後日譚20 緊張する
「ゎあ……ぉっきぃ…………」
陽だまり亭の前に停まる馬車を見上げて、ミリィがぽか~んと口を開けている。
ポップコーンを放り込みたくなるような、綺麗な円形だ。
教会への寄付を終え、今日の営業方法についてのミーティングをしている間に馬車がやって来た。
ルシアが寄越してくれたのは、毛並みの立派な馬が二頭で牽引してくれる六人乗りの豪華な馬車だった。
車体には、嫌味にならない程度に金が使用されており、気品と風格を感じさせる。
領主たるもの、こういう馬車に乗ってほしいものだな。
「お金持ちって凄いなぁ~」
「それは、ボクに対する当て付けかい?」
四十二区の貧乏領主エステラが、こめかみをぴくぴくさせている。
きっと羨ましいのだろう。
なにせ、エステラのところには、『貧乳ぺったん号』とかなんとか、確かそんな感じの名前の馬くらいしかいないのだ。
そりゃあ羨ましくもなるさ。
「……マグダは、エステラの家の馬車の方が好き」
「マグダっ! 君はなんて可愛いことを言ってくれるんだい!」
エステラが感激してマグダに抱きつき頬擦りをする。
マグダは嫌そうにそっと距離を取る。
こいつらの関係はいつまでたっても変わらねぇな。この微妙な溝がなぁ……
「……エステラの馬車は四人乗りだから、ヤシロ、店長、エステラ、ロレッタが乗ると、必然的にマグダはヤシロの膝の上に」
「長時間になると、俺の太ももが悲鳴を上げそうだな」
「では、わたしと代わり番こで抱っこしましょう」
「いや、そういうことじゃなくて……」
膝の上に乗るのは確定なのかよ……
「……店長の膝の上にはミリィが乗る予定」
「ぇっ!? みりぃもはいってるの?」
「……一緒だと、マグダは嬉しいけど?」
「ぁう、み、みりぃも嬉しいよ!? だから、そんな、耳をぺたーんってさせないで! 嬉しいから!」
「……なら、ミリィは店長の膝、ないし乳の上に」
「乳の上は無理ですよ!? ……なに言わせるんですか!?」
「……ヤシロ、懺悔して」
「お前だっ!」
「……いや、いつもの流れ的に」
そんな流れを作るんじゃねぇよ。
……まぁ、いつも俺が懺悔させられる流れってのは否定出来ないけども。
「じゃあ、あたしがお兄ちゃんの膝の上に座るです!」
「じゃあの意味が分からんぞ、ロレッタ」
マグダやミリィはともかく、お前を膝に乗せてると確実に足がしびれて、目的地に着いた頃には歩けなくなってるぞ。生まれたての小鹿より足をぷるぷるさせてるぞ。
「……では、公平に。マグダ、ミリィ、ロレッタで、順番にヤシロと店長の膝の上をグルグル回る」
「なんだ、その落ち着かない車内……」
「ぁの……みりぃも、やっぱり膝の上座るの?」
「……見るといい、あの、ヤシロの期待しまくっている目を」
「ぴぃっ!?」
「してねぇわ、そんな目!」
ミリィが身を縮めて少し後退る。
なんだろう……こいつらを黙らせないと変な噂が次々生まれていく気がする。
「ぁの…………みりぃ、重たかったら…………ごめん、ね?」
「待て、ミリィ。とりあえず、そのお出かけの計画は今のところ何も立ってないから」
なんで真っ先に席順決めてんだよ。
もっと色々決めてからでいいだろう、そんなもんは。
「……ところでさ。膝の上に座るって話、ボクが一切触れられなかったのって、何か意味あるのかい?」
「……クッション性は、ある方がいい」
「あるよ、クッション! 結構ぷにぷにしてるよっ!」
「……店長の前で、もう一回」
「こ、ここまではないけどもっ!」
「む、胸を指ささないでください、エステラさんっ!」
「……硬いシートは、つらい……」
「なんて可愛くないことを言うんだい、マグダッ!?」
物の数分で意見が真逆になったな。
「おはようございまふぁぁぁあっ!?」
奇妙な挨拶を口にし、ウェンディがやって来た。
馬車を見て度肝を抜かれたようだ。
「あ、あの……こ、この馬車……ですか?」
「おう。なかなか立派なもんだろう」
「なかなかだなんて…………今まで見た中で一番凄いです……」
ハビエルんとこの上を行く豪華さだもんな。
だが、見たことがないなんて言ってられないぞ。なにせ、これからコレに乗るんだからな。
……靴とか脱ぐなよ。土足でいいからな?
