報労記18話 誇りと絆と
女神の瞬きを終え、船はさらに先へと進んでいく。
範囲の終わりにも、似たような風車が建っていた。
「つくづく歪な形してるな、精霊神の保護範囲は」
何を基準に範囲を決めてんだか。
「あぁ、もう終わっちゃたのかぁ。ヤシロとも話したかったなぁ」
デリアがこちらへ駆け寄ってくる。
向こうは向こうで、なんか耳馴染みのない言葉で盛り上がっていたようだったけど。
「ネフェリーの言葉、面白いんだぞ~。なんか『コッコ、コッコ』みたいな感じでさぁ」
「そんな変なのじゃないもん! もう、ヤシロ、デリアの話信じないでね?」
いやぁ~、物凄い信憑性の高い話だったけど。
むしろ、信憑性の固まり。
「みんな、あんな感じの言葉使ってたんだねぇ。あたしのはどんな風に聞こえたのかな?」
「パウラの言葉はねぇ~」
なんて、今起こった出来事の話でまた盛り上がり始める。
耳で聞いた言葉をそのまま口にすれば、少し違和感のある片言言葉で聞こえる。
ジネットがよく聞き返してくる感じに似てるな。
「『らーめん』ってなんですか?」みたいな。
で、その言葉の意味を知ると、今度から普通に使えるのか。
……じゃあ、なんでいまだに『パイオツ・カイデー』は『笑顔が素敵』と翻訳されないんだよ。
実際使われてる言語じゃないから?
いや、もういいだろう。ジネットがそーゆー意味で発してるんだから!
いつまで引き摺るんだよ、精霊神!
……お前、いつかそれをネタに俺を脅す気じゃないだろうな?
なんて腹の黒い……ろくでもないヤツだ。
「ジネット」
「はい?」
「精霊神様のお好きなお供え物って何かな? たまには感謝の気持ちを形にしようかと思うんだけど」
人はこれを、賄賂と呼ぶ!
「それは素晴らしい考えですね」
「いいや、ジネットちゃん。アレは、後ろ暗いことがあるから賄賂を渡して有耶無耶にしようって顔だよ」
「失敬なことを言うな、エステラ。どこにそんな証拠があるんだ!」
「じゃあ、なんでそんなに思いっきり顔を逸らしているのかな?」
後ろめたいからですけどなにか!? それがなにか!?
そうだ、話題を逸らそう。
俺が意味を把握して使えば、ジネットの使っていた言葉もちゃんと翻訳されるはずだ。
試しに使ってみよう。
「さてぃあ・ジネット」
「へぅっ!?」
伝わるかと思ったのだが、ジネットの反応を見るに、ちゃんと翻訳されなかったっぽいな。
自分の使う言語を俺が使ったとバレたみたいだ。
「……発音は合っていますが……、わたしは『ミスター』ではありませんよ?」
あぁ、「さてぃあ」は「~さん」じゃなくて「ミスター」って意味だったのか。
「ミスター・ジネット」って言われたら、そりゃ驚くよな。
「そっか。ちょっと使ってみたかったんだが」
「ふふ。その気持ちは分かります。わたしも、パイオツ・カイデーを使ってみたくなりましたから」
精霊神さまぁ!?
可及的速やかに調整お願いできませんかねぇ!?
何か甘い物でもお供えしますんで!
モナカとか、好きっすか? 開発しましょうか!?
なんかねぇ、言われる度に心臓が痛いんっすわぁ、まじで!
「つか、ジネットはいつも俺を『ミスター・ヤシロ』って呼んでたのか」
「いえ、形式張った表現ではなく、あの……もっと身近な……親しい男性に使う敬称というか、呼称、なんですが……」
親しいとか身近って言って照れないでくれるかね。
抱きしめるぞ。
ってことは、日本語で言うと「~君」とか、その辺かな。
「ちなみに、それの女性版はなんて言うんだ?」
「えっと…………『ちゃん』です」
……『強制翻訳魔法』?
今は翻訳する時じゃないって分かんないかな?
ばっちり翻訳されて聞こえるんだけど?
「ジネットちゃんはこの街の生まれだからね。確実に翻訳されて伝わると思うよ。別の国から来た人の言語は、しばしば翻訳されないまま伝わることがあるけどね」
「つまり、俺はこの街にいる限り、ジネットやお前が使う言葉は勉強できないってわけか」
「おそらく、無理だろうね」
「それは残念ですね。ヤシロさんに覚えていただければ、温泉に行ってもお話できるかと思ったのですが」
そういえば、温泉も言葉は通じないんだっけ?
「ちなみに、ジネットはエステラやロレッタの話した言葉は聞き取れたのか?」
「はい。エステラさんの言葉はわたしの使う言葉と同じでした」
「オールブルームの言葉だからね」
――の割には、聞こえ方が違ったけどな。
エステラのはかっちりと整った感じで、ジネットのはもっと丸く柔らかい感じに聞こえた。
方言とか、話し言葉の差かね?
「~であります」と「~なのよ」が同じ意味として理解できるような…………うん、分からん。
「あ、でも、ロレッタさんの言葉は分かりませんでした」
「獣人族の祖先たちは、もともと別の場所で暮らしていて、この街にやって来た移民だからね。きっと、母国の言葉を使っているんだよ」
なるほどね。
「つまり、エステラはリカルドやゲラーシーと『強制翻訳魔法』の範囲外でもおしゃべりが出来るんだな」
「さぁ、たぶん無理なんじゃないかなぁ? 聞き取れても聞こえないふりするだろうし」
それは、お前のさじ加減一つだろうに。
「ヤシロさんの故郷の言葉は、いつも思いますけれど、響きが可愛いですよね」
いつもそんなことを思われていたのか。
ラーメンとか肉まんとか麻婆豆腐がか?
