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転生先は現人神の女神様  作者: 子日あきすず
ファーサイス 新年祭
61/88

55 騎士達の目覚めと装備

55、56と2話上がっています。

文字は両方で大体1万文字なので、2話だけど長さ的には特に変化なし。

前話……閑話の2万文字が長すぎただけです!

うーん、奴ら近衛騎士には制服を与えるか?

でもエインヘリヤルとワルキューレだろ……私みたいに自分で作れるよな……。

欲しいって言うなら作ればいいかー。


ブリュンヒルデが生前使ってた聖魔布はファーサイスにあげちゃったしなー。

まあ、ブリュンヒルデは侍女服でいいだろう。騎士達はやっぱお揃いにするべきだよなー。男女で微妙にデザインを変えればいいか。

欲しいようならそうしよう。


眷属になったということは、何かしらの固有能力を得てそうだな。元近衛だし練度は問題ないだろう。起きたら確認しようか。



さて、どうしようかな……。

ってそうだ。護衛依頼やら葬儀やらで忙しかったが、家の建て替えと、ギルド地区のテコ入れをしたかったんだ。

これを済ませておこうか。とは言え、1日で終わるのは建て替えぐらいか。


いっちょ西洋風のお城作りますかね。土地は十分だし。

素材は……白大理石をベースにアクセントとして黒のルミナイト。

緑が多いし、屋根は暗めの……深緑辺りにしてみようか。


お城にはやたら尖った部分……なんか見張り台みたいなのが何個かあったりするが、あれが何なのか知らん。かっこいいから作るけど。


私は裏庭がメインなので、そっちも建物に合わせて調整しないとか。

とは言え庭の良し悪し何か分からんので、好みにすればいいか。

よーし、作るぞー。



遠目で家……があった場所を見てキョトンとした後、パタパタ走って来て見上げながら声を上げるジェシカとエブリン。


「「…………お城になってる!」」


朝冒険者ギルド本部へと行って、夜帰ってきたら家が変わっていた。

大国のお城として恥ずかしくない代物が1日で建った。


「なお、ハリボテな模様」

「「えっ?」」

「まだ部屋全部出来てないんだこれが」

「ああ、なるほど」

「まあ、2人の部屋はもうあるし、お風呂も先に作ってあるから」

「はーい」


流石に部屋が多い。

こんな部屋あってどうするんだと思ったけど、普通なら必要なんだな。

いやぁ、うちは今まで使ってるのが2人だったからねぇ……。11人増えたけど。


そして、特に何も言わずにせっせと内部の物色を始める2人であった。

もう1日で住んでいた家が変わろうが、対して騒がない2人。慣れって怖い。



前世では王城、王宮、宮殿、宮廷やら色々あったが……はて、違いは何だったか?

えーっと……記憶にあるかな……?


王城:立派な砦の事であり、国王所有の城。王が住んでるとは限らない。

王宮:神に次いでくらいの高い王が住むところ。

宮殿:王・神官がまつりごとを行う建物。住んでるとは限らない。

宮廷:そもそも建物を差している言葉ではない。


うむ……?

となると、これは王宮になるわけか。まあ、最早前世とは関係がないが。



適当に中を区切って部屋を作ってると、流石に飽きてくるな。だからといって雑に作るわけにもいかないのだが。別の場所やるか。

私の陣地……中央の周囲に水を通して……ウンディーネの期待に答えて裏庭部分にも水を通して……っと。水の流れる音……せせらぎっていいよねー。

火がパチパチしてるのも嫌いじゃないが……裏庭の一角に用意するかねぇ……?

裏庭に通している水路を池に変え、中央に小さい島を作った。

その島、好きにしていいぞ。火の精霊達よ。

真っ先にヴルカンが乗り込みひゃっはーしていた。

可燃物がないただの土だけの島なんだが、燃えてるな。天までとどけ的な感じで燃えてるな。燃えるの無いはずだが、精霊相手にその辺り言っても無駄か?

