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転生先は現人神の女神様  作者: 子日あきすず
アトランティス帝国 建国
56/88

51 アクロポリスの発展と不穏な気配

『誰が喋っているのか分かりにくい時がある』

というコメントを頂きましたが、正直私もそう思う。今後の課題ですな。

と、その前にちょっとお城行くかね。


「おや、ルナフェリア陛下」

「この馬車王族に渡してくれる?」

「こちらをですか?」

「妾がベリアドース行くのに作ったが、使うこと無さそうでね……。という事で差し入れ。中は綺麗にしてあるから好きにしてちょうだい」

「分かりました。伝えておきます」

「よろしくー」


という事で、例の馬車をプレゼント。

転移した方が早いし、飛んだほうが楽しい。よって、不要……。有効活用してもらいましょう。

さて、船で帰るか。



「あそこに停めて」

「は、はい」


アクロポリス南東にある湖の一部へと船を停めさせ、降りる。

まあ、途中でふっ飛ばしてきたんだけどね。だって、流石に数日はかかる距離だし……。

それでも船はだいぶ早い方だな。


「いやぁ、快適でしたね……。ここがアトランティス帝国の帝都、アクロポリス……と言いましたか。素晴らしいですね」


船の感想を言いつつ降りて、キョロキョロと当たりを見渡すバルツァー商会の長、デニス。

その後ろを同じようにキョロキョロと降りてきた船の担当者。


「妾の庭へようこそ。アトランティス魔導帝国でも精霊帝国でも呼び方は好きに。都の方は個人的に神都アクロポリスと言っている」

「ふむ、神都ですか……」

「まあ、妾にとっては庭でしか無いからなんでもいいのだが……店はこっちよ」


ちなみに、店に行く前に水の妖精ニクシーを見せておいた。2人共ファーサイスの人間だ。そのうち向こうでも見かける時が来るかもしれないからな。


「店はこれを使いなさい」

「「おぉ……!」」

「妾の家はあれ、冒険者ギルド本部はあれよ」

「え……あれ……ギルド本部ですか?」

「そう、あれ。中にダンジョンへの入り口があるのよ。中は屋敷だから職員の部屋と冒険者達の宿も兼ねてるわね」

「ふむ……では、香辛料はあちらで?」

「ええ、店の内部を軽く見せたらギルドに行くわよ」

「了解しました」


基本的にお店はファーサイスにある本店と同じ仕様だ。多少サイズが変わっており、私の物を置いておくスペースが1階に用意されており、倉庫スペースがあるぐらいだ。

『ルナ印』と言う文字の書かれた、例の女神と精霊の看板がぶら下げられており、魔導技術できっちり防犯仕様になっている。

後は倉庫スペースを教えておいて、案内は終わりだ。


「ふむ? このスペース何か変では……?」

「フフフフ」

「……?」

「魔導倉庫と言えるわね。空間拡張魔法を使用した特別仕様。その違和感は外見と内部の広さが一致していないからでしょう。外見に比べ広くなっているのよ」

「で、ではまさかあの船も……」

「ええ、ばっちり大きいわよ。案内する時妙に歩いたでしょう」

「はー……確かに……」

「さあ、ギルド行くわよ」


店舗の案内を終え、冒険者ギルド本部へと向かう。

すっかり開け放たれた両開きの扉を潜り、ギルドへと入る。

ギルドの受付の中でも、ダンジョン関係の受付の方へと向かい、そこでギルド職員と商会長を引き合わせる。後はもう、勝手にやるだろう。



「ルナ様ー」

「どうしたの、シルヴェストル」

「ピクシー生まれたよ?」

「ほう、ほうほう。行くわよ」

「ほいー」


職員と商会長に一言言ってから花の妖精、ピクシーに会いに行く。


ピクシーが生まれないかと花を植えまくった花畑へとやってくると、30センチ程でトンボの羽を持ち、花飾りを着けた子と、花冠を着けた子が飛んでいた。

花冠は1人だけ、花飾りが複数いることから、花冠は女王かなんかだろう。

早速交渉だ!


