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異世界詐欺師のなんちゃって経営術  作者: 宮地拓海
第一幕

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142話 大会から一週間経った四十二区にて

「随分賑やかになったもんだね」


 窓の外から聞こえる威勢のいい声に、エステラはどこか満足そうな表情を浮かべる。


 大食い大会から一週間。

 街は大きく様変わりしていた。

 具体的には、人の往来が三倍近くに膨れ上がっていた。


「三区合同で、四十二区の街門建設及び、街道を整備することになったよ。あと三週間もあれば完成するはずだよ」

「随分急がせてるな。突貫工事で、後々問題起こしたりするなよ?」

「大丈夫だよ。工期短縮は熟練の技が集結したからこそなせる業なんだ」


 トルベック工務店をはじめ、大食い大会の会場建設の際に協力してくれた大工たちが、今回も総動員されている。

 そんな大工連合のトップにトルベック工務店が置かれている。

 ウーマロが、ここら一帯の大工のリーダーになったってわけか。もっとも、街門と街道を作るまでの間限定ではあるけどな。


「凄い門になりそうだよ。なにせ、外の森の最奥に通じる門だからね。相当頑丈なものにしなきゃ」

「門が凄くても、守りがお前んとこの自警団じゃ心許ないよな。ウッセあたりに話をつけて、狩猟ギルドから何人か回してもらえないのか?」

「ふふん。その辺は抜かりないよ」

「ん?」


 なんだか得意げに、エステラは一枚の羊皮紙を取り出す。


「メドラとハビエルに頼んで、門番を派遣してもらうことになった。その代わり、入門税を勉強する約束になってるんだ」

「そんな交渉も、もうしてきたのか?」


 いつもは後手後手に回るエステラが、随分と用意周到なことだ。


「ボクは、領主だからね」


 少しだけ照れくさそうに……けれど、明確な決意を感じさせる表情で、エステラは言う。

 こいつは、変わった。はっきりと、あの瞬間から。

 大会五戦目の後の、あの領主宣言から、はっきりと。


「後悔してないか?」


 あの瞬間、エステラが領主だと知った者が大勢いる。

 大きなパニックにはならなかったものの、それ以後、やはり今までと同じというわけにはいかないだろう。接し方や見られ方に変化が出ることは仕方がない。

 こいつは、その変化に耐えられるだろうか。


「はは。まぁ、勢いで言っちゃったことは確かだけどね…………けど、いつかはこうしなきゃいけないことだったんだ。後悔はしてないよ」

「そっか」

「まぁ、あの後で何人かに文句を言われたけどね」

「文句?」


「いやぁ、大変だったんだよぉ」と、エステラは苦笑を漏らしながら言う。


「ノーマにデリアにパウラにネフェリー……あ、あとミリィにも、『なんで黙ってたんだ』って怒られちゃったよ」

「騙されてたみたいだってか?」

「ううん」


 小さく首を振り、そしてエステラは照れくさそうに笑った。


「もっと早く言ってくれてれば、もっと色々協力出来たのに……って」


 これまで、一人で抱え込んでいたエステラにとって、その言葉はどれほど嬉しかったことだろうか。

 って、盛大にニヤケ顔をさらしているこいつを見りゃ聞くまでもないけどな。


「ジネットも驚いてたぞ」

「はは……だろうね」

「『エステラさんが領主様だったなんて、ビックリこきまろです』って」

「『ビックリこきまろ』は嘘だよね!?」


 嘘?

 俺はジネットがそう『言っていた』なんて言ってないぞ?

 イメージだ。

 証言をもとにしたフィクションというヤツだな、うん。


「ロレッタも、やっぱり気付いてなかったみたいだな」

「領主代行の姿で何度か会ってるんだけどね」

「『あたし全然気付きませんでした! ビックリこきまろです!』」

「いや、だからさっ!?」

「マグダも驚いてたなぁ……『……ビックリこきまろ』」

「え、なに? 陽だまり亭で流行ってんの、『ビックリこきまろ』!?」


 まぁ、そんな感じで多くの者に衝撃を与えたエステラの領主宣言だったわけなのだが……

 俺としてはエステラの親がどう思うかという方が気になっていた。


 その点に関しては、さっきナタリアに聞いたのだが……

「現領主様……失礼……先代領主様はご病気が悪化し、現在はこの街を離れておられます。気候の穏やかな地で療養し、静かに快復をお待ちになることになられています」と、いうことらしく、タイミング的にはちょうどよかったのだそうだ。

