後日譚22 郷愁的な風景
高度成長期を経験したことはないのだが、映画等から受ける印象で語るのならばまさにこんな感じであろうと、そんな雰囲気の漂う街並みがそこには広がっていた。
古い木塀や建ち並ぶあばら家。土が剥き出しの道はデコボコだ。
「懐かしいなぁ、なんか」
「奇遇だな、カタクチイワシ。……私もそう思う」
回顧的な瞳であばら家の並ぶ街並みを眺め、ルシアが俺に同調する。
かつてはこの街も、こんな街並みが主流だったりしたのだろうか。
おもむろに、ルシアが道に建つ木の柱に手を添える。
……電信柱?
電線こそ通っていないものの、木製の電信柱のようなものがポツンポツンと建っている。聞けば、空を飛べる虫人族が羽休めをする場所なのだそうだ。……飛べるヤツ、いるんだ。
「チョウ人種やトンボ人種など、ごく限られた一部の者だけだがな」
と、ルシアはどこか寂しげに言う。
その顔はまるで、「出来ることなら一緒に飛び回りたい」とでも言いたげだった。
「猛暑期には、この柱にゲンジボタル人族が無数停まり、美しい光を放つのだぞ」
「へぇ……ホタルか」
それは、きっと綺麗な光景なんだろうなと、素直に思った。
かつて、親方たちと川辺で見た無数のホタルを思い出す。
美味いゴリの棲む近所の川はとても綺麗だった。ホタルも、毎年たくさんいたしな。
「ふむ……なんだか癪だな。貴様と話が合うとは」
「ホントは嬉しいくせに」
「抜かせ」
ルシアが肩パンを食らわせる。……友達か。
どことなく、時間の流れが緩やかなここの風景がそうさせるのだろう。ルシアはずっと穏やかな表情を見せている。
あるはずもないのだが……どこかから不意に、豆腐屋のラッパでも聞こえてきそうな錯覚に襲われる。
「この場所が好きか、友達のヤシロは?」
ルシアの向こう側から、ギルベルタがひょっこりと顔を覗かせて問いかけてくる。
まぁ、そうだな。好きかどうかと聞かれれば……
「好きな方だな。なんとなく落ち着くよ」
「そうか。それは嬉しい思う、私は。実はこの近く、私の生家は」
現在はルシアの館に住み込んでいるらしいギルベルタだが、そうか、実家はこの辺なのか。
ここらは虫人族が多く住んでいる地区らしいからな、不思議ではないか。
「よければ、今度招待する、友達のヤシロを、私の生家へ」
ギルベルタが生まれた家か。
少し興味があるな。呼んでくれるというのであれば、遊びに行ってみるのもいいだろう。
「是非紹介したい、私の両親に。永遠に添い遂げる友達として」
……ん?
あのさ、ギルベルタ……それ、伴侶って言わね?
「……ヤシロ。君ってヤツは…………」
エステラよ。そんな「手当たり次第か、こいつ……」みたいな軽蔑の眼差しで見ないでくれるか?
俺は何も言ってないだろうが。
「カタクチイワシ……貴様……」
いや、だからな、ルシアよ。そんな「指一本でも触れたらミンチにしてくれるぞ」みたいな殺意まみれの眼差しで見ないでくれるか?
俺は何も言ってないから。
「あ、あの……ヤシロさん……」
ジネット……お前まで、「もしかして陽だまり亭を出て行かれるのですか?」みたいな不安そうな眼差しで俺を見るなって…………ったく。
「ギルベルタ。是非遊びに行かせてもらうよ。ジネットと一緒に」
言いながら、ジネットの肘を掴みこちらへ引き寄せる。
俺たちが並ぶと、ギルベルタは一層嬉しそうな笑みを浮かべて大きく頷いた。
「うむ! みんな一緒が一番嬉しい思う、私は!」
こいつには、特別な思惑だの言葉の裏に秘めた思いだの、そういうのは一切ないのだ。
初めて出来た友達を大切にしたい。それだけなんだよ。
周りが勝手に騒ぐんじゃねぇっての。
「まぁ、つーわけで、またどこかで休みを取ってくれ」
「はい。楽しみですね」
先ほどの不安そうな表情はどこへやら、友達の家への訪問という予定にわくわくが止まらない、そんな表情を浮かべている。
「あ……でも、あまりにこういうことが続くと、マグダさんたちに悪いですね……」
事実、マグダとロレッタは随分と寂しがっていたしな。
この一件が終わったら、思う存分構ってやるといい。
俺も、多少は甘えさせてやるつもりだ。多少は、な。
「そういや、今度大人様ランチやるよな? 中央広場に特別施設を作って」
「はい。大通りの店に空きが出たようで、そこを使って、期間限定発売をすることになっていますね」
大食い大会の後、街門のあれこれが落ち着いてから一週間ほどの期間で、四十二区の大通りに特設会場を設けて大人様ランチの販売を行っていたのだが、販売期間終了と同時に再開を求める声が殺到した。
今でもエステラのもとには十件単位で要望書が届いているらしい。