ってマナ燃やしてやがる! ……まあ、いいか。

なるほど、マナをそのまま火に変えるのか。科学じゃなくて魔法だな。


「さて、次はどこ弄ろうかなー」


なんて呟きながらふらふら歩き、魔法で作業していた。



そして、明け方……あらかた完成した時にふと思った。

『これ、ブリュンヒルデが1人で掃除すんの? 無理じゃね?』

む、起き始めたか。シロニャンよりちょっと早いな。


「目が覚めたら様変わりしていました。おはようございます」

「おはよう。調子は?」

「問題ありません。むしろ調子が良いぐらいですね」

「肉体から開放されたわけだからねぇ。全員起きたら模擬戦なりして、確認しておいた方がいいわよ」

「分かりました。確認しておきます」


ぞろぞろと騎士達が起きだし、外にでてきた。

ふぅむ……。

ワルキューレ隊はテクニカルタイプ。

エインヘリヤル隊はパワータイプ。

全員《半神体》と《神の代行》を所持。

それに加え《解析の魔眼》も全員持っているようだ。

嘘をついているかどうかが分かる、《真偽の魔眼》なんかも持ってるな。

ユニークスキルとしては《守護方陣》と《光翼生成》か。


《守護方陣》

六芒星を組み、強固な結界を発生させる。

《光翼生成》

魔力による光の翼を生成し、飛行が可能。


ふむ。

【武闘】などは前世引き継ぎか。

生前のスキルにこれらユニークが加わったんだな。

《剣術》に《盾術》、《槍術》が基本。

ブリュンヒルデは《格闘術》だったり《奉仕学》がある。


とは言え、肉体が変わっているのだから調整は必要である。PCで言うと……。

肉体と言うハードに、スキルと言うBIOSバイオスがあり、OSと言う魂がある。

スキルというBIOSは一部引き継ぎだが、ハードが変わった。そうなるとOSの方でズレが発生する。

となると、手加減したはずだけど『殺っちゃった! てへぺろっ』がおきる。

だから調整してこい。という事だ。


ハードはそのまま体。

これらスキルが使えるよー。スキルの補正はハードにかかってるよー。これらを管理してるのがBIOS。

ハードやBIOSを動かすのがOSと言う魂……個人が意識する事で体が動いて、スキルなども使用できると。

実際のPCとは少々違うが、イメージとしてはこんなところか。

スキルなどはBIOSじゃなくてアプリケーションと言うイメージでも問題は無い。

スキルによって違うと言った方が良いか。

【武闘】はBIOS、【魔法】はアプリケーションの方が近いかもしれない。

【身体】は間違いなくBIOSになる。


まあ何にしても、ズレがあったら困るのだ。

ロボットなどが歩こうとしてすっ転ぶ状態に似ている。



「さて、調整に入る前に聞くことが2つあります」

「なんでございましょう?」

「1つ、貴方達専用のお揃い装備が欲しいかどうか。2つ、昼からパーティーあるけど貴方達はどうする?」

「私はメイド服が良いです。パーティーは……新年祭ですか」

「ああ、うん。お揃いは後ろの者達ね。所謂近衛騎士装備」

「「「欲しいです!」」」

「こう、お揃いの格好じゃないとそれっぽくないんですよねー」

「じゃあ作りましょうか。どんなのが良い?」

「動きやすくて手入れがしやすければ嬉しいですね」

「じゃあ調整中にでも作っておくわ」

「お願いします。パーティーは正直行きづらいですが……伝えたい事もあるので、行きたいですね……」


ブリュンヒルデはメイド服をご所望。

騎士達は動きやすく、手入れがしやすいお揃いの装備が欲しいと。

そんで、パーティーは来るんだな。全員で行っても12人か。問題ないだろう。


全員をファーサイス側の平原に転移させ、早速作成に入る……前に。


「エマニュエル。これ、ファーサイスに届けて。お昼前によろしく」


手紙を持たせて飛んでいって貰う。早めに12人で行くと書いておいた。

鳥だけあって早いからなー。よろしくー。

飛ぶのが好きだって言うから転移はさせない。


「お昼には私もそっち行くから、待ってて良いわよ」


コクコク頷いて飛んでいったエマニュエルを見送り、作成に入る。

動きやすいのが良い……か。フィットしてる方が良いかな。


男は無難にTシャツと長ズボンにしよう。

女はピッタリとしたワンピースタイプだな。

そして上着は籠手と胸装甲の付いた物にしよう。私の着てるドレスマントと似たような感じで……。上着の下半身部分、前は開けようか。横から後ろにかけて長さはふくらはぎ辺りまでで……っと。


