挿話16 手と足と
作者大ピンチのため、本日は急遽挿話となります。
昨今キャラが濃過ぎでしたので、お口直しにどうぞ。
ある晴れた昼下がり。……市場へは行かない。
ランチタイムが終わり、ティータイムまでの間にぽっかりと出来る暇な時間帯。
俺は、空いたテーブルに座り、向かいに座るジネットとエステラに両手を見せていた。
両方の手のひらを見せ、軽く握って反転させる。ジネットに手の甲が向くと同時にまた指を開く。そうしたら今度は今の手順を逆に行う。
そんなことを二度三度と繰り返し、手には何も持っていないことをアピールする。
「エステラ、銅貨を一枚貸してくれ」
「…………いつ返ってくる?」
「終わったらすぐ返すよ。ケチ臭いヤツだな」
「自分のを使いなよ」
「そうしたら何か仕掛けがあるんじゃないかと怪しむだろう?」
「……しょうがないなぁ」
散々渋って、ようやくエステラが銅貨を一枚取り出す。
「俺の手に置いてくれ」
「…………返してね」
「しつこいな」
右手を差し出し、エステラにコインを載せてもらう。手のひらのちょうど真ん中あたりだ。
「じゃあ、よく見ておけよ」
そう言って、コインの置かれた右手の指を曲げて握る。
その後、左手も同じように握り、手の甲が上に向くようにして二人の前に差し出す。
「さぁ、コインが入っているのはどっちだ?」
「は?」
「へ?」
エステラとジネットが揃って間抜けな声を上げる。
まぁ、そりゃそうか。
「えっと……こっちだと思います」
と、ジネットは素直に俺の右手を指さす。
だが、エステラはそこでハッとした顔つきになりジネットの手を押さえた。
「待って、ジネットちゃん。ヤシロは今『入っているのはどっちだ』って言ったよね?」
「はい、確かにそうおっしゃいました」
「……手を裏返した時に、下に落とした可能性がある!」
「はっ!? そうですね。そうだとすれば『どちらにも入っていない』ことになります!」
「ほぉ。さすがエステラというべきか、面白いところに気が付くな」
「ふふん! どれだけヤシロと一緒にいると思ってるのさ。これくらいはね」
「エステラさん、凄いです。頭がいいです」
「胸無いのにな」
「胸は関係ないだろう!?」
と、ひとしきり賑わったところで俺は左手を反転させ、手のひらが上に向くようにして開いた。
左手の上には、一枚の銅貨が載っていた。
「「えぇっ!?」」
それから……ほんの少し小細工をして……右手を開くと、そこには何も載っていない。
「ど、どど、どうしてですか!?」
「確かにボクは、右手に載せたはずなのに!?」
……あぁ、この反応……超キモチー!
「も、もう一回やって見せてくれないかい?」
「え~……しょうがねぇなぁ。じゃあ、エステラ。銅貨ある?」
「それを使えばいいだろう!?」
あ、やっぱりダメか、ちょろまかそうと思ったのに。
「んじゃ、今度は左手に銅貨を握るから、よく見とけよ」
そう言って左手を握り。次いで右手も握る。
エステラは左手に握った銅貨をどこかで落としてないか、隠してないかとジロジロと見つめてくる。ジネットは、なんだか困った顔で俺の両手を交互に見つめていた。
まぁ、つまり。暇なんでマジックを披露して遊んでいるわけだ。
「どっちだ?」
「こっちです!」
「あ、ボクもそっちだと思ったんだよね!」
「お揃いですね」
「今度こそ間違いないね!」
「ところがどっこい」
選ばれなかった方の手を開けると、そこには銅貨が一枚。
「むぁぁああ!? なんでだぁ!?」
「ヤ、ヤシロさん、まさか、魔法が!?」
大騒ぎである。
「もう一回! もう一回だけ!」
「わたし、今度こそ当たりそうな気がするんです!」
エステラとジネットが負けず嫌いを発揮し始めた。
というか、こういう二択で外すと、なんでかムキになっちゃうよな。
しかしながら、正攻法に捉われているうちは、この二人に勝ち目はない。なぜなら、こいつはマジックだからだ。
物凄く単純なトリックで、両方の手にコインが握られているのだ。それを上手く隠しているだけで。ま、その隠し方にテクニックがいるのだが、指先が器用な俺にはこれくらい造作もないことだ。
どの角度から見られても、隠した銅貨は見つからない自信がある。
