報労記16話 乗船!
「悪いねぇ、ハビエルさんや」
「まったく悪びれてねぇ顔で、なに言ってんだ」
結局、俺は二十段も上らないうちにリタイアした。
無理無理。
なんか、一生たどり着けない気がしたもん。
そう思ったら、足がストライキ起こしやがった。
「んじゃ、ワシは他のヤツの手助けに行ってくるよ」
上ってきたばかりなのに、すぐさま階段を降りていくハビエル。
タフだなぁ。
俺を背負って階段を上ったのに、息一つ切らしてないし。
つーか、あいつが降りてったら、階段の途中ですれ違えるのか?
「上り下りの方法、改善する必要があるな」
なんとかたどり着いた甲板に腰を下ろし呟く。
「随分と楽をしておいて、何を言ってるんだい?」
先に上ってきていたエステラが呆れ顔で俺を見下ろしてくる。
アホめ。
負ぶさるってのは、それはそれでしんどいんだぞ。
おんぶのポーズは腰もヒザも曲がってるし、動いちゃダメだと思って変に力入るし、何より階段を他人に負ぶわれて上るのって、めっっっっちゃ怖いからな!?
「力み過ぎて、俺がニワトリだったら産卵してたところだわ」
「その冗談、ネフェリーの前で言うとセクハラになるから、慎んでね」
えぇ……気ぃ遣うわぁ。
「わぁ! すごい! 広ぉーい!」
「わっ、ホント広いね~!」
俺に続いて、パウラとネフェリーが一緒に上ってきた。
俺の前に行くのはあんなに嫌がったくせに、後ろならいいのかよ。
「お尻のライン丸出しだったの、見られた」
「見てないよ、そんなの!」
パウラが俺の頭をぺしりと叩く。
尻だけにって? やかましいわ。
それから、続々と乗客が上ってくる。
どいつもこいつも涼しい顔をして……個体差が酷いな、この世界は。
「すみません、お手数をおかけして」
「気にすんじゃないさよ、店長さん」
「ありがとうございます、マグダ姉様」
「……カンパニュラは陽だまり亭の仲間。助けるのは当然」
そして、懸念されていた『一人で上りきれないであろう者たち』は、一人の例外もなくリタイアしていた。
「ジネット、何段目まで上った?」
「えっと……十七段、です」
「アタシがやめさせたんさよ。船の上で動けないのは可哀想だからね」
後ろから見ててヒヤヒヤしたらしい。
転げ落ちそうで。
「で、早々にしゃしゃりでてお節介を焼いたんさよ」
「お節介だなんて。とても助かりました」
「怖くなかったかぃね? ちょっと揺らしちまったからさ」
「大丈夫でしたよ。ノーマさんは温かくて柔らかいので、すごく安心できました」
「…………柔らかいとか、言ぅんじゃないさね」
「え、どれどれ?」
「ヤシロ、突き落とすさよ?」
ノーマ、それは普通に死ぬ。
「ようこそ、海漁ギルドの豪華客船、ブルーオーシャン号へ!」
ザバッと、甲板の中程にあるプールからマーシャが飛び出してくる。
見渡せば、甲板のあちらこちらにプールがある。
あの中は、きっと全部繋がっているんだろうな。
「そこに落ちると、海まで落ちるのか?」
「まっすぐには落ちないよ~☆ でも危ないから入らないようにね☆」
あそこは、人魚が使う通路のようだ。
迷路のように通路が入り組んでいるので、海まで真っ逆さまってことはないらしい。
しかし、その通路があるために客室は少ないのだとか。
まぁ、船の中を縦横無尽に通路が張り巡らされていれば、客室に使えるスペースは限られるよな。
「ごめんねぇ~。今ある海漁ギルドの船は、海洋生物に特化してるから、陸上生物には使いづらいかも~」
「まぁ、その辺は仕方ないよ。でも、漁船に比べて床面積が断然大きいよね」
「うん。一応は、陸のお客さんをもてなすための船だからね~☆」
海漁ギルドの漁船に乗ったことがあるエステラが言うには、漁船はプールの上に板が渡してあり、人魚以外はその上を渡って移動するらしい。
床は、船へ乗り降りする甲板の一部と、船室の中くらいしかなかったらしい。
よかった、そういう船じゃなくて。
「あたいも乗ったことあるけど、この船とは全然違ったなぁ」
「デリアちゃんが乗ったのは、昔の船だもんねぇ。あの頃はもう、『人間、立ち入るべからず』みたいな造りだったから……エステラが乗った時より酷かったんだよ」
デリアが子供のころ乗った船は、甲板にもほとんど床がなかったのだとか。
……浮き輪が必要だな。
「でも、今後はクルージング用に新しい船を開発しなきゃね☆」
「それなら、オマールが張り切ってたッス。オイラたちも造船はやったことがないッスから、今から楽しみッス!」
……この街、造船も大工がやんの?
領分、超え過ぎじゃね?
