表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/3

閑話 はじめてのお風呂

本編に癒しが足りないので、我慢出来ずにこちらを先にポチポチ打ち込んでました。許して……

第167話の「赤ちゃんって大変」の家に帰った後のお話です。

やっぱり可愛いしか勝たん!!


 帰宅後、庭にあったあの大きな桶を使って、メフィストをお風呂に入れることになった。これならゆったり洗えるだろうと、トーマスさんが以前していたように桶の中にシーツを張り、そこにお湯を沸かし足していく。

 その間にも、ハルトとユウマは新しく家族に加わった末っ子をかいがいしく世話している。ソファーに座りながらそれを見守るオリビアさんの顔は、今まで以上に緩んでいた。


「ん~……、これくらいかな?」


 たっぷりのお湯を用意し、湯加減をみる。僕にはぬるま湯だけど、メフィストには丁度いいかな?


「二人とも、ごめんね。メフィスト連れてくよ」

「うぅ~?」


 二人に可愛がられているところ悪いなと思いつつ、楽しそうに遊んでいるメフィストを後ろから抱え、桶のある洗面所へと戻る。僕に抱っこされている間も、家の中が珍しいのかきょろきょろと目線は行ったり来たり。

 どうせなら二人も一緒に体を拭いてしまおうと、ハルトとユウマ、それにオリビアさんも一緒について来た。


「メフィスト、お湯加減みようね」 

「う?」


 しゃがみながら、メフィストの体を包んでいた大きな服をパパッと脱がせる。突然のことに驚いたのか、大きな瞳がぱちぱちとまん丸に見開いていた。


「メフィスト、どう? 熱くない?」

「あ~ぅ~!」


 お湯を少しだけ手に掬い、ゆっくりと腕にかけてみる。するとお気に召したのか、お湯を触ろうとパタパタと手を伸ばし始めた。

 大丈夫そうだなとその体全体に少しずつお湯をかけてみると、うっとりとした表情を浮かべ大人しくなる。その様子に、思わずオリビアさんと笑ってしまった。

 落とさないように左腕でしっかりと支えながら、優しく優しく体を洗っていく。僕にされるがままのメフィストは、うっとりしたままご満悦のようだ。

 体を拭き終わったハルトとユウマも、メフィストが気になるのかそのまま洗面所で僕たちの様子を見守っている。


「さ、お湯に浸かろうね」

「う?」


 まるで、もう終わりなの? とでも言うように、メフィストは唇を尖らせる。だけど本番はここから。足先からゆっくりとお湯に入れていくと、少しずつ力が抜けていくのが分かった。

 湯船に浸かるとさらに力を抜いて、完全に僕に身を委ねてきっている。むちむちの腕に、かわいい指先。ほんのり桃色に染まったふっくらほっぺは、触るとぷにぷにで気持ちがいい。


「めふぃくん、きもちぃ~?」

「あぃ~!」 

「めふぃくん、なつになったら、ぷーるも、あります!」

「ぷーる! たのちぃの! いっちょにあしょぼぅね!」

「あぃ!」


 二人に話し掛けられて嬉しいのか、メフィストは満面の笑みで手をパチパチと叩こうとする。だけどお湯の中で上手くいかなかったのか、飛沫が跳ねて目を真ん丸にして驚いていた。

 それを見て、また皆で笑顔になる。


 それはまるで、最初から本当の弟のような、家族のように、大切にしなきゃと思わせる存在。

 そんなぽかぽかとした温かい感情が、いつしか胸の奥に芽生え始めていた。


この後、メフィストに離乳食まみれにされるなんてユイトは微塵も思ってません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