「まぁ、発言内容は聞くまでもなくくだらないことだっただろうけどね」
「ん? 聞きたいか?」
「刺されたいなら言ってみるといいよ」
やっぱり、言語が分からなくても正確に内容を把握していたらしい。
「お前のおっぱいセンサー、敏感過ぎねぇ?」
「やっぱりそんな話をしていたんだね……」
「え、誰のおっぱいが敏感やって!?」
「こんな会話の時に、突然現れないように!」
背後に迫り来るレジーナを押しのけるエステラ。
そっかそっか、敏感なのか。
「すごぃ、ね……」
「待って、ミリィ! 誤解だから! というか、こっちの二人が騒いでるだけだからね!」
「ぇ……っと、ぁの、みりぃ、海のこと、言った……んだけ、ど?」
「え…………あ、うん。すごいよね、海」
一人で暴走して、ミリィを困らせるなよ。
「まったく、エステラは。いつまでもおっぱいの話して」
「困ったもんやなぁ」
「すみません、桃色な領主で……」
「君たちの責任だよ! で、さらっと混ざってこないで、ナタリア!」
照れ隠しなのがありありと分かる大声を上げて、エステラがナタリアに飛びかかる。
じゃあもう、気が済むまで向こうでじゃれてろ。
ただし、海には落ちるなよ。絶対落ちるなよ?
「広いですね、海」
「ぅん」
そして、心の綺麗なチームは心の綺麗な話を再開する。
なので、俺も参加しておこう。心が綺麗なチームの一員として。
「眺めていると、心が洗われるようだな」
「そら大変やわ。海の水、桃色に染まってまぅわ。汚染物質、垂れ流したらアカンで?」
「ちょっと、こっち心が綺麗なチームだから、入ってこないでくれる?」
「ん~? ウチは自分と同じチームやと思うけどなぁ~」
ちっ、レジーナが引き剥がせない。
「きらきらで、綺麗だったり、言葉が通じなくなったり、すごいことがいっぱい起こるのに、今はこうして静かで雄大で……海って、すごいなぁ、って」
ミリィは初めて見る海に甚く感動しているようだ。
「乗せてくれてありがとう、ね。まーしゃさん、るしあさん」
「うん☆ ど~いたしま――」
「よし、もらって帰ろうか!」
ズズイっと割り込んできたルシアを、マーシャが無言で突き飛ばす。
手すりを越える勢いで、海の方へ。
「危なっ!? マ、マーたん、冗談が過ぎるぞ!?」
「べ~つにぃ~☆」
いや、『別に』は加害者が言う言葉じゃねぇよ。
「世界は広いですね……」
と、カンパニュラが海を眺めながら言う。
「三十五区のすごく狭い世界の中しか知らず、自分の限界に悩んでいた自分がとても小さく思えます」
閉じた世界ってのは、人の心を追い詰めてしまうことがあるからな。
一歩踏み出し、外の世界へ目を向ければ、絶望しかけていた悩みが取るに足らないことだったと思えるようになることもある。
「私、もっといろいろな景色が見てみたいです」
「あぁ。その目に焼き付けるといい」
お前くらいの年齢なら、可能性なんてもんは無限大なんだから。
「その時は、是非一緒にいてくださいね。……私は、人より少し臆病で寂しがり屋ですから」
控えめなおねだり。
「連れて行け」ではなく「ついてきてくれ」ってのがカンパニュラらしい。
「じゃ、そん時はみんなで一緒に、な」
「はい。ジネット姉様たちにもお願いをしておきますね」
その必要はないと思うぞ。
お前の隣でにこにこしてるからな、ジネット姉様が。
太陽はあっという間に高く昇り、黄金色だった海は青い色を鮮やかに広げていく。
確かに、こんな景色そうそうお目にかかれない。
まさに、「死ぬまでに一度は」って絶景だ。
こりゃクルージングは大ヒットするだろうな。
「まったくもぅ、ナタリアは……」
不満顔全開で、俺たちの前へと戻ってくるエステラ。
「よぉ、チクチラ」
「エステラだよ!」
「今のが名前をもじったギャグやって、よぅ分かったなぁ、領主はん」
「ヤシロの考えてることなんて、顔を見てれば分かるよ」
真正面に立って、俺の鼻を人差し指で「ぷしっ!」っと押してくるエステラ。
てめっ、アッスントみたいな顔になったらどうする!?
「それから、レジーナ? ……忘れてない、よね?」
「……なんのことやろか?」
「『領主はん』じゃなくて……?」
「…………え、エステラはん」
「よろしい」
今回、レジーナは全員を名前で呼ぶことになっている。
それが一番難しいようで、レジーナはいちいち身悶えている。
「あぁ、もう……イケズやわぁ、チクチラはん」
「エステラだよ! 何回言わせる気だい?」
「そんな何回も言わんでえぇよ。ただ、あと十回は『チクチラ』って言いたい!」
「領主権限でそのワードを禁止するよ。乗船中ずっとね!」
うわ~、でたわぁ。
貴族の横暴。理不尽。権力の大鉈フルスウィング。
怖いわぁ。
「それにしてもさ、ミリィじゃないけど、感動したよね。日の出もそうだけど、洞窟の中でさ」
「ぅん。きらきらして、綺麗だった、ね」
「はい。私も感動のあまり言葉を失いました」
洞窟を出る間際の光の乱反射を思い出し、エステラ、ミリィ、カンパニュラが瞳をきらきらと輝かせる。
無、微、未の三人が。
「ミリィの圧勝だな……」
「も、もぅ、てんとうむしさんっ!」
「ダメですよ、ヤーくん!」
「…………」
「エステラ、エステラっ! 無言で刃物を抜くのはやめろ。マジで怖いから」
なんでエステラはあんなに心が狭いんだろう?