まぁ、港があるのが三十五区と三十七区しかない上に、船を持ってるのは人魚だったから、陸の人間が船を作ることなんてそうそうなかったんだろうけど。
作る機会が少ないと、なかなか発展しないよなぁ。
「レジーナ。海運公団の船ってのはどんな感じなんだ?」
「……もうちょっと、階段が短ぁて、上り下りが楽やったわ……」
階段を上っただけでHPがゼロになっているレジーナ。
つか、お前はデリアにおんぶされて上ってきただろうに。
「あっちは完全に人間仕様やったね。人魚に対抗して作ったんがよぅ分かるわ。水路なんかひとっつもあらへんかったし」
「海運公団は、人魚が船に乗りたければ水槽を持参しろって態度だからね~。……何回かぶつかってやろうかと思っちゃった★」
怖い怖い。
黒い黒い。
「ギルド長。お部屋の準備が整いました」
客室の方からクルーが一人駆けてくる。
「おぉ、二足歩行の女子だ」
「うふふ~ん☆ ウチにも徐々に陸っ娘が増えてるんだよ~☆」
初めて聞くジャンルだけどな、陸っ娘。
「ニッカちゃんに憧れて、ウチに入った娘なんだよ~」
「ニッカに? ……どこか憧れるポイントあったっけ?」
「ニッカちゃん、三十五区では大人気なんだよ~? 『三十五区から人魚姫の足が誕生した』って☆」
「お前の水槽押し係じゃねぇか」
そんな名誉なもんなのかねぇ。
他にもデリアやギルベルタ、ハビエルとかメドラも押してるし……親友と給仕長とギルド長だ……意外と、押す人員選んでるのか、マーシャ?
「それはそうと、マーシャは三十五区でホタテ姫って呼ばれてるのか」
「人魚姫だよ~? 大丈夫? 水鉄砲で耳掃除してあげようか?」
貫通しちゃう!?
大惨事!
「三十五区では、ルシア姉が私のこと持ち上げてくれるから」
「いやらしい手つきで?」
「誰がいやらしいか!? 愛情たっぷりの手つきでお触りしとるわ!」
「自分で『お触り』って言っちゃってんじゃねぇか」
卑猥さを自覚してるヤツしか使わねぇよ、『お触り』なんて言葉は。
「そうじゃなくて、待遇の話」
「いや、まぁ、分かってっけどさ」
そんな膨れっ面しなくても。
悪かったよ。ちょっとウィットに富んだ小粋なジョークを挟んでみたかっただけなんだよ。
「領主が大切にしている人魚姫の運搬係になったから、ニッカは憧れの的になったのか」
「それに、ニッカちゃん可愛いし、言動もまっすぐで好感持てるし☆」
「俺は、会う度に悪態つかれてるけどな」
「そ・れ・は、ヤシロ君に対してだけだよ~☆ 特別な男の子なのかもね~☆」
「やめてくれ。それだと、あのイモムシと同列みたいで、すっげぇ~ヤダ」
ニッカの特別は旦那のカールだけでいいだろう。
「あ、あのっ、ギルド長……今、『ヤシロ』……と?」
と、クルーだという二足歩行女子が俺を指さす。
「そうだよ~☆ 彼がアノ、オオバヤシロ君だよ~」
「あの御高名なカタクチイワシ様にお会いできるなんて! 感激です!」
「うわぁ……褒められてんだか小馬鹿にされてんだか分かんねぇ」
そんなけったいな名前で御高名になった覚えはねぇわ。
「ニッカ先輩がいつも『ろくでもない男デスネ』と噂されていますよ!」
「めっちゃ悪口言われてんな、俺」
『いつも』なのかよ。
「いえいえ、もちろんいい意味で、です!」
「だとしたら、お前ら全員、言葉の意味を調べ直してこい」
ろくでなしに、いい意味なんかないから。
「尊敬に値するろくでなしだとおっしゃってましたよ!」
「尊敬してんなら、言葉遣いを改めろや」
ニッカに尊敬なんぞされたくもないけどな。
「すみません、あのっ、無遠慮に触っていいですか!?」
「せめて握手くらいに留めとけよ、要求」
「うっわ、腕細ぉ~い。フトモモ、案外柔らか~い!」
「無遠慮に触んな!? 触り返すぞ!」
「ウェルカム!」
「あざーす!」
「「はい、ストップ」」
俺の視界がエステラのアイアンクローによって塞がれるのとほぼ同時に、奪われた視界の向こうで「どごすっ」っと鈍い音がした。次いで「ばしゃっ」と……あぁ、あのクルー、マーシャの水鉄砲喰らったのかぁ……生きてるかなぁ。
「ちゃんと再教育しとくから、ヤシロ君もオイタはダメだよ~?」
「今、現在進行形で痛いのはこめかみなんだが?」
「旅行で浮かれているのは分かるけれど、羽目を外し過ぎなんだよ、君は。反省したまえ」
最後に「ぎゅっ!」っと強くこめかみを圧迫して、エステラは俺を解放した。
……痛ぃ……ジネットに泣きつくぞコノヤロウ……あ、ダメだ。あと半歩でも近付いたら「懺悔してください」って口にしそうな顔してる。よし視線逸らしとこう。
逸らした視線の先には、コンテナサイズのデカい木箱と、荷物の積み下ろしのための滑車があった。
王侯貴族でもご招待する際には、それはそれは大荷物を運び込むのだろう。
あぁいうものがないと大変だよな。
なんだよ、いいもんあんじゃねぇか。
あれを活用して昇降用エレベーターを作ろう。そうしよう。
「それじゃ、部屋割りを決めよ~☆」
じゃじゃ~んっと、マーシャがでかい紙を取り出す。
それは、客室の場所が書かれているフロアマップのようなものだった。
「一階は、ロビーとか食堂とか、共有スペースなの」
「遊技場はないんだな」
「船でどんな遊びをするの? 何か面白い案があるなら、次に作る船で採用させてもらうよ~☆」
「君は、ほとほと遊び足りていないようだね」
フロアマップに遊技場がないことを指摘すると、エステラに呆れられた。
うっせぃ。
日本でこの規模の客船だと、絶対ついてるんだよ、遊技場。
まぁ、大抵は妙に懐かしい筐体が置いてあるゲームコーナーだったりするんだけど。
ビリヤードとかダーツとか、そーゆーので遊ぶには『揺れない』に自信がないと出来ないもんな。
金持ちや権力者しか乗れないような超リッチな船になると、カジノが併設されていることもあるけどな。
あと、プール?