「じゃあ、次は右手に銅貨がある。よく見ろよ」
「じぃ!」
「じぃ~」
「握るぞ」
「うん!」
「……はい」
「あ、そうだ」
「なんだよぉ!」
「……い、今物凄く集中していたので、なんだかちょっとビックリしちゃいました。……心臓がドキドキしています……」
どんだけ真剣なんだよ。
「もう三回目だからな。次外したヤツは罰ゲームだ」
「「罰ゲーム……?」」
エステラは露骨に嫌な顔をし、ジネットは少し怯えたような表情を見せる。
まぁ、そんな過酷なものにはしないさ。
「足つぼでどうだ? レベルEで!」
「ふぇぇえっ!? レ、レベルE!?」
ちなみに、ソフトタッチをレベルAとした強さの度合いで、レベルEは遠慮なしの全力レベルだ。
……ふふふ……今からジネットの暴れ狂うおっぱいが目に浮かぶぜ。
「足つぼって、猛暑期あたりにジネットちゃんがハマってたやつ?」
「いえ、あの……別にわたしがハマっていたというわけでは……」
「……店長はだだハマりしていた」
「それはもう、何度も何度も足つぼを押されたです」
「マ、マグダさん、ロレッタさんも……! そ、そんなには、してない……ですよね?」
「「ノー!」」
「えぇ~……そう、でしたっけ?」
そう。なぜかジネットが大ハマりしたのだ。主に、押す方で。
ミリィからもらった竹で青竹踏みを作ったのだが……ジネットは二秒と乗っていられなかった。それほどまでに『やられる』のは苦手なのだ。
……じゅるり。
「ヤ、ヤシロさんが邪悪な顔をしています……なんだか怖いです……」
「予告しよう……ジネットは、外す」
「や、ややや、やめてください! まだ分からないじゃないですか!? う、運よく当たるかもしれませんよ!?」
「いいや! お前は足つぼを受けるのだ! レベルEで!」
「うぅ……その予言が当たりそうで……怖いです」
ジネットがぷるぷる怯える中、客っ気のない店に変わった二人組が姿を見せた。
「おやおや? 相変わらず賑やかさねぇ、この店は」
「ぁ……こんにちは……」
本日も谷間が眩しいノーマと、野花と戯れる妖精をさらにもっと純粋にしたような純真生物ミリィだ。
淫猥なる谷間と穢れなき膨らみ…………ナイスコンビネーション!
「変わった組み合わせだな?」
「そうでもないさね。ねぇ?」
「ぁ、はい。のーまさん、お花に詳しくて……花言葉とか、すごく知ってて……」
「ちょいと、ミリィ。それ以上は黙っておくれ……アタシにもイメージってもんがあるんだよ」
「ぁう……ごめんなさい。のーまさん、野の花の茎が折れていると『可哀想に』って、静かに涙を流すような優しい人だから、みんなもう知ってるのかと……」
「ミリィ! ……後生だから、やめておくれ……」
なんてこった。こんな荒ぶる谷間を見せつけるセクシーお姉さんが、傷付いた花に心を痛めていたなんて…………
「年齢からくる焦りで、ギャップ萌えを属性に追加したかったんだな?」
言い終わると同時に、俺の襟首に煙管の灰が落ちてきた。
「熱っ!?」
バカお前!
今、指の間に銅貨仕込んでるから振り払えないんだぞ!? あ、片手はいいのか落としちゃって。
右手の銅貨をテーブルに投げ出し、俺は灰を払う。
「……無茶苦茶しやがる」
「自業自得さね」
おかしい。店内は禁煙だからノーマは煙管を吸っていないはずなのに……こいつ、このために外で吸った灰を捨てずに来やがったな。……ってことは、灰が冷めるまでの間に弄られるつもりだったんじゃねぇか。
実は弄られ待ちなのか? Mっ娘か? うわぁ、虐めた~い。
「てんとうむしさん……だいじょうぶ?」
服についた灰を、ミリィがぱたぱたと払い落としてくれる。
まぁ、かわいい。お持ち帰りしていいですか?
「んじゃ、人も増えたし、改めてルール説明だ。これから俺は右手と左手を使って銅貨を隠す。お前たちは、銅貨が入っていると思った方の手を指さしてくれ。俺が指を開いた時、『手のひらの上に銅貨が載っていれば当たり。そうでなければ外れ』だ」
と、いうルールにしておく。
「じゃあ、エステラ。銅貨を一枚貸してくれ」
「君には記憶力というものがないのかい!?」
なんだよ、ケチケチして~! 最近ちょっと儲かってるだろ? お小遣いくれよぉ!