やっぱり許容量の問題かなぁ。
「エステラの胸も、もうちょっと大きくなればいいのに」
「………………ありがと」
「お礼言ぅんかいな……」
レジーナが苦笑を漏らす。
レジーナに呆れられるとか、人類として終わってるぞ、エステラ。
「まぁでも、あれは見事なもんだったよな。ワシも驚いた」
「ワタクシの目を奪うなんて、そうそう出来ることではありませんのよ? 大したものでしたわ」
超絶上から目線のイメルダが父親を引き連れてやって来る。
二人でしっかり家族の絆を深めてきたのだろう。
いや、家族三人で、かな。
「でも、なんであんな現象が起こったんだろう? ……まさか、ブロッケン現象?」
「全然違うだろうが……」
あのな、エステラ。
ブロッケン現象って『なんか不思議なことが起こる謎空間』を発生させるものじゃないから。
割としっかり説明したのに、まるで理解していないようだな、こいつは。
「洞窟の壁に宝石でも埋まってるのか?」
「ぴんぽんぴんぽ~ん! だいせ~か~い☆」
マーシャがパチパチと手を叩き、自慢げにあそこらへんの地質について説明をする。
「あの辺の土、どうやらいろんな鉱石が混ざってるみたいだよ。それが、波で削られて、磨かれて、きらきらした面を岩肌に露出させてるみたい☆」
あり得ねぇよ。
いろんな宝石が同じ場所にって……
しかもそれがうまい具合に露出して、きらきらして、あの美しい光景を生み出したって?
そんなもんが実際起こったのだとしたら、そんなのは…………いや、それを認めるとなんか癪なので口にはしないけども。
「まるで、奇跡のようですね」
……くっ。
俺が飲み込んだ言葉を、ジネットが言ってしまった。
「そのような偶然が重なり、あの美しい景色が誕生したのだとすれば、それはもはや、奇跡と呼ぶに相応しいこと――ですよね?」
で、なんで俺に同意を求める?
知らねぇよ、精霊神の考えてることなんて。
「大方、どっかで万華鏡でも見てマネしてみたくなったんじゃねぇの?」
「わぁ、これ綺麗だなぁ~。よし、街を使って再現してみよう!」とか?
思慮が浅いくせに行動力だけは凄まじい、精霊神にぴったりの暴走具合だな。
「まんげきょう……って、なんですか?」
おぉっと、そうか。
この街にはないよな。
なにせ、綺麗なガラスや鏡がバカ高いのだ。それを使ったオモチャとか、なかなか思い切れないよな。
「俺の故郷にあったオモチャで――」
「それがあれば、あの美しい景色のようなものが見られるのかい!? よし、作ろう! すぐに作って四十二区で売ろう!」
「ちょっと待つのだ、エステラよ!」
「四十二区でやるクルージングのお土産にすれば、きっと多くの人が買ってくれるよ! 外資、ゲットだぜ☆」
「待てと言っているのだ、エステラよ! それよりも先に、三十五区の港を…………カタクチイワシ! エステラより先にこちらだからな!」
そんな泣きそうな顔ですがってくるな……
……ったくもう。
「エステラ」
「なに?」
「歪みのない美しい鏡と、薄くて丈夫なガラスが必要になるぞ」
「えぇ……なんだか、随分とお金がかかりそうなんだけど……」
万華鏡ってのはそういうもんなんだよ。
「ガラスと鏡であれば、私の方が入手しやすそうだな。エステラより長く領主をやっている分、三十三区との繋がりもそれなりにはあるしな」
「ルシアさん、是非ご協力を!」
「三十五区の港の問題解決に協力してくれるのであれば、な」
「もちろんですよ。ヤシロもやる気になってますし」
勝手なことを抜かすな。
やる気なんか出てねぇっつーの。
ただ、なんとかなりそうな案があるだけだ。
「ギルベルタ。三十五区の港の地図を描けるか?」
「任せて、言う、私は。頭に入っている、三十五区の地理は、すべて!」
腕まくりをして、ギルベルタが部屋へ向かおうとする。
ので、それを止める。
「ちょっと待て、ギルベルタ」
「なに? と、問う、私は」
「マーシャ。ここで話を詰めるか?」
「ん~……そうだねぇ……お日様も昇ったし、食堂で朝ご飯にしようか☆」
日の出も見たし、少し肌寒いし、いつまでも甲板にいてもな。
「では、お食事の準備をしましょう!」
「あ~、ごめんねぇ、店長さん。朝は、ウチの娘たちが網焼きを用意してるの~」
「そうなんですか? すみません、なんだかクセで……」
このメンバーで食事っていうと、いつも「じゃあジネット、よろしく!」って流れが多いからな。
今日もそのつもり満々でいたのだろう。
「ごめんね。でも、お昼と夕飯は相談させてもらってもいいかな? 食材は厨房にいろいろ積んであるから」
「はい。よろこんで」
船での調理が楽しみだと言わんばかりの弾ける笑顔。
旅行に来てまで仕事をやりたがらんでも……
そして、ここにももう一人。仕事をしたがるクマ人族が。
「はいはいはい! 昼はさ、みんなで釣った魚にしないか?」
「でしたら夕飯にした方がいいかもしれませんね。日中はみなさん思い思いに過ごしたいでしょうし」
魚を用意するとなれば、釣りをする時間を設ける必要がある。