そこで、再び大人様ランチの販売をしようという計画が持ち上がっているのだ。
「大人様ランチが売り出されれば客足はそっちに向かうだろうし、大人様ランチには陽だまり亭の味も入っている。少しの間だけそっちで我慢してもらっても、まぁ、大丈夫だろう」
「えっと、それはつまり……」
「その期間、どこかで休みを取って、みんなで遊びにでも行こうじゃないか」
そんな提案を聞いて、ジネットの顔がぱぁっと輝きを放つ。
「はい! きっと、楽しいですよね。マグダさんとロレッタさんも喜ぶと思います」
事前に告知でもしておけば、客も納得するだろう。
「でしたら、是非三十五区の花園を見ていただきたいです」
「そうだな。マグダとロレッタに、花園の蜜を飲ませてやるか」
「はい。お二人とも甘い物が大好きですから、きっと気に入ってくださいますよ」
ジネットにとって、マグダとロレッタは共に働く仲間であり、もはや家族のようなものなのだ。その二人を喜ばせたい。
そのためになら、店を休むことだって厭わない。
かつて、陽だまり亭に縛られていたジネットの心が、いい意味で解放されたのだ。
マグダやロレッタと一緒に楽しむ時間も、陽だまり亭にとってはなくてはならないものであると、そう認識するようになったのだろう。
義務感で食堂経営をやっているよりも、そっちの方がずっといい。
「おい、カタクチイワシ」
「んだよ」
ほわほわと微笑むジネットを見ていた俺の視界に、いかめしい面をしたルシアが割り込んでくる。……顔、近ぇわ。
「そのマグダとロレッタというのは人間か?」
またそういうことを聞く……お前なぁ、その癖直せよ。感じ悪いぞ。
「……どっちも獣人族だよ。トラ人族とハムスター人族だ」
「女子か? 可愛いか?」
さらに最低な質問来たっ!?
「お前が来た時、店にいただろう。小さい無表情の娘と、究極に普通の娘が」
「おぉっ、あの二人かっ! よし! 私も同席してやろう」
「来んな! お前は働いてろっ!」
下心丸見えの方はご遠慮願います!
つか、遊びの予定に食いつき過ぎだぞ、領主とその給仕長!?
「私と同席するのが不服なら貴様が来るな、カタクチイワシッ!」
「俺が企画した計画だよっ!」
どんだけ自己中なんだ!?
「私を除け者にすると言うのであれば、アゲハチョウ人族を紹介してやらぬぞっ!」
「最初にお前が会えっつったんだろうが! そこは責任持って会わせろよっ!」
もうやだ、貴族!
世界は自分を中心に回ってるとか思ってんのか!?
「口答えするでない! 貴様は知らぬかもしれんが、世界は私を中心に回っているに違いないのだっ!」
思ってたよ、マジで!?
っていうか、ルシアは地動説を信じてるのか? それとも、これも『強制翻訳魔法』のお茶目な意訳なのか?
「ヤシロさん。ルシア様がご一緒してくださるのでしたら、問題が起こりにくくなるかもしれませんよ。三十五区のみなさんは、ルシア様のことをとても尊敬されていますし」
ルシアのわがままをフォローするジネット。……なの、だが。
あのな、ジネット。
何よりも、こいつが率先して問題を起こしそうなんだが。つか、確実にそうなるのが目に見えているんだが。
「よいことを言うではないか」
ルシアが勝ち誇った顔でジネットを褒める。
ジネットはというと、こんな尊大な褒め方にもかかわらず恐縮したようにはにかみを漏らしていた。
「そこのカタクチイワシなどとは違って、良識があるようだな。さすが、おっぱいのジネットだ」
「その呼び名、定着しちゃったんですかっ!?」
確実にギルベルタから伝わったのであろう呼び名に、ジネットは渾身の抗議を起こす。
残念だったな、ジネット。ここの領主にはなかったみたいだぞ、良識ってヤツが。
ちなみにだが、こんなわきゃわきゃした会話をしている間、ミリィとウェンディは花園の蜜の話を熱心に繰り広げていた。
というか、ミリィがウェンディを質問攻めにしていた。それはまさに根掘り葉掘りという具合で、あっちはあっちで面倒くさそうだなと思った。
まぁ、ウェンディは多少の苦笑を浮かべながらも、楽しそうにしていたので問題ないだろう。
ミリィもテンションが上がることがあるんだな。
そしてエステラは、各方面で繰り広げられる面倒くさそうな話を避けるように、我関せずな表情を貫いて静かに歩いていやがった。
……薄情者め。お前も領主なら、この面倒くさい領主の相手でも買って出ろよな。
「間もなく到着です、目的地に、ルシア様」
木塀に挟まれた細い路地を進み、間もなく大きな通りに出そうだというところでギルベルタがそんな報告を寄越す。