「街門の工事が遅れて、毎日冷や冷やしてるんだよ、ボクは。銅貨一枚だって無駄にしないからね」
まぁ、その精神は見上げたものだが。……領主としてそれはどうなんだろうな。
「んじゃ、ジネット。お前が載せてくれ」
「わ、わたしでいいんですか?」
先ほどテーブルに放り投げた銅貨を握り、ジネットは少し嬉しそうな顔をする。
マジックショーでお手伝いに選ばれると妙に喜ぶ人っているよな。
まずは、両方の手のひらに何も持っていないという『アピール』をする。実際には左手には銅貨が仕込まれている。が、それに気付く者はいない。
その後、俺が右手を差し出すと、ジネットはやや緊張した面持ちで俺の手のひらの真ん中に銅貨を載せる。
全員がその銅貨を覗き込む。
「じゃ、行くぞ」
ゆっくりと指を閉じ、拳を握る。次いで左手も握り、小細工に両手を素早くクロスさせる。
「あぁー! そういうことするなら先に言ってよね、ヤシロ!」
エステラが非難の声を上げる。が、どうせお前は外すんだ。よく見ていようが同じことだろうが。
ひとしきり腕を動かした後、スッとみんなの前に握った拳を差し出す。
全員の視線が俺の両手に注がれる。
「さぁ、どっちだ?」
素直に見ていれば右手、うがった見方をしていれば左手を指すだろう。
で、結果。
マグダとロレッタ、それからミリィとノーマが右手を指し、エステラはいの一番に左手を指した。なんだか勝ち誇っている……「ふふん、みんな分かってないなぁ」みたいな顔だ。
最後に、ジネットは散々悩んだ後、左を指した。
こいつは、足つぼをされたくないがために裏の裏の裏の裏あたりまでかいてきたようだが……自爆するヤツの典型みたいなタイプだな。
「じゃあ」と、俺は全員の見ている前で拳をひっくり返す。手のひらが上に向いて握られている状態だ。
「指を開いて、手のひらの上に銅貨があれば当たり。なければ足つぼだ。いいな?」
「いいよ。今回は自信があるんだ」
エステラの自信満々の勝利宣言に続き、全員が頷く。
さぁ、結果は…………
「「「「「「えっ!?」」」」」」
両手の指を同時に開くと、どちらの手のひらにも銅貨はなかった。
「はい、全員外れー!」
「インチキだ!」
「あぁ、インチキだよ?」
エステラが怒る。だが、俺は正々堂々とルールを確認したはずだぞ。
『指を開いて、手のひらの上に銅貨があれば当たり。なければ足つぼだ』と。
「ど、どどど、どこに行っちゃったんですか、あの銅貨は?」
ジネットがおろおろと、「今、それどうでもよくない?」みたいなことを聞いてくる。
どこにあるのか? それは……ひ・み・ちゅ☆
「さぁ、テメェら、一列に並べ! 最初に足つぼされたいのは誰だ!?」
「え、ふぇ!? あ、あああ、あの……ど、どどど、どうしましょうか、みなさん!?」
ジネットが大いに狼狽える。
相当嫌らしい。
「店長さんからやりゃあいいんじゃないかい? 経験者なんだろう?」
「ぅええっ!? と、とんでもないです。わたしなど、まだまだ未熟者ですし!」
被足つぼ者に未熟も何もないと思うが。
「こういう時は、だいたいウーマロかロレッタと相場が決まっているよね」
「決まってないですよ、エステラさん!? そういう印象操作やめてくださいです!」
「……ロレッタ。英断」
「してないですよ!?」
「ぁ……がんばって……」
「頑張らないです!」
「ロレッタさんの犠牲は……無駄にはしません」
「足つぼの時ばかりは店長さんが鬼に見えるです!?」
ギャーギャー騒ぐロレッタを見て、「やれやれ……」とノーマがため息を吐く。そして、指先を揃えたすらっと美しい手でスッと挙手をする。
「それじゃ、アタシが一番にやられるよ」
「そんな。ノーマさんが行くくらいなら、わたしが行きます!」
「……待って。店長に負荷をかけるわけにはいかない。ここはマグダが先陣を切る」
「ぁ……まぐだちゃんが一番はかわいそうだから、怖いけど……みりぃでもぃい、よ?」
「ミリィにやらせるくらいならボクが行くよ!」
「えっ、えっ!? あ、あのっ、じゃ、じゃあ、あたしがやるです!」
「「「「「どうぞどうぞ」」」」」
「なんですか、このみなさんの一体感!? 連帯感生まれ過ぎです!」
ロレッタがおいしいところを持っていったようなので、まずロレッタを血祭りにあげる。
落下防止のために、背もたれと肘置きがついた、作りのしっかりした脚の低い椅子を用意して、いざ、足のツボを押し込む。
「ぎゃああああっ! いーたーいーでーすぅぅぅうううっ!」
軽くツボを押しただけでロレッタは体を仰け反らせて、ナイスなリアクションを見せる。
「はい。これが基本的な、普通のリアクションだから」
「こんなに体張って、普通とか酷いです!」
「なんだか、ちょっと興味があるねぇ」
ロレッタの反応を見て、ノーマが二番手に名乗りを上げる。
……やっぱり、ちょっとMっ気が? ……どきどき。
すらりと長い素足が目の前に差し出され、思わず頬擦りしたくなる。
が、ジネットとかミリィとかいるのでグッと我慢する。
そして、軽く土踏まずを押す。
「……………………っんふ!」
ノクタァーーーーーーンッ!