……海の上でプールってなぁ。
海水の上で淡水を満喫って? 海に憧れるメダカか何かか?
でもジャグジーはいいね!
水着でもいい、混浴してみたい!
「おっ、いいこと考えた!」
「じゃあ、部屋割りはどうやって決めようか?」
おい、聞けよ、エステラ!
「自覚がないんだろうけどね、鼻の下が物凄く伸びてるよ」
「分かった。鼻の上も伸びるように努力する」
「いらないよ、そんな無意味な努力」
とっても素晴らしい提案をしようとした俺を置いて、他の連中がフロアマップを覗き込んでいる。
「二階から上が客室なんだね」
「わぁ~、三階の部屋、広ぉ~い!」
パウラとネフェリーがうっきうきだ。
覗き込んでみれば、三階はスイートっぽいな。
部屋数はかなりある。
「こんだけ部屋があるなら、一人一室でもいいんじゃないか?」
「え~! せっかくの旅行なのに個室なんてつまないよ~! ねぇ、ネフェリー?」
「そうね。折角だから、私も誰かと一緒に泊まりたいな」
「じゃあ、ハビエルかオルキオのどっちがいい?」
「なんで男の人なのよ!? 女の子と一緒の部屋がいいの!」
「奇遇だな。俺もだ☆」
「君はベッコかウーマロだよ」
しょーもな!
なんじゃ、そのしょーもないラインナップ!
やっぱ個室がいいな、俺は。
「なぁ、マーシャ。この客室って、どこを使ってもいいのか?」
「うん。今回はここにいる人だけの貸し切りだからね~☆」
「クルーは?」
「クルーの部屋は地下にあるんだよ~。地下一階が陸っ娘たちの部屋で、地下二階は全室水の中なの☆」
地下一階には人間用の部屋がいくつかあるが、その下は全部人魚用だという。
俺らは立ち入ることも出来ないな。
「残念。夜這いは無理か」
「残念ながらね☆」
エラ呼吸でも出来ないと、マーシャの部屋にたどり着くことすら難しそうだ。
「じゃあよ、二階の客室に全員個室を取って、三階のスイートを集まる場所にしたらどうだ?」
荷物を置いておいたり着替えたり、個室があると便利は便利だろう。
そういうのが必要ないってヤツは、もうずっとスイートに入り浸ればいい。
「そうだなぁ。四部屋あるうち、奥の二部屋は女性限定にして、手前の一つを男専用、もう一つを男女兼用ってことにするのはどうだ?」
ハビエルがそんな案を寄越してくる。
女子の方が多いので奥二つを譲ろうということか。
「つーか、男専用とかいらなくね?」
「いや、あると役立つぞ。酔いつぶれて、とても女性に見せられない状態になったヤツを放り込んでおくのにな」
「木こりどもは、普段からそんな飲み方をしてやがんのか……」
俺らの中で、そんな状態になりそうなのはハビエルくらいだ。
まぁ、あっても困らないし、用意するだけしておけばいいか。
「じゃあ、私たちは二人で一部屋を貸してもらえるかな?」
「そだね~。BBDC夫妻は同室の方がいいよね~☆」
「ほな、ウチは個室で……」
「レジーナは、ミリィちゃんと同室でしょ~★」
「いやいや、迷惑かけるんも悪いし」
「みりぃ、めいわくじゃ、ないょ?」
「いや……まぁ………………ほな、よろしゅうに」
レジーナ陥落。
ミリィは完全無欠の善意で言ってるからな。無下には出来まい?
「それに、ね。みりぃ、船は初めてだから、経験者のれじーなさんが一緒にいてくれると、心強い、な」
「やっば! こんな可愛いのに、今ちょっとエロいこと考えてもぅた!」
「ヤバいって自覚あったんだな、お前」
『初めて』と『経験者』に過剰反応するのって、中学生男子だけだぞ。
レジーナの家の辞書を開いたら、きっとエロい言葉にマーカーが引かれていることだろう。
「カンパニュラは、あたいと同じ部屋にするか?」
「あっ、ズルいですよ、デリアさん! カニぱーにゃは陽だまり亭チームでお預かりするです!」
え、なに、ロレッタ。
お前ら四人で同室になるつもり?
代わり映えしない上に、さすがに四人では狭いだろう。
どう見てもツインだぞ、この客室。
「どうせお前ら全員スイートで寝るんだから、誰と一緒でも変わんねぇよ」
「むむむ、確かにそれは一理あるですね」
「じゃあ、客室はおっきぃワンルームにしておけばよかったね」
ホールか。
合宿みたいでやだなぁ、そんなクルーズ。
「はい! ご提案があります!」
ジネットが「ぴしっ」っと手を上げる。
なんか珍しいな、ジネットがこういう時に前に出てくるのって。
大抵何も言わずに見守って、「みなさんの言う通りでいいですよ~」みたいな反応なのに。
「くじ引きで決めましょう!」
「「くじ引き?」」
一同がきょとんとした顔で首を傾げる。
ジネットのヤツ、このために準備してきたのか?
「実はですね、もし誰かと同室になるならどなたとがいいかと考えた時に、とても決められませんで……でしたら、くじ引きで決めてしまえばいいのではないかと」
「どなたと一緒でも、きっと楽しいですから」と、ジネットは力説する。
「で、くじはあるのか?」
「はい。ヤシロさんに作っていただいたくじを持ってきました」
「俺が?」
何を作ったっけな?
「お子様ランチの旗を決めるくじです」
お子様ランチにはギルドや領主の紋章を記した旗が付くのだが、どこのギルドも「ウチのを多くしてくれ」と鼻息が荒くなったので、「じゃあ、くじで」ということになった。
その際に、ガチャガチャを真似て作ったくじ引きマシーンを作ったんだが……あれを持ってきたのか?