この路地を抜けた先に、目当てのアゲハチョウ人族がいるのだろう。
路地の向こうに、立派な門が見えてくる。
それに守られるように、大きな平屋がその向こう側に建っている。
平屋ではあるが、横に広い。大昔の豪華な日本家屋を思い出させる造りだ。
「アゲハチョウ人族のシラハを憐れんだ同族が寄付を募り、この屋敷を贈ったのだ」
誰に言うでもなく、全体に聞かせるようにルシアが言う。
人間に傷付けられ、この地へと戻ってきた娘を憐れんで、仲間たちがこの豪華な家屋敷を贈ったのか……なんだか、スケールのデカい話だが、……あんま気持ちのいい話じゃねぇな。
同情が金になり、金で心を癒そうって手法だ。
けど、本当の傷は金では癒せない。
むしろ、下手に金があると虚しさと寂しさが募ることだってある。
時には、何もかも忘れて仕事に没頭する方が楽な時だってあるのだ。
なんというか、こんなデカい家屋敷を送りつけられたりしたら……
『お前はそこから出てくるな』
……そう言われてるような気が、しないでもないんじゃねぇかな。
そんなことを思ったのは、古いながらも豪華な屋敷の周りが、あまりにも静まり返っているからかもしれない。
大きいが故に、古びた佇まいが……寂しく見えた。
「大きな家ですね……」
アゲハチョウ人族のシラハなる人物の家を見つめ、ジネットがポツリと呟く。
その声はどこか儚げで、憐れんでいるように聞こえた。
広い家で、一人寂しく暮らしていたジネットだからこそ、何か感じるものがあったのかもしれない。
「なぁ、ギルベルタ。そのシラハってヤツは、ここに一人で住んでるのか?」
「その通り、書類上は。しかし、そうでもない、実情は」
「どういうことだ?」
「交代で複数が訪れている、毎日、アゲハチョウ人族の者たちが」
この家はシラハだけが住む家だが、シラハを一人にしないように同族のアゲハチョウ人族たちが交代で世話をしに来ている……ということか。
「至れり尽くせりというか……」
まるで監視されているようだと、俺は思ってしまった。
「誰デスカ?」
不意に頭上から声を掛けられた。
見上げると、門の上に一人の少女が立っていた。
背中には、アゲハチョウの羽が生えている。
目が覚めるような鮮やかな黄色に、黒いラインが美しい模様を描き出している。
大きくも繊細なその二対の羽は、とても立派だった。
「立派なもんだな」
「ワタシが登場したのに無視して門の話デスカ!?」
「『立派な門』って言ったんじゃねぇよ! お前のことを言ったの!」
憤慨して門を踏みつけるアゲハチョウ人族の少女。
地団駄を踏む度に、推定Eカップの膨らみがゆさゆさと揺れる。
「落ち着くがいい、ニッカ。おっぱいの話をしているのだ、友達のヤシロは」
「違うわっ!」
「貴様っ! カタクチイワシの分際で、私の区の領民になんと不埒なマネをっ!?」
「だから違うつってんだろ!」
「ヤシロ。この街には『精霊の審判』っていうものがあるんだよ……」
「嘘じゃねぇよ! 信じろよエステラ!」
「ですが英雄様。彼女の胸は確かに立派ですよ?」
「うんそうだね! 立派だね! でも、俺、今は違うところの話をしていたんだよねっ!」
「ぁの……てんとうむしさん、いつもお胸の話ばかりだから……みんな、勘違い……」
「えっ!? ミリィも!? ミリィもそう思ったの!? 地味にショックなんだけど!?」
なんだろう。初めて見る綺麗な羽を素直に褒めたらボッコボコにされたこの感じ。
泣いてもいいかな?
「あの、みなさん」
こういう時に、いつも俺のフォローをしてくれるジネット。今回も、ちょっと困った顔をして割って入ってきてくれた。
お前だけが心の支えだよ、ジネット。
「ヤシロさんは、たまにですが、胸以外のお話もされます。今回はその貴重な一回だったんですよ、きっと」
「それ、微妙にフォロー出来てねぇよ!?」
貴重な一回ってなんだ!?
そんなにおっぱいの話ばっかりしてねぇわ!
「……卑猥、デスネ」
「初対面でそんな蔑んだ視線を投げかけてくるのは勘弁してくれ」
全体的に誤解なのだ。
こんなにも知り合いに囲まれているのに、味方が一人もいないって逆に凄いわ。感心するね。
泣いていいかな?
「ニッカよ。この者たちが、知らせておいた客人たちだ」
「この者たちがデスカ?」
ニッカと呼ばれたアゲハチョウ人族の少女が警戒心剥き出しの目で俺を見つめる。
「この、あからさまに怪しい男がカタクチイワシだ」
って、コラ。
そんな紹介の仕方があるか。
「イワシが来るのではなかったのデスカ?」
「お前本当に『カタクチイワシが来る』って伝えたのか!?」
え、バカなの!?