「あの……私は本当にこの馬車に乗ってもよろしいのでしょうか?」
大きなつばの帽子を目深に被り、遠慮がちにウェンディが言う。
遠慮がちと言うより、半分怯えている。
「三十五区の領主様の馬車に、四十二区の領主様と同席なんて……それに英雄様までおいでで……恐縮してしまいます」
おいおい。俺をそんな面白メンバーに含めないでくれ。
領主っつってもエステラだぞ?
ルシアの馬車ではあるが、ルシアがここにいるわけではない。
そんなに緊張したままじゃ、三十五区に着く前に疲れ切ってしまうぞ。
コッチコチに固まっているウェンディ。見ているこっちが息苦しくなってくるほどだ。
どれ、リラックスさせてやるか。
「ウェンディ」
「は、はい。なんでしょうか、英雄様?」
「領主なんて生温い。この中で一番発言権を持っているのは、陽だまり亭の店長様だぞ」
「ふぇっ!? な、なんでわたしなんですか!?」
「あぁ、確かに。ボクもジネットちゃんには逆らえないや」
「や、やめてください、エステラさんまで!」
こういうのにほいほい乗っかってくるエステラに、その発言に狼狽するジネット。
さらに、空気が読めるウチの連中が追随する。
「……店長の本気は、狩猟ギルドのギルド長をも凌駕する」
「怒ると凄く怖いです。ウチのヤンチャっ子たちも、店長さんにだけは逆らわないです」
「そ、そんなこと……っ! もう、もう! みなさんやめてくださいってばっ!」
ジネットが見せた困り顔は、万人の『Sっ気』を刺激し、「うわっ、いじめたい!」という衝動を呼び起こすのだ。
みんなにからかわれ、顔を真っ赤に染めるジネット。
「もうっ! ヤシロさんのせいですからねっ」
頬をぷっくりと膨らませて、ジネットが俺を睨む。
こういうことを言うようになったのは、本当に最近のことだ。
大食い大会前後で、こいつは大きく変わった。
まぁ、俺が色々と不安にさせたせいでもあるんだが…………けど、ジネットのこういう変化を、俺はいい傾向だと思っている。
何より、……ちょっと可愛いしな。
「怒る前に……ほら、見てみろよ」
「……え?」
可愛らしく眉を逆立てるジネットの視線を、指で誘導してやる。
俺の指さした先では、ウェンディが口を覆って笑っていた。
「も、申し訳ありません、店長さ…………ふふっ……我慢……出来なくて…………うふふっ」
こらえきれずに漏れ出した笑みは、ウェンディの耳を赤く染め、そして周りの空気を柔らかくしていった。
「あ、いえ。あの、……ウェンディさんの緊張が解れたのでしたら、それでいいです」
笑われたことよりも、そのおかげでウェンディの心が軽くなったことを喜べる。ジネットとはそういうヤツなのだ。
おかしそうに笑うウェンディに、ジネットは温かい笑みを向ける。
な? 俺の作戦通りだろ?
こりゃあ、あとでご褒美の一つでももらえるんじゃないかなぁ……なんて考えていると、ジネットが不意にこちらへ顔を向ける。
笑みの残る顔ながらも、眉毛は少し吊り上がっていた。
「けど、ヤシロさんはあとで御仕置です」
はっ? なんでだよ!?