部屋割りのために?
かなり嵩張るのに?
つーか、あれはガチャガチャというか自販機みたいなもんで、入れた順番に出てくるからさ、くじ引きには向かないと思うんだが……
「あれ? おかしいですね? たしか鞄に入れたはずなんですが……」
「……店長、ごめんなさい」
マグダがジネットの前に立って頭を下げる。
「……店長が初めての船旅に浮かれて、……いつものようにちょっと残念な方向へ暴走していると思って……マグダが置いてきてしまった」
「はぅっ!?」
「……まさか、使うつもりがあったとはつゆ知らず」
「あの……実は私も。ジネット姉様が誤って鞄に入れているのだと思っていまして、置いていくべきではと提案しようかと思っていました」
どうやらジネットは盛大に「いらないものを間違えてカバンに入れてる」と思われていたらしい。
こりゃ、マグダが取り出さなくても誰かしらが鞄から出してたな。
俺が気付いてりゃ俺がそうしてただろうし。
折角の計画がご破算に終わりショックだったのか、ジネットが俯いてしまった。
「……わたし…………いつも『ちょっと残念』と思われているんですか!?」
うん、そこかぁ、気になってたの。
そういうとこだぞ、「ちょっと残念」って言われるの。
「じゃあ、手っ取り早くアミダで決めるか」
「「あみだ?」」
「ん? 知らないか、あみだくじ?」
まぁ、こっちの世界に阿弥陀如来はいないだろうしなぁ。
「マーシャ、紙とペンあるか?」
「待ってね~。お~い、サリサ~、紙とペン~!」
マーシャがサリサと声をかけたのは、先ほど妙に興奮し過ぎてマーシャの水鉄砲を喰らい、今もなお甲板で伸びている二足歩行クルーだ。
「サリサ~、ダッシュ~!」
お前のせいで伸びてんだけどな。
あ、起き上がった。
「紙とペンでしたら、こちらをお使いください。私、まだまだ覚えることがいっぱいなのでいつもメモ用紙を持ち歩いているんです」
差し出されたのは、随分と茶色い、質の悪い紙。
わら半紙のワラ感を四倍ほど増加させた感じだ。
ま、紙なんか書ければなんでもいい。
「んじゃ、ちゃちゃっと準備をするぞ」
人数分の線を引き、そこにA、B、Cと、アルファベットを二つずつ、ランダムに書いていった。
「で、結果が見えないように紙の端っこを折る」
これで、どの線がどのアルファベットに繋がっているのかは見えなくなった。
そうしてから、横線を適当に引いていく。
「じゃあ、好きなところに自分の名前を書いてくれ」
参加者は、ジネット、マグダ、ロレッタ、カンパニュラ、エステラ、ナタリア、ルシア、ギルベルタ、レジーナ、ミリィ、デリア、ノーマ、パウラ、ネフェリー、イメルダ、そして、マーシャ。
「って、こら」
「だって、一本余ってたし☆」
「そこは俺が名前を書くんだよ!」
「何を当然のような顔で参加しようとしてるのさ。却下に決まってるだろう、そんなの」
「けど、マーシャは床の部屋は使えないだろ?」
「だいじょ~ぶ。どの部屋にも自由に行き来できる水路が張り巡らされてるから」
「じゃあ、お前は夜這いし放題だな」
「んふふ~、男子諸君は震えて眠るとい~よ~★」
「むしろウェルカムでござるぞ!」
「黙るッス、ベッコ。そういうのは、ヤシロさん以外が言うと本気でドン引きされるッスから」
まぁな!
格というものの差だろうな!
「いや、ヤシロでもドン引きしてるけどね、女子一同は」
「そんなことねーよ! なぁ、ミリィ? ジネット?」
「優しい相手ばかり選んで、賛同を強要しないように」
「自覚がなかったとは驚きだな。私が何度も言っておるだろう、ドニれ、カタクチイワシ」
「それは初耳かな!?」
「デミれ」は聞いたことあるけども!
一本だけ残してくれるのは優しさか?
「ヤシロさん。全員名前が書けました」
「ん? じゃあ、一人一本ずつ、好きなところに横線を引いてくれ」
あんまり線が増えると面倒なんだが、全員にやらせてやった方が不満も出にくいだろう。
「これから何が起こるのか、わくわくするねぇ」
「本当ね。ヤシロちゃんのすることって、分かりやすいのにとっても不思議だわ」
くじに参加していないオルキオとシラハが楽しそうに成り行きを見つめている。
「んじゃ、端っこから行ってみるか。まずはロレッタか」
一番右端に名前を書いたのはロレッタだった。
こいつならど真ん中に書くかと思ったんだが……
「裏の裏をかいたです!」
何をどうかいたのやら……
「屋根裏とかに当たらねぇかなぁ」
「なかったですよね、そんなの!?」
「あ、その前に、客室にもアルファベット振っとくか。誰とペアかだけじゃなく、どの部屋かもこれで決めちまおう」
「じゃあ、これに描き込んじゃっていい~よ~」
「いいのかよ?」
「また描けばいいだけだから~☆」
なんでも、船内のフロアマップは、船の構造を覚えるという目的で、見習いたちに描かせているらしい。
すごいもんで、一年以上海漁ギルドにいるヤツは、何も見なくてもこのマップが描けるのだとか。
慣れってすげぇ。
「んじゃ、書き込む……前に、俺はここ!」
「あっ!? 何勝手に決めてるのさ!?」
「トイレの一番近くは俺のものだ!」
「……怖いのかぃ?」
当然だろう!
まったく知らない場所だぞ!?
しかも、昔ながらのこの街のトイレだぞ!?
光るレンガもないんだぞ!
怖いわ!