とは言っても、他の妖精達と条件は同じだが。

花の妖精にはこの土地で咲く花の管理をして貰う。


「ここの花畑は好きにしていいから、果樹をお願いね?」

「任せてー!」

「貴方達も食べていいけど、精霊と他の妖精達と取り合わない事」

「んー……取り合いにはならないと思う。すぐ実をつけるだろうから」

「ふむ、それは安心ね。じゃあよろしく。何かあったら言いなさい」

「はーい」


早速花冠の子の指示により散っていったピクシーを見送る。

フフフフ、楽しみですねぇ……。



見送った後ギルド本部へと帰ると、職員と商会長が白熱していた。


『いやいや! そっちがそれならこっちはこのぐらいにしてくれませんと!』

『ではこれはどうです? こっちよりは使い勝手がいいですよ!』

『むむむ……』


ギルド職員、なかなかやるな? ファーサイスの1,2を争う大商会長相手に頑張るな。

そう言えば香辛料だが、冒険者達が採ってきたそれを加工する必要がある。それに関してはギルド職員や主婦達と試行錯誤し、やり方が分かった後私が魔法装置を作り、解決している。

会議室の1部屋が加工場と化したが。保存の容器も私が作り、酸化や風味が飛ぶのを防いでいる。

公認商人には同じ保存用の容器を渡しているが、売る時はそこから移し替える事になっている。

しっかり『ルナ印』のシンボルが入れられた容器だ。

『ルナ印』は翼を広げ手を差し伸べる女神と、その周囲を漂う精霊達の奴だな。一番最初に作った物だ。国璽やら貿易のマークが違うのになったからな。


白熱していた取引が一段落したようで、何故か握手していた。なんか芽生えちゃったようだな。


「息子の修行にここは使えそうですな、はっはっは」


まあ、確かに上限は一応決まっているからな。下手しても傷は浅いだろう。



その後、早速仕入れた香辛料を持ち、船でファーサイスへと帰っていった。すぐに品と人を乗せてまた来るそうだ。好きに商売してくれたまえ。


さて、次は何をしようか?

