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二色眼の転生者《オッドアイズ・リ:ライフ》  作者: でってりゅー
第三章 ライゼヌスを覆う影
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第七十八話 深き海の都市

また一段と暑くなりましたね!

休みの日は家のクーラーつけるのもったいないなぁって思って、夕方までゲーセンとか図書館に入り浸ってます。


 ジェイクたちと共にインスマス教団員と司教たちを追いかける。

 相変わらず足元は水浸しだが、慣れると移動もそんなに苦ではなくなってくる。

 クラウラたちを閉じ込めていた部屋の隣──『信徒用儀式部屋』と記されていた大部屋へと俺たちはなだれ込んだ。

 儀式部屋は部屋の隅が溝となっており水が流れていたが、今は足元の水と混ざってしまっている。

 壁や天井には装飾品はなく、壁画が描かれているだけだ。

 その壁画は人と魚が描かれていて、巨大な魚とタコの様な生物を崇めている。

 そして部屋の中央には門の形をした何かの装置が置かれている。

 装置を前に信徒たちが集まり、司教が両手を掲げ装置を前に何か呪文を唱えている。

 まるでそれに呼応するかのように装置から音が聞こえ始め、門の開けた部分に大人程の大きさの白い光が現れユラユラと揺れている。


「そこまでだ!全員大人しくしろ!」


 怪しげな呪文を遮りジェイクが勧告する。

 司教たちはその不気味な面でゆっくりとこちらへ振り返る。

 何度見ても、あのインスマス面は見慣れない。

 直視する度に嫌悪感を抱く。


「しつこい人たちだ。我々にはもう、お前たちと敵対する意思は無いと言うのに」

「だからと言って、貴様たちを見逃す理由にはならない」


 もっともだ、とその場の誰もが思う。

 司教もその言葉には頷いて見せた。


「その通りだ。やはり、あなたは聞いていた通りの人だ」

「聞いた……?一体誰に?」

「自分の息子にでも聞くんだな」


 司教の指摘にジェイクは並んで立っていた俺を見る。

 首を振って俺じゃ無いとアピールすると、すぐにもう一人の息子のことを思い出す。


「まさか……ジルミールが……?」


 その疑問に司教は答えず指を鳴らす。

 音を合図に水中の中から俺たちを挟み込む形でディープ・ワンが前後から現れた。


「……またこいつらか!?」

「いい加減見飽きて来ましたよ!」


 ディープ・ワンの出現に誰もが顔を歪める。

 だが初見の時のように騒ぎ立てたり混乱する者はいない。

 襲いかかってくるディープ・ワンを相手にしていると、司教たちが光を放つ門の中へと消えてしまう。


「父さん!奴らが逃げます!」

「わかってる!だが……!」


 斬っても斬っても湧いてくるディープ・ワンのせいで先に進むことが困難だ。

 このまま奴らを逃せば、きっとまたいつか生贄となる子供を攫いに戻ってくるかもしれない。

 その時俺もジェイクもいるとは限らないのだ。

 ならば今ここで決着を付けるしかない!

 氷属性の魔法で高台を作りディープ・ワンたちの背後に着地する。

 追いかけてくるディープ・ワンを水魔法で押し返すと光の門へと走る。


「クロノス!?」

「俺が追いかけます!まだ余力が残ってますし!」


 起き上がるディープ・ワンを蹴り倒しながら答える。

 ジェイクは俺と背後で戦う団員たちを交互で見て思案する。

 歯痒そう顔をするとこちらに向き直り、


「信じてるぞ……!」


 ただ一言告げ、また起き上がってきたディープ・ワンを背後から斬る。

 俺のその一言に頷き、踵を返し装置へと向かい、ぼやけた輪郭で漂う光の中へと飛び込んだ。


✳︎


 光の中に飛び込んだ時、俺の視界に何かが見えた気がした。

 それは──短いようで、長いような時間の中を。

 それは──幸福なようで、絶望ような錯覚を。

 それは──クロノス・バルメルドであり、クロノス・バルメルドではないような幻覚を。

 まるで今俺がいる現実が夢であるかの如く、世界は形を変え、色を変え、目まぐるしく視界が切り替わり続ける。

 そして最後に光の中で見えたのは……俺を嘲笑うかのように微笑む、青い髪の女だった。


✳︎


「おぅえ、気持ち悪い……」


 光の中を抜けた時の第一声はこれである。

 我ながら情けないとは思うが、光の中で写真のフィルムに映された断続的で見知らぬ光景を一度に視覚したみたいな感覚だったのだ。

 あんなものを見せられて酔うなと言うのは無理がある。

 しかし吐く程ではなかったのが幸いだ。

 立ち上がり周りを見渡す。

 先程までインスマス教会の地下にいたのだが、今俺がいる場所は別の所のようだ。

 何故分かるのかと聞かれると天窓が見えるからだ。

 インスマス教会に天窓なんてなかった。

 加えてここが王都ライゼヌスではないのも一目でわかった。

 天窓から見えるのは真っ暗な青。

 右眼の能力を発動させてもう一度天窓に注視すると、何故真っ暗なのか理解できる。

 ここには月の光が届かないのだ。

 

「どこだよ……ここ……」


 天窓を見上げながら一人呟く。

 頭上の天窓で見た事のない魚の群れが泳いで通り過ぎた。

 俺は今……どこかの海底の建造物の中にいる。

 見渡す限り暗く深い青と地表が広がり、遥か遠くにポツンと建造物が見えた。

 どこか見覚えのある造形物だが、いつどこで見たのかを思い出せない。


「ようこそ、我らの海底都市へ」


 天窓を眺めていると背後から声が聞こえ振り返る。

 司教が巨大な像を背にしながら俺を歓迎してきた。

 像はインスマス教会の礼拝堂でも見たタコのような姿をした物と同じ奴だ。

 他のインスマス面の信徒たちの姿は無く、この広い空間に俺と司教の二人だけしかいないらしい。


「ここはどこだ?と聞きたそうだな。ここはインスマス村のすぐ近くの海《悪魔の暗礁》と貴様たちが呼ぶ場所、その遥か海の底。我らが故郷だ」

「故郷……?この海の底が?」


 インスマス村の人間はこんな海の底に住んでいるのか?


「この場所は都市から更に離れた私の個人部屋の様な物だ」

「こんなに大きな空間が個人部屋?贅沢だねぇ」

「本当はあの門を通り壊れた者を手駒として加える予定だったのだが……」


 司教が杖の先端で地面を叩く。

 コン、と乾いた音が響き渡り、俺が通ってきたあの光の門がその輝きを失ってしまう。

 教会に繋がる通路が閉じられた。

 つまり、俺はこの海底都市の一室に閉じ込められてしまったのだ!


「帰り道が……!」

「君のおかげで、我々の計画は大幅に狂ってしまった。しかし計画に変更はない。後は生贄の血を流すのみ」


 司教が再び杖で地面を叩く。

 すると壁に飾られていた剣や斧が宙を舞い、司教の元へと集う。


「人の子よ。貴様の血肉を贄とし、我らが神の覚醒とする!!」


 杖が掲げられ、宙を舞っていた武具が一斉に襲いかかってくる。

 俺は剣を構え、切りかかって来る武器の衝撃に備えた。

夏の深夜アニメ始まりましだが、みなさんはなにみてます?

僕はシンフォギアと異世界食堂、ナイツ&マジック見てます!

録画消化追いつかん!


次回投稿は来週日曜日の22時です!

そして16日、17日、18日は連続投稿をします!

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