 猛暑期豪雪期には街を離れなければ命すら危ない状態では、領主は務まらない。ただただエステラが心配だという、その親心だけで領主の座に留まっていたようだが、エステラが決意を固めたことで、本格的な治療に専念するらしい。


「区政に意識を向けず療養に専念されれば、そう遅くないうちに回復されることと思います」と、ナタリアも言っていたし、ストレスフリーな環境に置いてやるのは親孝行ってやつかもしれないな。


 そんなわけで、この領主の館もエステラのものになり、俺みたいなパンピーが我が物顔で出入りしても文句を言われることはなくなった。

 もっとも、前から結構好意的ではあったのだが、一応は門でのチェックとか色々あったしな。

 顔パスになったのはありがたい。実に楽だ。

 その防犯意識の低さはちょっとどうなんだろうって思うがな……詐欺師が顔パスってな……


「そうそう。四十一区の大通りは現状のまま、飲食と宿泊関連の店を置くことにするって。一部フードコートも残して四十区と四十二区の出店も続行させることになったよ」

「じゃあ、そこに出店する店も決めなきゃな」

「うん。またミーティングだね」


 ここ最近、エステラはずっと働き詰めだ。

 なのに、以前のように不平不満を漏らすことはなくなった。

 陽だまり亭に顔を出せない日が続いても、気力で乗り切っていると、ナタリアが言っていた。


「ちょっと頑張り過ぎてないか?」

「え?」

「ヌクとこは、ちゃんとヌイとけよ。ずっと張り詰めていると、どっかで、ある日突然ぷっつりいっちまうぞ」


 糸でもなんでも、張り詰め過ぎると切れやすくなる。

 ある程度はゆとりを持たせる必要があるのだ。


「うん、ありがと。……でも、今はとことん頑張りたい気分なんだ」


 エステラの表情が陰る。

 そして、真剣な瞳が、俺を見る。


「もう二度と、君にあんなことをさせないように」


『あんなこと』――それはつまり、大会終了後のゴタゴタのことだろう。

 俺が悪者となり、内部分裂寸前だった四十一区の矛先を一点に集中させた一件。


 そのことに対し、こいつは罪悪感を覚えているようだ。


「ボクの力では、あの騒動を収めることは出来なかった……どうやったって、ボクには無理だった。……力不足を痛感したよ。アレは…………本当に、効いた……」


 自嘲、憤怒、悲哀……そんな色を含ませて、エステラの表情が曇る。


「ヤシロ。ボクは約束するよ。二度と、君にあんな真似はさせない」


 もう一度、同じことを言う。


「もう二度と、君一人に重荷を背負わせるような真似はさせない」


 言った後……微かに口元をほころばせる。


「ボクはもっと強くなるよ。だから、また協力してほしい。矛盾しているように聞こえるかもしれないけれど、それでもボクは、君に色々と助けてほしいんだ。これからも、ずっと」


 飾らず、気取らず、かといって開け広げでもない。

 素直な笑みがそこにあった。にっこりと破顔するでなく、ほころぶような、優しい微笑。


 今までの我武者羅なだけのエステラとは違う、落ち着いた雰囲気に、ほんの少し動揺してしまう。

 人はこんな短期間で変われるものなのかと思うほど、エステラは一回り大きくなった。

 そんな気がする。


 こいつには、もう、俺なんか必要ない。

 教えることなんか、何もねぇよ。


「適材適所って言葉がある」


 だからもう、こいつは俺のことなんか考えずに、自分で前に進むべきなんだ。

 きっと、そういう時期がやって来たんだよ。


「陽だまりがありゃあ、そのすぐ裏には日陰が出来てるもんだよ」


 俺一人が泥を被って、他のすべてが上手くいくのなら、それが一番いいじゃねぇか。

 みんなで幸せに、なんてのは結局理想でしかなくて……平和に見える世界にも、その平和を懸命に守っている『裏方』がいるもんだ。


「世の中にはな、必要悪ってのがあるんだよ。んで、俺はそんな悪役にピッタリだ。だから、そんなに気にすん……」

「嫌なんだよ」


 軽口を叩いて誤魔化そうとした俺の言葉をエステラは遮る。

 そして、誤魔化しの利かない真剣な表情で、はっきりと言った。


「君が傷付くのは、ボクが嫌なんだ」


 胸に手を添え、演説でもするかのようにはっきりとした声で、真っ直ぐに俺を見つめて言葉を発する。飾らず、気取らず、偽りのない、澄んだ瞳を俺に向けて。



「ボクは、君が好きだから」



 …………え?


 面と向かい、あまりに堂々となされた発言に、一瞬思考が追いついていかなかった。

 何度か頭の中で反芻して……ようやく思考が開始される……


 これって……所謂…………告白……とかいう……?