人が増えてきたし、生産ギルドでも呼ぶか? 最初そのうち勝手に来るだろとか思ってたけど、割と最初の方から無いと建物建てたりとかで、割と困ることに気づいた。

職人達の斡旋所だしな、生産ギルドって。

セザール君に話持ってこうかねぇ? 建物は既に用意してあるわけだし。

まあ、ギルド員だろうが同意できない者は入れないけどな。


やれやれ、忙しいですねぇ……。


◇◇ファーサイス王城・執務室◇◇


部屋の中には2人の男がおり、1人は机に向かい、もう1人は手持ちの紙を見ている。

ファーサイス国王と宰相だ。


そこへトントントントンと正面の扉からではなく、上から聞こえた。


「入れ」


国王がそう言うと、上から1人の細身の男が降りてきて綺麗に着地し、綺麗な礼を。

ファーサイスの暗部……主に情報を扱う者達の纏め役だ。

その男は非常に微妙な表情をしていた。


「至急お耳に入れたいことがございます」

「どうした?」


とても嫌な予感がしても国王は聞かねばならない。宰相もいるのである意味丁度いい。

そして、聞いたことはやはり碌でもなかった。


「むぅ……」

「国の特定はできましたか?」

「目をつけてはいますが、確信がまだ」

「どこだ?」

「法国……の東にある属国です」

「と言うと……あそこか」

「まあ、納得ですね」


アエストをそのまま西に向かうと別の国が存在する。そこが法国の属国となっている国だ。

それまでの道は周囲を山と森に囲まれ、一本道状態となっている。


「法国は……野心家だが、属国の方はどうだったか?」

「あそこも野心家です。しかも見下すタイプの」

「「……はぁ」」


暗部……情報部の報告では、アエストで近いうちに一悶着ありそうだということ。

そして、その一悶着に他国の介入が考えられるとのこと。

それが西側にある法国の属国が怪しいと。

何が問題かというと、アエストには学園があり、そこには複数の他国民がいることだ。

ファーサイスの3番目の子、ハンネス第2王子もいるため非常に面倒だ。


「アエストはここ数年バタバタしてたな?」

「してましたね。それが他国のちょっかいだとすると……」

「ああ、面倒だ……」


国王、宰相2人して頭を抱えていた。


その時、再び上からノックの音がした。

まず下に降りていた暗部の者が上に戻り、話を聞いて下に戻ってくるのだが……。


「だ……ひ…………き…………っ!」


などと、上から微かに聞こえてくる。

普段絶対に声が漏れて聞こえるなんて失態を晒さない者達が、である。

それを聞いた国王と宰相は更に嫌な顔をしていた。

失態に怒っている訳では無い。それだけの何かを仕入れたのだ。碌な事じゃない。


再び先程の男が降りてきて、国王と宰相に伝える。


「ダンサウェストの騎士達が怪しい動きをしているとの事です」

「「…………」」


聞いた2人はすぐに思考に入る。

ファーサイスに攻めてくる? なんてことはないだろう……となると考えられる事は……。


「属国の方はどうなっている?」

「3日前は特に動きはなかったかと。とりあえず既に再調査に行かせましたが……」


と言う途中でピクッと片眉が動き、懐に手を入れ紙をチェックし始めた。

何枚かペラペラと見た後、口を開く。


「やはりこれは……」

「何か分かったか?」

「属国の方ですが、半年以上前から少しずつ増えているのですよ。騎士やら食糧が。それと同時に属国とダンサウェストへの商人の行き来も増えている様な気がするという報告がありましたね」

「大国を属国にしようとでも? 確かにアエストは武力が低いが……」

「最近は内部も安定してませんからねぇ……」

「それすらも仕込まれている可能性があると。もしくは貴族に裏切り者か」

「恐らく後者かと思われます」

「……はぁ。とりあえずやれるだけの対策はとる。引き続き頼む」

「はっ」


男が再び上に消えた。

その後、総隊長を呼び作戦会議である。


「とりあえず、ハンネスの迎えに精鋭を。それと西の領地の防御をこっそり固めておけ」

「畏まりました。できればブリュンヒルデかディートリンデ、どちらかお借りしたく」

「ふむ……確かにな……」

「逃げる事を考えると……ディートリンデですか」

「いえ、最悪の場合を考えるとブリュンヒルデですね……。抱えて走る可能性も……」

「乱戦かつ馬ですか……」

「戦闘が予想されるとなると、侍女も戦えた方がいいでしょうからね。そこは向こうに任せて……近衛も上の方で固めましょうか……少々ダンサウェストの方が心配ではありますが……」

「行く時にアトランティス経由ではなく、ダンサウェスト経由で行きますか? 今までのルートですし、迎えを襲うなんて事は無いでしょう。通る際にある程度情報収集できれば……」