バカだよね!?
なんでバカなの!?
「ふむ……伝聞とは、正確に伝わらんものだな」
「お前の言い方だ、問題なのは!」
「オイ、カタクチイワシッ!」
ニッカが俺を指さして怒り顔で叫ぶ。
浸透しちゃったよ、その呼び名……
「ルシア様に無礼を働くと、ワタシが許さんデスヨッ!」
威嚇するように、ニッカが羽を大きく広げる。
そして、すばやくその羽をはためかせた。
「鱗粉で目をしぱしぱさせてやるデスヨッ!」
「やめろ、煩わしいっ!」
地味にイライラする攻撃だ。
「うむ……目がしぱしぱするな」
「するです、私も、目が」
つか、その領主と側近にまで被害が及んでんじゃねぇか。
誰が無礼って、一番はお前だな。高いところからしゃべってるしよ。
「やめるのだ、ニッカ。この者たちは客人だ。シラハに会わせてやってくれ」
「し、しかしデスネ……」
ニッカが俺へと視線を向ける。
鋭さが増し、憎しみすら浮かんで見える。
「この者たちは人間デスヨネ? カタクチイワシならばと面会を許可したデスガ、人間であるなら話は別デスネ!」
人間に対する私怨は、相当根深いらしい。
「人間は卑怯でズルくて汚くて臭いデスネ!」
「お前んとこの領主も人間だけどな」
激昂するニッカに向かって、一言だけ言葉をくれてやると、ニッカは口を閉じ黙り込んだ。
額にじっとりと汗が滲む。
「…………ル、ルシア様以外は、デスヨ」
「ちなみに、ここに四十二区の領主がいる。こいつも人間だ」
と、エステラをニッカの前へ押し出す。
領主という言葉が効いたのか、ニッカは目を泳がせた。
「…………領主は、別枠デス」
「ちなみに、こっちの可愛らしい女の子も人間だ」
「ふぇっ!? か、かわっ!? ぅぇえっ!?」
ジネットをそう紹介したところ、ジネットが奇声を上げ狼狽し始めた。
……いや、そこでそんな風に照れないでほしいんだが……ほら、話の流れ的にさ…………
「……照れてる様が、なんか、可愛いデスネ…………」
しかし、そんな狼狽が功を奏し、ニッカの毒気は完全に抜かれたようだ。
「ニッカよ。人間にも色々いるのだ。ひとくくりにして毛嫌いするのはよせ」
「…………し、しかしデスネ………………はいデス。以後気を付けるデス」
門の上でニッカがうな垂れる。
ルシアの言葉に反論出来ず、自分の負けを認めたのだろう。
まぁ、そこに持っていったのは俺だけどな。
「けど、カタクチイワシだけは臭いデス!」
「うむ。それには同意だ」
「おい、コラ、テメェら!」
いい加減殴ってやろうか、この領主。ついでにアゲハチョウも。
ここぞとばかりに同調しやがって。
「あ、あの。ヤシロさんは、特に匂いませんので、お気になさらなくても平気だと思いますよ?」
うん。ジネット。
そこで優しく慰められると、俺が凄く気にしてる人みたいに見えるじゃん?
ありがたいんだけど、やめてくれるかな? 優しさは分かるんだけどね。
「まったく、お前らのせいで散々だ! いい加減にしないと揉むぞ!」
「……怒る時までヤシロはヤシロなんだね……」
エステラのため息を無視して、俺はニッカを指さす。
「お前は胸をっ!」
そして、ルシアを指さす。
「お前は尻をっ!」
「……なぜ、私は胸ではないのだ? ん? 何か理由があるなら申してみよ。ん?」
「黙れ。推定Bカップ。自分の胸に聞いてみろ。その推定Bカップの胸になっ!」
「よかろう! エステラ、戦争だ!」
「待ってください、ルシアさんっ!? ヤシロ! 今すぐ取り消してっ!」
「黙れ。公認Aカップ!」
「よぉし、戦争だっ!」
エステラとルシアが堅く手を取り合う。
四十二区と三十五区の連合軍が誕生した瞬間であった。
「アホなことやってんじゃねぇよ。領主が二人揃って」
「アホの元凶は君だからね、ヤシロ!?」
「まったくだ。話の腰を折るでない、カタクチイワシッ!」
凄く無駄なことで時間を浪費してしまった。
俺は無駄と浪費が何より嫌いだってのに。
「おい、ニッカ」
門の上でぷるんぷるんのEカップを押さえて俺を睨むニッカに声をかける。
「ご覧の通り、害のない善良な人間だ。通してくれ」
「貴様の言葉ほど信用出来ないものはないデスネッ!?」
なぜだっ!? こんなに紳士的なのに!?
