第四十七話 ギルニウス教会本部
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日が西の空に沈み始め、空が暗くなり始めた頃。
俺たちはベルの最後の願いでギルニウス教会本部に来ていた。
ここは俺をこの世界に転生した神様『ギルニウス』の加護を受けた総本山である。
『異種族皆兄弟』とか『異種族は家族』とか『隣の知人は異種族でも愛しなさい』だとか、いろいろな教えを広め布教している。
この大陸に住む人種のほとんどがギルニウス教を信仰している。
レイやニールのような昔ながらの風習を重んじる一族はその内に限らないが。
種族問わずに入信を歓迎しているのもあるが、教えの内容も亜種族を否定せず積極的に受け入れているのも人気の理由だそうだ。
教えの中に『他教と考えの違いで争うことなかれ』も言う項目があるのだが、やはり他にも神様がいて天界にも上下関係とかあるのだろうかと考えてしまう。
もう時刻は夕方を過ぎていると言うのに、教会内には人が多くいる。
熱心にお祈りしている者、懺悔室に並ぶ者、シスターと会話する者。
さすがに大陸の首都、それも総本山ともあれば夕方だろうと人が多く出入りするものなんだな。
全員で奥に進み最前列の長椅子に座る。
すると俺たちの前に神父がやってくる。
「ようこそギルニウス教本部へ。本日はお祈りですか?」
「はい。ギルニウス様に今日と言う日に素晴らしい出会いをもたらしてくれた感謝を」
「では、私と共に祈りましょう」
神父が胸の前で手を組むのを見て俺たちも胸の前て手を組む。
目を閉じて祈りの姿勢に入り、
「それでは……僕の後に復唱して下さい。ギルニウス様、今日も素晴らしき一日をありがとうございます」
「「「ギルニウス様、今日も素晴らしき一日をありがとうございます」」」
「神あざーす」
真剣に祈りを捧げる三人の声に合わせて小さく呟き感謝する。
誰にも聞こえてないからセーフセーフ。
「ギルニウス様、お導きありがとうございました」
真剣に祈りを捧げている中、隣に座っていたベルが呟きが聞こえる。
その言葉の意味がなんなのか考えいると、突然祈りを捧げていたはずの神父が俺の肩を掴む。
「白髪のあなたァ!」
「え、俺!?」
「ダメですよボーッとしちゃ!ちゃんと祈りを捧げなければ!」
「いや捧げてましたよ」
「もっと!もっと感謝を込めてェェェェ!さぁ、僕と一緒にギルニウス様に祈りを捧げましょう!」
「ちょ、顔近い顔近い!」
「君の為!君の為に言ってるんだよォォォォ!!」
「うるせェェェェ!!」
ヒートアップした神父に迫られちょっといざこざが起きたが、無事ベルの最後の願いであるギルニウス教会への訪問も終わった。
教会の外に出ると我が家のメイドさんとベルを探していた鎧の集団が立派な装飾の施された馬車を連れて待っていた。
「お嬢様、そろそろ帰りましょう。これ以上は──」
「そうですね。お父様に怒られてしまいますものね」
あの短足男に連れられベルは馬車に乗り込む。
それをただ黙って見ていると、馬車の扉が閉まる前にベルがこちらを向いた。
「バルメルド家の皆様、本日は楽しい時間をありがとうございました」
「私たちも楽しかったわ。ありがとうベルちゃん」
「もう抜け出したりしないで下さいね」
ジェイクの言葉にベルは苦笑いする。
最後に俺へと視線を向けると小さく笑みを浮かべる。
「クロノス君。今日は私の遊びに付き合ってくれて、本当にありがとうございました。あんなに誰かと楽しく遊ぶのは初めてでしたので、とても嬉しかったです」
「いいっていいって、俺もこの街の楽しいところを知れて大助かりだったよ」
「また……一緒に遊んでくれますか?」
「おうとも。何ならいつでも俺のことを遊びに誘いに来い。いつでも相手してやるぜ」
「はい、必ず!」
最後に笑顔を見せると扉が閉じ、ベルを乗せた馬車がゆっくりと走り去っていく。
俺たちは馬車が見えなくなるまで見送り、曲がり角で馬車の姿が消えると身体を伸ばす。
「いやー、変わった子でしたね」
「そうね。可愛い子だったわね」
「……それには同意します。確かに可愛かったです」
「だからって手を出しちゃダメよ〜?」
「ハハハ、嫌だなぁお義母さん。俺にそんな趣味はありませんよ」
いくら童貞を卒業するのが夢とは言え、あんな年端もいかぬ少女に手を出したりなんてしない。
そもそも欲情だってしていない。
俺はロリコンではないのだ。
「クロノス。ちゃんと責任は取るんだぞ」
「だからしませんって!そんなに俺って信用ありません?」
険しい顔つきのジェイクに俺がノーマルであることを主張する。
俺ってそんなに女の子に対して手が早そうに見るか?
