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第十六話 悪ガキ退治

今回は珍しく長いです。

いつもの2倍長いです。


 レイリスが女の子と分かり、バルメルド一同が大苦戦した日から数日。

 俺とレイリスの関係はあんまり変わっていなかった。

 とりあえず、水弾を使って遊ぶ時はレイリスの頭にぶつけるように気を使ってる。

 服に当てたら透けちゃうからね。


「こんにちわ、レイリス」

「クロ!今日は何して遊ぶ?」


 朝の日課を終えたら彼女の所まで遊びに行くのはもはや当たり前、最近じゃ兄のニールも屋敷に招待して一緒に晩御飯を食べている。

 彼女の家は兄のニールとレイリスの二人暮らしだそうで、親はずっと昔に亡くなったらしい。

 それからは兄のニールが親代わりに彼女を育てていたのだそうだ。

 だが生活は苦しいそうで、ニールは忙しさのあまりレイリスの相手をあまり満足にしてやれなかった。

 結果、前回の人攫いによる事件と貞操観念事件を引き起こしてしまったと言うことだ。

 家に彼を招いた際、ニールとユリーネで話し合いが行われていたみたいだが、俺はその詳細を知らない。

 だがそれからニールの屋台には客が増え、商品も以前のように売れ残りが少なくなっているような気がした。

 多分ユリーネが何かしたんだろうけど、本当にこの母親は頭緩そうなのに有能だ。

 最近じゃユリーネは付いてこず、俺とレイリスの二人だけで公園まで遊びに行ってる。

 ニールもそれに対して何も言ってこない。

 むしろ「レイリスをお願いね」とか俺を信頼して預けてくるぐらいだから責任重大だ。

 まぁやはり心配だからか、バルメルド家のメイドが必ず一人、物陰からこちらを見守っているみたいだけど。

 レイリスと遊ぶ時は魔法を使った遊びが多いのだが、そろそろ寒冷期が近づいてきて水合戦は風邪を引いてしまうのでできない。

 かと言って、火属性の魔法はどこかに燃え移ったら大惨事なので使えない。

 すると風、土、氷、雷の属性が残るのだが、風と氷は水合戦同様却下、雷は危険すぎるので無し。

 と言うわけで、他の子供たちの邪魔にならない程度に土属性の魔法を使ってアスレチックっぽい物を作って遊ぶことにしている。

 だがそんな物を作れば当然目立つ訳で、俺たちが遊んでるを見た他の子供たちが続々と集まってしまい、公園に魔法を使って遊び場を作る子供として有名になってしまった。

 やっぱりやり過ぎはよくないな、と言う事で、今日は村の中をレイリスと一緒に散歩している。

 いつも遊びに村には来てるが、どんな店があるかまでは知らなかったので、たまにはこうゆうのんびりした時間も悪くない。

 新しい発見もあり、レイリスと一緒に今度あの店に行こうとか、次のおやつはあの店のお菓子にしてみようとか、子供らしい会話をしながら散策する。

 散歩中はなるべく人通りの多い場所を選ぶ、裏道とか入って怖いお兄さんに遭遇したくはないからな。

 用心するに越したことはない……と、思っていたのだが、


「──!」

「うん?」


 裏道から声が聞こえた気がして立ち止まる。

 誰かが喧嘩してるとかと思ったが、これはもしかして子供の声ではないだろうか?