「シラハ様は人間のせいで心も体も傷付いているデスヨ! 貴様のような無神経な人間に会わせるわけにはいかないデスネ!」
「おい、ニッカ! ウチの領主に向かってなんて暴言をっ!?」
「君のことだよ、ヤシロ!」
俺のどこが無神経だってんだよ。心外な。
人が立った直後のぬくい椅子を気持ち悪いと思うくらいに神経質だってのに。
「問題は発生しない、ニッカが思うような。保証する、私が」
ギルベルタが進み出て、ニッカと向かい合う。
胸を張り、その胸をドンと叩く。
「信じる、私は、友達のヤシロを。この胸を『見事なおっぱいですね』と言った、友達のヤシロを!」
「信用に値しないデスネッ!」
ニッカの反応に、ギルベルタは驚きを隠せない様子でこちらに視線を向ける。
……いやいや。当然の結果だと思うぞ。つか、覚えてんなよ、そんなこと。
「責任はすべて私が取る」
ルシアが領主の威厳をたっぷり含ませた口調で言う。
さすがのニッカも一瞬怯み、言葉を詰まらせる。
つか、領主がここまで言わなきゃいけないような関係性なのか?
どんだけ丁重に扱われてんだよ、そのシラハってヤツは。
物でもなんでも、あまり大切にし過ぎると壊れやすくなっちまうんだぞ。
「ここにいるウェンたんはヤママユガ人族なのだが」
と、ルシアがウェンディを指して言う。……『ウェンたん』やめろや。
恐縮したように、ウェンディは肩に力を入れ、おどおどとニッカを見上げる。
「この者は、此度人間と所帯を持つことになった」
「亜系統が人間とデスカ…………?」
素直に驚きの表情を見せ、しかめっ面をさらすニッカ。
その目には、理解しがたい者への畏怖と軽蔑が含まれていた。
「亜系統ではない。ヤママユガ人族だ」
ルシアが言葉を訂正する。
一瞬、ウェンディの表情が緩むが、やはり緊張は解けないようだ。
かつてウェンディは、ヤママユガ人族がチョウのように花と戯れられるようにと、光る花の研究を始めたと言っていた。
ヤママユガ人族にとって、アゲハチョウ人族は憧れの存在だったりしたのかもしれない。
少なくともウェンディは、花と戯れるアゲハチョウ人族を見て、その光景を美しいと感じたはずだ。だからこそ、自分もそうありたいと思ったのだ。
そんな相手から向けられる侮蔑にも似た視線は、ひょっとしなくてもつらいものではないだろうか。
もしかしたら、過去にも同じような扱いを受けていたのかもしれない。
『亜系統はこっちに来るな』……的なな。
「人間の奴隷となる道を選んだ者には、尚のこと会わせられないデス」
人間との結婚とはそういうものだ――と、そんな思い込みがしっかりと根付いてしまっている。
ただ、その発言は得策ではなかった。
ウェンディの体がにわかに発光する。
「……セロンは、そのような人ではありません」
「そう思うのは貴様が無知だからデス。世間を知らず、歴史を知らず、目の前のことしか見えていない証拠デス。人間の酷さを何も分かっていな……」
「そんなことはありませんっ!」
バリィッ――と、稲光が一帯に広がる。
激しいスパークに、ニッカをはじめルシアにギルベルタも目を丸くする。
さっき、ニッカが鱗粉を撒き散らしたせいで、発光が広がりやすくなっていたのだ。
想像以上の迫力に、当のウェンディも驚きを隠せない様子で、上り詰めた感情が急速に沈んでいく。
「も、申し訳ありません……お騒がせを……」
取り繕うようにそう言って、頭を下げる。
ウェンディは、セロンを悪く言われると極端に感情の針が振れてしまう癖がある。そこら辺は要改善だな。
「た、ただ……」
門の上から見下ろしてくるニッカに対し、遠慮がちに視線を向けて、それでも決して引かない態度で、ウェンディはきっぱりと自分の思いを告げる。
「私は、セロンのいいところだけを見て好きになったのではありません」
己は決して無知ではないという、明確な意思表示。
それは、セロンを否定させないための、ウェンディなりの愛情表現のように思えた。
「共に時間を過ごし、様々な場所で、本当に多くの方と出会い、触れ合い、そして心に決めた、揺らぎない思いなんです」
「無知」の一言で片付けるなと、知りもしないで知った風な口を利くなと、ウェンディはそう言いたいのだろう。
ならそう言えばいいのに。
「なぁ、ニッカ」
他人を追い詰めるようなことを絶対言わないウェンディ。
それは優しさでもあり、時には残酷でもある。
見ろよ、ニッカの顔。完全否定されてぐうの音も出ないのに、明確な負けを宣言されていないから引くに引けない状態になっちまってんじゃねぇか。戸惑いが色濃く表情に表れている。
自分から非を認めるわけにはいかない立場にいるんだよ、あいつは。
ここは、言い負かしてやる方が親切ってもんだぜ。
なので、俺が代わりに言ってやるさ。
「お前はどれだけの人間を知っている? 知人でも友人でも、顔見知りでもいい。お前はどれだけの人間と言葉を交わした? 顔を見た?」
「そ、そんなもの……あ、会う必要がないデスヨ! ワタシたちは人間とは相容れない種族で……っ!」
「『何人知ってるんだ』?」
「…………ルシア様と、あと、数人…………くらい、デスヨ、ふんっ」
顔を顰めてそっぽを向く。
