第九十話 先輩と後輩
今日から連続投稿でーす
まぁた最近暑くてかないませんよ
「じゃあ、死んでください」
にこやかな笑顔で突然死んでくれと言われる。
なにこの人……やばい人なのかな。
青い髪も綺麗だし、結構スタイルもいいけど残念美人ってやつだろうか。
「は?」
思わず聞き返してしまう。
さぞ俺は変な顔をしているだろう。
いやだって、いきなり初対面の人に死んでくださいとか言われたら、みんな同じ反応すると思うよ?
なんかヤバイ人っぽいし、さっさっと家に帰ろう。
この場を離れようとすると、青髪の女性は右手に持つ金属の杖を振り上げる。
多数の装飾品で飾られた杖、あれで殴られたら痛いだろうな〜なんて思いながら女性から距離をとる。
ある程度離れれば、杖を振り下ろされても避けられ
「時よ。滅却せよ」
女が呟きながら杖を振り下ろした。
突如、空から光が降り注いでくる。
光は俺を照らし、まるで空から光の柱が落ちてくるかのような錯覚を……
「って、なんか降ってきたァァァァ!?」
本当に光の柱が空から降り注いできた!
咄嗟に飛び退いて避けると、先程まで俺の立っていた場所に光の柱が落ちて何かが弾け飛ぶ音が耳に届く。
光が収まると、光の柱が降り注いでいた地面に丸く大きな穴が空いていた。
あっぶねぇ!
もし避けなかったら本当に殺されてた!
「何すんだ!避けなかったら本当に死んでたぞ!?」
「そのつもりでやったんですよぉ。ダメですよ避けたら」
「避けるに決まってるだろ!こんな大きな穴空くような……穴が、空くような……」
あれ?
ここの穴って、元々空いてなかったっけ?
そう……そうだよ、この足元の穴は元々空いていた。
俺が初めてフロウの家に遊びに来た時、誤って足を踏み外して落ちてしまっ
た穴だ。
なんで忘れてたんだ。
もう二度とこの穴に落ちないようにって、ずっと気をつけていたのに。
「次は避けないでくださいね。えい!」
また女が金属杖を振るう。
再び空から光の柱が降り注ぎ俺に襲いかかって来る。
一発避けるとまた一発と次々と光の柱が空から降り注ぐ。
それを避ける度、地面に穴が……いや、元々穴が空いていた場所に光の柱が落ちたのか?
思い出せない、フロウの家の周りってこんなに穴だらけだったっけ!?
一向に光の柱が俺に直撃しないのを見て女がイラついているのが見てとれる。
「あぁんもう!避けないでくださいよ!大丈夫、痛くないですから!すぐに終わりますから!」
「俺は死ぬのが嫌なんだよ!」
「いいからぁ……!」
女の持つ金属杖の先端に光が収束し始める。
インスマス教会の司教が使ってた技と同じに見えるけど、明らかに光の密度が違う!
あれは喰らったら絶対にダメなやつだ!
「大人しくしてくださぁぁぁぁい!」
懇願と共に杖が振るわれる。
いや正確には女が杖に振り回されているって感じだけど。
杖の先端から光の弾が放たれ、俺に迫ってくる。
右に転がり避けると目標を失った光の弾はニケロース家の屋敷へと直進する。
それを見て女が「あっ」と声をあげた。
光の弾はニケロース家に直撃した瞬間、その面積が巨大化し屋敷を丸ごと包み込む。
マズイ、屋敷にはフロウたちがいるのに!
「フロウ!!すぐに屋敷から逃げ
巨大化していた光の弾が消える。
俺の目の前には──巨大なクレーターが広がっていた。
地面は何かで切り取ったように綺麗な断面が見えている。
「……あれ?なんだっけ……ここにあったのって?」
クレーターを見ながら首を傾げる。
今目の前のクレーターには、元々何かがあったはず。
大事だったはずなのにそれが思い出せない。
ここは──誰の家があったんだっけ?
「あぁもう!余計な仕事が増えっちゃったじゃないですか!」
俺が避けたことに対して女が文句を言いながら杖を回転させる。
するとクレーターや地面に空いた穴から光が天に向かって伸び、消えたはずのニケロース家の屋敷が再び現れた。
そうだ、ニケロース!
フロウ・ニケロース!!
どうしてフロウのことを忘れてしまってたんだ!?
あの女が放った光に屋敷が包まれて消えてからフロウの存在を忘れていた。
でも、屋敷が元に戻ったらフロウのことを思い出せた。
いや、思い出せたと言うより急に頭の中にフロウとの記憶が出てきたのだ。
まるで抜けていたパズルのピースが埋まるみたいに。
「あんた……一体何なんだ?」
青髪の女に振り返り呟く。
女は再び杖の先端に光を凝縮させ始めていた。
「私が誰かなんて、どうでもいいじゃないですか〜。だって──あなたはここで消えるんですから」
女の冷たい声と表情に悪寒が走る。
逃げなきゃ……逃げないと、この女は本気で俺を消す!
さっき俺がフロウの記憶を消されたみたいに、クロノス・バルメルドという人間の記憶ごと消される!!
「風よ!吹き荒べ!」
足裏にマナを流し突風を巻き起こし女の眼を閉じさせる。
その隙に俺は跳躍し近くの森の中へと飛び込んだ。
とにかく逃げなければ、追いつかれたら確実に消され
「待ってくださいよぉ。痛くないから大丈夫ですって」
「なっ!?」
振り切ったと思った女がいきなり真横に現れた!
いくらなんでも追いつくのが早すぎる!
どんな魔法を使ったんだ!?
「よっ」と呟きと共に女の細い手が俺の体に触れる。
身の危険を感じ咄嗟に飛び退き距離を離す。
今触れた時に何かされたか!?
どこも体に異常はないよな!?
手で触れられた箇所を確認するけど痛みとかは特に感じない。
「全く、下界は面倒ですねぇやっぱり。一度に一つの力しか使えないんですから」
下界……?
もしかして、この女!
「ぉ……まぁ……ぇ……」
あれ、なんでこんなに喋るの遅いんだ?
筋肉も錆びついた機械みたいに硬くて──全然動かねぇ!?
「な……お……」
「最初からこうしとけばよかったですね。てへっ」
女が拳で軽く頭を叩いて舌を出して笑う。
普段なら可愛い仕草だなと思うところだけど、今はそんな余裕が全くない!
早く逃げようと必死に体を動かそうとするが、思考に体が追いつかない。
指一本動かすだけでも数十秒かかる!
「さぁて、じゃあさっさと終わらせて帰りましょうか」
再び女が杖を振り下ろす。
頭上から光が降り注ぎ、俺の体を覆うと光の柱が空から迫ってくる!
駄目だ……逃げたくても、体が遅すぎて逃げられない!!
「それじゃあ、さようなら」
女が手をひらひらと振り、俺に別れを告げる。
そして──
『おいたが過ぎるよ。ルディヴァ』
どこからか男の声が聞こえる。
俺の頭部にまで迫まった光の柱が霧散した。
光が収まり、動けない俺を助けた人物の姿がはっきりと見え始める。
白い布一枚だけを身に纏う男──
「やだなぁ、もう来ちゃったんですか?先輩」
俺を守るようにしてギルニウスが女の前に立ち塞がっているのだった。
最近またバイオハザード6で飛び込みで他の人と協力プレイしてるんですけど、意外とまだまだ人がいて楽しめてます
外人さんが多くて、最近フレンド増えました
次回投稿は明日22時になります




