表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
204/253

第二百二話 未来旅行の終点?

今回で第四章最終回です!

アー ドンナ ラスト ナノカナー!


「どうもー」

「ルディヴァ……様」


 難民キャンプにレイリスたちと戻ってきたのだが、ギルニウスに誘われ現世に来たルディヴァと対面する。

 人気のない森の中、笑顔を見せるルディヴァ──思わず身構え警戒してしまう。

 するとそんな俺を見て、ルディヴァはケラケラと笑ってみせた。


「そんなに警戒しなくても何もしませんよ〜。今日はあなたにとって、とぉっても嬉しい話をしに来たんですよ〜」

「嬉しい話?」

「そうですよ?ほらほら、早く先輩もこちらへどうぞどうぞ」


 やたらとご機嫌のルディヴァが……ぶっちゃけ怖い。

 肩に乗っているギルニウスと顔を合わせ、警戒しつつルディヴァに近づく。


「それで……何ですか、嬉しい話というのは?」

「んふふ……私の時間の記録をするお仕事が終わったので、もうあなたは元の時代に帰っても大丈夫でーす」

「…………………………はいぃ!?」


 え、帰っていい!?

 元の時代に帰っていいってなに、どういうこと!?

 ルディヴァの発言の意味が分からず大混乱する。

 今までずっと未来に俺を飛ばして、俺が苦しみもがく姿を見て楽しんできた悪趣味な女神が、突然優しくなった!?

 な、何か裏があるんじゃないだろうな……


「あはっ、その顔は信用してませんね?」

「そりゃそうだよルディヴァ、相棒も僕も完全に混乱してるよ!?僕にもわかるように説明して!なんで急に!?」

「時の女神の仕事は時間の監視と記録だというのは覚えてますか?」

「お、おぼろげですけど……」


 その話は元の時代で襲われた時、ギルニウスに教えられた気がする。

 ルディヴァが俺の存在を認めないのも、元々あった歴史にクロノス・バルメルドという異物をギルニウスが勝手に存在させて、歴史を狂わせたのが事の発端だった。


「勝手に歴史を変える存在である俺を誕生させた。だからルディヴァ様は俺を消そうとしたけど、ギルニウスに邪魔されたから、魔王が復活している時代に飛ばして、存在を認めるか否かを見定めようとして」

「え?別にあなたの存在を認める認めないは関係ありませんよ?私はただ、異物が紛れ込んで変化した歴史を記録し直す間、暇潰しの観察対象と先輩が慌てふためく様子を見たかったから、あなたを未来に飛ばしただけです」

「「はああああああ!?」」

「え、じゃあなに!?ルディヴァが相棒をこの時代に寄越したのって、クロノス・バルメルドが死んでると思ったら、封印が解けて目の前に再び現れた時の混乱する僕を見る為!?」

「はい。あ、過去の先輩も一緒に見てたんですよ?過去の先輩もあなたに何かある度に叫んだり驚いたりしてて、すっごく面白かったです」

「待って待って!じゃあ、俺が未来に来てから最初に魔王に会って殺されそうになったのも!?」

「はい。あの場所に落とせば魔王と鉢合わせになるってわかってました」

「あ゛あ゛あ゛あ゛!!ですよね!!」


 やっぱり最初からルディヴァは、未来を視た(・・)上で俺をこの時代に連れてきていたんだ!

 俺が魔王に会って殺されかけるのも、もう一つの魂の封印が解けるのもわかってて!

 その上で俺を観察していたんだ!