俺、いいことしたじゃん!?
「覚悟していてくださいね」
そんなことを、優しい笑みを浮かべながら言う。
やはり、ジネットは少し変わった。
それはきっと喜ばしいことなのだろう。
んじゃまぁ、しょうがない。
覚悟くらいはしておくか。
ジネットが、どんな御仕置を用意するのか、興味もあるしな。
「それじゃ、そろそろ行くか」
「そうだね。席順は適当でいいかな?」
「は、はい。私はどこでも構いません」
「みりぃも、それでいいよ」
エステラが一番に乗り込み、まだ少し緊張の残るウェンディとミリィを先に馬車に乗せる。
俺は最後に乗ってドアを閉める係だ。
「では、陽だまり亭をお願いしますね」
「……任せて」
「あたしたち二人がいれば無敵ですっ!」
「あとから、デリアさんとウーマロさんがお手伝いに来てくださいますので」
「……うむ。こき使う」
「先輩の風格を見せつけてやるですっ!」
「いえ……そうではなくて……」
昨晩、遠出の約束をしたこともあってか、マグダもロレッタも気合い十分、店を守りきるつもり満々だ。やる気が満ち満ちている。
マグダが指示を出せば、デリアとウーマロもちゃんと機能するだろう。
店は任せても大丈夫だな。
ジネットは少し戸惑い気味だが。
大丈夫大丈夫。デリアは細かいことは気にしないし、ウーマロには何をしたって許される。他ならぬ俺が決めた陽だまり亭絶対ルールだ。
少し後ろ髪を引かれ気味なジネットを馬車に押し込んで、最後にもう一度マグダとロレッタに向き直る。
「二人とも、頼んだぞ」
「……頼まれた」
「どーんと任せるです!」
並んで立つ二人の頭にそれぞれ手を載せる。
同時に撫でてやると、マグダは満足そうに目を細め、ロレッタは慣れていないのか目を白黒させていた。
「じゃあ、行ってくる」
「あ、あのっ!」
馬車に乗ろうと振り返ると同時にロレッタが声を上げた。
姿勢をそのままに視線を向けると、ロレッタがなんだかもじもじしていた。
呼び止めておきつつも何かを躊躇う素振りを見せる。
「…………で、出来るだけ、その……」
照れくさそうに俯いて、上目遣いでこんなおねだりをしてくる。
「……なるべく早く帰ってきてくれると、嬉しい……です」
ロレッタにしては珍しい、控えめで正直なアピールだ。
ジネットに見せたら三十五区行きを中止させかねない破壊力だな、これは。
もう一度ロレッタたちへと向き直り、さっきよりもしっかりした手つきで頭を撫でてやる。
「善処する」
「はいです…………ありがとです」
「…………むふー!」
晴れやかな二人の笑顔を見て、俺は馬車へと乗り込んだ。
「お父さんだね、もはや」
「やめてくれ。まだそんな甲斐性はねぇよ」
あんなデカい子供は俺の手に余りまくる。
エステラが御者に合図を出し、馬車がゆっくりと動き出す。
御者はルシアのところのお抱えだそうだ。安全運転で頼みたいもんだな。
動き出した馬車の中で、改めて三十五区へと向かうメンバーの顔を眺める。
ジネットは少し緊張気味ながらも落ち着いた表情を浮かべている。周りへ配慮出来るくらいの余裕はあるようで、ガチガチに緊張しているウェンディとミリィに声をかけてやっている。
エステラは落ち着いた面持ちでそんなジネットを見つめている。時にフォローを入れたり、笑みを見せたりして車内の緊張を解そうとしているようだ。
ウェンディは、突然の呼び出しに緊張しっぱなしだ。それがルシアに呼び出されたことによるものなのか、またルシアに触角をぷにぷにされるかもしれない恐怖から来るものなのかは知らんが……まぁ、前者だろうな。
そしてミリィは、緊張と期待の混在した表情を見せている。花園に行けるわくわくと、自分を招待したのが三十五区の領主だということへの緊張が混ざり合って複雑な感情が渦巻いているようだ。嬉しそうであり泣きそうでもある。
