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ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


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お仕事見学


「あの、そのお仕事見学に行かせていただいてもいいでしょうか? その、一応我が家からの依頼、ということなんですよね」

「そうだけれど……大丈夫? あなたにはまだ早いと思うけれど」

「わかっています! だからこそ見学でお勉強をしたいんです」

「ううん……」

 

 さすがにいきなりは難しいかな?

 聞いた感じ、結界の外というわけではなさそうだけれど……。

 

「さすがに今日中に帰ってこれる場所ではないから、連れてはいけないわ。親御さんに連絡を入れないと」

「う……そ、それじゃあ無理、ですね」

 

 親に連絡、なんて無理。

 そもそも本家の電話番号も知らない。

 よその家に迷惑をかけた、とかいちゃもんつけられて連れ戻されるのもまずい。

 

「でも、現場の見学は確かに身になるわね! いいわよ! 今度の土曜日に見学にいらっしゃいな!」

「土曜日!」

 

 思わず壁に駆けられたカレンダーを確認する。

 明後日!

 

「ぜひよろしくお願いします!」

「それじゃあ土曜日の十時くらいにうちに来れるかな」

「はい!」

「面白そう! おれも行っていい!?」

「真智くんも来る? いいわよ~。それなら十夜も来る?」

「行きたーい」

 

 まさかの三人で行くことになってしまった。

 まあいいか。

 

 

 

 そんな感じの土曜日。

 昨日最後の外周区画浄化を終わらせて、収録もバッチリ。

 というわけで今日は約束通り十夜母のお仕事に同行し、仕事を見学させていただけることになった。

 しかも、真智と十夜と三人で。

 場所は結界の中の隣町。

 自然豊かな場所にある、完成な住宅地。

 その中の一軒が今回の依頼の場所。

 もちろん、うちの鬼ババアの依頼ではない。

 それは前回十夜母がしっかりこなしてきたとのこと。

 今回私たち三人を連れてきてくれたのは、それとは別件。

 今回のお仕事は定期浄化。

 結界の中は人が住んでいる故の(・・・・・・・・・)穢れが蓄積して悪霊や悪魔が発生してしまう。

 反転巫女の影響で、むしろ発生しやすくなっている。

 だから結界の中も定期的に浄化を行うのだそうだ。

 未来の攻略対象と一緒にいることが増えたから、複雑な気持ちになるんだけれど。

 だって、『宵闇の光はラピスラズリの導きで』は最初、ゲーム開始時に攻略対象を一人選び、そのストーリーを読み進めていく形。

 正直『量産型のスマホ乙女ゲーム』なのだが、声優陣が有名どころの箱Vtuberばかりなのが売り。

 私だって織星くんを推してなきゃプレイしてなかった。

 そのくらい、一般的な乙女ゲーム……と、思っていた。

 あまりにも救いがないこと以外。

 いや、一応ハッピーエンドもあったよ?

 でもハッピーエンドなのになんかこう……『悪役令嬢、千頭山(せんずやま)真宵(まよい)』がハッピーエンドだと絶対死ぬ――ってのがさぁ……。

 もうかなり後味が悪くて悪くて。

 だからハッピーエンドなのにハッピーエンドな気がしないというか。

 だって真宵が祟り神になった経緯が、ねぇ?

 しかも真宵を祟り神になるまで追い詰めた奴らはなんの罰も受けない。

 非常にすっきりしないんだよねー。


「はい、今日三人に見てもらうのはこの土地の浄化でーす」

「悪霊祓いじゃないのー?」

「悪霊はいるけれど、まだ三人には感じ取れないかなぁ?」

「えー?」


 顔を見合わせる。

 真智と十夜は悪霊の気配を感じ取れないようだけれど、私ははっきり感じ取れた。

 これも日々の修行の成果なのかな?


「向こうの――林の方に」

「正解! すごいわ、真宵ちゃん! よくわかったね!」

「でも、あの、一体じゃないですよね……?」

「ええ。三体はいるわね」


 依頼のある一軒家は無人。

 その後ろが墓地になっており、寺はあるものの常駐しているわけではないので管理が甘い。

 なので、物件管理や土地の管理権を所有している家々が定期浄化をする。

 この周辺は善岩寺(ぜんがんじ)家が管理しているという。

 で、墓の近くの林に悪霊が三体漂っている。

 でも、多分あまり強くない。

 普通の、負の気が溜まった霊から、悪霊になりかけている感じ?


「お墓よりも林の方に霊が集まっている感じがしますね」

「そうよ。お墓の霊がみんな林の方に移動して行っているみたい。多分溜池(ためいけ)が溜まり場として心地いいんだと思うのよね。定期的に浄化したり結界を張ったりはしているのだけれど」

「水は霊を呼び寄せやすいんでしたっけ」

「そうよ。ちゃんとお勉強してるのね!」


 水の気は霊が溶けて居心地がいいらしくて、霊は水場に集まりやすい。

 反対に火の気、太陽の気は霊に怖られる。

 悪霊などの負の気は火の気、太陽の気で燃やされて近づけなくなったり、こちらがなにもせずとも燃やされて消えるとか。

 まあ、力関係にもよるけれど。

 それにしても、うちの裏の林の悪霊よりも弱いとはいえ三体もいると圧のようなものを感じるな。

 悪霊三体よりも、普通の霊の方が多い。

 だからだろう、圧迫感があるのだ。

 なんというか……数十人じゃなくて……。


「なんか、あの……数百人くらい、いませんか? あの、林」

「そうよ。でも害がないからそのままにしてあるの。巫女が反転した時にたくさんの人が亡くなって、ご遺体もそのまま埋めるしかなくて、成仏できずたくさんの人が漂っているの。心の整理をつけられないままね」


 そりゃあ、突然殺されてしまったのなら、心の整理なんてつかないよね。

 ……わかる。

 私も……突然殺されたから。

 正直、心の整理がついているのかと言われたらまだついていない。

 忘れよう、考えないようにしよう、としているから今、千頭山(せんずやま)真宵(まよい)としての破滅エンドを回避することに夢中になるようにしている。




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