「あ、もちろん魔王に殺されかけてから先は視てませんよ?楽しみが減るんで、要所要所は未来を視ないようにしながら観察してました。前にも言いましたけど、あなたは高確率で死にます。実は最初に魔王に襲われた段階で、ティアーヌがあなたに気付かずそのまま野垂れ死ぬ未来もありましたから」


 え……俺、あそこでティアーヌに拾われなかったから死んでたのか。

 これからはもっとティアーヌに感謝しながら生きよう。


「で、そんなあなたを観察しながら、あなたが介入して変化した歴史を記録する作業をずっと平行して進めていたんです。それがようやく終わったので、元の時代に戻ってもいいと伝えに地上まで降りてきたのです」

「俺の人生は仕事の片手間にながら見する作業用映像か!?つか、俺が勝手に転生して仕事増えたから俺を消そうとしてたのに、あんた俺を未来に飛ばして自分から仕事増やしてるじゃねーか!」

「私が歴史を弄るのはいいんですよ。だって私時の女神ですもの。誰も私を裁けませんよ。私が歴史のルールブックです」

「もうやだこの世界の神様!!自分勝手な奴が二人もいるじゃねぇか!!」

「いや、他の神も基本こんなんだよ相棒……」


 そういや他にも神様はいるって言ってたな。

 全員自分勝手とか他の世界に転生したくなりますよ……


「それに仕事増えたと言っても、あなたはこの時代に来たら九分九厘死ぬから、記録する歴史なんて対してありませでしたよ」

「笑顔で言わないで下さい!涙出るから!」


前にも聞いたけど、あなた高確率で死にますよとか面と向かって言われたくないわ!

 傷つくよ!!


「はぁ……とにかく!俺、元の時代に帰してもらえるんですよね?」

「ええ。ただし条件があります」

「条件?変なのじゃないですよね……?」

「大丈夫ですよ〜。別に下僕になれとか、そういう類のではないですから。ただ、あなたには私が人手が必要な時に仕事を手伝って欲しいんですよ。呼び出す時絶対に断らずに働くのなら、今後一切あなたを抹消しないと約束しましょう」


 つまり必要な時に手足となって働けってことか。

 何をやらされるかは知らないけど、まぁそれくらいなら──


「待つんだ相棒!よく考えてみるだ、ルディヴァの手伝いをさせられるってことは、絶対面倒ごとを押し付けられるってことだ。それにそんな約束だって、ちゃんと守るかどうか……」

「わかりました。約束します」

「相棒おおおお!?なんでそんな安請け合いしちゃうの!?」

「俺はあんたの言葉よりルディヴァ様の言葉の方が信用できると思ってる。少なくともこの人は、こちらが約束を反故にしなければ守ってくれる人だ」

「根拠は!?」

「ルディヴァ様、俺のことどう思ってる?」

「勝手にこの世界に転生して歴史に介入したせいで私の仕事を増やした張本人で、本当なら真っ先に歴史から抹消したいですけど、私の手足となって働いてくれるならまぁ生きることも許してあげましょう。くらいの印象ですね〜」

「こういう方が逆に信用できる」


 おそらくルディヴァは、自分を楽しませるか利益になる人物は消さずにいるタイプなんだろう。

 なら俺がルディヴァの役に立つ間は消されたりはしない……はず。

 少なくとも、ルディヴァは嘘偽りなく毒づいてくる性格だから信用はできるのは間違いない。

 だからってルディヴァのことを好きになれるかと聞かれると首を縦には振れないけども。


「なるほど、つまり僕もそういう態度を取れば君は、もう一度僕を信仰してくれるってことか!」

「いや、そうはならねぇよ」

 

 取り返しのつかない関係性まで至ったから、俺がギルニウスをもう一度信仰することはない。

 否定するとギルニウスが「うぇ〜!?」と変な声を上げるが無視する。

 ギルニウスに対してか、それとも俺たち二人のやり取りを見てかルディヴァは笑う。

 そして杖を振るうと、何もない場所から光の柱が現れた。

 俺を未来に飛ばしたのと同じものに見える。


「この光に入れば、あなたを十年前に戻せます。ちょうど、私と出会う直前の時間に」

「あぁ、ようやくか……」


 ようやく、ようやく……元の時代に帰れる。

 この時代では色々あった。

 本当に何度も死ぬかと思った。

 でも、この時代で経験したことはきっと過去に戻っても忘れない。

 忘れてはならない。

 きっとそれが俺を力になる。


 光の柱に歩み寄り、クロノスは入る直前に振り返る。

 さよなら未来!

 俺は絶対ここでのこと忘れないよ!

 バンザーイ!バンザーイ!