座席は、進行方向に向いた窓側がエステラ。その隣に俺。
向かい側の窓側にウェンディ。真ん中にミリィ。そして一番ドア側にジネットが乗っている。
「エステラ」
この中では一番落ち着いているように見えるエステラに声をかける。
体を近付け、そっと耳打ちする。
「……大丈夫か?」
エステラは、割とメンタルが弱い。その弱点を自覚しているから、領主になる踏ん切りをなかなかつけられなかったのだ。
周りが分かりやすく緊張しているせいで、こいつは無理をして落ち着いた素振りを見せているのではないか。と、そう思ったのだ。
顔を覗き込むと、エステラは目を丸くして少し驚いたような表情を見せた。
「驚いたな」
それだけ言うと、エステラは口角を持ち上げ、どこか意地の悪そうな笑みを浮かべた。
「いつから君は、そんなに優しい男になったんだい?」
心配はいらない……ってことを、遠回しに言っているのだろう。
うっせ。俺はいつだって優しいだろうが。
「緊張はしているよ。けど、怖くはない」
拳を握り、それを俺の胸にトンと当てる。
「ボクは一人じゃないからね」
拳が触れている部分が微かに温かい。
頼られているのだとよく分かる。
……そんなに期待されても困るんだが…………まぁ、不安がないならその方がいい。
「でも」
ふわっと腰を持ち上げ、今度はエステラが俺の耳元に唇を近付ける。
そして囁くような声で――
「ありがとね」
――と、呟いた。
……えぇい、耳がこそばゆいわ。
不服を訴えようとエステラを睨むと、にんまりとした、上機嫌丸出しの笑みを向けられた。
何がそんなに嬉しいんだか。
とりあえず心配はないようだ。
「あの、ヤシロさん」
エステラとの密談とも呼べない会話を終えると、斜向かいの席からジネットが俺に視線を寄越してきた。わずかに不安の見え隠れする表情だ。
「大丈夫ですか?」
あぁ、そうか。
ジネットには気付かれるのか。
実のところ、俺も緊張しているのだ。
他人の心配をしている方が、多少は緊張が紛れるかと思ってエステラに話を振ってみたのだが……もしかしたら、この中で一番平常心を保っているのはジネットかもしれないな。周りの人間のことがよく見えている。
「正直に言えば、今回の呼び出しがどういう内容なのか見当がつかないんだ。おそらく、かつて『亜種』と呼ばれた者に会わせるつもりなんだろうが……」
そうでなければ、ルシアがわざわざ今回のような機会を作る意味がない。
俺たちの目的――セロンとウェンディの結婚式のことを知った上で、ルシアは俺たちを呼びつけた。
「会わせたい人物がいる」と。
その人物は、虫人族と人間の結婚に関して『何か』を抱えた人物に違いない。
まぁ、だいたい想像はつくが……
おそらく、人間と結婚した……『していた』かもしれんが……虫人族なのだろう。
その人物に、一体どんな事柄を突きつけられるのか……不安がないといえば嘘になる。
俺がやろうとしていることを、ルシアはエゴだと言った。
それでも、そのエゴを貫こうとする俺に会わせたい人物。俺を止める気なのか、後押しする気なのか……はたまた、背負うには重過ぎる課題でも寄越してくるつもりなのか……
割と気軽に動き始めた今回の計画だったが……このオールブルームの成り立ちに関わるような面倒くさい事柄に足を突っ込んでしまったようだ。
アッスントの忠告通りになっちまったな。
「本音を言うぞ――」
俺は、その場にいるメンバーに、嘘偽りない、正直な気持ちをぶっちゃける。
「この街に巣食う、差別意識や種族間のぎくしゃくした摩擦をどうこう出来るとは思っていない。いや、むしろ絶対に出来ないと確信している。俺たちに出来ることなんざ、たかが知れてるんだ」