「いや、あの、エステラ……」

「君も、大切な領民の一人だしね」

「……は?」


 胸を張り、悠然とした表情でエステラは言う。


「ボクは、領民を愛する、心優しい領主を目指しているからね」


 ……んだよ、それ。


「紛らわしい言い方しやがって……深い意味でも込められてるのかと思っちまったじゃねぇかよ。やれやれだ、まったく」

「ふふ……」


 短く笑い、その後エステラは言葉を発しなかった。

 …………おい、なんだよ。

 なんなんだよ、その意味深な笑みは?

 なんだよ、この静かな空気は?


 いつもみたいに、照れるなり、否定するなり、ギャグにするなり……なんか反応しろよ、調子狂うなぁ、もう……


「街門が完成したら、盛大に除幕式をするから、ヤシロもちゃんと見に来てよ。ボクが領主として最初に立つ大舞台なんだから」


 除幕式……完成は三週間後あたりだっつってたか。

 来月の頭ってところだな……


「ま、気分が向いたらな」


 その頃まで、俺がこの街にいたら……な。


「それじゃあ、特等席を用意しておくよ。両隣に巨乳の美少女を配置しておくね」

「喜んで出席させてもらおうか!」


 まぁ、街門と街道の完成は見届けなきゃな。そのために色々奔走したんだし。

 除幕式まではいてやるか。


「イメルダとメドラでいいかな?」

「すまん。俺、その日ちょっとお腹痛くて寝込む予定なんだ。出席出来ないかも」


 イメルダはともかく、メドラは無い! あれを巨乳カテゴリーに入れるんじゃない。


 その後、四十区、四十一区との民間交流の活性化や公共事業での協力強化などの話をし、以降三区はより密接な関係を築くことで同意した旨を聞かされ、あとちょっとした雑談なんかをして……俺は領主の館を後にした。


 門のところまで見送ってくれたナタリアが、いつになく真剣な顔でこんなことを言ってきた。


「エステラ様は随分と変わられました。それもすべて、ヤシロ様のおかげです」


 エステラが領主になったことで、ナタリアはもうエステラを「お嬢様」とは呼ばなくなっていた。

 その変化がほんの少し寂しさを感じさせるのはなぜなのだろうか。


「んなわけねぇだろ。買い被り過ぎだよ」

「いいえ。あなたは周りの人間に影響を与えています。私も、ヤシロ様のおかげで変わることが出来たと自覚しております」

「どう変わったってんだよ?」

「職務に忠実であることだけを志していた私が、ヤシロ様と出会ったことで……」


 ここでナタリアは髪を掻き上げ、反対の手の小指を口にくわえて、体を「S」字にくねらせる。


「『オ・ト・ナ』な自分を発見いたしました」

「ホントごめん。それが俺のせいならマジで謝るから、元に戻ってくれないかな?」


 こいつのポンコツ化を俺のせいにされちゃ堪らん。


「おはようとおやすみのチューをしてくれないと眠れません」

「じゃあ、ここんとこずっと不眠なのか、大変だな、あとおはようのチューの後は寝るな」


 姿勢を戻し、メイド長らしい凛とした表情に戻って、ナタリアは続ける。

 ……つか、こいつはどれが素の顔なのかいまだに分からんな。


「エステラ様は変わられました。それも、かなりいい方向に、です」


 それを、俺のおかげなのだと言うつもりなのだろう。


「先ほどの言葉は、本心であると、私は思います」


 先ほどの…………アレ、か。


「恋愛云々は置いておくとして、人として、あなたは好感を抱くに値する人物であると、私も思いますので」

「あんま褒めるな。褒められ慣れてないから腹でも壊しそうだ」


 昔、ちょっと高級な飯を食った直後に腹を壊したからな。

 慣れないことはするもんじゃないと、その時に学んだよ。


「………………このブタっ!」

「貶しもすんじゃねぇよ!」


 極端だねぇ、相変わらず!?