「どうしたのクロ?」

「いや、裏道から子供の声が聞こえた気がして……」


 耳を澄ましながら裏道へと近づく。

 やはり子供の声だ。

 人数はわからないが三、四人ほどの子供の声が裏道から確かに聞こえてくる。 

 話してる内容まではここからじゃ分からないけど、何やら揉めているようだ。

 レイリスも気づいたのか、長い耳をピョコピョコさせながら裏道の音を拾おうとする。


「……本当だ。誰かいるよ」

「でも子供の声だけだし、事件って訳じゃなさそうだから放っておこうか」

「え……助けてあげないの?」

「見ず知らずの子供たちの喧嘩に首突っ込む必要ないし。喧嘩ってのは当人同士の問題だからな。他人の俺たちがでしゃばることじゃないよ」


 神様にも余計な事には首突っ込むなって言われてるし、裏道とかもう厄介ごとに巻き込まれるフラグ臭しかしないから近寄りたくない。

 なのでさっさとこの場を去ろう。そうしよう。


「さ、レイリス、別の場所に」

「本当に助けないの?一人泣いてる子がいるよ?」

「え」


 その場を去ろうとしたらレイリスが袖を掴んでくる。

 しかも一人泣いてる子がいると言う。

 声の人数からして、複数人で一人を虐めているのかもしれない。

 でも厄介ごとは避けたいし、でもレイリスが袖で離してくれないし、うぬぬぬぬ……


「クロ、あの事件の時、見ず知らずの他人のボクを助けてくれたよね?」

「いや、あの時は」

「だから、今度も助けてあげよう?」


 あぁんもう!

 そんな綺麗な目で上目遣いで見つめないでくれ!

 カッコいいとこ見せたくなっちまうだろうが!!

 だが、俺一人で複数人相手にするのはいくら何でも分が悪い。

 やっぱりここは一度引いて、近くの大人に助けを呼ぼう。

 俺はレイリスの手を袖から離させ、


「レイリス……行ってくるぜ!」


 背を向けてサムズアップしながら裏道に歩み出す。

 その後姿と歩き方は、さながら戦地へと向かう戦士の様だと自分でも思った。

 つかバカじゃねーの!?

 バッカじゃねーの!?

 何が「行ってくるぜ!」だよ!?

 見栄張る為にどうしてキザなことしてんの!?

 死ねよ俺ェェェェ!!

 だがしかし、ここで億したら騎士の家の子として情けないとも思う。

 ならば今は引く時ではない!

 男として行くべきではないだろうか!

 なんて自分を無理矢理奮い立たせながら裏道に突撃する。

 ジェイクお義父さんには喧嘩はするなって釘刺されてるんだけど、願わくば穏便に済むことを祈ろう。

 声のする場所まで近づくと、三人の少年がいるのだとわかった。


「気持ち悪いんだよ!」「それ脱げよ!」「悔しかったらやり返してみろよ!」


 と何とも陰湿な罵倒を口にしながら、誰かを虐めているらしい。

 複数人で自分より弱い相手をするとか最低だな。

 角を曲がると、身なりの良さそうな子供三人が、一人を囲んで蹴ったり木の棒で突いたりしていた。

 しかも相手はピンクの可愛らしい衣装を着たの女の子の様だ。

 女の子を寄ってたかって虐めるとか最低のクズだな!

 ジェイクには無意味に誰かを傷つけるのは騎士道に反するとか散々言われてきたが、これは相手に 手加減しなくていいやつだ。

 本気でやっても大丈夫だな!