「そうですね、それはありかと思われます。この国に喧嘩売ることは無いでしょう」

「そう……だな。ハンネスも乗っていない迎えを襲う事は無いだろう」

「微妙に隔離状態の学園をわざわざ襲うことは無いでしょう……。敵が多くなりすぎる」

「帰りはアトランティスでも通ってこさせろ。色々安心だし早いからな」

「畏まりました。最悪アトランティスに逃げ込ませますが、宜しいですか?」

「……構わん。そうなったら我が頭でも下げるさ」

「……では、すぐに行動に入ります」

「ああ、頼んだぞ」


総隊長が部屋から出ていった。


「さて、どうなることやら……」


◇◇◇◇


ふぅむ……これはこれは、素晴らしいですね。

これがまあ、普通の、産地で出回っているパイナップル。


アナナスの実 レア

品質:一般 状態:通常

アナナスになる大きな実。

食べ過ぎると人によって口が荒れる。


そしてこれが、アトランティスで最初の方に採れたパイナップル。


精霊の雫 ファントム

品質:高級 状態:新鮮

聖域になるアナナスの実。

口にした者に至福のひと時を与える果実。


そしてこっちが、アトランティスで今採れるパイナップル。


女神の雫 レジェンド

品質:最高級 状態:新鮮

神域になる大きなアナナスの実。

口にした者を天上へと誘う甘美な果実。


予想通りアイテム名が変わったんですよ。

果実はどれもレアに該当。聖域で採れる果実はファントム。神域はレジェンドのようだ。

聖域と神域の果実は名前やレア度が一緒の様で、説明文の一番最初が物によって違う。


という訳で、採れる果実は全て女神の雫になりました。

そんで説明文を見る限り、神域になっているようだ。神都アクロポリスが嘘じゃなくなったな。


「うんめー。シルヴェストル、メロン1個持ってきて」

「えー」


果実をパクパクしてるから行きたくないんだろうが……。


「お供え物にするから」

「へーい」


速攻でいなくなって、メロンを掲げて帰ってきた。

例の創造神様がこたつでだらけてる奴を取り出し、こたつの上に置くと転送されていった。


『おお? メロン……だ? へぇ、こんなんなるんだ』

『精霊達と水、土、森、花の妖精が揃ったんですよ。そうなりました』

『おお、美味しい。これはいいわー。恐らく自然神が育てたやつの1個下ね』

『自然を司る神ですか』

『そっちにはいないし、これが最高でしょうね。うま』

『これから送るのはそれになるんで』

『よろしくー』


さて、これを売ることになるわけだが……わけだが……いくらになるやら。

とりあえずバルツァー商会の商会長に食わせてくるか。ペルシアでいいな。

えーっと……ああ、こっちの店にいるようだな。


「ああ、陛下。商会長ですか?」

「ええ、呼んでくれる?」

「分かりました」


店員に商会長を呼んでもらい、出てきた商会長に早速女神の雫・ペルシアを食べてもらう。

おっと? フリーズしたぞ。大丈夫か? 渡らないでーその橋はー。


「ハッ!」


お、帰ってきたか。ってもう一口食べてまた旅立ったわ。

今のうちに魔道具でも作っておくか。あると便利だろうし。

板状で上に載せた物に《精密解析》をする魔道具。うちの果実は名前がもう違うからすぐ分かるだろう。これをそうだな……複数用意しておくか。ギルドに預けてもいいかもしれんな。

真ん中にデカデカとルナ印を入れておこう。


マナタイトクォーツでできた魔道具と、各種果実数個を復活した商会長に渡す。

果実は状態保存の魔道具……"ストレージ"の応用品に1個ずつ入れてあり、展示品の様になっている。これもポップアップで鑑定結果が表示されている。


「おお、これは便利ですぞ……」

「魔眼持ちの人がいたけど、全員に見えた方がいい場合もあるでしょう。そんな時に使ってちょうだい」


後はギルドに回そうかね。生産ギルドにまず渡して、そこから各ギルドがいいかな? ギルドの数と予備で数個用意しておくかね。

うちにあるギルドには直接渡せばいいので……冒険者ギルド用はこっちでやるか。商業ギルドと生産ギルドの分は生産ギルドの方に任せるとしよう。

ついでに生産ギルド勧誘してくるかな。手土産にこの魔道具を渡してやろう。


「じゃあ、生産ギルド本部の方にこの魔道具提供してくるから、後は任せたわ」

「お任せを」



魔道具の作製はすぐできるとしても、生産ギルドの勧誘か。うちに来る者もじわじわ増えてるし、しばらくは忙しそうだな……。

冒険者ギルド本部とダンジョン目当てに冒険者達がぞろぞろ来ているのだが、治安の問題もあるな……。今のところは初期メンバーが抑えているようだが……対策が必要か。まあ、各地に配置された召喚騎士(ハリセン装備)にしばき倒されているのもいるようだが。いい音するんだあれ。