そんな根深い感情を、ぽっと出の俺が数日やそこらでどうこう出来るわけがないのだ。
日本でだって無理だ。
他所者の…………もとい、他所からやって来た俺には荷が重過ぎる。
……いや、ほら。俺が自分のことを『他所者』って表現すると、色んなヤツが微妙な顔をするからさ……ジネットなんか泣きそうな顔をしやがる。だから自重したまでだ。
そんなわけで、もうそろそろ他所者ではなくなりつつあるのかもしれない俺なりに手を尽くしたところで、この街の数百年に及ぶ歴史をひっくり返すなんてことは不可能なのだ。
けれど、他所者でなくなりつつあるんだからよ……そのまま放置ってのも、気分悪いじゃねぇか。
「だから、『多少はマシになったな』くらいのところまでは持っていく」
きっと、差別意識ってのはなくならない。
ずっと、世代が変わっても、心の奥底にくすぶり続けるのだろう。
人間である以上、それは仕方のないことだ。
貴族や王族が存在するこの街でなら、尚のことな。
だが、その差別意識ってヤツを『くだらないこと』に変えてやるくらいは、もしかしたら出来るかもしれない。
お互いに別の人種として、すべてを理解し合えないまでも、一緒になって楽しめるってとこくらいには持っていけるんじゃないだろうか。
「お前は○○人族だから仲良くしない!」なんて言葉が、「もったいなくて吐けない」状態にすることくらいなら……
くだらねぇことやってないで、一緒に楽しもうぜ。
そういう空気を作り出すことくらいなら……俺たちなら、出来るんじゃないかと、俺は思うんだ。
「それでも――」
背筋を伸ばし、真っ直ぐに俺を見つめ、ジネットが澄み渡る声で言う。
「そうすることで、楽しいと思える人が、今よりも、ほんの少しでも増えるのなら……それは素晴らしいことだと、わたしは思います」
言葉を区切りながら、一言一言をはっきりと言葉にしていく。
まだまだ、自信というどっしりとした安定感はないものの……発せられた言葉はまるでベルティーナの口からもたらされるその声音のように凛とした響きを持っていた。
「やろう。ボクたちに出来ることを。全力で」
ぽんと、俺の肩に手が置かれる。
エステラの手は、少し温かく感じた。興奮して熱でも上げているのかもしれない。
「ぁ……ぁの…………もし……みりぃにも、なにか……できることがあったら……」
とても控えめな協力者が、一生懸命な眼差しで俺を見つめている。
そうだな。ミリィには、きっと力を借りることになるだろう。
「頼りにしてるぞ」
「ぁはっ、ぅん!」
ミリィの照れ笑いの隣で、ウェンディはまた少し泣きそうな表情を浮かべていた。
嬉しげに……静かに……微かな笑みを浮かべて。
「しっかりしろよウェンディ」
完全に巻き込まれたような感じではあるが……もともとの発端はお前たちなんだ。
「お前らの結婚式が成功すれば、この街に笑顔が溢れることになるんだぞ。泣いてる暇はないからな」
「…………はい」
こくりと頷いて、細い指で目尻を拭う。
そして、しっかりとした口調で、ウェンディは言う。
「頑張ります」
何を頑張ればいいのか、きっとウェンディにも分かっていないのだろう。
だが、その心持ちが大切なのだ。
何を頑張ればいいのか。それは、追々見つけりゃいい。
敵は、目に見えない厄介なヤツだ。
だからこそ……
「へっ……、な、なんですか? わたしの顔、何か変ですか?」
「いや」
そばにいて、一緒に頑張ってくれる仲間がいるってことを、忘れないようにしなきゃな。
ご来訪ありがとうございます!
じゅーだいはっぴょーー!
明日!
告知しますっ!
……という、重大発表でした!(こういうの、前やった!?)