怖いに決まってるわ!
「ヤシロはハビエルさんと同室になった方がいいんじゃないのかい?」
「おぉ、ワシは構わんぞ、ヤシロ」
「部屋が狭くなるから嫌だ」
ハビエルなんかと同室になったら、ツインが納戸に感じられるっつーの。
「ウーマロとベッコとハビエルは同じ部屋でいいか?」
「狭いッス、さすがに!」
「ハビエル氏は貴族でござるから、個室の方がよいのではござらぬか?」
「いやいや! せっかくのこういう機会だ。一緒に部屋で飲み明かそうじゃねぇか!」
「あの……オイラ、さすがに寝かせてほしいッス……」
ウーマロはぎりぎりまで働いてたからなぁ。
しょうがない。今回は個室にしてゆっくり寝かせてやるか。
「帰ったら、六徹だもんなぁ」
「何かやらせる計画あるんッスか!? 先に言っといてほしいッス、だったら!」
いや、特にないけど、灰になるまで働けばいいのにな~って。
「ウーマロの部屋はどこら辺がいい?」
「オイラ、女性の部屋から一番離れてるところがいいッス」
「じゃあ、甲板だな」
「部屋じゃないッス、そこ!」
「ベッコは船底がいいって?」
「海上ですらないでござるな、そこは!? 酸素は欲しいでござる!」
「ハビエルは帰る?」
「帰らねぇぞ! よし、俺と丸眼鏡はここだ!」
「むむむ、なかなか面白いチョイスでござるな」
「ワシの予想では、この部屋にイメルダとカンパニュラちゃんが来る!」
「自信満々で恥ずかしいこと言い出したでござるな!?」
「大丈夫ですわ。意地でもその部屋を回避いたしますもの」
あみだくじで意地を見せても、結果は変わらねぇぞ。
「じゃあ、ウーマロは奥の方で、オルキオたちも静かな方がいいか?」
「そうだね。気を遣わせてしまうのも申し訳ないしね」
ウーマロとオルキオたちの部屋を奥の方に設定して、残ったところへアルファベットを振っていく。
「セロンとウェンディの部屋は、ど真ん中だ」
「えっと、なぜでしょう? いえ、特に不服はないのですが……?」
そんなもん、夜中にいちゃこら始めたらすぐバレるようにだ!
全員にバレるからな!?
前後左右、全部の部屋に見張りがいると思え!
「よし! それじゃあ、あみだくじを始めるぞ!
「どきどきしますね」
「……マグダは、早くも勝利宣言をする」
「何に勝つ気さね、あんたは」
「あたいも勝つ!」
「それはそうと、ウチとミリィちゃん、除外されへんかったなぁ……誰と同室になるんやろ…………胃がしくしくしてきたわ……」
「そんな悲喜交々を乗せて――お兄ちゃん、あみだくじ、スタートしてです!」
「よし! まずは左端から!」
「右からですよ!? 右端のあたしから始めるってさっき言ってたですよ!」
ちぇ~、ちょっと気が変わっただけなのに~。
「そんじゃ、ロレッタはどの部屋になるのか…………あっみだっくじ~、あっみだっくじ~♪」
「なんです、お兄ちゃん、その歌は!?」
「くじの神様に願いを届けるための歌だ。口ずさめばくじ運が上がるかもしれないぞ」
「これは、口ずさまずにはいられないです!」
ま、上がんないけどな。
そもそも、くじ運などというあるのかないのか分らんもん、良くも悪くもなりようがねぇよ。
ロレッタが歌い出すと、カンパニュラとミリィがそれに続き、なんとなく全員で口ずさみ始める。
…………ジネット。がんばれ。
線に沿って指を動かしていき、たどり着いた部分の紙を破って、ロレッタのアルファベットだけが見えるようにオープンする。
「ロレッタはCだな」
「Cですかぁ~! あ、なかなかいいお部屋ですね! みなさ~ん、Cはアタリですよ~!」
「よし、C以外、C以外、C以外!」
「なんでですか、パウラさん!? 感じ悪いですよ、そーゆーの!」
「パウラ。そういうこと言うと、それを引いちゃうんだよ~」
ネフェリーが面白がってパウラをからかう。
まぁ、フラグってのはあるな。
「次は、ルシアか」
「よい部屋にせよ」
「じゃあ、スイートに泊まれ」
「みんなと一緒の方がよい部屋に決まっておるだろう!」
部屋の格とか、お前には関係ないんだなぁ……それでいいのか、貴族令嬢。
お前、一年前まで、絶対そんなこと言わなかったろ?
二年前だったら確実に、誰かと同室なんてふざけんなって態度だったに違いない。
「――っと、ルシアはBか」
「あぁ~、ルシアさん、惜しいです!」
「ふむ。しかし、義姉様の隣の部屋か……既成事実を作り放題だな」
「無理ですよ!? あたしと既成事実って、なにするつもりです!? ちょっとマジっぽくて怖いです!」
「むふふ……」とにじり寄るルシアから距離を取るロレッタ。
サクサクと他の連中のくじもオープンしていく。
イメルダがG、ギルベルタがF、そしてレジーナがDとなった。
「……なぁ、自分。えぇ加減にしときや?」
レジーナのアルファベットがオープンされた時、レジーナがあきれ顔でため息を漏らす。
「まんまと全員、カップ数と同じになっとるやないか」
「俺のせいじゃねぇよ!?」
「……ヤシロ」
「だから! エステラ、お前も見てたよな? お前らが名前書いたんだよな!?」
「……大変。店長の部屋が存在しない」
「関係ないですよ、マグダさん! たまたま、たまたまですから!」
「いやいや、おっぱい教の教祖にしてご神体たるおっぱい魔神が作ったくじやさかいな、偶然を必然に変えて、きっとそうなるように出来たぁんねんって」
「じゃあ、あたしはDで、ミリィはBになるの?」
「ぁう……大きぃ声で言わないで、パウラさん……」
「みなさん、次の方の結果を見て判断いたしましょう」
ナタリアが声を上げ、次の人物の名を指さす。
そこには、我らが微笑みの領主様、エステラの名前が書かれていた。
全員が言葉も発さず、じっとその結果を待ちわびている。
よぅし、分かった。
俺の作ったくじがおっぱいくじかどうか……その目でとくと見やがれ!