 そう思ったら気持ちに余裕が出てきたぞ。


「何してるんだ、お前ら!」


 なるべく声が震えないように努力しながら大声を上げる。

 虐められている女の子も、身なりのいい男の子たちも一斉にこちらを向く。

 リーダー格っぽい、ちょっと小太りの男の子が俺を睨んでくる。


「なんだお前?こいつの友達か?」

「いや、全く知らない」

「関係ないならどっか行け!」

「そういう訳にも行かない。騎士の家の者として、弱い者イジメは見過ごせないんだ」


 本当はレイリスの前でカッコつけたいだけなんだけども……まぁ前に出てしまった以上はその設定で押し切ろう。

 騎士の家と言う単語に男の子三人組は驚いた顔を見せる。

 「どうしますカーネさん?」「騎士の家って、バルメルド家の奴じゃ?」と子分っぽい二人がひそひそとリーダーの小太り君に話しかけている。

 カーネと呼ばれている小太り君は、フン!と鼻を鳴らすと落ちていた木の枝を拾い、俺に枝先を向けてくる。


「お前、騎士の家の子供の癖にぼくたちに逆らうのか?それがどういう意味か、わかってるんだろうな!?」

「いや全然」

「なら教えてやる!ぼくのパパはえらーい人なんだぞ!騎士よりエライから、ぼくがパパに頼めば、お前の家なんて無くなっちゃうんだぞ!」


 えらいふわっとした説明だな……

 でも口ぶりからして、小太り君はかなり身分の高い貴族の家の子なのだろう。

 しかも親の七光りで威張っていると見た。

 こういう手合いは色々と面倒くさいんだよなぁ。


「ちなみに君のパパって何してるの?」

「知らないけど……でもすごくエライんだぞ!」


 知らないのかよ!

 判断に迷うわぁ……バルメルド家にも悪い影響を与える存在なら、あんまり派手なことしたくない。

 できれば穏便に済ませたい。

 そうだ、名前を聞けばどこの家の子かわかるかも。


「一応名前教えてくれる?家の名前でわかるかも」

「いいだろう、教えてやる!ぼくの名前はカーネ・モーチィだ!」

「うん……ごめん、知らないや」


 聞いたことない家の名前だった。

 そんな分かりやすい家の名前なら、忘れることはないと思うんだけど。

 どうしたもんかと視線を泳がせていると女の子と目が合う。

 彼女は涙を流しながらこちらに救いを求める眼をしている。

 着ている服も泥だらけで、スカートも少し破けていて、切り傷も痛々しい。

 穏便に済ませたいのが本音なんだが、これをもう放って置くのも俺には無理だ。


「まぁ君のパパがすごいのは分かった。でもその子を虐めるのは止めてあげないか?そんなにボロボロになるまでしなくても」

「うるさい!ぼくに文句を言うのか?それに、こいつが情けないからいけないんだ!」

「情けない?それがその子を三人で虐める理由か?」

「そうだ!ぼくたちがこいつを教育してやってるんだ!」


 教育ねぇ……女の子を虐めるのが?

 一体どんな教育を受けたら、そんな曲がった根性になるんだよ。


「なら、もうその辺にしてやりなよ。その子泣いてるじゃないか」

「なんだお前?ぼくに指図するつもりか?」

「そういう訳じゃない。やり過ぎだって言ってるんだ」

「ぼくに命令するのか!ぼくがパパにお前のことを言ったらなぁ!」


 小太りのカーネ君がギャアギャアとパパの凄さを叫んでいる。

 つーか、もうあれだ。

 そろそろ面倒くさくなってきた。

 このまま話あっても平行線っぽいし、あの子を連れてさっさとここを去ろう。

 そう決めると俺は前に足を進める。

 それを見て三人組がビクッと体を強張らせた。


「お、お前!ぼくに手を挙げるつもりか!?ぼくに何かあったら、パパが黙って──」

「うるさい。危ないから人に向けちゃダメ」


 向けられていた枝先を片手でへし折り、小太り君を押し退けて俺は泣いて座り込んでいる女の子に歩み寄る。

 灰色の髪に青い眼をした可愛らしい女の子だった。

 レイリスが少年っぽい女の子だとしたら、この子はザ・女の子と言った感じだろう。

 レイリスもレイリスであの男の子っぽさは可愛いいんだけどね。

 俺は灰色の髪の女の子の前で屈むと手を差し伸べる。


「大丈夫か?こんな薄暗いところいないで一緒に行こう。家でその切れちゃった服、直してあげるよ」


 何てちょっとカッコつけてみる。

 女の子は涙を流しながら俺を見つめ、戸惑いながらも俺の手を取った。

 彼女が立ち上がるを手伝うと、手を引いたままレイリスの元まで戻ろうとする。


「ちょ、ちょっと待て!」


 小太り君が後ろで叫んでるが無視だ無視。

 だがそれが気に障ったのか、小太り君が手に持ってた木の枝を振り上げた。


「待てって言ってるだろ!」


 木の枝を振り上げたまま迫ってくる。

 さっき枝を折ったせいで、先端が尖ってて危ないのから今度は彼の腕を掴んで止めた。


「そんなのを人に向けて振るな。君のパパがどれだけ凄いかは知らないし、この子の何が情けないかは分からないけど、これだけは言っといてやる。お前ら、すっごいカッコ悪いよ」