それ程痛くはないが、『スパーン!』と言ういい音がなり、なんとも言えない気持ちにされる。挙句に持っているのがSランク召喚騎士な為、ハリセン相手に手も足も出ずしばき倒される。

それを周りの同業者にばっちり見られるんだ、さぞかし咽び泣く事だろう。


我が土地……まあ、アクロポリスだな。現状冒険者8割の商人2割と言ったところだろうか。

間者は数に入れていない。微妙にいる住人も冒険者関係だ。ギルド本部の職員の身内だな。

現状人々は東側に集中している。ギルド関係が北東、商人達が南東だ。

妖精種を入れるならこいつらが1番多いか。妖精達は好きにしている。ニクシーは南東の湖に集まっているが。


冒険者ギルド本部が結構な容量あるので、冒険者達の受け入れは十分そうだ。冒険者ギルドと宿を分けた方が良さそうだろうか? 現状ギルド職員が担当しているが、辛そうではある。

生産ギルドを呼んだら家なり店なりが建つだろうが……。


うむ、やはり圧倒的に人手が足りんな。私が今何人に分裂してると思ってるんだか。やれやれ。

信用できそうな者を探さねばならんか? いや、手間がかからなそうな奴と言った方が良いか。不正しているかどうかは魔眼で分かるしな。手間がかからず普通に、極普通に仕事をこなしてくれるだけでいいんだが。


◇◇◇◇


さて、そろそろ後回しにしていた事を済ませようかね?

それは……冒険者ランクの話である。それどころじゃなかったし? とは言え、SSSランクになったところでこちらが冒険者活動どころではないのだが。


「やあマスター。悪いわね」

「いやいや、丁度良かったぞ。先延ばしにしてたSSSランクに関して職員会議もしておいたんだ。人手不足で忙しいのは相変わらずだが、一応状況的には落ち着いたからな」

「ふむ、こっちもそれを聞きに来たから丁度いいわ。人手不足に関しては現状どうしようもないのよねぇ……」

「普通なら雇えばいいんだが、そもそも人がいないからなぁ。どっからか攫ってくる訳にもいかんし。まあ、職員会議の結果SSSランクにすると言う事になった。……ちなみに、今回のゴタゴタに関しての感謝も微妙に入っている」

「あら、それは贔屓にはならないの?」

「正確に言うと『今回のゴタゴタに関する処理能力などが評価に入った』という事だな。感謝している事は事実だが、『ありがとう! お礼にSSSランクにしてやろう』とはならんし、できんよ」

「ふむ……」

「戦闘能力に関しては問題ないと判断されている。となると後は『人柄やら様々な事に関する処理能力』が必要で、『人々の上に立つ人間であるか』と言う部分もSランク以上は必要だ。SSとSSSのランクアップ条件は細かく決めていない……と言うか、決められないな」

「同ランクを倒すだけの強さは最低限必須。とは言え魔物は基本1PTで対処するのが基本だが、Sランクの数が少なく、基本的にソロ活動をしている。更にSランク指定以上の魔物は災厄扱いだし、しょっちゅう来られても困る訳で……。そんな様々な意味でSランク以上になる様な状況にならないと」

「うむ……。Sランクは先輩Sランクとの模擬戦とギルドからの指定依頼で強さを、それ以外は普段から見ているわけだ。そしてSSSが生まれるというわけだから……」

「妾に試験官的な事をしろと?」

「SSとSSSの試験官をやってもらえると助かるが、具体的なラインが無いからなぁ。時間も無いだろう? それに陛下を戦わせるのはどうなんだ……?」

「それは今更でしょう。時間は分身体自体でどうにでもなるから問題は無いし、これでも模擬戦は良くするから心配いらないわね。ただ『討伐推奨ランクの魔物を倒せることが前提』よね?」