「おっぱい~くじ~♪ おっぱい~くじ~♪」
「寄せてきたやん!? 自分でめっちゃソッチに舵きったやん!」
さぁ、全員が注目する中、エステラのアルファベットが、今……オープン!
『G』
「関係ありませんでしたね」
「だよね~、さすがにね~」
「ただの偶然だったんだね」
「まったく、紛らわしいさね」
「その、思いっきり納得した感じ、ちょっと納得できないんだけど、ボク!?」
エステラがきゃんきゃん吠える中、あみだくじを進め、全員の部屋割りが決定した。
あみだくじの結果、部屋割りは以下のようになった。
A ミリィ・ナタリア
B ルシア・マグダ
C ロレッタ・パウラ
D レジーナ・マーシャ
E ノーマ・カンパニュラ
F ギルベルタ・ジネット
G イメルダ・エステラ
H デリア・ネフェリー
「なんでロレッタと同室なのよ!?」
「パウラさんがあとから入ってきたですよ!?」
見事にフラグを回収していったな、パウラ。
「ん~……デリアと同室かぁ」
「枕投げしような、ネフェリー!」
「うん、しない。絶対しない」
ここも因果かねぇ。
第一印象最悪だった二人が同室になっている。
まぁ、今では仲良くなってるが……デリアの奔放な、ともすれば行き過ぎるドストレートな行動力は、繊細で少女趣味のネフェリーとは合わないかもなぁ。
まぁ、頑張れネフェリー。
「嬉しい思う、私は、一緒で、友達のジネットと!」
「私も嬉しいですよ、ギルベルタさんと一緒で」
ギルベルタにぎゅーっと抱きつかれて、ジネットがにっこにこ顔だ。
表情筋を総動員して嬉しさをアピールしている。
一方、酸っぱそうな顔をしているペアがここに。
「なんでボクがイメルダと同室なのさ……」
「エステラさんがGカップだなんて見栄を張るからですわ」
「見栄を張ったんじゃないよ!? くじだから!」
一晩閉じ込めたら、面白いことになりそうだな、このペアも。
反対に、嬉しそうにしているのがもう二部屋。
「よっしゃ! マグまぐゲット! 楽しい! もう絶対楽しい!」
「……レディ同士、シクヨロですわ」
「むはぁ、可愛いなぁ、マグまぐは!」
「よかったさねぇ、あっちの変な領主と一緒じゃなくて。まぁ、アタシには気を遣わなくていいから、二人で楽しく過ごそうじゃないか」
「はい。よろしくお願いしますね、ノーマ姉様」
「あぁ、カンパニュラで本当によかったさね……っ」
主に、大人の方が喜んでいる。
……ルシア、縛り上げておいた方がいいんじゃないだろうか?
まぁ、マグダなら、強引に押し倒されそうになっても自力で撃退できるだろうけれど。
「マグダ、マサカリいるか?」
「……平気。素手で事足りる」
「物騒なことを言わせるな、カタクチイワシ! 今日一日マグまぐは私のだ! 貴様には貸してやらんぞ!」
いや、ただ部屋割りをしただけで、所有権までは譲渡されてねぇよ。
そして、分かりにくいがテンションを上げているのがあそこにも一人。
「自力でご褒美の同室者選択権を取り戻した私、プライスレス!」
「なたりあさん、よろしく、ね」
「はい。お揃いの寝間着で寝ましょうね!」
「ぇっと……なたりあさんの寝間着は……みりぃ、ちょっと、むり……」
全裸だもんな。
今日は着衣で寝ろよナタリア。
自宅以外では空気読めよ。マジでな!
「はぁ……ウチ、生きて帰ってこられるやろか……」
「よろしくね~☆ レジ~にゃん☆」
「うわぁ、部屋行く前から濃いなぁ……」
マーシャがレジーナにじゃれついている。
レジーナも、イヤならプールから離れればじゃれつかれないのに。
あぁ、そうかそうか。そうやって構ってもらえるの、案外嫌じゃないんだ~、ぷぷぷ~。
「自分、目ぇ抉るで?」
「薬剤師らしさを無視した脅迫してくんじゃねぇよ」
キャラは守れキャラは。
目を抉っていいのはエステラとルシアくらいだよ。
……いや、あいつらもダメだけどな!?
