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第百七十八話 勇者を追いかけて

今日はあとがきにクロノスの装備を載せてます!

四章始まってから色々増えてるし、再確認も含めて


「勇者が火山へ向かった!?それも一人で!?」


フロウから聞いた話をティアーヌ、影山、ベルの三人にも伝える。

その中でも一番驚いたのはティアーヌだった。

影山は腕を組み黙って話を聞き、ベルは不安そうに手を握りしめている。


「クロノス君と二人で、フェレットを肩に乗せた人物について聞いてきたんですが……背格好からしておそらくレイリスかと」

「でもレイリスさんは、どうして噴火活動中の火山に?」

「わからないんです、ベル様。あの子かどうやってイトナ村に来てたのかも、何故噴火直後に山へ向かったのかも」

「まぁ、だいたいの予測はつくけども」


馬車で移動してた俺たちよりもレイリスの方が村に着くのが早かった。

そのカラクリは分からないが、山へ向かったのは間違いなくギルニウスの差し金だろう。


「それで?坊主と狩人はどうするつもりなんだ?」

「もちろん追いかけます!妹を連れ戻さないと!」

「俺もニール兄さんについていきます。レイリスのことが心配だし……なにより、もう一人会わなきゃいけないヤツがいますから」


ギルニウスがレイリスの傍にいる限り、必ず何かをやらされる。

俺のようにヤツがレイリスのことを都合のいい駒だと考えているのなら、早く引き離す必要がある。

それに俺に封印されてた魂についても問い質さないと!


「貴方たちが行くのなら私も行くわ。勇者に会うのが私の元々の目的だしね」

「ありがとうございます。ティアーヌさん」

「あ、あの!だったら私も……!」

「いや、ベルは駄目だろ!?火山に行くんだぞ!?」


自分もと名乗りを上げたベルの志願を却下する。

ベルはアラウネのハーフ──つまり半分は人間で半分は植物だ。

そんな彼女を溶岩に満ちた場所へ連れて行くなんてとんでもない!


「巫女様、貴女の頭に咲く花は貴女の命そのもの。もしそれが燃えてしまえば、貴女は死んでしまうんです。どうかここは、ニケロ村長たちと共に難民キャンプへと行ってください。勇者レイリスは私たちが必ず連れて行きますから」

「でも……すみません。我儘を言って」


ティアーヌに諭され謝るベル。

しかし、ベルがワガママを言うだなんて珍しい。

そこまでして勇者に会いたかったのだろうか?


「影山さん。影山さんは……」

「わかっている。俺は巫女を連れて、村長たちと一度キャンプへ向かう。この村の護衛のほとんどは負傷兵だ、俺と巫女の護衛が参加しなければ、また翼竜の群れに襲われた時に対処できないからな」


そうなると今回は、俺とティアーヌ、ニールの三人での行動になるのか。

前衛俺一人になっちゃうけど、大丈夫かな……

メンバーバランスを考えて一抹の不安を抱くと「坊主、これを持っていけ」と魔石を差し出される。

青と白、水属性と氷属性二重類の魔石だ。


「火山に生息する魔物は炎を纏ったものや、火を噴くのがいる。お前が持っておいた方がいいだろう」

「ありがとうございます。じゃあ、俺からは火の魔石を」


影山とお互いの魔石を交換しておく。

火属性の魔石二つを渡し、こちらは水の魔石を三つ、氷の魔石を二つ受け取る。

これで火属性と雷属性、土属性三つの属性魔石が全て無くなってしまった。

だが代わりに水属性が五つ、氷属性が九つに増えた。

火山に行くのなら火属性の魔石はいらないだろうし、火を消せる水属性の魔石が多いのは嬉しい。


「クロくん!避難準備が終わったわ!」

「わかった。キャンプ地までは影山さんとベルたちが同行してくれる」

「え……クロくんたちは?」

「俺とニール兄さん、ティアーヌさんは火山に向かったって人物を追いかける。連れ戻さないとな」

「……そういうとは思ってたわ。知ってる人なのね、その人は」

「まぁ、な」


知ってるというか、それがレイリスなんだから追いかけるんだけど。

なんて言えばフロウも絶対ついて来ようとするからぐっと堪える。

フロウにはやるべきことがある。

ニールの言っていたように、それに集中してもらいたい。

俺の返答に予想通りだとフロウは小さく笑うと、両手に持っていた布を広げる。

中に包まれていたのは、俺がフロウに預けていた透明マントだった。


「これ、返すわね。ちゃん修繕し終えてあるわ」

「サンキューフロウ!助かるよ!」


そういや、フロウに修繕を頼んで預けていたのすっかり忘れてた!

手にとって広げてみると、虫に喰われ穴が開いていた部分がしっかりと塞がれていた。

俺が適当に縫い直した箇所も無く、手に入れた頃と同じ白いマントに元通りになっている。


「それとこれも、火山の途中で使ってね」

「瓶?中身はなんだ?」

「火山を歩く時に役立つ物。それじゃあ、気をつけてね」

「ああ、フロウもな。影山さん、ベル。フロウのことをよろしくお願いします」


影山とベルは頷いて応えてくれる。

三人が馬車に乗り込むと、ヨハナたちが馬車を引きずり村を脱出する。

その後ろ姿を見送ると、俺は透明マントを羽織り、フロウから貰った白い液体の瓶を仕舞うと火山へと振り返る。


「それじゃあ、行きましょう。二人とも」

「ああ。いつでも」

「こっちもよ」


夜空を未だに赤々と照らす火山。

そこにレイリスはいる。

会えばまた襲われるかもしれない。

だとしても、俺はもう一度レイリスに会わなければならない。

会って確かめないと、ギルニウスがレイリスに何をさせようとしているのかを。



✳︎



「って、意気込んでたけどきっつ!!山道キッツ!!」


イトナ村を出て火山へと向っていたのだが……思ったより山道が険しい!!