「こんな風に、冗談が言い合える人が出来るとは、私自身、考えてもいませんでした」

「俺も、こんなぶっ飛んだ冗談をかましてくるヤツと知り合うとは、想像もしてなかったよ」


 いい加減疲れて、そろそろ帰ろうかとした時、ナタリアが一歩、俺へと近付き、そして――


「私も、あなたのことが好きですよ。……人として」


 そっと、俺の髪を撫でた。

 たったそれだけの動作で、まんまと心の中を掻き乱されてしまった。

 照れくささとむず痒さと……悔しさが一斉に込み上げてくる。


「では、お気を付けてお帰り下さい」


 二歩身を引き、深々と頭を下げるナタリア。

 くそ……一瞬でメイド長に戻りやがって。どう反応していいか分かんねぇじゃねぇか。


「……じゃあな」


 ぶっきらぼうにそう言うと、ナタリアはふわりと微笑み、会釈をしてくれた。


「それでは、私はエステラ様のところへ行き『ぷぷぷ、ドキドキ感上書きしてきちゃった、ザマァ』と伝えてまいります」

「おい、やめろ! やめとけ! 館の中に殺伐とした空気を充満させるんじゃない!」


 こいつは、出来るメイドなのかダメなメイドなのかよく分からん。


 エステラによろしくと伝え、俺は帰路につく。


 街道は、四十二区西側に設置される街門から、教会、陽だまり亭の前を通り、大通りと交差して、領主の館の前へと延びている。そして、さらにそのまま四十一区、四十区へと繋げるのだそうだ。

 人と物の行き来をスムーズに行うために、大きな街道を三区の間に通すことにしたのだ。


 これで、一気に発展しそうだな。


 四十二区の街門は、外の森の最奥へ繋がるため、よほど腕に自信のある者でなければ使えない。

 一方、四十一区の街門は、四十二区の門とは向いている方向が違うので、初心者でも比較的安心して使える。俺みたいな非戦闘型のイケメンにだって使用出来るレベルだ。


 そうして、使用者をその熟練度によって分けることで利益の食い合いを解消するのだ。


 それでも、四十一区の街門による収入は減るだろうが、それ以上に中間の街として、物流の中心、また街門利用者が滞在する宿場町としての利益が大きくなる。

 大食い大会の経済効果が、はっきりと数字に表れたことで、リカルド率いる四十一区は四十二区の街門に一切反発しなくなっていた。

 それどころか、早く完成させろとばかりにどんどん人を送り込んでくる。当然、工事の人員だ。平均筋肉率が無駄に高い四十一区の連中は、力仕事に向いている。


 余談だが、カンタルチカで虫事件を起こした狩猟ギルドの二人組は、すっかりパウラに熱を上げて、カンタルチカに通うことを目的に街門の工事に進んで参加しているようだ。

 どっかのトルベック工務店の代表者みたいな連中だ。

 もっとも、パウラは「常連客が増えた」程度にしか思ってないようだが……


「あっ! ヤシロさ~ん!」


 そんなことを考えていると、整備中の街道でウーマロに会った。


 よし、スルー。


「ちょっ!? ちょっと待ってほしいッス、ヤシロさん!?」


 通り過ぎた俺の前へと回り込み、ウーマロが俺の行く手を妨害する。

 なんだよ。お前は仕事してろよ。


 道路の整備に精を出すハムっ子たち。

 そこの指揮から離れて、ウーマロは俺の顔を覗き込んでくる。


 あんま見んな。

 それやっていいのは、爆乳美少女限定だ。


「オイラ、頑張るッスから!」

「あ? 道路工事か? おう、頑張れ。死ぬ気で頑張って、頑張って死ね」

「最後の、意味変わってるッスよ!? ……じゃなくって、オイラ、頑張るッスから!」

「だから……何がだよ?」

「頑張るッスから!」

「…………」


 俺を見つめるウーマロの目を眺め返してみる。

 無駄に暑苦しく、瞳の奥にはメラメラと炎が燃えていた。


「ま、頑張れ」

「はいッス!」


 はっきりと返事をし、ウーマロは作業へと戻っていった。


「さぁ! 時間がないッスよ! 街門が完成するまでに、街道も仕上げてしまうッス!」

「「「「はいッスー!」」」」


 威勢のいいハムっ子たちの声を聞きながら、俺はその場を離れた。





 整備中の街道を進むと陽だまり亭が見えてくる。

 店の前の道が拡張され、若干雰囲気が変わっている。


 庭から見える森の木々も、当初は田舎感丸出しだったのだが、今では『緑のあるおしゃれなお店』っぽく見えるから不思議だ。


 ドアを開け、陽だまり亭へと入ると――


「お帰りなさい、ヤシロさん」


 ジネットが笑顔で迎えてくれる。


「今、お茶を入れますね。あ、コーヒーがいいですか?」

「じゃあ、コーヒーで」

「はい。そこに座って、少し待っていてください」


 くるりと踵を返し、踊るような足取りで厨房へと向かう。

 厨房へ入る直前でもう一度こちらを振り返り――


「美味しいコーヒーを淹れますね」


 ――そんなことを言う。


 もう、大会前のように一人になることを過剰に嫌がるようなことはなくなった。

 むしろ、以前より少し落ち着いたくらいだ。


 ジネットがあの大会で何を感じ、何を思ったのかは分からない。

 けれど、一つだけはっきりと分かることがある。


 あの大会を経験して、ジネットは一回り大きくなった。確実に。


 だからきっと、もうすぐなのだろう。ジネットの願いが叶うのは。




 陽だまり亭が、あの頃の賑わいを取り戻すのは。







いつもありがとうございます。




感想返し、おーいつーいたーーーー!!



