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転生先は現人神の女神様  作者: 子日あきすず
世界が違っても変わらぬ事
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閑話07 女帝の周りにいる人々

サブキャラ達のお話。

微妙にシモネタがある。あーっ!お客様困ります!

聖女一行に聞いてみた。


「我々がルナ様に忠誠を誓い、敬愛する理由?」

「それは非常に単純な、簡単な理由」


私達が忠義を捧げ、敬愛するお方。

それがルナフェリア様です。


女神だから……と言う事ではありません。

いえ、最初はそうだったのかもしれませんが。

しかし、一緒に過ごしていて気づくのですよ。

あなたは無条件に与えられる愛情を知っていますか? 

見返りを求めず、ただ守り、慈しみ、利用なんてする訳もない、無条件な愛情を。

それが私達に対するルナ様なのですよ。

そんなお方を無碍にできるはずもありません。そんな事ができるほど、私達は恥知らずではありませんし、そんな事に気づかない程、愚かではありません。

無条件に面倒見てくださる御方に少しでも恩返しを。

私達はそうしているだけです。


『親』とさえ言えるでしょう。

私達の思いを、考えを否定する事無く聞き入れ、見守ってくれるのです。


その恩返しが、忠義と敬愛だった。ただそれだけの事です。




ある日の眷属騎士。


神都アクロポリス、その大通り東側。

今日はパトロールでもするかとうろついていたエインヘリヤル隊の2人。

紫の瞳と紫の髪をしたマクシミリアン、黄緑の瞳と黄緑の髪をしたヘンドリックのペアだ。一応お仕事中なので、ルナ印入りの騎士服をピシッと着ている。


「きゃあああああ!」

「うおおおおおお!」

「何してんだこいつうううう!」


叫び声が聞こえた2人はそちらへと向かうとそこには……。


全裸でハッスルする体格のいい男がいた。

それを見て顔を顰めた後、2人でおもむろにじゃんけんを初め、負けた方ががっくりと男の方に向かっていった。


「おい、何してんだお前」

「お、騎士様じゃん。俺の一発芸見て」

「はぁ?」


すると男は手を頭の後ろに組み、腰を降ってイチモツを回し始めた。


ブンブンブンブン。


「お前っ……喧嘩っ売ってんのかっ……」

「笑い堪えきれてないぞヘンドリック」

「ひゃっはああああああ!」


叫びながらイチモツを回しつつ、のっしのっし歩き始めた。


「くっ……この酔っぱらいめっ」

「連行だ連行!」

「ちょ、折角ノッて来たのに無粋じゃないか!」

「うるせぇ!」

「この通りならセーフでしょ!?」

「アウトだよ馬鹿野郎!」

「自分のいる位置が分からん程飲むなよ!」


両脇をがっしり左右から抑えられ、娼館のある通りへ連行されていった。

割りと奴のイツモツはでかかったと言う情報を残しておく。え、いらねぇ?