と、思わず理解不能な雄叫びを上げてしまいそうになった。……なんだか、未成年には聞かせちゃいけない声が漏れてきた気がするんだが。
これ以上は危険なのでやめておく。
「……はぁ……はぁ…………思ったより、クるねぇ……また、今度ゆっくりお願いするさね」
うん。きっと、金型作るのって、肩とか凄い凝るんだ。だから凄く痛かったんだ。そうに違いない。決してMっ気とか関係ない。
「ぁう……ぁの…………やさしく…………して、ね?」
……意味深っ!?
いやいやいや! ミリィに限ってそれはない!
ミリィには…………すご~くすご~く、優しいタッチで……えぃ。
「ふ………………んっ! ……ぁ、きもち、いい……かも」
ミリィは意外と健康体なようだ。あんなデカい荷車を押しているから肩こりとか酷いかと思ったんだが。……若いからか?
……あ、いや。別にノーマに含むところがあるわけじゃないぞ?
そこそこ強く押しても、ミリィが痛がることはなかった。
「ぁふ……ちょっとだけ、ぃたかった、かも……」
全力で痛がったノーマ他一名に気を遣った発言かもしれんな。
「次は、どうする?」
「え、えっと……あの……」
エステラがジネットとマグダを見て問う。
ジネットが盛大に慌てふためいている。
「最後のヤツはレベルE」
「わたしが行きます!」
ピシッと腕を伸ばし、ジネットが立候補する。
相当苦手なようだな。
「あ、あの……ヤシロさん?」
「なんだ?」
「お手柔らかに……お願いします」
すでに泣きそうな顔をして、ジネットが素足を俺の前に差し出してくる。
あぁ……ペロペロしたい……………………………………いや、ダメか。
「あ、あの……どうかしましたか?」
「いや、なんでもない! じゃ、行くぞ」
「にゃふんっ!?」
照れ隠しにカカトの横をぐりっとすると、ジネットは奇妙な悲鳴を上げて上半身を『く』の字に折った。
「あぶねぇっ!? ……ふぅ、おっぱいが飛んでくるかと思った」
「飛びませんよっ!?」
いや、しかし。目の前で、凄まじく「ぶるんっ!」ってしたから。遠近法とか無視しそうな勢いで。
「じゃあ、ちょっと押すから、周り、気を付けてな」
「そんな、周りに被害を及ぼすほどは……」
そう言うジネットに反し、周りにいた面々は一歩後退し、万が一に備えて頭を抱えて身を低くした。
「そんなとこまで届きませんからねっ!?」
「……伸びる可能性を否定出来ない」
「伸びませんよっ!?」
「店長のおっぱいは、次元を超えるです」
「超えませんよっ!?」
マグダとロレッタを交互に見て「もう! もう!」とぷりぷり怒るジネット。
イライラするのはストレスが原因か? じゃあ、胃のツボを……えい。
「にゃふぅっ!? ……………………っにゃあああっ!」
ジネットが上半身を左右に振り身悶える。
それに合わせて、規格外のおっぱいが右へ左へ、北へ南へと大暴れだ。
「そうして、食堂内の机や椅子をすべて薙ぎ払い、その場にいたエステラたちを吹き飛ばす凄まじいジネットの爆乳」
「そんなこと……んっ! ……には、なってませんんっ! よねっ!? ふにゅううっ!」
なんか色っぽい!
