとね」
Cップ「リーダー! こいつがさぼってま~す!」
Dール「ちょっ、バカ!? 嘘ですよ! 真面目にやってます!」
Gーフィー「お前ら、ふざけていると怪我するぞ!」
Dナルド「まったくだ。二年前のアノ事故みたいなのは、もう御免だぜ」
Dィジー「ちょっと! やめなよ!」
Pルート「アノ事件……やっぱり、アレは事故なんかじゃなくて――!」
Mッキー「バカ野郎! アノ事件のことは口にするなって言っただろう!」
Pルート「……す、すみません」
宮地「なんか、ジッちゃんの名にかけちゃう高校生探偵が食いつきそうな話してるぅ!?」
そんなことが、
開演前のパーク内では行われて――
ぴぃ~んぽぉ~ん……
おや?
誰か来たようだ……ガチャ
黒服「どうも、千葉の方から来ました。あなた……ちょっと知り過ぎちゃいましたね?」
宮地「イイエ、ナニモ見テナイデス」
黒服「なんというホテルに宿泊されたんでしたっけ?」
宮地「ミラコ……いえ、たしか、ヒザポスター、そう、ホテルヒザポスターです」
黒服「ヒザポスター……ですか」
宮地「はい。なんか、部屋中にヒザのポスターが貼られていました! フロントにも! 大浴場にも!」
黒服「それは間違いなくホテルヒザポスターですね。何県にあるんでしょう?」
宮地「チば……」
黒服「『チ』?」
宮地「ちば、らぎ……」
黒服「チバラギ?」
宮地「いえ、茨城です。ちょっと風邪っぽくて」
黒服「あぁ、それで、ちょっと言葉が聞きにくかったんですね」
宮地「えぇ、すみません」
黒服「では、千葉とは何の関係もないですね」
宮地「ないですないです!」
黒服「では、お邪魔しました。……くれぐれも、おかしなことはお話になられませんように」
宮地「……はい」
いやぁ、いいところでしたよ、ホテルヒザポスター!
皆様も、機会があれば是非宿泊してみてくださいね、ホテルヒザポスター!
……どきどき。
金○一「二年前、ここで一体何があったんだ!?」
宮地「いやぁああ! こんなタイミングで、二年前の事件に食いついちゃってるぅ!?」
金○一「犯人は、この中にいる!」
宮地「今はちょっと我慢して!」
金○一「ジッちゃんの名に――」
宮地「ジッちゃんの名にかけるのもまた今度!」
世の中には、知らない方がいいこともあるのです……黒服怖いわぁ……
次回もよろしくお願いいたします。
宮地拓海