飯を食ったら自由時間になる。
釣りたいヤツは釣りをして、そうでないヤツは好きなことをして過ごせばいい。
釣った魚を食うなら、遊んだ後で釣りをすればいい。
最悪、マーシャに言えば人数分の魚くらいすぐに取ってきてくれるだろう。
「じゃあ、夕飯な!」
「だったら、お昼は何にするですかね?」
「……陽だまり亭一同で意見を出し合うべき事案」
「いつものお食事も美味しいですが、海の上ならではのお料理もよいのではないかと思います」
陽だまり亭一同が腕を組んで頭を捻っている。
朝食前に昼食に悩むなよ。
海の上ならではってのは、このあと網焼きをするから特に気にする必要はない。
でもそうだな。どうしてもと言うのなら――
「鯛の炊き込みご飯」
「――っ!?」
ジネットの視線がこちらを向き、俺に照準を合わせてロックオンしてくる。
「魚介の旨みが染み込んだ飯に、ほぐした鯛の身を混ぜ、わさびと三つ葉と刻み海苔を添え、だし汁で出汁茶漬けに――ずず……っ、はふはふっ、……美味い!」
「お昼は鯛茶漬けにしましょう!」
「あたしもそれ食べたいです!」
「……最初はご飯を、次にほぐした身と一緒に、最後にお茶漬けにするべき」
「では、一人あたり三杯は必要ですね」
「じゃあ、ウチの娘たちに言って、大きな鯛を用意させておくね~☆」
これから獲りに行くんだろうか。
そりゃあ、贅沢だ。
「マーシャさん、お米はありますか?」
「あるよ~☆ 詳しくは、厨房にいる料理人に聞いてね~☆」
「ヤシロさん、わたし、一度厨房へお邪魔してきます!」
「……マグダも付き添う」
「あたしも確認しに行くです!」
「では、私もお邪魔にならないよう、お供いたしますね」
ちゅーわけで、甲板を離れて、俺たちは船の中へと移動した。
陽だまり亭一同が揃って厨房へ入っていき、俺も続こうかと思ったところで、両腕をがっしりと掴まれた。
職人どもに。
「――で、ヤシロは何を作るつもりなんさね?」
「え? あぁ、鯛茶漬けに合う汁物を――」
「そうではなく、三十五区の港に、ですわ」
「オイラ、詳細が聞きたくてウズウズしてるッス!」
「拙者も然り!」
「ウチは、なんかよぅ分からへんけどムラムラしとるなぁ」
「よし、レジーナは帰れ」
ムラついてんじゃねぇよ。
「まぁ、そんな大した話じゃないんだが――」
古代ローマの皇帝は、人々の心を惹きつける力と、自然界をもその手で作り変えてしまうほどの強大な権力を広く誇示するために『ソレ』を作らせた。
かつて栄華を誇ったローマ帝国を語る上で外せないもの、それは優れた技術で生み出された水路。
その水路の終端に設けられた、ローマ帝国を象徴するといっても過言ではないモノ――
「噴水を作ろうと思ってな」
ポンプなんてものがなかった時代。
水は高いところから低いところへ流れるだけのものだった。
しかし、そんな物理法則に反し、低いところから高いところへ吹き上がる噴水は、当時の人間の目にはさぞ衝撃的な事象として映っただろう。
まぁ、あの時代はカスケードっていう、小さな滝が連なる階段状の噴水も多く存在したらしいが。
シャンパンタワーみたいな感じで、水が上から順々に流れ落ちていくヤツな。
けどやっぱ、噴水っていえば下から上へ噴き上げないとな。
「……ふん、すい、ッスか?」
おや、ピンときていない感じか?
「噴水って、知らないか?」
「オイラはちょっと……エステラさんやルシア様は知ってるッスか?」
「ボクも聞いたことないなぁ」
「私も知らぬな」
ってことは、この街には噴水はないのか。
だとすれば、この街に初めて誕生する噴水ってのは、見る者の度肝を抜くことが出来るだろう。
「ハビエルは何か知ってるッスか?」
「領主様が知らないようなもん、ワシが知ってるわけがないだろう」
「レジーナは? 君なら、なんでも知っていそうだけど」
「イヤやわ、りょ……エステラはん。そんななんでもは知らへんって。ウチ、周りの人から一体どんな目ぇで見られてんのやろ?」
「汚物を見るような目だが?」
「ほぉ~、奇遇やなぁ。ウチも同じ目ぇで自分のこと見とるわぁ」
お前にそんな目を向けられる謂われはねぇよ。
で、レジーナも噴水は知らないのか。
ってことは、これってかなりすごい発見だったのか? やるなぁ、古代のローマ人だかギリシャ人だか知らんが。
「ん~、説明は難しいんだが、水が噴き出す石像みたいなもんだ」
まぁ、おそらく大きく間違ってはいまい。
女神や英雄の石像を作り、その周りから水を噴き出させて泉を作るのだ。
「水が吹き出る石像……って、イメルダさんのところのセクシービームみたいなやつッスか?」
「お前、どこから水を噴き出させるつもりだよ……」
このエロキツネめ!
木こりギルド四十二区支部完成記念イベントの際、四十二区の職人たちが総出で作り上げたイメルダの巨像。
その巨像には光るレンガのギミックが仕掛けられており、なんと、おっぱいの先端からまばゆい光線、セクシービームが発射されるのだ!