もっとやろう! もっとやっちゃおう!
「ヤシロ、いい加減にしないとジネットちゃんが泣くよ!?」
鳴かぬなら、鳴かせてみたいな、爆乳を!
「こ、降参です、ヤシロさんっ! も、もう……っ!」
ジネットに懇願されては仕方ない。
またの機会にしよう。
「相変わらず、老廃物の貯蔵庫みたいな体してんだな」
「……ぅう…………すみません…………」
足をさすり、ジネットが床に蹲っている。
しばらく歩けないかもしれないな。
「じゃ、エステラー」
「今のを見た後だと……さすがに怖いね……」
恐る恐る椅子に座り、白くて、思っていたよりも小さい足を差し出してくる。
小っちゃっ! なにこれ? かわいいっ! え、子供? あぁ……成長期来てないもんねぇ……とある部分に。
「まぁ、お前は大丈夫だよ」
「手加減してくれるのかい?」
「肩こりとは無縁だから」
「デスクワークメインのボクに、よくそんなことが言えるよねぇ!?」
お前は他の誰よりもデスクワークの量が多いからこそ、人体の神秘によるヘビーウェイトを免除されてるだろうが。文句言うなよ。
「じゃあ、サクッと行くぞ」
指の付け根を押さえると…………凄い勢いの蹴りが飛んできた。
「危ねっ!?」
よくかわせたと、自分を褒めてやりたいくらいだ。
「お前、気を付けろよ!?」
「痛い、痛い、痛いたいたいたい!」
「そんな強く押してねぇよ。…………ぐぃっと」
「いたぁぁあああーーーーーーい!」
やはりエステラは、目が疲れていたようだ。
ブルーベリー食え。な?
「や、やしろっ! やしろぉっ!」
痛みのせいで、なんだかよく分からない、面白い動きを見せるエステラ……なの、だが…………
「も、もう…………もう、やめてよぉ……やしろぉ…………」
半泣きで甘えられたっ!?
おい、誰か、白米を炊けぃ! 今ならドンブリ三杯軽くイケそうだ!
「お、おぅ…………しょうがねぇな……」
なんか、エステラの小さい足に触れてるのもちょっと恥ずかしくなってきた。
こ、今回は、これくらいで許しといてやらぁ。
……今度、またゆっくりやってやろ。
「……最後は、マグダ」
「おう…………って、膝の上じゃなくて、向かいの椅子に座るんだよ」
いつものように、ストーンと俺の膝に腰掛けるマグダ。
それじゃ出来ないだろうが。
「……耳でもいいよ」
「それじゃ罰ゲームにならないだろう?」
「……獣人族の耳もふは、おっぱいに匹敵する」
「お前……今更その話持ち出すか?」
お前が気にしないと言って催促してくるから……そもそも、俺はそれがちょっと気にかかってデリアやネフェリーに確認しに行ったんだからな? もふってていいのかって。
まぁ、みんな同じような回答で、「おっぱいはあくまで比喩だから、本人がいいならいいんじゃないか」ってことだったけど。
髪撫でたりハグしたりより、少し親密なスキンシップということらしい。
「んじゃ、お前は耳な」
「……しょうがない。覚悟は出来ている。いつでもどうぞ」
なんだこの茶番。
実のところ、マグダには足つぼがあまり効かないってことを、俺は知っている。
獣人族の狩人だからだと、マグダは言っていたが……痛みにはめっぽう強いのだ。むしろくすぐったい方が勝つらしく、マグダはあまり足つぼが好きではない。
なら、無理して時間を割くこともないか。
俺は目の前で期待するように揺れるネコ耳をもふもふする。
「…………むふー!」
マグダが上機嫌な声を出し、今回の罰ゲームは終了した。
いつもありがとうございます。
諸事情により、
作者大ピンチのため急遽挿話です!
申し訳ございません。
レビューをいただきました方、
明日、改めて感謝の気持ちを述べさせていただきます。もうしばらくお待ちください。
また、本日分の感想返しは非常にシンプルなものになります。
予めご了承ください。
また、作者はおっぱい大好きです。
ご理解ご協力をお願い申し上げます。
ご報告ばかりですが、ご容赦ご協力のほどよろしくお願いいたします。
宮地拓海