「まぁ、大丈夫! 結局みんなでスイートで寝るだろうし!」
「なんでです!? せっかくくじで決まったですから、少しは二人きりの時間も楽しむですよ、パウラさん!」
「あんたと二人だと疲れるの!」
「そしたら、あたしが癒してあげるですよ!」
「癒されたためしがないんだけど」
「じゃあ、今日が初めての経験になるですよ、きっと!」
案外、ロレッタが一番嬉しそうかもしれない。
なんだかんだと懐いているし、たまにパウラのところに泊まりに行ってるみたいだし。
「ん~……薬剤師と人魚かぁ……」
イメルダとミリィの隣室を期待したハビエルの隣はD室。
つまり、レジーナとマーシャだ。
ハビエルが進んで絡みに行かない二人だな。
どっちも大人だし、ハビエルが絡みに行っても冷たい対応されそうだしな。
「なんか、向こうの下心筋肉が失礼なこと言ってるから、こっそりと毒物散布しとこ~★」
「せやったら、ちょうどえぇ薬があるで。無臭で粒子が細かいから部屋中に舞い上がってな……」
「物騒だなぁ、お隣さん!?」
これで、ハビエルは大人しくなるだろう。
「あ、マーシャ。ベッコは無類の巨乳好きだから気を付けろ」
「ヤシロ氏に言われたくはないでござるよ!?」
「わ~、エッチなんだ~、ござる君~!」
「ヤシロ氏をスルーして非難が飛んできたでござる!?」
「変なことされたらマーシャカッター使っていいから」
「うん☆ なます切りにする~☆」
「冗談に聞こえないでござるなぁ、その発言!」
「たとえば、廊下ですれ違うとか」
「きゃあ☆ 怖ぁ~い☆」
「それでなます切りにされるのだとしたら、怖いのはこちらの方でござるぞ、お二人とも!?」
バカ、ベッコ、バカ。
夜中にお前とすれ違うなんて、それもう完全な痴漢だろう。
環境型痴漢というヤツだ。
「よぅ、丸眼鏡。今夜はもう部屋に籠ってとことん飲み明かそうぜ」
「そうでござるな。日頃の疲れを発散させるでござる!」
「あ、お酒なら、異国の美味し~いお酒をたくさん用意してあるから楽しみにしててね☆ あと、三十三区の清酒もあるよ☆」
「でかした、海漁の!」
「マーシャ氏はおっぱいだけでござらず、性格も最高でござる!」
「あはっ、褒められてるっぽいけど、イラってしたからマーシャカッター☆」
「「なぜゆえ!?」でござるか!?」
だから、イラってしたから、だろ?
「あいつらの部屋に入れるの、イメルダだけだな」
「入りませんわよ」
「寂しがってお前らの部屋に行くぞ、ハビエルならきっと」
「エステラさんがいますのに?」
「ある種の人質だな」
「レディの部屋へ突入されるのは困るね……仕方ない、イメルダを差し出そう!」
「勝手なこと言わないでくださるかしら? その自前の壁でバリケードでもお張りになればよろしいのでは?」
「自前の壁なんか持ち合わせてないけど!?」
エステラの壁バリアー、強そうだなぁ。
ハビエルでも突破できるかどうか……
「じゃあ、とりあえず、荷物を持って自分たちの部屋に向かって~☆ 廊下は結構狭いから気を付けてね~」
船は豪華客船級だが、ここは高級ホテルではない。
荷物を部屋まで運んでくれるサービスはないようだ。
「荷物を置いたら、もう一回甲板に集まってね~☆ 出港する時は、結構感動するから☆」
移動中に船が揺れないようにと、今まで出港を見合わせていたらしい。
そんな揺れるのか……?
狭い廊下で大荷物を抱えた集団が、波に揺られてドミノ倒しにでもなったら悲惨だな。
賢明な判断だろう。
「それから、出来るだけ温かい格好してくるといいよ~☆ 洞窟を抜けた先でとってもいいものが見られるから☆」
それはきっと日の出なのだろう。
薄暗い洞窟を超えたら青い海と青い空――ってシチュエーションも最高なのだが、朝陽が反射する海面ってのもまた綺麗だろう。
ちょっと期待しておこう。
……たぶん、明日の日の出は見られないしな。
絶対疲れて寝過ごすし!
自信あるし!
だって、このメンバーで、船の上で一泊だぞ?
絶対疲れるから!
「何が見られるんでしょうね」
楽しそうに目を細めたジネットの口から、白い息がほわっと零れた。
「たぶん、目を奪われるからしっかりと防寒対策してこいよ」
「はい。そうします」
海の上は少し寒い。
だからだろうな。
微笑んだジネットのほっぺたは赤く染まって、瞳はうっすらと潤んできらめいていた。
その表情は初めての恋を見つけた無垢な少女のようで、思わず、変な誤解をしてしまいそうになった。
「じゃ、荷物を置きに行こうぜ」
「はい」
「手伝う、友達のジネット」
「ありがとうございます。足元、気を付けてくださいね」
仲良さそうに会話するジネットたち。
他の連中も、賑やかに今という時間を楽しんでいる。
あちらこちらから聞こえてくる楽しげな声を聞いて、ふと思った。
俺にとっては、日の出よりも――それを見てはしゃぐこいつらの顔の方が『いいモノ』になるかもな。
なんてな。
あとがき
メイド!
宮地でっす!
おっと、「毎度!」と言いたかったのに「メイド」になってしまいました。
とりあえず、ご挨拶を。
おかえりなさいませ、ご主人様☆
(≧▽≦)/よっ!
日本人はみんな知っているけれど異世界の人はきっと知らない
子供の頃から馴染みのあるアレが登場!
そう、おっぱいくじです!
(゜∀゜)o彡°おっぱい~くじ~♪
何が出るかお楽しみ☆
ってね!☆(>ω・)
部屋割りとか、わくわくしましたよね
その楽しさが少しでも伝わればいいなと思い
みんなでわいわいきゃーきゃー部屋割りをしてみました。
部屋のアルファベットがカップ数と同じになってるって
レジーナよりも先に気付いた方、
いらっしゃいますかねぇ……(*´ω`*)
……割といそうだなぁ!?( ̄□ ̄;
案内人「ようこそ、Aカップの間へ」
エステラ「絶対入ってなるものか!」
エステラさんはGです!
皆様、エステラさんはGですよー!