こんなもんか。上着は共通。

インナーとして着るTシャツと長ズボン、ワンピースが男女の違い。

後はグリーブを作ろう。男はがっしり、女はスマートのデザイン違いでいいか。

よし。


「ベアテー、これ5着ずつよろしく。後メイド服1着」

「これなら……すぐ出来ますね」

「私はマナタイトクォーツ加工するから」

「分かりました」


色合いは白と紺と黒。細工……国章ではなくルナ印は金を使用。

こいつら『国の』じゃなくて『私の』だからな。付けるのは個人的なルナ印。

マナタイトクォーツが白なので、インナーは黒ベース、上着を紺ベースとしよう。


予定時間までは……余裕だな。

あーそうだ。


『ブリュンヒルデ』

『いかがなさいました?』

『全員に武器は何が良いか聞いて』

『武器ですか、分かりました』


大体が片手剣と盾だと思うが……。


『片手剣と盾が4人、槍が3人、双剣が2人、杖が1人でサブとしてメイスがあると嬉しいとの事です。私は短剣が欲しいです。欲を言えば攻撃にも使える籠手があると嬉しいですね』

『《格闘術》用か。ふむ……考えましょう。とりあえずすぐできる短剣ね』

『分かりました』


片手剣8本、盾4個、槍3個の短剣1本、メイス9本に杖と籠手か。

さて、どうするかな?

メイスってつまり、鈍器が欲しい訳だろうから……ふむ、作らないで良いな。


ウロボロス式の魔導剣仕様にしましょうか。奴らにも十分使いこなせるだろう。

基本的には鈍器で、斬りたい時だけ刃の形を変える、切り替え式の剣。

槍は……長さ変えられるようにするか。持ち運びが楽だな。

盾も持ち手をコアとして、前に結界を発生させる仕様にしようか。

短剣は……剣と同じ仕様でいいし。

問題は杖だが……杖を欲してるのは魔法師団だった者だろう。杖ばっかりは素材持ってって使わせながら調整しないとダメだな。

籠手は……あー、盾の仕様を少し変えればいいのか? 結界を腕に纏って殴りゃいいんじゃね?