これからは(なるべく)タイムリーにお返ししたいと思います!!(なるべくね!)


「ちっ、たくさんいるからって感想返し短過ぎんじゃねぇの!? 作者なんかデミリっちゃえ!」


とか思われていた方、すみません! これからはもう少し時間を取れるかと思います!

けど、SSはどうかなぁ……


あまり期待しないでいていただけると助かります。



というわけで、なんかいろんな人から気を遣われているヤシロです。


詐欺師失格じゃないですかねぇ……

思いっきり顔色窺われて、心読まれまくりじゃないですか……

ポーカーフェイスで万人を華麗に騙すのが詐欺師でしょうに……




嘘が上手に吐けるようになりたいです。

例えば、朝寝坊した時とか、こう、スタイリッシュに言い訳出来たりすると、

お互いギスギスしたりしなくて済むような気がするんです。


私「道を歩いていたら、物凄いおっぱいがいて! で、遅れました」


……グーパンですね。鼻と唇の間にグーです。

こういうのじゃなくて、例えば会社で、上司が「そういう理由があるならしょうがないか」って笑って許してくれるような嘘が理想です。


私「道を歩いていたら、物凄いパイスラ女子がいて! で、遅れました」


……一緒ですね。

おっぱいから離れた方が共感が得られるかもしれません。


私「道を歩いていたら、美女の生足舐め放題フェアをやっていまして……で、遅れました」


……上司に「連れて行け!」って言われると困りますものね。いい線はいっていたと思うんですが……もっとバレないヤツがいいですね。


私「道を歩いていたら、お尻の割れてる美女がいまして。『お嬢さん割れてますよ』って教えてあげたら、『すみませんが、しばらくの間押さえていてくれませんか?』と言われ……はい、人助けです! で、遅れました」


……あっ! 上司の心が『まぁ、仕方ないかなぁ……』にぐらりと揺れましたね。今!?

もうひと押し! もうひと押しですよ!


私「道を歩いていたら、突然幼女が抱きついてきて、『お兄ちゃん、行っちゃヤダ』って」

上司「うん! それは仕方ないね!」


納得していただけました。


上司「ただ、羨ましいので給料は30%カットね」



妬みです! なんたる横暴!

こうなったら、家に帰ってかわいい妹キャラがお兄ちゃん(私)にごろにゃんって甘えてくるゲームを徹夜でしよう! そうしよう!

明日の朝? 仕事ですけど?

それが何か? 早起き? 夜更かしほどの価値があるものか!



……そして、最初に戻る……と。



嘘を吐くのって難しいですね、ホント。




ジネット「ヤシロさんって、嘘を吐いたことはありますか?」

ヤシロ「ないぞ!(きっぱり)」

エステラ「嘘だ! それが嘘だよ!」

ヤシロ「俺がいつ嘘を吐いたっていうんだよ。失敬なヤツだなぁ」

エステラ「いつもいつも人を騙そうとしているじゃないか! ボクだって、何回嘘を吐かれたことか……」

ヤシロ「エステラのおっぱいは大きいなぁ」

エステラ「………………………………指摘しにくいじゃないか!?」

ヤシロ「で、なんでそんなことを聞いたんだ、ジネット?」

ジネット「いえ。嘘を吐くと心が痛むと聞きましたもので……レジーナさんに、胸が軽くなるお薬をいただいてきたんです」

ヤシロ「そんなもんが薬でなんとかなるのかよ……どれどれ、説明書きを読んでみるか……」


『胸の脂肪を減らして肩こり解消! 無い乳になって胸を軽くする薬、その名も《エステ~ラA》』


ヤシロ「なにこれ、メッチャ効きそう!?」

エステラ「名前に悪意しかないよね!? そして、胸が軽くなるってこういうことじゃない!」

ジネット「えっと……『追伸、エステラはん。……ざまぁ』

エステラ「ちょっとレジーナのところへ行ってくる!」




と、このように嘘は決して…………あれ? 嘘の話のはずが、おっぱいの話に…………ふ~む……謎だ。



次回もよろしくお願いいたします。



宮地拓海

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