 掴んでいた手を思い切り押し退けてやる。

 勢いが強かったのか、小太り君はバランスを崩して尻餅をついた。

 態度が気に入らなかったのか、彼はみるみる顔を赤くさせ声を荒げる。


「お前たち、こいつにも教育してやれ!」


 小太り君の命令で子分二人が殴りかかってくる。

 もう律儀に相手するのも面倒なので、俺は一発でこの三人を黙らせることに決めた。

 方法は至ってシンプル。

 子供が怖がることをすればいい。

 この時期の子供が怖がるモノは色々あるが、今回は練習を兼ねてアレにしよう。

 俺は女の子を庇うように背に回し、悪ガキ二人の正面を向く。

 彼女の手を握っていない方の手を空に上げ、


「雷よ。落ちろ」


 指先にマナを込め、勢い良く腕を振り下ろす。

 その瞬間、雷鳴と共に目の前が真っ白になる。

 光が収まり、目の前には尻餅を着いた三人組と、俺と彼らの間に焼け焦げ煙を上げた地面があった。

 三人組は焼け焦げた地面を見て唖然とし、全身を震わせている。


「まだやるか?」

「ヒッ!」


 声を掛けるとガタガタと震えながら小さな悲鳴が聞こえる。

 おっと、怖がらせすぎちゃったかな?

 しょうがない、敵意が無いことをアピールしながら和解しよう。

 俺は彼らに渾身の笑顔を浮かべ、優しい声色が出るように努力する。


「次は貴様らの頭上に落としてやろうか?コノヤロウ」


 あ、やべ。

 考えてたのと全然違う言葉になっちまった。

 でも敵意はないと言う俺の意図は伝わったのか、三人組は泣きながら大慌てでその場から走り去って行った。

 うむ、やはり笑顔で対応すればちゃんと伝わるもんだな!

 笑顔万能説!

 悪ガキどもが走り去ったのを見て、物陰から成り行きを見守っていたレイリスが駆け寄ってくる。


「スゴイねクロ!雷属性の魔法をあんなに上手く使うなんて!」

「いや、雷はここには落としてないよ。あんなに至近距離で撃ったら、俺もあの三人も怪我するからな」


 雷属性の魔法は扱いが難しい。

 俺もまだ狙った場所に雷を落とせないし、威力も強すぎてユリーネからは自分が傍にいる時以外は使ってはいけないと禁止されている。

 一度隠れてコッソリ使った事があるのだが、狙った場所とは全然違った場所に落ちて、森の中に落としてしまった事がある。

 あの時は大変だった……大慌てで雷の落ちた場所に行って、炎上した木に全力で水属性の魔法で水柱を落として鎮火したのだ。

 当然ユリーネにバレて大目玉を食らってしまった。


「じゃあ、雷はどこに落としたの?」

「知らない。引火しないように、なるべく離れた場所に落ちるように努力はしたけど」

「え、それってマズイんじゃ……」

「だぁいじょうぶ!ここ引火する物少ないし!」


 ここら辺は森から遠いし、民家が密集してるけど、落雷の音からして結構遠くに落ちたみたいだから問題ないだろう。


「じゃあ、そこの焼け焦げた地面は?」

「雷の音がした時に火属性の魔法で地面を焦がしただけ。でも、ここに雷が落ちたみたいに見えるだろ?」

「見えるよ、ボク本当にここに落ちたのかと思ったもん」

「ま、本当は火属性の魔法で瞬間的に地面を焦がすのも危ないから、絶対真似はするなよ?」


 レイリスはすぐに俺の真似をしだすから釘だけは刺しておく。

 そういや、女の子のこと忘れてた。

 彼女は俺が火属性で焦がした地面をじっと見つめ固まっていた。

 やべぇ、ちょっと刺激が強すぎたか?