ちなみに魔眼で見てたルナフェリアにもウケていた。

でも当然許されないので、罰として一週間タダ働き決定である。




戦闘科と言えどもいつも訓練をやっているわけではない。

座学……読みや書き、算数ぐらいの計算を教えている。

そして、戦闘科の奴らには地獄の時間である。


「悪魔の時間がやって来た」

「椅子に縛り付ける地獄の時間だ」

「やれやれ、これだから脳筋は」

「「お前も対して変わらんだろうが!」」

「読み書きと計算ぐらいはできる」

「「ぐぬ……」」


武闘専攻より魔法専攻の方が頭が良い? なんてことは無い。

魔法陣に使われるのは魔導文字。この座学は全く関係ない。


座学が終わると一斉に訓練場に飛び出し、ハッスルしだすのが戦闘科である。

そして、眷属騎士であるエルザとイザベルが来ていた。

エルザは赤髪赤目のウェービーロング。

イザベルは青緑髪青緑目の縦ロールだ。

2人が向かい合って模擬戦をやっているうちに、座学を終えた生徒達がやって来て2人の模擬戦をガン見していた。


エルザは片手剣に盾というシンプルな騎士装備。イザベルは双剣だ。

盾と剣がぶつかり、剣と剣がぶつかる。そして魔法も飛び交う。

近接戦闘しながらの魔法攻撃という高等技術を目の前で見れるのだ。

魔法に魔法をぶつけたり、盾で防いだり。イザベルなんか剣で斬りだす。


「あっ」

「ふふふ、私の勝ちですね」

「むむむむ」


同じ技量なら先にミスした方が負ける。元近衛、ミスを見逃すことはしない。

今回はイザベルが負けのようだ。


「うーん、やっぱすげぇなぁ」

「目指すはあれだよなぁ」


たまにやってくる眷属騎士達はすっかり戦闘科の憧れの的である。

まあ、生前も近衛だっただけに大して変わっていない。

素敵な近衛騎士様はお嬢様方の憧れ。

大体の近衛騎士は女嫌い。

物語の騎士様ぁ? いるわけねぇだろあんなの。勝手に期待して絶望する奴らが大嫌いな近衛騎士。近衛というエリートなだけにそういう目は多い。


そういう意味ではこういう学園の、純粋な実力への憧れは良いものである。

基本的に近衛は王家の周りにいる。よって、実力があるのは確かだけど実際戦っているところを目にする事はない。近衛が戦うとは王族のピンチである。早々ある訳がないのだ。

見かける機会も少なく、見かけたとしても大体お仕事モードでピシッとしている。

故に物語に出てくる騎士様と重なりやすく、損する役回りである。

後王家に忠誠を捧げ、己の命を懸ける狂人達が多いから、余計女嫌いになる。


それに比べアトランティス帝国の騎士達……眷属騎士の10人しかいないが、結構フラフラとしているため、結構目撃する。

護衛対象である女帝がフラフラしているから。日替わりで2人ほどお仕事モードの近衛騎士を見れる。

学園やギルド通りの訓練場でトレーニングも見れたりするし、護衛に付く日替わりの2人以外は基本的に素の状態。結構冒険者達とバカやってるのが見れたりする。

逆にお仕事時はあれ本当に同一人物か? ってレベルで切り替わるため、それはそれでお嬢様方には良いらしいが。




冒険者ギルド本部ロビーに褐色肌の美女が入ってくる。

拳には大型種のフクロウが座っていた。

艶のある黒い髪に赤い瞳、褐色の肌。フクロウは白と黒の2色。

ギルドの受付には寄らず、迷いなくダンジョンの方へと真っ直ぐ向かう。


「お、美人なねぇちゃんじゃねぇか。どうよ一杯行かねぇ?」

「「ふん」」

「なっ……」


ニタニタした男が話しかけるが、美女どころかフクロウにも鼻で笑われる。

ちょっとムカついて更に寄るが、気づいたときには天井からミノムシ状態で吊るされていた。


「は……? えっ……?」

『ゲラゲラゲラゲラ』


そして案の定周囲の奴らに大爆笑される男であった。

美女とフクロウは見向きもせずにダンジョンへと向かっていった。


怒りか、はたまた恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして引きちぎろうとするが、びくともせず。体を揺らすが特に意味も無くプランプラン揺れるだけ。

それが更に周囲の笑いを誘う。


冒険者ギルド本部へと入ったら、いきなりミノムシ状態で吊るされている男が目に入るのである。笑うなという方が無理である。


「くそー! 見せもんじゃねぇぞー!」

『見せもんでしかねぇだろ。ゲラゲラゲラゲラ』

「くそっくそっ! 何でびくともしねぇんだ! と言うかなんだよこれ!」

「おめぇこの国来たばっかだろ?」

「そうだよ! だからなんだ!」

「だろうなー。じゃなかったらあの人には絡まんよなぁ」

「知ってたら絡まんだろうなぁ。2人揃ってたし」

『うんうん』

「美人とフクロウがなんだってんだよ!」

「あれ、どっちも超つえー従魔だぞ? しかも陛下のな……」

「……はぁ?」

「何言ってんだこいつって目してやがんな」

「騙そうたってそうもいかねぇぞ! 強そうな気配なんて無かったろうが! しかもフクロウはともかく美人の方はどう見ても人間だぞ!」

『ゲラゲラゲラゲラ』


そこへルナフェリアの冒険者用分身体がやって来て、当然ミノムシに目を向ける。

そして指さして爆笑した。


「おいガキぃ! 何笑ってやがる! 見せもんじゃねぇぞ!」

「お前っ、もう止めろっ! こっちの腹筋が持たんっ」


周囲の冒険者は笑いすぎてヒーヒー言っていた。


「まあ、状況的にベアテだな?」

「さっき2人で入って行きましたよ」

「そうかそうか。わらわの従魔に絡んでこの有様か」

「はぁ?」


そこへさっきから続く笑い声に誘われギルドマスターもやってくる。


「お前ら楽しそうだなって……どういう状況だ。何でミノムシがいるんだ?」

「うちの従魔に絡んだようだぞ」

「おう陛下。なるほどな。ベアテの嬢さんに絡んだのか。納得だ。でもそうなると本人か陛下しか救出はできねぇな」


ルナフェリアはとことこミノムシの足元に行って……軽くぴょんとジャンプし男の足を掴み……投げるように動かす。

円を書くようにグルングルン回る。


「うわあああああああ!」

『ゲラゲラゲラゲラ』


そしてその途中で火を使い糸を切る。

すると当然飛んでいく訳で。しかも糸でぐるぐる巻きは変わらないので受け身も取れずびたんと落ちる。


「ちょっ!? ぐえっ」


そして爆弾に付いた火のようにじわじわと男に迫っていく。

それに気づいた男はビタンビタン打ち上げられた魚のように跳ね、火がグルグル巻きの部分まで来ると一瞬で全てを焼き払う。


「ひぃっ」


なお、男は無傷な模様。

ルナフェリアはそのままダンジョンに向かい、笑っていた男達がネタバラシを始める。まずルナフェリアが陛下であり、ナンパした美女が皇帝種のアラクネであること。拳にいたフクロウが魔王種のテクノープレデターアウルであることをだ。


「皇帝種に魔王種……だと……?」

「そうだぞ……。気配を感じないのは当たり前だ。街中にいるんだからな。あのクラスに威圧や殺気ばら撒かれたら俺らだってやべぇわ」

「…………」

「ま、見かけだけで判断するなっつうことだ。とは言え、あの人達は隠すのがうますぎて大体皆引っかかるんだけどな」

「そうなのか……」

「しばらくいればお前も見れるだろうよ。そんときゃお前も笑う側だ」


こうして笑う者達が増えるのである。


ベアテとエマニュエルは狩りもしたいだろうということで、ダンジョンへ潜っていいと許可を出した。

ベアテも裁縫が楽しいとは言え魔物である。たまには体を動かしたい。

エマニュエルは元々強くなるのが目的だったので、盗賊の排除などをさせていた。

とは言え、ど真ん中であるアトランティス帝国に盗賊は早々来ない。

どうせなら2人でダンジョン行って来いと許可を出した。

両方暗殺型の蜘蛛とフクロウである。しかも皇帝種と魔王種。


きっと今頃バリバリと豪快に獲物を食べているだろう。


旧→お嬢様型

新→お嬢様方

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