で、ウーマロはそれを想像したってわけだ。……まったく、何かにつけておっぱいと関連付けやがって。
でもそれってばとっても名案☆
「よし、その方向で考えてみよう!」
「こら、そこのバカ大工。お前のせいでヤシロの変なスイッチが入っちまったさね。責任取りな」
「セクシービームは、聖なる光線ですわ」
「イメルダ氏、あの巨像に関しては、一切否定的なこと言わないでござるよな。気に入っていただけていると思えば、誇らしくもあるでござるが……」
イメルダのところに建てた巨像よりかは、大衆浴場の彫刻の方が近いかもしれない。
「人魚たちの誇りに訴えかけるような像を造って、その周りを水で満たすんだよ。そこに、誰も見たことがないような仕掛けを仕込んでおく。そうすりゃ、誰の目にもはっきりと分かるだろうぜ。『あぁ、人魚ってのはすげぇんだな』ってよ」
そんな感情を三十五区の領民が持つようになれば、そして、そうなるための巨大な噴水が三十五区の顔である港に出来れば――
「ここの領主は、本当に人魚のことを大切に思ってくれてるんだって、どんな人魚にだって分かるんじゃないか?」
かつて敵対していた人間の街。
そこに、自分たちを讃えるようなものが建設された。
どんなに時代が流れようと、噴水はそこに残り続ける。
それは、代替わりしようが、変わらずよい関係を維持していきたいというメッセージにもなる。
「一つ裏を明かすなら、人魚がその噴水を大切に思ってくれりゃ、他国が港を襲撃するのを防ぐ手伝いをしてくれるんじゃねぇかなぁって下心も存分に含んでいる」
人魚はきっと、自分が気に入ったものを全力で守ってくれる。
四十二区を守るために『陸上オーシャン』なんて無茶を突き通したマーシャみたいに、な。
一人の領主を潰すためだけに、海を箱に詰めて陸上へ持ち込んじまったんだからよ。
「で、そのモチーフを決めるために、マーシャには話を聞かせてほしいんだ」
人魚たちの英雄か、はたまた女王陛下か。
俺たちは人魚の生態や生活をほとんど何も知らない。
その辺を教えてくれないかと、マーシャを見ると――
「……確信できる。もし、そんなものが誕生したら――私たちは、きっともっと人間たちを好きになる」
うっすらと瞳に涙を溜めて、微笑んでいた。
やっぱ、人間に対しては、いろいろ思うところがあったんだろうな。
「あぁ……よかったぁ」
目に溜まった涙を誤魔化すように、マーシャは食堂内のプールの中でくるりとこちらに背を向ける。
「大きなホタテとか言い出したから、どんなものが出来るのかって、はらはらしちゃったな☆」
「ホタテにすることも可能DA・ZO☆」
「そしたら、人魚は寄りつかなくなると思うなぁ~」
「メンズはめっちゃ食いつくけどな!」
「そんな来客はいらぬ! 余計なことは口にするな、カタクチイワシ!」
今回は必死なルシアが、マジで必死だ。
へいへい。
真面目にやるよ。
「じゃ~あ、ご飯食べながら聞かせてあげるね。私たち、人魚の歴史を」
マーシャが細長い筒をプールから引っ張り出し、それを咥えて息を吹き込んだ。
瞬間、微かに聞こえた高音とともにプールの水が振動する。
「「お食事、お持ちしました~☆」」
その途端、食堂をぐるりと取り囲むように配置されたプールというプールから、無数の人魚が現れた。
手に手に、新鮮な魚介類が入った網の袋を持って。
さっきの管、水の中に音を響かせる道具かなんかだな、きっと。
超音波でも出てるのかね。
イルカのエコーロケーションみたいに。
感じ的にはイヌ笛っぽいけどな。水中版イヌ笛。
「それでは、網を準備しますね」
「こっちには炭があるですよ!」
「……好きな席へ座って、しばし待たれよ」
「すぐに準備しますので、もうしばらくお待ちください」
ジネット率いる陽だまり亭一同が網焼きの準備をテキパキと始める。
厨房を覗きに行ったら仕事を押しつけられたらしい。
……いや、あいつらなら「何かお手伝い出来ることはありますか?」とか、自分から申し出ていそうだな。
人数が多いので、いくつかのテーブルに分かれる。
だが、みんなも話が聞きたいのか、あまりばらけずに、近場のテーブルに固まって座った。
「網焼きは各自で焼けばいい。ジネットたちも、マーシャの話を聞くか?」
「はい。マーシャさんのこと、もっと知りたいです」
「うん。聞いておいてね、店長さん」
ジネットを見れば、何があっても嫌われないって安心を得られるだろう。
ジネットが毛嫌いする人間なんか、存在しないもんな。たぶん、世界中探しても。
「え~っと、そうだなぁ……」
俺たちが席に着き、ある程度網焼きの準備が整ったころ、マーシャがゆっくりと言葉を探すように腕を組みながら、静かに語り出した。
「最初の人魚は、『女神のアワビ』から生まれたの」
「エッロ!」
「黙れ、レジーナ」
静かに語り出したんだから、静かに聞いてろ!
「えっと……今のお話のどこがエッチだったんでしょうか?」
聞くなジネット!
レジーナの妄想力がオッサンと同レベルなだけだ。
で、説明すると、たぶんなんでか俺が懺悔させられる羽目になる!
「……むぅ」
「ご、ごめんって、真面目に聞くさかい、機嫌直してんか? な?」
「名前、まだ呼んでもらってない」
「えぇ……っと…………ごめんな、マーシャはん」
「うん。特別に許してあげる」
にっと、勝ち誇ったように笑って、マーシャが続きを話し始める。
レジーナは……あ、エステラが隣に座って微かに圧をかけてる。
うん。
じゃあ、お前は黙って聞いてろ、レジーナ。
機嫌損ねたら、今晩つらいぞ。同室なんだからな。
「人魚の歴史はね、闘いの歴史なの」
そう語るマーシャ。
話を聞けば、まさに闘い、戦いの連続だった。
何十メートルもある海獣との縄張り争いに勝利し人魚の国を建国したら、今度はそこを狙って襲ってくる魔獣に新たな海獣。
多くの同胞を失う国家存続の危機が何度も訪れた。
「そんな中、英雄王が誕生するの!」
マーシャの言葉に熱がこもる。
おそらく、その英雄王ってのは、人魚たちにとっての誇りなのだろう。
「海神のトライデントを手に、無数の海獣を狩り、小さな部族に分かれて小競り合いを続けていた人魚たちをまとめ上げ、国力を強化し、出生率を上げ、人魚が生きやすい国の礎を築いたのが、その英雄王なんだよ」
圧倒的な力を見せつけ、反発する者を力でねじ伏せ、人魚たちは一つの集団へと大きく成長していった。
「昔はね、足がある者とない者は相容れないって思われてたんだって」
あぁ、分かる。
半漁人のキャルビン、見てると「相容れないわぁ~」って思うもんな。
「英雄王には足があったの。だから、尾びれを持つ人魚たちは最初彼に反発していた。『手足が四本もあるなんて、両生類のようだ』って」
海で生きていける両生類なんかいないだろうに。
……いない、よな?
