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第百九十三話 第二の試練

最近花粉が酷くて鼻がぐずぐずですよ……

この時期は毎年辛いです


 一つ目の試練の部屋から通路へと出て歩き続けた俺とフェリュム=ゲーデ。

 通路が終わるのとまた別の部屋へと出てきた。

 しかしこの部屋は先程の部屋とは全く違う。

 全て大理石で出来た部屋だったのだ。

 何も置物がない殺風景な四角形の部屋には、入ってきた通路を含め四つの出入り口。

 正面、右、左、後ろに全て同じ形の門が設置されており、それぞれが構造が同じ部屋が続いているのが見える。

 そこに終わりはない、どこまでもどこまでも、次の次も、その次の次の次も、同じ構造の部屋が延々と続いていたのだ。

 終わりの見えない無限に続く大理石の部屋……ここが二つ目の試練と見て間違いなさそうだ。


「部屋だな。見渡す限り」

「一体どこまで続いてるんだよこれ……終わりあるのか?」


 もうマナが残っていないので眼の能力の発動を渋り、裸眼で見通そうとするが行き止まりが見えない。

 まるで二つの鏡を鏡合わせした時の光景と同じだと考え至る。

 まさか出口に出るまで、ひたすらこの部屋を移動し続けるんじゃないだろうな?


「ギルニウス、この部屋は?」

 「あー……いや、えっとね?この部屋はー……」

「もういい。その反応でだいたいわかった」


 どうやら責任者はこの部屋のことも覚えていないらしい。

 となると、進むしかないか。

 一応背後には部屋に入る為に通ってきた通路がまだあるが、ずっと一本道だったから他の道もないだろう。

 ならば進むしかない、この正体不明の部屋を。

 フェリュム=ゲーデと頷き部屋を進み、とにかく移動することに。

 すると、正面と左右の門の前に何もない空間からあのスケルトンが一体ずつ現れた!

 前回の部屋と同じくらい錆びた剣や槍等をそれぞれ手にしている。

 同じ敵が出現したのを見てフェリュム=ゲーデが肩を竦めた。


「やれやれ、また偽のスケルトンか」

「あ、思い出した!この部屋はスケルト

「どうせここも無限湧きだろ?他には?」

「一部屋につき三体出てくる!」

「なるほど?それは有益な情報だな」


 薄ら笑いしながら皮肉を効かせる。

 つまり無視して部屋を移動しても、倒してから部屋を移動しても出口を見つけるのには関係ないと言うことだ。

 だったら、


「どうするクロノス?」

「無視して移動」

「我も同意見だ。だがどの部屋に行く?」

「とりあえず真っ直ぐ突っ走る!」

「よかろう!!」


 方針が決まれば行動も早い。

 同時に走り出すと正面の門前に立つスケルトンを盾で殴り飛ばし、門を潜り一つ部屋を進む。

 新たな部屋に入ったことでまた三体スケルトンが湧いて出てくるが、それも正面の一体だけを倒し次の部屋へ。

 背後から無視した四体のスケルトンが追いかけてくるが、構わず走り続けて三つ目の部屋へと入り込む。

 三度みたび出現する三体のスケルトンの一体だけを倒して更に先へ。


「よし、これで四つ目の部屋──」

「ッ!止まれ!!」


 門を潜り四つ目の部屋に足を踏み入れようとした瞬間、フェリュム=ゲーデに腕で制止される。

 驚きつんのめりながら何とかその場で止まった。

 すると突然、俺たちが入ろうとしていた四つ目の部屋の床が抜け落ちた!

 まるでパズルのピースのように床が崩れ、一切の足場が無くなる。

 残ったのは奈落に続く穴だけだ。


「あっぶな!」

「どういうことだ……?床が崩れた?」

「うわっ!相棒後ろ!」


 入ろうとした部屋の床が落ちてできた奈落を見下ろしていると、無視してきた六体のスケルトンが追いついてきた。

 振り下ろされた剣を盾で受け止める。

 するとスケルトンの持っていた錆びた剣は折れて後方に吹き飛んだ。

 ラッキー!と思い俺は右手に持っていた錆びた剣でスケルトンを斬りつけ、バラバラに破壊する。

 しかし今度は俺の錆びた剣が折れてしまった!