エステラ「それはそれで、モヤるなぁ!?」
中学の林間学校(……臨海学校がよかったなぁ)の時、
たしか、部屋割りを自由に決めてもいいということになって、
それでくじ引きで決めたんですよ、たしか。
修学旅行は班ごとだったんですけど、
林間学校はくじ引き……だったような……記憶が、おぼろげに……
たしかそれで盛り上がったんですよねぇ……たしか
ちょっと自信ないですけども
でも、どっかに泊まりに行った時にくじ引きだったんですよ。
……高校の研修旅行の時だったかな?
まぁ、その辺です。
なんか山奥に連れて行かれて、
朝早くに叩き起こされて挨拶の練習とか整列の練習とかさせられるヤツです
大して楽しい思い出のない、泊まりがけの行事でした
布団とか、自分で畳まなきゃいけないのに
畳み方とか、積み上げ方とか、細かいルールがびっしり決まってて
「んぁぁああ!( ̄Д ̄;)」ってなる行事です。
食堂のおばちゃん「ご飯のおかわり欲しい人はグー、お味噌汁のおかわり欲しい人はパーで手を上げてね~」
とかいうヤツです!
宮地「お肉のおかわりが欲しいのでチョキ!」
食堂のおばちゃん「ねぇよ!」(# ゜Д゜)、ぺっ
それで、たしかその施設の部屋には花の名前がついていて
桜の間とか、朝顔の間とか、紫陽花の間とか、
若干、季節――というか月を表す花の名前になっていた気がします。
九月は秋桜とか、十月は紅葉とか。
で、部屋決めの時、
箱に入った紙を引いて、番号を見て、
黒板に書かれた部屋割りを見て、
「あ、俺、桜だ!」とかいう感じで決めてたんです
今回のヤシロの部屋の決め方はこの辺からもらってます
で、その時すごく仲のいい友人がいまして
他は誰でもいいけど、とりあえずこいつは一緒になりたいな~って思ってたんです
泊まりがけですからね、絶対一晩中楽しいんですよ、そいつがいれば
で、くじを引いて――
宮地「あ、俺『ショウブの間』だ」
ソイツ「え~、俺『アヤメの間』だわぁ」
宮地「うっわ、部屋分かれたかぁ」
ソイツ「じゃあ、夜中遊びに行くわ」
別のヤツ「いや、お前らどっちも『菖蒲の間』だから!」
みたいなことがありましたっけねぇ
なんかめっちゃウケました(〃´∪`〃)ゞ
宮地「いや、『ショウブ』やろ、これ!?」
ソイツ「いやいや、『アヤメ』って読むねんって!」
宮地「アホか。『アヤメ』は、アヤ偏にメって書いて――」
ソイツ「どんな字!? あらへんわ、そんな字!」
宮地「妖しい女と書いて『妖女』や」
ソイツ「その部屋は、むしろちょっと泊まりたい」
妖艶なお姉さんが
「うふふ、ボウヤたち、よく来たわね」と出迎えてくれる『妖女の間』
……と、泊まりたい!( ̄▽ ̄;わくわく
林間学校は五月にあって、
五月だから五月の部屋(菖蒲)に泊まるのがマナーだと
紫陽花の間の連中に「六月に出直してこい!」とか言ってましたっけねぇ
わぁ、学生っぽ~い( *´艸`)
ちなみに、一番人気が高かったのは、『柊の間』です
多くの男子が「そこに泊まりたかったなぁ」って言ってました
角部屋?
部屋が広い?
トイレに近い?
いえそんな理由ではなく、
クラスで一番かわいい子がその部屋だったもので……ね☆
(・ω<☆)わかるだろぅ?
たしか、一月、二月、三月は松竹梅だった気がします。
三月の梅はともかく、一月と二月は……?(・_・;
で、その辺が先生の部屋で、
長ぁ~い廊下の突き当たりに部屋があるんですけど、
我々の泊まる部屋と並びにあるんですね。
なので、夜中に部屋を抜け出して、
先生の部屋の前にめがけて同室のヤツの丸めた靴下を
ぽーい!(≧▽≦)ノ ===○
って!
ボウリングのように!
同室男子「ちょっw やめろて!ww 取りに行かなアカンやんけ!www」
他男子「バレんなよ!? 絶対バレんなよ!」
担任「(ガチャ)やかましいぞ~お前ら~」
同室男子~ズ「「「すやぁ~!」」」
担任「廊下で寝るな~」
みたいなことが!
( *´艸`)うわ~、お泊まり楽しい~♪
もしかして、
ヤシロさんのドSって、学生時代の悪ふざけが元になってたりして
( *´艸`)
しょーもないことでも、
やっておくものですね~
あ、ちなみに、
女子の部屋はフロアが違うので一切出会いませんでした。
お風呂場もね!(´;ω;`)
普通お風呂って隣り合ってるもんじゃないの!?
そんで「きゃっきゃっ、うふふ☆」って声が聞こえてくるもんなんじゃないの!?
なに、別のフロアって!?
「女子のお風呂は一階、男子のお風呂は地下にありま~す」って!?
じめじめしてたなぁ!?
心もね!
まぁでもきっと、
女子は女子で、
同室の女子の丸まったパンツとかを
ぽーい!(≧▽≦)ノ ===○
とかしてたんでしょうね!
で「ちょっw やーめーてーよー!」とかやってたんでしょうね!
それで翌日の朝、
女性の先生「え~、昨夜、廊下におパンティが落ちていました。誰のですか?」
男子~ず「「「はい! たぶん僕のです!」」」
女性の先生「お前らは度し難いな」
宮地「とりあえず、確認のためじっくり見せてもらえますか?」
女性の先生「お前は手遅れ!」
そんな、嬉し恥ずかしお泊まり会。
豪華客船の夜はどんなふうに過ぎていくのでしょうか?
年内に下船できるのでしょうか!?
乞うご期待!
……年またぐ可能性あるのΣ(゜Д゜;)
次回もよろしくお願いいたします。
宮地拓海