その行動は、白旗を掲げたのと似たようなもんだぞ。
「こんな場所に閉じこもって、特定の人間以外とは交流を持とうとせず、新たな出会いを拒み、知ることを放棄して…………」
たじたじと、ニッカが後方に身を引く。
反論が出来ないってことは、それを認めているってことだ。
こんな、誰も足を踏み入れないような奥まった場所に閉じこもって、目と耳を塞いでいるお前がよく言えたもんだな。
鎖国じゃねぇか、こんなもん。
一方のウェンディは、実家を飛び出し、頼るあてもなく四十二区へ移住して、自分の夢のため研究に没頭した。
そしてそこで、時間と喜びと苦悩と感動を共有出来る人と出会った。
まったく……
「どっちが無知なんだよ?」
「う……うるさいデスネッ! あ、亜種には亜種の考え方があるデスヨッ!」
「あぁ、悪い。その論法は通用しねぇんだ」
そんな言い訳、聞く耳持たねぇ。
だってよ……
「俺もお前も、同じ人間だろうが」
わざわざ特別扱いしてやるだけの理由がない。
「確かに見た目は違うよな。お前には羽や触覚が生えているし、空も飛べるんだって? 俺には真似出来ない芸当だ。だが、それがなんだ?」
姿形が違うから心は理解出来ないなんて、そんな論理は破綻している。
成り立たない。成り立つわけがない。
「心が理解出来ないなんて、当たり前だろうが」
同族同士でもそんなもんは無理だ。
精々、共感するくらいのことしか出来ない。
ジネットやエステラ、マグダやロレッタあたりなら、顔を見れば何を考えているかくらいはなんとなく分かる。だがそれは心を理解したことにはならない。
そいつが何を考えているのかなんて、そいつ本人にしか分かりゃしないんだ。
「けどな、分からないなりに、『分かろうとする』ことが大事なんじゃねぇのか?」
努力もせずに相手の心を理解出来る気になっているのであれば、それはただの傲慢だ。
心なんか、簡単に理解出来るもんじゃねぇんだよ。
それは、同族も異種族も関係ない。
人間ってのは、そういう生き物なんだよ。
「お前らみたいに、最初っから心に鍵をかけて拒絶されたら、理解なんか出来るわけねぇだろ」
「だっ、黙るデス! 人間はそうやって、いつもいつも……言葉巧みに……」
「へぇ。『お前は随分と人間のことを理解しているんだな』」
「くっ!?」
『そりゃ、お前の想像だろ?』と、遠回りに非難してやる。
分かりやすいくらいにニッカは表情を歪める。
「ニッカよ」
睨み合う俺とニッカの間に、白絹のような美しい手が差し込まれる。
ルシアが俺たちの間に割って入り、ニッカに向かって声をかける。
「そなたがこの結婚に反対だというのであれば、シラハに会わせて説得してもらえばよかろう。人間との結婚で傷付いたというシラハの話を聞かせてやればいい」
「…………」
ルシアの言葉をどう受け取ったのか、ニッカは口を閉じて黙考を始める。
全身を覆っていた殺伐とした雰囲気は薄れていた。ある一定の納得を示したということだろう。
俺はと言えば、ルシアがここへ俺たちを連れてきた理由が分かってスッキリした気分だ。
ウェンディの結婚に対し、ルシアは賛成なのか反対なのか態度がはっきりしていなかった。
だから、こいつが俺たちをシラハに会わせて何がしたいのかずっと謎だったのだが……
こいつは期待しているのだ。
俺たちが――ウェンディとセロンの結婚がこの状況を打破してくれることを。
かつての亜種、亜人たちに同情的な政策を取る三十五区の領主として行動を起こせば、きっとその先にはずっと『同情の念』が付いて回る。
花園で出会ったモンシロチョウカップルのように、『領主様のご命令に従い優位に立たせていただきます』という感情が払拭出来ないのは、根底に領主の『同情』が根付いているからだ。
かつて人間は酷いことをした。その償いをしなければいけない。
そんな後ろ向きな思いで施されたものに、本当の意味の幸福など存在しない。するわけがない。
立場が一寸も変わっていないのだから。
施す者と施しを与えられる者。
身分制度がそのまま残されている。
ルシアがそれに気付いているかどうかまでは分からんが、今の状況をどうにかしたいと思っていることは確かだ。
降って湧いたような今回の結婚話に、ルシアが食いついたのは、そんな状況が長引いていたからかもしれない。藁にもすがるというヤツだ。
失敗しても、ルシア自身はなんの痛手も負わないからな。
強かな領主め。
「……では、会ってみるがいいデスヨ。会ってその目で見るがいいデス。シラハ様の受けた苦しみを、悲しみを……っ」
ついにニッカが折れた。
大きく羽を広げ、門の上から飛び降りてくる。
ひらりと舞うように、俺たちの前へと降り立つ。
「ただし、無礼を働いたらすぐさま追い出すデスカラネッ!」
「俺がそんなことする人間に見えるか?」
「見えるデスッ!」
信用はされていないようだが、とりあえず中には入れてくれるようだ。
一歩前進、かな。
「覚悟するデス……心が張り裂けるような悲哀を受け入れる覚悟を……」
言い捨てて、ニッカが門をくぐる。
俺たちはそれに続き、庭へと足を踏み入れた。
近くで見た平屋は無駄に大きくて……一層物悲しさを強調しているようだった。
ご来訪ありがとうございます!