「戦闘能力的にはそうなってるな」

「魔物の推奨ランクって1PT……4から6人で当たるのが基本だったはずだけど、Sランク以上ってどうするの?」

「うん、まだ決めてない」

「……まあ模擬戦するのは構わないし、Sランク数人のPTが相手でも別に良いわ。決まったら言って」

「Sランク数人同時に相手するのか!?」

「逆に相手できないとSSSとしては不足じゃない? SSSと言えば竜種でしょう?」

「……それもそうか。と言うか正直そのルールで言うならSSS超えてるよな? 純正竜ソロ討伐とか」

「EXかなんかでも作ったら? まあ、その辺りはどうでもいいから任せるけれど、これでも忙しいから変な制約付けられると邪魔なんだけれど?」

「そこは心配いらん。女帝と言う立場を優先して貰って構わない。Sとかそれ以下でもできるような指名依頼はこっちで不適切として遮断させてもらうつもりだ。いっそ新しいの作って名誉なんたらにでもするか? ……その方向で会議してみるか」


再びSSSが保留になった。まあ、今まで誰もいなかったんだし、仕方ないと言えば仕方ない。

と言うか、だいたい私の立場……女帝というが原因でもありそうだが。

これに関しては別に急ぎでもないし良しとしよう。


◇◇◇◇


「ルナ様ー」

「どうしたの、グラース」

「湖一部凍らせていい?」

「あー……いいわよ」

「わーい」


グラースは氷の精霊だからな、水でも問題はないが氷の方がいいか。

水の精霊も妖精も氷があった所で問題はないし、大丈夫だろう。


「マイスター、お客様です」


……やっぱり対応するの私ですよね。やれやれ……。



私の作った自動人形オートマタに連れられて一応正面玄関の方へと向かう。

私が基本いるのは裏庭の花畑や神霊樹のある場所だ。家? ジェシカとエブリンが使ってるよ。

ああ、そう言えば書類仕事をしている分身体が家に缶詰状態だから、一応使っているな。部屋から出てないどころか椅子から立ってないけど。

気分転換やらなんやらは本体含め他の分身体がしているからな……。


まあ、それはともかくお客さんだ。

魔眼で来る前から知ってはいたが、やっぱこっち来るよねー。

ここに住むからには私の許可が必要だし。そのうち役所でも作ろうかねぇ? 正直面倒だし。

正面玄関には1人のギルド職員と、獣人……狼系統の40代ほどのと男がいた。


「ああ、陛下。こちらの方が御用だそうで」

「て、天使!?」


ギルド職員は既に私の姿は見慣れている。

しかし、見慣れていない獣人の男はびっくりしているようだ。天使の翼とは全然違うのだが……天使系はなかなか見ることは無いだろうから、分からんだろう。


「冒険者からここの話を聞いて、引っ越し検証に来たらしいですよ?」

「そう。決まりを守るなら別に爵位持ちの魔物だろうが構わないわ」

「だそうですよ?」


ギルド職員とそんな会話を交わした後、獣人の方を見ると未だに混乱中だった。

やはりこの翼はインパクトが強いらしい。だが消さない。

混乱中の獣人は放っておいて、ギルド職員と会話を進める。


「引っ越し検証って家族? それとも村単位とか?」

「村単位らしいですよ? 西からの難民というかなんというか……」


ギルド職員は言いづらそうにしているが、私には無駄である。



この世界は一応陸続きで、私のいる場所が中央大陸。マーストから東が東大陸で、アエストから西が西大陸と言われている。

東側と言えば東大陸、西側と言えば西大陸、そしてここが中央と言われる。

中央には4大国と言われるテクノス、マースト、アエスト、ファーサイスがあり、それらのど真ん中に我が国、アトランティスが存在する。

東側は冒険者ギルド本部があったベリアドース大国があり、小国が乱立。小国はしょっちゅうどつきあっている。

西側はアクウェス法国があり、小国が複数存在する。こちらは東側と違い、比較的安定しておりどつきあいはしていないが、法国が中心となっている為人種差別が酷い。人間至上主義だ。他の種族は迫害されたり、奴隷だったり。