 クロノス・バルメルド 未来編 完



 

───────────────────

あとがき




祝! 未来編完結!


ついにクロノス・バルメルド 未来編が終わりました!

いやー長く苦しい戦いでしたね!

でも、未来で経験したことはきっとクロノスの中で生きて活かされることでしょう!

そしていつか、もう一度相棒がギルニウス教を信仰してくれると信じています!


過去に戻ったクロノスがどうやって未来を生きるのか?

是非次回から楽しみにしていてください!



次回から新シリーズ ドキドキ学園ハーレム編が始まります!

そして外伝として、ギルニウス 偉大なる神の軌跡 も始まるよ!

みんな、楽しみに待っててね!!




───────────────────




「って、なる訳ねぇだろうが!!勝手に人の頭にモノローグねじ込むんじゃねぇ!!」


 頭の中に勝手に言葉を送り込んでくるギルニウスを手で掴み握りつぶそうとする。

 まだ何も終わってないし、何にも始まんないよ!?


「ぐええええ!!すいませんごめんさない!!なんか、このまま綺麗に終わりそうな流れだったからつい……!」 

「どこがだ!?俺の問題がひと段落しただけで、このまま過去に帰ったら他の問題放置したままじゃないかよ!!」


 握り潰そうとしていたギルニウスを手放し、ルディヴァに向き直る。


「ルディヴァ様、俺がこのまま元の時代に戻ってもし死ななかったら、この時代はどうなるんだ?」

「どうもなりませんよ?ここは並行世界(パラレルワールド)ですから、このままですよ」

「ゲホッ、オエップ!つ、つまりね相棒?未来(こっち)はこっち、過去(あっち)はあっちで別々の時間が流れるわけでね?」

「じゃあ、俺が過去でみんなに魔王が復活する未来を話しても何も変わらないのか!?」

「ええ。この時間はいくつも分岐してできた未来、つまり木の枝と同じで別れた枝先みたいなものなのです。あなたが過去に戻って何をどうしようと、この未来は何も変わらないし魔王の復活を止めることはできない。

 だってそうですよね、あなたは勇者でも特別でもなんでもない。ただの人間。そんな人間が並行世界の歴史を変えることなんてできませんから。そもそも、そんなことしたら私が抹消します」


 甘くみてた……俺が過去に戻って、誰かに未来の話をして魔王の復活を阻止できれば、未来は変わると思っていたのに。

 俺が過去に戻って死ななかったとしても、未来には何の変化も訪れない。

 このまま今と変わらず、空は暗雲に包まれたままで、人々は魔王の脅威に怯えながら暮らす世界のままだなんて……


「ちなみに、俺が帰った後、この時代はどうなるんですか……?」

「それはもちろん、勇者を迎え入れた彼らは王都奪還を企てるでしょう。それが何年かかって、どれだけの犠牲が出て、勇者と巫女が五体満足でいられるかどうかは──秘密です。あ、でも先輩は無事では済まないので安心してくださいね!」

「それのどこに僕が安心できる要素があるの!?え、というかこの後僕の身に何か起こるの!?」

「あれは……不幸な事故だから仕方ないですよ」

「やめて!まだ起きてもいないのに慰めるのやめて!!


 不安を煽って楽しむルディヴァにギルニウスが青ざめながら叫ぶ。

 俺がこのまま元の時代に帰れば、俺は昔と同じ平穏な日常に戻れる。

 レイリスやフロウと、ジェイクやユリーネと元の生活を続けられる。

 だけど、未来のレイリスたちやこの時代で出会った影山とティアーヌは……


「ルディヴァ様。時間旅行はキャンセルします」

「「キャンセル?」」

「俺は……この時代に残ります」

ハイ、というわけで終わる終わる詐欺でした!w

まぁここまでやって放り投げたら未来編やっている意味がないのでまだまだ続きます!

と言っても、ストック分では既に魔王戦の決着つく直前まで来てるのでダラダラ続くって訳ではないですので!


次回は明日20時からです!


P.S.

もうちょっとギルニウスの嘘あとがきを本物っぽく上手く使いたかったけど無理でしたorz

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