でも、この世界だからな……キャルビンっていう半漁人もいるし。
「確かに、英雄王は泳ぎが尾びれを持つ人魚よりも速くはなかった。でも、彼には親友がいたの。巨大な純白の鯨――リヴァイアチャン」
「ちょっと可愛いな!?」
あれぇ?
俺の知ってるヤツの子供かなぁ!?
「可愛い?」
「いや、俺の故郷にもいた……っつーか、言い伝えが残ってるんだよ。物凄ぇデカい海の怪物で、名前はリヴァイアサン」
「ぷぷぷーっ、ちょっと大人ぶっちゃって~☆」
いやいや!
こっちからしたらちゃん付けの方が違和感マックスだからな!?
「それに、リヴァイアチャンはそこまで大きくないよ~? 精々3メートルほど」
「ちっちゃ!?」
伝説にするほどのサイズじゃないだろう、それ!?
鯨なら、そんくらいのヤツいっぱいいるだろう!?
「英雄王はリヴァイアチャンに跨がり、すべての海を制覇したの。彼が通る時、それを邪魔する者は、この広い海に一人もいなくなってたって」
圧倒的な力を見せつける英雄王。
いつしか、尾びれを持つ人魚も、彼の存在を認め始める。
「そして、足を持つ人魚と尾びれを持つ人魚は手を取り合い、この大海原を支配したの。……といっても、どこでも自由に泳げるようにしただけで、他の生物を不当に扱うことはなかったよ。精々、『逆らったら……分かるよね?★』って言って回ったくらい」
うん、その発想、今の人魚にしっかり受け継がれてるよな。
マーシャ、たまにすげぇ怖いオーラ発する時あるし。
「そして、海をまとめた英雄王は、一人の美しい人魚と結ばれた。二人の間には四人の美しい娘と、一人のちょっと残念な娘が生まれた」
「うん、そこは『五人の美しい娘が生まれた』でいいじゃん」
そんな、きっちり分けなくていいよ?
ほら、美しさって、受け取る人によって千差万別だからさ。
「四十二区でお寿司修行した四人娘の中に、キャルビンが混ざってる感じ☆」
「くっそ、残念だなぁ、その一人!」
そこまでか!?
キャルビンレベルで残念なのか!
あ、もしかして――
「英雄王って、もしかしてキャルビンみたいな顔なのか?」
「ううん。全然。頬に大きなエラが生えていたけど、目鼻立ちのしっかりとした、彫りの深い顔立ちだったって」
そりゃよかった。
キャルビンみたいな顔だったら、どんな偉業を成し遂げていようと、一切尊敬できないところだった。
「マーシャは英雄王の顔を知ってるのか?」
「あのね、海底にね、大昔の職人が彫ったっていう彫刻が遺ってるの」
海底洞窟の壁に、英雄王の彫刻が遺っているらしい。
その場所は、英雄王が息を引き取った、いわば棺のような場所なのだそうだ。
「俺が見に行くわけにも、ベッコに見せに行かせるわけにも、意味もなくベッコを海に沈めるわけにもいかないか……」
「最後の、やる意味がないでござるぞ!?」
「神聖な場所だからねぇ~、人間は入れないかもね☆」
けどまぁ、モチーフはその英雄像がいいかもな。
マーシャの話し方を見る限り、かなりその英雄王に好感を持っているようだったし。
「じゃあ、マーシャに特徴を聞いて、俺が書き起こして、他の人魚に意見をもらうか」
「あぁ、それじゃあ古い人魚に見せるのが一番……なんだけど……面倒くさいからなぁ、あの人……」
誰か、適当な人材がいるらしい。
出来るだけ関わりたくないってオーラが全身から出てるけど。
「でもまぁ、その辺の面倒くさい人魚が納得するような出来にならないとダメなんじゃないか?」
「うっ……それは、そうだけど………………ん~……ちょっと、保留で」
かなり、会いたくない相手らしいな。
まぁ、その辺はマーシャに任せるけど。
若い世代が気に入ってくれりゃ、三十五区としては問題ないわけで。
「で、その美しい娘が、次の女王にでもなったのか?」
「うう~ん。残念な娘が次期女王に☆」
「歴代の女王に対して『残念』とか言うなよ……」
ちょっとドキドキしてきたわ。
「英雄王の力を色濃く受け継いで、全人魚の中で一番強かったから」
争いが絶えなかった時代なら、強い者を王へと望む声が大きくなるのも当然か。
「それから年月が流れ、人魚たちは海の中で平和に暮らしていたの――ここで人間に出会うまでは」
おぉっと……ここに来て不穏な空気。
「人間が海へ出てきて、人魚を狩り始めたの。それで人魚は怒り、人間の住む陸に総攻撃をしかけた――その時、大地が抉れて出来たのが、三十五区の港だよ」
「人魚が削り取ったのか、あそこ!?」
街からかなりの高低差がある港だと思ってたけども!
もともと断崖絶壁だった場所が、人魚の総攻撃で削り取られた結果だったのか。
断崖が平地になるって……それも巨大な港が出来るほどの広範囲にわたって…………なんで人魚に敵対しちゃったんだよ、当時の人間。
「人龍に邪魔されてなきゃ、崖を全部崩して街ごと海に引きずり込んでたのにって、言われてるよ」
ごめん。よく分かんないけど、人龍、ありがとう!
「四つ巴の戦いだったんだな」
「そうだねぇ~。どの種族も、自分たち以外を認めないって感じだったみたいだし」
「でも、なんで人龍は人間を守るようなことをしたんだ? 人魚の邪魔をしてまで」
「総攻撃を仕掛けた場所に、人龍もいたみたいなんだけど、『知らん! 総攻撃!』って感じだったらしいよ~☆」
「自業自得じゃね!?」
人龍に邪魔されたというより、人間と争っていた人龍の邪魔をした立場じゃねぇか!