比較的平和に暮らすなら中央、大体ドンパチしてるのが東だ。西は『人間』にとっては良い所。

村だったり小国だったりを作っている種族も存在するが、人間の国が多いのが現状である。



この獣人はそんな西から逃げ込んできた訳だな。

獣人の国もあることにはあるが、西側でドンパチ筆頭だからな、あそこ。

んまあ、来た理由がなんであれ普通に住む分には構わないが。

お、復活したようだな。代表で来てるわけだし、いつまでも話をしない訳にもいかんだろうしな。


「この国は人間以外も受け入れ、人間と同じように暮らせると聞いたのですが……」

「アクロポリスに入る時にルールが頭に入ったでしょう? それを守るのなら種族なんかなんでも良いわ。人間だ、エルフだ、ドワーフだ、そんなの些細なことよ」

「おぉ……! 住む所や食事などもですか?」

「住む場所は種族で分ける場合もあるわね。食事に関しては食べたいものを買うなり作ればいい」

「住む場所分けるのですか……?」

「分ける必要のある種族は分ける。具体的には亜人と言われる者達ね。貴方達獣人には関係ないでしょう。鼻がいいから分けた方がいい気もするけれど」

「おぉ……亜人も受け入れるのですか。確かに彼らは特殊ですからね……我々と同じでは不便ですか」

「まあ、そもそも差別する者は入れないし、叩き出すけどね。邪魔だし」

「ふむ……」

「入る際のあのルールを守るなら私は特に何か言うつもりはない。ただ、見ての通り現状住むなら家を作る必要がある。まだ冒険者ギルド空いてるわよね?」


私もある程度把握はしているが、ギルド職員がいるわけだし一応確認しておこう。


「まだまだ部屋の空きはありますよ。と言うか現状職員用の2階がほぼスカスカですからねぇ。移ってくるのは100人とかいませんよね?」

「そんなにいません。60人ちょっとです」

「なら余裕ですね」


うむ、やはり余裕か。

住む所はとりあえずいい。食事は村なら狩りできる者がいるだろうし……狼の獣人なら香辛料ぐらい取りに行けるだろう。食事も問題なし。着るものも切羽詰まっては無いだろうし……そうなると……。


「問題はお金ね。つまり職か……。ふぅむ……」


正直私達の住む場所と、ギルド本部、後はバルツァー商会ぐらいしかマトモな物がないのよな。

うん、生産ギルド呼んでこよう。そうすれば自然と雇用が生まれるだろう……。

狼の獣人だし体動かす肉体労働の方がいいだろうしな。違うなら冒険者ギルド本部が拾うだろ。人足りねぇ言ってるし。

まあ、許可するから頑張れ。



人間以外の種族がぞろぞろ来そうだなーとは思ってはいたが、早速来たな。

西から来たって冒険者ギルドのネットワーク割りと侮れんな。と言うか距離的によく来たな?

それなりに距離あるんだが……。獣人の身体能力の問題か、はたまたそれだけ切羽詰まっているのか……。んー……両方か? 命に関わる程ではないが……移住先があるならさっさとするレベルか。


大々的には発表してないが、もう十分話は広がったと見るべきだな。

となると……忙しくなるのはこれからか……。


やれやれだ。


さあ、他国はどう動くでしょうか。

それは私にもまだ分からない( ˘ω˘)


漸く主人公が大々的に表舞台に?

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