「おーい、大丈夫か?」

「…………あ、う?」

「怖がらせてごめんな。でも、もう大丈夫だぞ」

「クロが悪い子たち追い払ってくれたよ」


 女の子は俺とレイリスの顔を交互に見ると、目に涙を溜めながらお礼を言ってくる。


「あ、う、ありが、ありがとう!」

「おいおい泣くなよ。怖がらせたのは謝るからさ」

「ちが、違うの……ワタシ、怖ったのは、これじゃなくて!」

「男の子たちに虐められて、怖かったんだよね。わかるよ、ボクも経験あるもん」


 泣きじゃくる女の子にレイリスが優しく声をかける。

 そういや、レイリスも似たような経験あるんだったよな。

 相手が大人だった分、レイリスの方が怖い思いをしただろうけど、一方的に虐められるのがどれだけ怖いのか理解できるのだろう。

 女の子はしばらく泣きじゃくっていたが、気持ちが落ち着いたのか、鼻水声で尋ねてくる。


「グスッ。あなたたちは、誰?」

「俺はクロノス・バルメルド」

「ボクはレイリス。君は?」

「ワタシ、は、フロウ」

「フロウか。いい名前じゃないか。可愛らしくて」


 俺がフロウの名前を褒めると、彼女はまた目に涙を溜め始める。


「ふ、二人は、ワタシのこと、気持ち悪くないの?」


 質問の意味が分からずレイリスと顔を合わせる。

 そういや、あの悪ガキたちがフロウの事を気持ち悪いだの情けないだの言ってたな。

 全く、見る目がないガキどもだ。

 こんなに可愛い女の子なのに。

 俺もレイリスも首を振ると笑顔で答える。


「「全然」」

「グスッ、うわああああん!」

「ええええ!?な、なんで泣いちゃうの!?クロ、どうしよう?どうしたらいいのぉ!?」

「いや俺にもわかんねぇ!泣くなってフロウ!」


 その答えを聞いた途端、フロウはまた涙を流しながら泣き始めてしまう。

 それを見て二人でオロオロしていると、いつの間にか俺たちを見守っていたメイドが姿を現し近づいてくる。


「お坊ちゃま、大丈夫ですか?」

「あ、メイドさん!俺は大丈夫なんだけど、フロウ……この子が泣き止んでくれなくて」

「あちこち怪我していますね。服も泥だらけですし、屋敷から変えのお召し物と救急箱を持って参ります」

「お願いします」


 メイドさんは頭を下げるとダッシュで裏道を走り去って行った。

 屋敷まで距離はあるけど、我が家のメイドは行動が迅速なのですぐに来てくれるだろう。

 とりあえず俺たちはフロウの手を取り裏道から出て、彼女の破れた服のことを考えて、人通りの少ない最短ルートでレイリスの兄であるニールの屋台まで戻ることにした。

 経緯を話すと、フロウを見たニールは大慌てで屋台の中に彼女を匿ってくれた。

 その後、屋敷から替えの着替えとして俺の服と救急箱を持ってきてくれたメイドさんのおかげで、フロウは何とか泣き止んでくれたのだった。


 ちなみに俺が落とした雷なんだが……どうやら民家の方に落ちてしまったらしくて大騒ぎになってしまっていた。

 俺が超特急で現場に行き水属性の魔法を使って鎮火させると、周りの人からめっちゃ感謝され褒められてしまった。

 バルメルド家の子として俺のことは話好きなユリーネのせいで知られていたので「さすがバルメルド家のお子さんだ!」「君は魔法も使えるのか、やはり違うなぁ!」とかそれはもう褒めちぎられた。

 でも、雷を落として火事にしたのは俺なので、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 お礼にと果物をとかを渡されそうになったが、全力お断りしておいた。

 あの家に住んでいた人、ごめんなさい。

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