「それで、長々と続いた戦争で各種族が徐々に消耗していって、誰からともなく『もうやめよう』って話になったんだって」
「それは、ボクたちのよく知る歴史では、人間が持ちかけたことになっているよ。戦争をふっかけたのは人間だったからって」
それで、停戦の見返りと謝罪の気持ちを込めて、人間は敵対した三種族に人間の持つ技術を提供したのだという。
人狼には農業を。
人龍には鍛冶を。
そして人魚には造船を。
見たこともない進んだ技術を得て、三種族は大人しくそれぞれの街へと帰っていった。
二度と出会うことがないくらいに、遠く離れた場所へ。
「ところが、人魚は陸に興味を持った、と」
「うん☆ 当時の女王がね、人間と交渉して貿易をすることになったの」
当然、人魚の反発はすごかったし、人間も人魚を恐れていたので了承することはなかった。
それでも、人間の持つ技術は将来人魚たちを助けると確信していた人魚の女王は粘り強く交渉し、いくつもの譲歩をして、なんとか人間との貿易を開始することに成功した。
「武力で海をまとめ上げた英雄王に対し、それとは真逆の真心と対話で調和を図った女王のことを、後の人魚たちは『聖女王』って呼んだの」
英雄様に聖女様、か。
人魚は、その二人の王によって今の安定した生活を手に入れた。
「でもね、当時の人魚たちには、そんな女王の態度が弱腰に見えたんだよ。人間に媚びを売り、謙って、富を得ようとした誇りなき女王だって」
表立っては口にされない不満が人魚たちの中で膨れ上がっていき、ある時悲劇が起こる。
「聖女王は暗殺されるの。犯人は分かっていない……というか、犯人を捜そうなんて風潮は、あの時の人魚たちにはなかった」
人間に尻尾を振る売国女王がいなくなったのを契機に、人魚の誇りを取り戻そう――そんな思いが広がったらしい。
そうして、聖女王を反面教師として『人魚の中で最も強い者が統率者になるべきだ』というルールが定められ、それに異を唱える者はいなかった。
「人間の街を攻め滅ぼすための新たな王を決めようという段になって、人魚たちは内戦を起こした。『自分こそが王に相応しい』って。……バカだよねぇ。それで、身内で争っているうちにあることに気が付くの」
「あれ? なんか、生活苦しくない?」
「人魚たちは、長く続いた聖女王の統治下において、人間の恩恵をたくさん受けていたの。聖女王は人間に媚びを売っていたんじゃない。富を独占して贅沢をしたかったわけじゃない。彼女はただただ、人魚たちの幸せだけを願って恐ろしい人間との交渉を続けていたんだよ」
自分たちを殺そうと戦争を仕掛けてきた人間。
そんな連中と、アウェーとなる陸の上で交渉するのは、どれだけ恐ろしかっただろうか。
「気付いた時にはとっくに手遅れ。次の王は、聖女王が一身に被ってくれていた重責を、なんの引き継ぎもなくやらなければいけなくなった。中には、人間を攻め滅ぼせば技術を盗めるなんて馬鹿げたこと言う者もいたけれど、幸いにして多くの人魚はそこまでバカじゃなかった」
滅ぼして奪った技術は、いつか廃れる。
そうなった時、新たな技術を生み出せる者がいなければ、人魚はもう一度味わうことになる。
当たり前に享受していた豊かさを徐々に失っていくという恐怖を。
「それで出来たのが、海漁ギルド」
人魚の王は人間と接することを拒み、代官を立てた。
その代官は人間たちとの貿易の窓口となり、人間を観察し、技術が生み出される課程を見て学ぶため、人間たちのそばで生きることを義務づけられた。
そうこうするうち、貿易をするには人間の作ったルールの枠組みに入ることが最適だと考えるようになり、海漁ギルドが誕生する。
「人間は怖い。けれど、それを認めるのはプライドが許さない。だから『嫌い』だって言うの。自分が上だって、冷たい態度を取るの。……古い人魚たちは、そんなねじ曲がった感性で、それでも人間のそばを離れることも出来ずにいるってわけ」
その結果が、人間に対し高圧的でありながら貿易をやめようとはしない人魚たちってわけか。
「じゃあ、マーシャがいてくれて大助かりだな」
好んで人間と触れ合おうとする変わり者の人魚。
こいつのおかげで、海漁ギルドにも恩恵は行っているだろう。
何より、マーシャだからこそ、俺たちはいろいろと協力しようと思えるわけで。
「うんうん。だからね、これからもずぅ~っと、私と仲良くしてね☆」
そんな言葉を、その場にいる者たちへ向け、いつもの笑顔を見せるマーシャ。
話しにくいことを話させてしまった。
けれど、マーシャの場合は「話してもいい」と思ってくれたということだろう。
この見返りは、そうだな……
「マーシャが泣いちゃうような、すごい噴水を作ってやるよ」
やっぱ、現物をもって納得させるしかない、よな。
あとがき
えちえち!(≧▽≦)/
宮地です\(≧▽≦)
いや~、最近『えちえち』という言葉を覚えまして。
いえね、レトロゲームを紹介するゆーちゅーぶを見ていましたら、
やたらと「えちえち」って言葉が出てくるんですよ
まぁ、時代なんでしょうかねぇ
昔のゲームって、要所要所にそーゆーエッチなシーンを入れてくるわけですよ
温泉を覗ける裏技とか
シャワーを浴びようとしたら、風呂上がりのヒロインと鉢合わせるとか
必要以上のローアングルでおパンツがチラリズムしてるとか!