と言うか、お前ら《半神体》持ってるじゃん。あれ《物理無効》だぞ。

盾と籠手、いる? まあ、欲しいってんならあげるか……。

柄や鞘などは全て同じデザインにし、纏め役である2人の分だけちょっと豪華にしておく。

そして武器だけはさっさと渡しておく。武器ありでの調整もしないとだからな。


後は、ベアテが作った物にマナタイトクォーツを付けていく。

帰ってきたら着替えさせて、パーティーだな。



「……これ、ちょっとぴっちりし過ぎでは?」

「体のラインが出てエロいっすね!」

「…………貴女も着るんですからね?」

「…………」


元魔法師団の冷静な返しで自分も着ると言う事実に気づき、何とも言えない顔になった元近衛騎士の現女の子。


「肌触り凄いいいなこれ」

「聖魔布だってよ」


特に変化のないおっさん組は冷静に生地などの方を観察していた。


「ふむ……上着を着れば言うほど気にはなりませんね」

「まずこのスカートに慣れないとですが」

「まあ、すぐ慣れるでしょう」

「そうですねぇ……」


しみじみと変わったことを実感している3人と……。


「どうよ!」

「うおー! いいな!」


速攻できゃっきゃっしてる元野郎2人がいた。


「楽しそうですね、あいつらは……」

「幸せそうだな、あいつら……」

「あの姿で『うおー!』はどうかと思います……」

「……確かに。少々言動に気を使わないとですか」

「言葉遣いはともかく、問題は仕草ですか」

「うーむ……」

「最悪ブリュンヒルデにでも教えてもらいましょう。それはともかく、皆着替えましたね?」

「「はい」」

「……あの2人も良さそうですね」


本格的な女の子スタイルに微妙な感じになりつつも、とりあえずピシッと決めている3人。2人は楽しそうだからまた別だ。

ぞろぞろと部屋を出て新しい主、ルナフェリアの元へ向かう。



「やはり侍女服は落ち着きます」


ブリュンヒルデは下地に聖魔布を仕込んでいた生前に比べ、もう隠す必要も無いので全て聖魔布で作られた侍女服を着ていた。

生前使っていた下地の聖魔布は、ファーサイスで優秀な侍女に引き継がれていくと思われる。



「……ふむ。やっぱりお揃いはいいわね」


ピシッと決めた10人の騎士達。

4人は腰に直剣と、左太もも辺りに短い1本の棒。

4人は背中に長柄を。

2人は腰に直剣2本を。

ブリュンヒルデは見えないが足に短剣を2本仕込み、左右の腰に2本の短い棒。

それぞれ装備している。


短い棒は盾になる魔装具。ブリュンヒルデは籠手になる魔装具だ。

3人の背中にある長柄は槍に、もう1人は金属製魔法触媒、つまり金属杖だ。


魔法触媒には木製の魔法触媒と金属製の魔法触媒がある。

木製の方が安価で量産向け。その分木なので歪みやすく、折れやすい。

金属製は劣化しづらく頑丈で、その分高価であり量産には向かない。

スタッフの先端には宝石が使用され、ワンドの場合は先端ではなく、持ち手辺りに使用されている。

付いてる宝石のサイズや種類によって追加効果がある。


赤い宝石……ルビーなら火属性強化。

青い宝石……アズライトなら水属性強化。

黄色宝石……ヘリオドールなら土属性強化。

緑の宝石……エメラルドなら風属性強化。

白い宝石……セレスタイトなら光属性強化。

黒い宝石……オブシディアンなら闇属性強化。


故に、杖を見れば得意な属性が分かったりする。

金属製の場合基本ミスリルが使用されるが、渡したのは当然ルミナイト製、ルナクォーツ付きだ。

ルナフェリアの使用している月杖・エーレンベルクもルミナイト製のルナクォーツ付きだが、神力が使用され作られたので神器となり性能は段違いになっている。


現状ルミナイト製の魔法触媒は、元魔法師団のベルへルミナに渡したワンド1本と、ルナフェリアの持っているスタッフのみである。

まだ一般冒険者はこれらが採れる階層まで行っていないので、出回っていない。


ちなみにスタッフとワンドの違いは基本的に長さとなっている。

指揮者の使うタクト的な物がワンド。片手で扱う短い物だ。

それに比べ、1メートルを超える長い両手杖をスタッフと呼ぶ。



「装備は問題ない?」

「はい、問題ありません。今までより遥かに良いです」

「そう、服はそれ一着だけど聖魔布だからね。寝る時に脱いで"ピュリファイ"で綺麗にするだけでいいわ。私服とか必要なら言えばお金渡すし、ベアテに言って作ってもらうなりすると良いわ」

「分かりました」

「それで貴方達だけど……ある程度決めているようだからそれでいいか……。フリードリヒはエインヘリヤル隊の、ベルへルミナはワルキューレ隊の隊長ね。ブリュンヒルデは生前と同じでいいわ」

「「「はい!」」」

「後はー……正直私の護衛より、パトロールでもして欲しいのだけれど?」

「治安部隊ですか?」

「そうそう。もう少し人が増えれば募集するなりして作るつもりなんだけどねー。体に慣れるついでにパトロールしといて」

「交代で回るとしましょう。しかし、2人は付けておきたいのですが?」

「まあ、良いでしょう」

「では2人護衛、4人訓練、4人巡回にしましょう。基本二人一組。体に慣れるまでは休み無し!」

「「「えー」」」

「一週間もすれば慣れるだろ、我慢しろ」

「「「へーい」」」


決まったようだ。

慣れて貰わないと困るのは確かだし、そっとしておこうか。


後は……何かあったか?

とりあえず騎士達が……。


エインヘリヤル隊:元ベテラン騎士5人。

ワルキューレ隊:元魔法師団1人と若者4人。


騎士達の纏め役……総隊長的なのが、エインヘリヤル隊の隊長フリードリヒ。

元魔法師団のベルへルミナはベテラン騎士達と同期のベテラン勢。

フリードリヒとベルへルミナがそれぞれ率いるが、トップは一応フリードリヒ。

という訳で総隊長フリードリヒ、副長をベルへルミナとしよう。


しかしだ、要は男女別の隊な訳で。

王や王子に付くのがエインヘリヤル隊。

王妃や王女に付くのがワルキューレ隊。

とする為、あまり総隊長とかは関係ないか。表向き私が指示出すのがフリードリヒになるのかな。裏では"テレパス"で全員に出すだろうけど。その方が早いし。


まあ、永い付き合いとなるんだ。のんびり行こうじゃないか。

さて、新年祭……の前にファーサイスに話し通しておくか。


感動の再会だ! 多分。


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