なので今回は、もう少し詳しく……
明日、
・出版社様
・イラストレーター様
・発売日
をご報告いたします!!
さらに、いつもよりちょっと早い時間に更新します!
しかしながら、
出版社様との兼ね合いの関係上、
先にネット上に情報が出ちゃうかもしれません。
ですので、
今日、ここで、ヒントだけでもお教えしたいと思います。
皆様が一番気になっているであろう、
出版社! …………あ、そっちはなんとなく分かってるからいいですか?
では、イラストレーター様のヒントを、どどんと公開!
ヒント1
可愛いイラストを描かれる方です。
ヒント2
大手出版社を含む複数のレーベルでイラストを担当されている方です。
ヒント3
このイラストレーター様に、よく似た名前のキャラがウチにいますっ!!!(←大ヒント!)
あぁっと、これ以上は、今はまだ……
誰だろう~と予想しながらお待ちください。
どのキャラかとか、私の口からはちょっと…………
ただ、おもむろに、
リクエストでもなんでもないSSを投下したりして――
――陽だまり亭
ハム摩呂「覚えたての特技の、お披露目やー!」
エステラ「今度は何が始まるんだい?」
ジネット「実は、ハム摩呂さんが似顔絵を覚えたそうなんです」
ヤシロ「どこからの情報だ?」
ロレッタ「あたしです!」
ヤシロ「あぁ、じゃあ信憑性は低いな」
ロレッタ「なんでです!? ハム摩呂、人の特徴を掴んで絵にするのが上手いです!」
ハム摩呂「大絶賛の、身内褒めやー!」
ヤシロ「まぁ、そういうことだ」
エステラ「身内の判定は甘くなりがちだからね」
ジネット「でも、楽しそうですよ。折角だから描いてもらいませんか?」
ベルティーナ「おや。なんだか楽しそうですね。私も見ていて構いませんか?」
マグダ「……マグダは特等席で見る」
ハム摩呂「はわゎっ、緊張の、押し売りやー!」
ロレッタ「落ち着くです、ハム摩呂! いつも通り、自分の絵を描けばいいです」
ハム摩呂「うんー!」
ヤシロ「じゃあ、描いてみろ、ハム摩呂」
ハム摩呂「はむまろ?」
ジネット「頑張ってくださいね、ハム摩呂さん」
ハム摩呂「はむまろ?」
エステラ「期待してるよ、ハム摩呂」
ハム摩呂「はむまろ?」
ロレッタ「いいから描くですよ、ハム摩呂」
ハム摩呂「うんー!」
ロレッタ「なんであたしの時だけ聞き返してくれないです!? そういう他人と違う感じとか、イクナイですよ!?」
ヤシロ「じゃあ、最初はジネットを描いてみろ」
ジネット「わたしが一番でいいんですか? ヤシロさんからの方がいいのでは?」
ヤシロ「いや、ジネットからでいいよ」
ジネット「そう言わずに」
ハム摩呂「じゃー、二人、混ぜるー!」
ヤシロ「混ぜるな!」
ジネット「で、では! わたしから描いてくださいますか?」
ハム摩呂「お高い御用やー!」
ジネット「高いんですか!?」
ハム摩呂「似顔絵、プライスレスやー!」
ジネット「えっと…………?」
ロレッタ「あ、適当にしゃべってるだけなので気にしないでです」
ハム摩呂「出来たー! 渾身の、出来やー!」
ジネット「わぁ、早いですね! 見せてください」
――ジネットの似顔絵。大きな膨らみが二つ
ヤシロ「……おっぱいだな」
エステラ「おっぱい『のみ』だね」
ジネット「あの……これは?」
ハム摩呂「特徴、捉えたー!」
ヤシロ「特徴『しか』捉えられてないぞ!?」
ハム摩呂「コレ、だーれだ?」
ヤシロ「いや、ジネットって分かるけどさ!? 顔を描けよ顔を!」
ジネット「……ちょっと、ショックです」