もう、レトロゲームの紹介動画見ていると
そーゆーのばっかり出てくるんですよ~
やっぱ、『むふふなレトロゲーム』で検索してるからなんでしょうかねぇ
(*´▽`*)>
で、そーゆーシーンを「えちえち」と表現されるんですよ
動画の主さんが
あまり耳に馴染みのない言葉だったので、
なんか耳に残りましてねぇ~
えーちーちー、えちー、萌えてるんだろぅかぁ~♪
ソレ\(≧▽≦\)(/≧▽≦)/ソレ
――と、
ここまで書いて、
あまりのしょーもなさに
書き直そうかどうか悩むこと、20分――
とりあえず残すことにしました!
まさかの採用!?
Σ(・ω・ノ)ノ!
まぁ、誰か一人にでもこの思いが届けばいいかなって☆
実は、また時間が出来たらレトロゲームでも買って
遊んでみたいな~って欲が出てきまして
とか言いながら、時間なんか出来ないんですけども
でもまぁ、ちょっと調べるくらいならね~と
あの当時の設定って、今から考えると結構ぶっ飛んでいるんですよ
当時のお約束とか満載で
「いや、そうはならんやろ!?」って展開が多くて、
ちょっと面白いんですよね(*´ω`*)
「私、広院ひろ子! ごく普通の女子高生☆」
とか言いながら、ビキニアーマーで街の中走り回ったり、
剣からビームみたいなの撃ち出したり
いやいや、どこがごく普通の女子高生!?
Σ(゜Д゜;)
え、それとも、
ごく普通の女子高生って、ビキニアーマー着て通学してるんですか!?
何県で!?
引っ越しますけど!?
令和の時代には、そんな女子高生いなくなりましたよねぇ
とりあえず、剣を振り回したり、ビーム発射したりする女子高生は見かけません。
頭に角が生えていて、主人公の帰りを待ち続ける健気な女子高生は
拳銃の弾を避けたり、電柱をパンチで破壊したり出来るそうですが
まぁ、空手の都大会で優勝してるので、それくらいは余裕ですよね(*´ω`*)
……期待が重いよ、コ○ン君( ̄△ ̄;
コ○ン君「新体操の選手なら、動いてるジェットコースターの上でアクロバティックなポーズになって被害者の首にワイヤーを引っかけることくらい、簡単だよね☆」
いや、難易度!?Σ(>Д<;)
「ミステリー作家なら、これくらいのトリックは簡単に思いつくよね☆」
くらいならまぁ、
「そんな簡単に思いつくか!(゜Д゜;)」とは思いつつも
まぁまぁ、理解しましょう
ただ、
京都の人は通りの名前を完璧に覚えているとか
お寺の歴史に詳しいはずとか
日舞くらいは踊れて当然
くらいのことは思ってそうなんですよね、あの名探偵
……私は地元の近道くらいしか詳しくないですよ(・_・;
コ○ン君「この作品の作者さんなら、真っ暗闇の中でも、おっぱいの揺れる音で被害者のGカップ美女がどこにいるかくらい、簡単に分かるよね☆」
宮地「まぁ、それくらいは余裕ですけども!」
……ふむ。
あんがい無茶苦茶的外れなことを言っているわけでは、なさそうですね。
異世界詐欺師にも、もっとぶっ飛んだ設定を組み込んでもいいかもしれませんね
どうしても、こう、なんといいますか
常識の範囲を超えられないと言いますか
「そんなヤツおらへんやろ!?」みたいなキャッチーなキャラがいな…………
……ちなみにですが、
揺れる音で巨乳美女の接近を察知する能力って、常識の範囲内ですよね?
頑張れば出来ますよね?
かめ○め波よりかは可能性ありますよね!?
よし、常識の範囲!
きっとそう!
ε-(´∀`*)ほっ
さて、本編では人魚の歴史が語られました
そんなことがあったんですねぇ~
時代は大昔
英雄王の誕生
その後、人魚の国が誕生
で、人間との戦争
和解して、聖女王が人間との貿易を開始
(きっと造船技術を見て「こりゃすげぇ」と感心したのでしょう)
そして、聖女王暗殺
そこからず~っと時代が進み
人魚が「あれ? ヤバくね?」と気付き始めてから数年後に、海漁ギルド誕生
いまいち友好的ではないにせよ貿易を続けるうち、
近海の魔獣が邪魔になり人間と人魚で魔獣海獣退治
そして海運公団誕生
この辺が数十年前ですかね
その辺でイーガレスが人魚といろいろあって、
人間に対していい感情を持つ人魚がぽつぽつ現れた頃、
我らがホタテクイーン・マーシャ誕生
(」;▽;)」< ホタテ様ー!
(」;▽;)」< ホタテの女王様ー!
う~ん……
えちえち、ですね☆(・`▽・´)きりっ
覚えた言葉は即使います!
あれでしょ?
「んご」とか言うんでしょ?
知ってます知ってます( *´艸`)
キボンヌとか言っちゃうんでしょ?
知ってます知ってます( *´艸`)
知識のアンテナを張り巡らせることは重要ですよね
どんな情報でも、いつかきっと役に立つ日が…………キボンヌが? え、マジで?
ま、まぁ!
いつかきっと役に立つ日がくるんご!
んご!
<( ̄▽ ̄)いや~、使いこなしちゃってすみません
そんなわけで、
皆様が「懐かしい」とか「古っ!?」とか感じようとも
覚えた言葉は使っていきます!
流行は巡ると言いますし
「うわ~、それ古いなぁ~」と思うようなことでも、
数年先に再ブレイクして流行の最先端になっている可能性もあります、よね☆
さぁこい、ビキニアーマー!
ビキニアーマーで街の中を走り回る女子高生が『ごく普通』な日常、カモン!
80年代~90年代初期にかけてのムフフな雰囲気、カモン!
\(≧▽≦)/待ってますぞ~!
未来を彩るノスタルジーを期待して――
次回もよろしくお願いいたします
宮地拓海




