閑話08 異世界昔話
作中にあった昔話的な。
後創造神様の過去……的な。
昔々、1つの大きな湖があったらしい。
その湖は非常に綺麗で透き通っており、人々はその湖の隣に村を作ったそうだ。
水が豊かな土地は発展する。水が綺麗なら尚更である。
次第に大きくなり、いつしか村から街へ、街から国へと変わっていった。
国はいつしか水の都と呼ばれ、大いに賑わったそうだ。
ただ、幸せを自分達で壊した。
発展し、人口が増えるに比例して、水は汚れていった。
そしてその湖には遥か昔から、それこそ湖ができた頃から水の精霊が住んでいた。
お気に入りの場所が汚れていく。そう思った精霊は汚す者達に警告をした。
これ以上、水を汚すのはやめろと。
だが、人々はそれを聞かなかった。
見た目は可愛らしい、愛らしい精霊だ。当時の人達は精霊達の愛くるしい姿から彼女らの力を想像できなかった。
警告を無視し、お気に入りの場所を汚す者達。
最終警告も尽く無視した者達に、遂に精霊が怒った。
水により発展し、水により栄えた国は、水への感謝を忘れた結果……その水によって滅びを迎えた。
一夜どころか半日も経たず、水に全てが飲み込まれ小国は滅びたという。
昔々、あるところに大国があったそうな。
栄に栄えた大国の王都は分厚いでかい壁に囲まれ、難攻不落とさえ言われる程の場所だった。
綺麗な街並み、賑わった通り、自分の店に呼び込む声、様々な喧騒が王都を包む。
その王都で1人の男が自慢をしていたそうだ。
『竜玉』を手に入れたと。
竜玉。それは非常に綺羅びやかで、大変綺麗な光の玉。
売れば一生遊んで暮らせる金が手に入るだろうそれ。
しかし、しばらくして突如王都を影が覆う。先程まで晴天だった空。
いつまでも影が晴れることがなく、疑問に思った者が空を見上げ、驚愕する。
巨大なドラゴンがいたのだ。
上位純正竜……ジェノサイドドラゴン。金の瞳に鮮やかな赤い鱗。
瞬く間に普段とは違った喧騒が王都を包む。
そして、巨大な炎が王都を包む。
竜魔法の1つ……"ドラゴンブレス"が綺麗な街並みだった王都を包み込み、一瞬で3割を消し炭へと変えた。
その後も炎の雨が降り注ぎ、瞬く間に王都が地獄へと変わっていった。
こうして栄に栄えた大国は上位純正竜1匹に滅ぼされたという。
大陸の中央に1つの大国ができた。
1人の少女が精霊達のために森を制圧。そこを整えたのが始まりという。
そう、そこは今も栄えているアトランティス帝国。
アトランティス帝国建国の女帝は……なんと、月の女神様だった。
その女神様は世界を救うため、自分の体を犠牲に長い眠りへとつきました。
女神様がいて、精霊様も妖精種も沢山いるアトランティス帝国、そこで栽培される果実は大変美味で『女神の雫』と呼ばれています。
更に香辛料の採れるダンジョンまであり、4大国の中心にあり、非常に魅力的な土地でした。
そして、体を犠牲にしてまで救ってくれた恩を仇で返すかのように、女神様がいないうちに攻め込んだ小国がありました。
女神の雫やダンジョンから採れる特産品に目が眩んだのでしょう。
確かに、世界最強と言われる女神様は不在でしたが、アトランティス帝国には守護者達がいたのです。
約6万の軍隊が、女神様のペットであるシロニャン様の一撃で壊滅的な打撃を受けました。残った者達も攻撃の余波で大怪我。更に、攻撃の直線状に在った国の城壁が余波によって吹き飛び、内部にも被害を与えたそうです。
マースト大国の東側からずっと続く穴。あれがシロニャン様による攻撃の痕です。
その一撃の後、アトランティス帝国から小国へ問が送られました。
ただ一言、まだやるか? と。
帰ってきた返事は当然、ごめんなさいだったそうです。
アトランティス帝国は非常に魅力的で、女神不在の今がチャンスだと思っていた国は他にもあったようですが、これにより全ての国が諦めたようです。
初めてアトランティス帝国の武力がお披露目されました。
そもそも戻ってくると仰っていたのですが、不在を狙ってどうするつもりだったのでしょうね?
やろうと思えば世界征服など容易いでしょう。ですが、争いは望んでいません。
そもそも精霊様や妖精種の為にできた国であり、人類も住ませて貰っていますがついでなのです。なので、他の国にはそもそも用が無いそうです。
管理する面倒が増えるだけだ……と。
よって、攻め込む理由がない。武力は全て防衛に使うと言います。
実際アトランティス帝国ができてから約300年、戦闘したのはこの1回。
今も更新中です。
遥か昔、それこそ世界が誕生した頃の神話。
人類が知り得ない神々の争いがあったそうな。
始まりの神 Vs その他の壮絶な争いが。
我々に仕事を押し付け、自分は何もしていないと。篭って何をしているのかと。
神々は好き勝手力を振るい始め、始まりの神の念話を無視した。
自身の力に溺れた神が始まりの神を裏切り、好きな事をさせて貰えない、不満を持つ神々が次々と寝返った。
篭っているのは見られたくないからではない。世界の大まかな、自分にしかできない事はやり、それぞれの能力にあった細かいことを任せているだけである。
だがもう、火が付いてしまった。今更止めることはできない。
そして、始まりの神を引きずり下ろす神々の戦いが始まった。
だが、その戦いはすぐに終わった。
己の子供達の前に姿を現した始まりの神。
何を言っても聞かぬ子供達。
始まりの神は寂しそうな、悲しそうな気配を漂わせながら、神々の攻撃に晒された。でも一切のダメージを受け付けず、そこに存在した。
しばらくして、始まりの神の気配は一変した。
それに当てられ、下級神は一瞬で全滅。中級神も次々と『消えて』いく。
その現象に動揺しているうちにも次々と上級神すら消え、1番手こずらせたのは時空神だったが、それも1分耐えたぐらいで捕まった。
そして、神は一柱のみとなった。
篭っていたのは見られたくないのではなく、力が強すぎるから。他の神々とは同じ場所にいない方がいい。ふとした拍子に消してしまうから。
子供達を創るのはもうやめよう。
代わりに世界に代行者を作ろう。神々の代わりにバランスを取る子達を。
しばらくして、神々が自然発生した。
世界に余計なことをしないよう監視はするが、接触はしない。加護を与えるぐらいなら別に構わないから、そのまま任せ、見守ることにした。
始まりの神は、今も隔離されたところで世界を見守る。
最近はその隔離された部屋に出入りする一柱がいるらしい……とか。
……少なくとも、一人ぼっちではなくなったようだ。




