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レベル1からやり直してこい!?  作者: 参星
呪われた宝石編
45/109

45.曰く、奇妙な依頼。

 

 シキミは正直な話、幽霊というものを信じていない。

 それは見たことが無いからであったし、物質的に存在しない以上、認識の問題だと思っているからだ。


 だからまぁ、選んだのは「面白そうだったから」の一言に尽きるのだが。



「幽霊屋敷ィ!?」


 嬢ちゃん幽霊怖がらないタイプかぁ、と素っ頓狂(とんきょう)な声を上げたテオドールの横で「あなた時々変な所で勇気あるわよね」と若干呆れたようなエレノアが手にしているのは、ギルドの依頼書であった。


 依頼内容は簡単──というより奇っ怪で。

 自分の店が管理するとあるお屋敷から「毎晩悲鳴のような不気味な声が上がる」のだという噂が広まってしまって、買い手もつかずに困っているらしい。

 しかも、それは「とある貴族の一家無理心中が原因で売りに出された屋敷」なのだというから、そんな噂が立つのもさもありなん。


 しかしそれでは自分(みせ)が困る。 

 本当に噂通り悲鳴が上がるのか、上がるのであれば原因は何か。原因があるのであればその排除を頼みたい──という、わかっているんだかいないんだかよくわからない依頼である。


「要するにこれ……幽霊見つけたら方法は何であれ退治してね、ってことよね」

「……まぁ、そう、ですかね?」

「見つけてきた本人がわからないんじゃ世話ねぇな……」


 苦笑いのテオドールがためつ眇めつした紙に、残念ながらそれ以上の情報はない。


「……で? リーダーのご意見は?」

「面白そうなので許可します」

「マジかぁ〜」


 まさに鶴の一声。

 仮にもAクラスがお化け屋敷かよ、と不満そうなテオドールに「もしかして怖いんですか?」と聞いてみれば、即座に真顔で否定された。

 傍でそのやり取りを聞いているジークとエレノアといえば、生暖かい視線を送るだけで何も言わない。


「怖いんだぁ……」

「怖くねぇよ」

「絶対怖いんですって、顔(こわ)ばってますよ」

「オウ嬢ちゃん、表出な」


 キャンキャンと子犬の(じゃ)れ合いのような二人の有り様に、傍観を決め込んだ二人はそっと目を見合わせて苦笑した。





短いけれど導入なので許してください(土下座)


ここまで読んでいただきありがとうございました。

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