「それでは皆様、屋敷にお戻りになりますか?」
「そうだな。そろそろ夕飯の時間だろう。クロノスももう満足だろう?」
「そうですね。これだけ遊べば満ぞ──」
そこまで答えて言葉に詰まる。
確かに街探索と遊びに関しては大満足だが、俺もギルニウス教会に用事があったんだった。
「あー、すいません。もう少しだけ時間をもらっていいですか?」
「あらクロちゃん。まだ遊び足りないの?」
「いえ、教会に戻って先程の神父様とお話ししたいことが」
「あらあら、何か神父様に相談かしら?」
「まぁそんなとこです。すぐ済みますので待っててください」
踵を返し教会へと戻る。
さっきの祈りを捧げる時に俺たちの前に立っていた神父の姿を探す。
「……いないなぁ、どこ行ったんだ?」
教会内には姿が見当たらない。
もしかして教会の奥へと引っ込んでしまったのだろうか?
近くにいたシスターに声をかけて聞くことにする。
「すいません。さっきヒートアップして怒られてた神父さんどこにいますか?」
「あら、あなたは……先程の神父様でしたら、あちらの懺悔室にいらっしゃいますよ」
シスターが示す先にはつい数十分前まで列が出来ていた懺悔室だ。
でも今は列どころか誰も懺悔室の周りにはいない。
俺はシスターに礼を言うと懺悔室の前に立ち、三回ノックしてから懺悔室の扉を開ける。
懺悔室の中は薄暗く、神父と懺悔する者の顔が見えないようにカーテンで仕切られている。
椅子に座ると仕切られたカーテンに人影が映り、神父の声が聞こえてきた。
「よく来ましたね、迷える子羊よ。愛の懺悔室へようこそ。懺悔したいことがあれば告白なさい。神はその言葉と行為を許すことでしょう」
「マジすか。じゃあ一つ懺悔させてください」
「いいですよ!さぁ、どんな懺悔ですか?幼いエルフに欲情してしまったことですか?乙女の心を持つ男友達に劣情を抱いてしまったことですか?今日出会ったばかりのアラウネの少女にムラムラしてしまったことですか?」
「テメェの眉間に石をぶつけることだよ!土よ!」
カーテン越しに人影の頭を狙って魔法で粒てを生成し放つ。
粒てはカーテンを突き破り神父の眉間に直撃した。
カーテン越しに「いっだぁぁぁぁ!」と悲痛な声が聞こえ、カーテンを開けて神父が乗り出してきた。
「いきなり何をするんだいこの罰当たりめ!」
「さっきのお礼だよコノヤロー。演じるんだったら最後までちゃんと演じろよ。途中から素がダダ漏れだったじゃねーか」
どうやら今回神様は神父の体を借りて現世に降臨されたらしい。
さっきの仕返しはちゃんと果たせたのでちょっと満足だ。
神様は借り物の体を労わるように傷を撫でると、ゴホンと咳払いして両腕を広げて見せる。
「では改めて……ようこそ相棒!僕の加護を受けたギルニウス教会へ!」
もうそろそろ三章の中盤となります
ようやく話動きます
次回投稿予定はいつも通り週末の21時です