「うわっ、もう折れた!?まだ三回しか使ってないのに!?」

「ちょ、相棒前!次が来てる来てる!」


 あっさりと折れてしまった剣の断面を見て驚いている間にも、二体目のスケルトンは迫ってくる。

 耐久の脆さを嘆きながらも「こんにゃろ!」と自棄気味に剣を投げつけ、二体目のスケルトンにぶつけて倒す。

 武器を無くしたので仕方なしに三体目は盾で殴り飛ばした。

 残りの三体はフェリュム=ゲーデが処理をしてくれていた。

 スケルトンの脅威が無くなり一息つく。

 やはりスケルトンたちが使っていた錆びた武器は壊れすいな。

 ふとした拍子に壊れるから心臓に悪い。


「だが、これはどういうことだ?部屋の床が崩れるとは……てっきりこれは、出口を探す為に部屋を走り回る試練だと思っていたのだが」

「ギルニウスー?」

「いや、ちょっとわかんないです」


 床が無くなり奈落の穴だけが広がる部屋をもう一度見る。

 足の踏み場は一切なく、もうその部屋を進むことは不可能となった。

 穴を覗き込んでも底が見えず、落ちたら二度と戻ってこれなそうだ。


「たまたま、この部屋だけ床が落ちる仕掛けだったのだろうか?」

「なら、他の部屋にも罠があるってことか?」

「そう考えるのが自然であろう。……隣の部屋に移動してみぬか?罠に気をつけてな」


 フェリュム=ゲーデの提案に頷き、今度は右隣の部屋へと移動してみる。

 しかし部屋の床は抜けず、またスケルトンが三体出てくるだけだった。

 何の罠も無かったのでスケルトンを倒し、そのまま真っ直ぐ進む。

 次も、その次の部屋にも進んでみるがスケルトンが三体出てくるだけだった。

 とりあえず倒してから部屋の安全を確保し、二人して腕を組む。


「何も起きないな……」

「ふーむ?」


 スケルトンが沸いてくるだけで先程と変わらない。

 唸りながらフェリュム=ゲーデは四つ目の部屋に移動しようとすると、再び目の前で床が崩れ落ちて大きな穴が広がるのだった。


「……一体どういうことなのだこれは!?まるで意味が分からんぞ!?」

「部屋の床が抜けるのも試練内容の一つってことなんじゃないのか?この謎を解かないとここから出られない、とか」


 確証はないが、床が抜ける仕掛けが無意味に作動しているとは考えづらい。

 これには何かしらの意味があるのと考えるのが自然だ。

 だからと言って、全く何も分からないが。

 するといきなり、耳元でギルニウス「そうか、わかった!」と手を打つ。


「きっとこの穴の底が正解なんだよ!つまり、この穴から落ちて底に着けば試練終了さ!」

「アーナルホドービックリダー、ソイツハキヅカナカッタゼー。よし、じゃあまずあんたを穴に落として無事が確認できたら俺たちも降りよう」

「え、嘘でしょ!?嘘だよね!?」


 ギルニウスの仮説を証明すべく本人に実践してもらおう。

 フェレットの身体を括っていた紐を左手の人差し指と親指で摘み、穴の上にぶら下げる。

 穴の上に持っていかれ、ギルニウスは喚き大暴れし始めた。


「待ってぇぇぇぇ!洒落にならないってそれ!!ジョークだからジョーク!ゴッドジョーク!!ホントマジでやめて!!」

「わかってるのか?支えているの左手だ。利き手じゃないんだぜ!?」

「すいませんごめんなさい!適当言いました!許してください!お願いやめてぇぇぇぇ!!」

「まぁ落ち着けクロノス」


 マジでこのまま落としてやろうか、このフェレット。

 適当な発言をするギルニウスに怒りを覚えぶら下げ続けるが、フェリュム=ゲーデが止めに入る。


「気持ちは分かるがここを出てからでもよかろう。煮るなり焼くなり、その後の処遇は脱出してから決めればいい」

「悪魔か君は!?」

「……?悪魔だが……?」


 ギルニウスのボケを理解できておらず、心底不思議そうにフェリュム=ゲーデが首を傾げる。