人の手が加えられていない、自然が生み出した道は、まるで人が足を踏み入れるのを拒むような造りとなっている。

高低差の激しい岩山、でこぼこして歩きづらい地面、迂回しなければ通れない崖──天然の道が俺たちの行く手を阻み、思うように進めない上に体力を奪われてしまう。


「ハァ、ハァ、こういう時に魔法を気兼ねなく使えれば……風魔法で飛んで行くのだけれど、ね!魔法使いには、少し辛いわ!」

「いや、これは狩りで歩き慣れてる俺も辛いです、よっと!そこの足場悪いから気をつけて下さい」


辛いとか言いながら俺たちよりも先を行くニール。

どこの足場が安定してるか、先に魔物はいないかを確認して俺たちに教えてくれている。

しかし、なぜあんなに軽々と移動できるのだろう。

実はエルフは山登り得意とか?


「ほら、クロノス君」

「あ、ありがとうございま、す!っと!」


段差の高い岩を登る為、ニールの手を掴み引き上げてもらう。

今度は俺がティアーヌに手を伸ばすが、彼女が淫魔(サキュバス)なのを思い出し少し躊躇う。

それを察したのか、ティアーヌは小さく笑うと首を振り自力で登り切る。


「ふぅ、このペースで勇者に追いつけるかしら」

「まだ中腹にも来てませんからねぇ。レイリスがニール兄さん以上に山登り得意だったら、追いつける気がしません」

「その可能性は考えたくはないわね」


もやしっ子二人で深い溜息を吐く。

先はまだまだ長いし、レイリスの姿も今のところまだ……


「ん……?クロノス君、ちょっと来てくれ!」


また俺たちより先に岩山を駆け上がったニールに呼ばれ、同じ岩山に登る。

「あれ、何かわかるかい?」とニールは前方を指差す。

岩山の周囲を白い物体が上下に飛び回っているみたいだが……?

左眼の能力を発動させながら目を細める。

ニールが示す先、白い物体の正体は魔物のようだ。

白い毛色で一つ眼、猿のような見た目をしているのはモンロープスの群れみたいだ。


「あれ、魔物ですね。モンロープスの群れみたいです」

「魔物か……火山が活発化して海の方へ逃げた魔物も多いのにまだ残っていたなんて」

「迂回しますか?」

「そうだね。なるべく戦闘は避けたいし、外側に回って」

「……ちょっと待ってください!」


迂回を提案しつつ様子を伺っていたのだが、白いモンロープスに混じって別の色が見える。

前に見たことのある色、しかも肩にしがみつくフェレットの姿を見つけて……


「レイリスだ!!ニール兄さん、先行きます!!」

「え!?ちょっとクロノス君、待っ


呼び止めるニールを無視し岩山から風魔法を使って跳躍する。

風の勢いにより弾けるように空へ飛び上がる。

不安定な足場を飛び越え、地面に着地するとモンロープスの群れに囲まれるレイリスへと急ぐ。

右腕グローブのスロット部に氷の魔石を装填し、透明マントにマナを流し込んで自分の身を隠し周囲の岩肌に同化させる。

頭までマントで覆い完全に姿を消すと、そのまま一直線で走り続ける。


『キュルキュルキュルキュル!』

「くっ……!」


取り囲まれていたレイリスの背後からモンロープスが飛びかかる!

俺はマントの透明化を解除し脱ぎ捨てると、跳躍し盾を持つ左腕を振りかぶる。

グローブに装填しておいた魔石の効力を発揮させ、盾の表面に氷塊を生成し、その形を金槌に似せて造ると思い切りモンロープスの頭部に振り下ろす!


「でェェェェい!!」

『キュル、ギュ!?』


氷塊の金槌を頭部に叩きつけられ、モンロープスの頭部が潰れ地面に叩きつけられる。

盾の表面に生成した氷塊はその一撃で砕け散ってしまう。

パラパラと降り注ぐ氷の雨と共に、俺はレイリスの傍に着地した。


「ク、クロ……!?」


俺の登場に当然レイリスは驚く。

またギルニウスが俺を殺せと命令するのではと身構えたが、仲間を殺されたからか、周囲のモンロープスたちが騒ぎ出す。

「あの男を殺せ」「あの女も殺せ」まるでそう叫んでいるかのように喚き散らし、その場で何度も飛び跳ねる。


「レイリス、色々あるけど話は後だ!!まずはこいつら片付けるぞ!!」

「……ッ!うん!」


俺も剣を引き抜き、レイリスと背中合わせとなり剣と盾を構える。

飛びかかってくるモンロープスの群れ、それを合図に俺とレイリスは剣を振るった。

現在のクロノスの装備

ショートソード フロウの盾

魔道具のグローブ

魔石ポーチ マナの小瓶 アラウネの首飾り

透明マント


魔石残数

火の魔石0、水の魔石5、風の魔石2、雷の魔石0、土の魔石0、氷の魔石8


いやぁーこうして見ると剣と透明マントしか持ってなかった頃に比べてかなり装備整ってきましたね!

次回投稿は来週日曜日22時からです!

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