はいほー!
昨日は書籍化ご報告だけで力尽きてしまった宮地です。
ずっとワルツのステップを踏んで過ごしました。
ご報告出来る喜び。
感想欄や活動報告にメッセージをくださった皆様、ありがとうございます!
見てますよ~!
一緒に喜びましょう~!
4月28日は本屋へGO! ですよ!
一般人の発想
σ( ̄、 ̄=) < 『4・28』だから……『よつば』の日、かな。
宮地の思考
( ・∀・)ノシ < 『4・28』だから……『横乳・ふっくら・ばいんばいん』の日っ!
さぁ、みなさん!
横乳・ふっくら・ばいんばいんの日は、
横乳・ふっくら・ばいんばいんなヒロインが活躍する『異世界詐欺師のなんちゃって経営術』の日ですよ~!
o(*^▽^*)o まぁ、覚えやすい♪
今後、ステマが酷くなるかと思います。
あらかじめご了承くださいませ。
さて、本編ですが……
まだ会えないのかよっ!?
もったいぶっております。
違うんです。
ルシアのヤツが行数食いやがるんです……ヤツがねぇ。
次回、ようやく悲劇のアゲハ人族『シラハ』の登場です。
それはそうと、さすが三十五区、というか、他区ですね。
ヤシロに冷たい人が多いです。
まぁ、初対面で好かれる男ではないですからね。
でも、懐に入るのが上手い…………というか、変態同士共鳴し合っているような気もしなくもないのですが……
徐々に仲良くなっていく感じが出せればいいなぁ、と思いながら書いております。
四十二区ではもう味わえない、懐かしい感覚です。
ちょっと反発する娘も可愛いんですものっ! 好きなんですものっ!
そして、最終的にデレてほしいんですものっ!
あ、そうそう。今回出てきたアゲハチョウ人族のニッカはEカップですが、
この後出てくるシラハは設定していません。
……もう、お婆ちゃんなので。そういうのは、ちょっと。
ちなみにちなみに、ムム婆さんも胸のサイズは設定されていません。
ウクリネスはCカップですけどねっ!
というわけで、ご無沙汰ぶりのSSです!
2016年 03月 15日 22時 45分のS様より~
みんなのミリィたんの触角ぷにぷになお話ですっ!
――陽だまり亭
ミリィ「…………てんとうむしさぁん……」
ヤシロ「どうしたミリィ!? ずどーんと沈んだ顔して!?」
ミリィ「ぅう…………ごめんね……ごめん、ね……」
ヤシロ「あ、ははぁ~ん…………髪飾りに傷でもついたのか?」
ミリィ「…………ぅん。気をつけてたのに……、森の中で……太い枝がばしぃって……」
――ミリィ、肩を落としてへこんでいる。髪飾りに長い傷
ヤシロ「そんな気にするなよ。前にも言ったろ? 傷なんかすぐ直せるんだからよ」
ミリィ「でもね……今回のは、長いし……結構深いの…………直る?」
ヤシロ「直るよ。あぁ、でも、今回はちょっと預からせてもらうことになるかもな」
ミリィ「えっ!?」
ヤシロ「いや、ちょっと時間かけた方が綺麗に直るからな?(ホントはかなり熱して打ち直さなきゃダメなんだが、作り直しとか言うとヘコみそうだし黙っとこう)」
ミリィ「…………じゃあ、今日、みりぃ……てんとうむし、ない、の?」
ヤシロ「明日の朝までには直しておくから」
ミリィ「……だいじょうぶかなぁ…………今日、みんな、みりぃのこと、わかるかな?」
ヤシロ「いや、それは分かるだろう!」
ミリィ「……みりぃ、特徴ない娘だし……」
ヤシロ「んなことねぇよ」
ミリィ「………………『え、だれ?』みたいな顔されたら……どうしよう……」
ヤシロ「ないってば!」
ミリィ「…………ぅう……落ち着かないよぅ……」
――ミリィ、髪の毛を落ち着きなく触る
ヤシロ「ほらほら、そんなにいじくると跳ねちまうぞ」
ミリィ「ぁう……」
――指でくるくるされて、ミリィの前髪が跳ねる
――ヤシロ、それを手櫛で整えてあげる
ミリィ「…………な、なんか、くすぐったぃ……かも」
ヤシロ「そうか?」