 俺とて本当に落とす訳ではないのでギルニウスを引き戻し紐を腰ベルトに結び直した。


「まぁ、本気九割冗談一割として」

「え、待って、九割本気だったの?」

「やっぱり謎解きだな。特定の条件を満たせば試練クリアとなるなら、まず何をすればいいか考えないと」


 呟きを無視して試練攻略の為に何をすればいいか頭を悩ませる。

 こういうのは大体部屋にヒントがあるのが恒例だが、大理石の部屋にはそれらしい物は見当たらない。

 あるのは隣接する部屋に通じる門ぐらいで、これも何か文字が彫ってあったりする訳でもない。

 部屋の中にヒントがあるという線は薄そうだ。

 となれば、特定の行動──つまり、部屋を移動する順番が関係しているのでは?


「フェリュム=ゲーデ。ちょっとやってみたいことがあるんだが、出てきたスケルトンは倒さずに攻撃をいなすだけに留めておいてくれないか?」

「構わぬが、どうするのだ?」

「まずは部屋の移動の仕方を変えてみよう。特定の順序で部屋を移動してみる」

「ふむ。では任せよう」


 と言うわけで俺が先導で移動することに。

 ギルニウスにどっちが北か確認してから、北に二部屋移動。

 湧いたスケルトンを無視し今度は南に二部屋戻り、左隣の部屋に移ると右隣、つまりまた元の部屋に戻る。

 もう一度左隣の部屋に入ってから、最後に元の部屋(右隣)に入り直して移動はお終いだ。

 後は湧いて出てきたスケルトンを倒すだけ。

 一度通った部屋のスケルトンは、倒していなければ追加で湧くことはないようで、思ったほどの数はいない。

 出現回数は四回なので合計十二体のスケルトンがいる。

 それを回し蹴り、続けて剣の一振りでまとめて一掃する。

 さて、これでやることは全部終わったのだが……どうだろう?


「……何も起きんな」

「うんともすんともしない。おっかしいなぁ、自信あったんだけど」

 「それで、先程の行動にはどのような理由があったのだ?同じ部屋を行ったり来たりしていたが?」

「いやぁ、世の中には上上下下左右左右BAって行動をすると良いことが起きるんだけど……」

「それゲームの隠しコマンドでしょうが!!そんなんで試練クリアできる訳ないでしょ!!」


 フェリュム=ゲーデに内容を説明してたら大声でギルニウスに否定されてしまった。

 いい線行ってるとは思ったんだがなぁ。

 ちなみにBは弱攻撃扱いで蹴り、Aは強攻撃を剣で表現してみた。


「じゃあ、次はギルニウスを生贄にして左右ABでやってみるか」

「だからそれじゃあクリアにはならないって!」

「でも、あんたも試練作るのに多少関わってはいたんだろ?何かしらの仕掛けは起動すると思わないか?」

「うーん、どうしよう僕ちょっと否定できない!!」


 頭を抱えて葛藤するギルニウス。

 しかし、今ので何の仕掛けも起動しないのならやる意味はないのかもしれない。

 俺たちのやり取りを聞いていたフェリュム=ゲーデは不可解だと言わんばかりに眉をしかめている。


「よく分からんが、そのこまんどにゅうりょく?とやらではクリアにはならないと言うことでいいのか?」

「まぁ、そうなる」

「では、次は我が考えた案を試しても良いだろうか?」

「わかった。従うよ」


 俺の案は失敗し、今度はフェリュム=ゲーデの案を実行することになる。

 果たして……今度はそれで試練クリアになるのだろうか?

ひさびさにスパロボやりたいなぁって思って、シリーズが続いてる4作目を買ったのですが、1と2はやったけど外伝と3をやってないせいで、知らない用語のオンパレードでしたw

とりあえず解説読んでフィーリングで楽しくやってますw


次回投稿は来週日曜日22時からです!

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