ロレッタ「わぁあ! あの、あのっ! 子供のしたことですから、あまり気にしないでです! この子、ハム摩呂ですから!」
エステラ「じゃあ、次はボクを描いてもらおうかな。ちゃんと顔もね」
ハム摩呂「全身描くー!」
ヤシロ「大丈夫なのか?」
ハム摩呂「さらさら~……出来たー!」
ヤシロ「相変わらず早ぇな。どれ?」
――どう見ても、一反木綿(水木プロ風)
ハム摩呂「特徴捉えたー!」
エステラ「……ロレッタ?」
ロレッタ「ごごごご、ごめんです! ちょっとペラペラに見えてたっぽいです!」
エステラ「………………ロレッタ?」
ロレッタ「か、描き直させるです! ほら、ハム摩呂! 描き直すです!」
ハム摩呂「はむまろ?」
ロレッタ「このタイミングでは、それやめてです! 早く描くです!」
ハム摩呂「さらさら~! 出来たー!」
――一片の迷いもなくぬりかべ(水木プロ風)
ハム摩呂「特徴捉えたー!」
エステラ「ロレッタ……?」
ロレッタ「はははは、ハム摩呂! エステラさんはやめてシスターを描くです! シスターなら教会でよく見てるから描けるはずです!」
ハム摩呂「心得たー! さらさ………………さらさら~!」
ロレッタ「一瞬何考えたです!? 不安しかないですよ!?」
ハム摩呂「出来たー!」
――『胃』
ヤシロ「……胃だな」
エステラ「紛れもなく胃だね」
ベルティーナ「うふふ…………面白い冗談ですね」
ロレッタ「はぅわぁあっ!? シスター、メッチャ怖い顔してるです!?」
ハム摩呂「あの顔描くー!」
ロレッタ「あの顔は描いちゃダメです! 笑顔のシスターを描くです!」
――にっこり笑った『胃』
ロレッタ「どうしてもですか!? 譲れない何かがあるですか!?」
ハム摩呂「次、おにーちゃん描くー!」
ロレッタ「エステラさんとシスターの件、一切解決してないですよ!?」
ハム摩呂「おにーちゃん描くー!」
ロレッタ「自由過ぎるですよ!?」
ヤシロ「俺の前に、マグダとロレッタを描いてやれよ」
マグダ「……うむ。何はなくとも、マグダは描いておくべき」
ロレッタ「そういえば、あたしも描いてもらったことないです」
ハム摩呂「二人はまた今度ー!」
ロレッタ「なんでです!?」
ハム摩呂「…………上からの命令が出てないから?」
ロレッタ「上ってなんです!? どこから命令出てるです!?」
エステラ「けど、描いてもらっても、結局妖怪みたいになるんだよ?」
マグダ「……マグダは可愛いネコ娘」
ロレッタ「うぅ、マグダっちょは種族に恵まれてるですね」
マグダ「……ロレッタはねずみ男」
ロレッタ「それは物凄く嫌です!? なんかイヤです!」
ハム摩呂「飽きたから、店じまいー!」
ロレッタ「奔放過ぎですよ!? どうするです、この空気!?」
ヤシロ「……しょうがねぇなぁ……さらさら~っと。ほいよ」
――ヤシロ、ジネットとベルティーナに、凄く綺麗に描けた似顔絵をプレゼントする
ジネット「わぁっ! 上手です、ヤシロさん!」
シスター「あらあら、ちょっと美人に描き過ぎじゃないですか? うふふ、嬉しいですね」
ヤシロ「エステラにも、ほいよ」
エステラ「ボクにも? ありがとう、ヤシロ!」
――エステラが受け取った紙には、綺麗な一反木綿
エステラ「って、こら!?」
――ハム摩呂、かわいいー!
……ふぅ。私は何も言っていない。
そんなわけで、お待たせいたしましたが、明日改めてこちらで諸々報告させていただきます。
次回もよろしくお願いいたします。
宮地拓海