ミリィ「……ぅん。あんまり、撫でられるのとか、されたことないから」
ヤシロ「撫でてるわけじゃないんだが……撫でようか?」
ミリィ「ぇっ!?」
ヤシロ「あ、いや。嫌ならしないぞ? 俺は、ミリィにだけは酷いことはしないと決めてるんだ。その分、ウーマロとロレッタには容赦しない」
ミリィ「ろれったさんには、やさしく、ね?」
ヤシロ「はっはっはっ、ウーマロ。哀れだな」
ミリィ「ぁうっ、そ、そういうことじゃなくてね、うーまろさんも、やさしく、ね?」
ヤシロ「それは断るっ!」
ミリィ「ぅぇぇえっ!?」
――ヤシロ、ミリィの頭を撫でる
ヤシロ「冗談だ。優しいな、ミリィは」
ミリィ「ぁう…………そ、そういうこと言われて撫でられると…………恥ずかしぃ」
――ミリィ、照れつつも、嬉しそうに撫でられている
――と、ヤシロの手がミリィの触角に触れる
ミリィ「にゃふんっ!?」
ヤシロ「うぉうっ!? ビックリした!?」
ミリィ「ぁ……ぁう……ぁ、ぃ、ぃま……触角…………」
ヤシロ「え、触っちまったか?」
ミリィ「ぅ…………ぅん……」
ヤシロ「それは悪かったな……ごめんな? 平気か?」
ミリィ「ふぅぅ…………ぃ、今、顔……覗き込まないで…………」
ヤシロ「あ、悪いっ!」
――ミリィ、全身真っ赤に染めてヤシロから顔を背ける
ミリィ「ぁ、ぁの、ち、違うん、だょ? ぃ、いやとかじゃ、なくてね? ぁの…………恥ずかしぃ、から……ね?」
ヤシロ「あぁ、分かってる。分かってるから……もう、言わなくていいから」
ミリィ「ぅ、ぅん……でもね、ぁの……てんとうむしさんなら、みりぃ、へいき、だから、ね?」
ヤシロ「へっ!?」
ミリィ「ふゎぁっ!? ち、違う、ょ!? 深い意味ないょ!? ぃつも、お世話になってるから……キライじゃないし…………キライじゃないって、そんなえらそうな感じじゃなくてね……ぁの、そのっ!」
ヤシロ「分かった! 分かったから、一回落ち着こう!」
ミリィ「……ごめん、ね? ぁの……触角、男の人に触られたの…………初めて、だった、から……」
ヤシロ「ほぅっ!」
ミリィ「ど、どしたの!?」
ヤシロ「……いや、ちょっと言葉が刺さっただけだ…………なんか、ホント、ごめん」
ミリィ「…………みりぃ、は、ぃい、けど…………」
ヤシロ「よし! こうしよう!」
――ヤシロ、ポケットからゴムを取り出す。それにちょちょいと細工をして髪留めを作る
ヤシロ「ちょうど、今朝取れたボタンがテントウムシみたいだなってジネットと話してたんだ。ほれ、似てないか?」
ミリィ「ぁ……ぅん。似てる、かも」
ヤシロ「ってわけで……」
――ヤシロ、テントウムシ風ボタンのヘアゴムをミリィにつける
――頭上でテントウムシ風ボタンが揺れる
ヤシロ「修理が終わるまでは、これで我慢な」
ミリィ「わぁっ! ありがとう、てんとうむしさんっ!」
ヤシロ「それじゃ、今日一日頑張れるな」
ミリィ「ぅん! それじゃあ、お仕事行ってくるね!」
――ぴょこぴょこと、ミリィが駆けていく
――しばらく走った後、振り返るミリィ
ミリィ「自慢してくるねぇ~!」
――大きく手を振って仕事へ向かう
ヤシロ「まぁ、喜んでもらえてよかった………………あぁ、焦ったぁ。ミリィの触角は心臓に悪いなぁ……エステラなら全然気にしないのに」
エステラ「ボクのいないところで随分な言い草だね。とりあえず、話し合おうか?」
――この後、ヤシロはエステラにこんこんと叱られるのでした。
と、いうわけで、照れるミリィでした!
怒ってるわけでも嫌なわけでもないけど、気にしないでいいよとも言えない、
それくらいの恥ずかしさ………………いいですねっ!
なんで日本にいないんだろう……ミリィ。
でも、強く生きましょう!
ミリィはいなくても……爆乳はいる!
僕らはまだ、生きていけるさっ☆
今後ともよろしくお願いいたします。
宮地拓海




