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第百十三話 激越の闘い

ようやく今期アニメのいぬやしきを見始めした!

ガンツの人だってのは知っていたんですが、やっぱり胸がスカッとしたりモヤっとしたりで面白ろいです!


『グルゥアアアア!!』


 正面から幼体のワイバーンが一体突撃してくる。

 その脳天に踵落としを繰り出し地面に叩きつけると地面にめり込み、何かが砕ける音が耳に聞こえ、幼体はもうピクリとも動かない。

 いつもより体の調子がいい。

 全身からマナが溢れ出て力が湧き上がる。

 まるで自分の体が自分の物じゃないみたいだ。


 ワイバーンを殺した──イッタイコロシタ、アとサンたイ。


「あと三体……ッ!」


 残りの幼体の数を数えながら前進する。

 全身が焼ける様に熱い。

 さっきワイバーンの炎のブレスを喰らった時に負った火傷のせいかと思ったが違う。

 この身を焦がす程の熱さは、胸の内側から込み上げる怒りだ。

 あのワイバーンのせいで……ワイバーンのせいで、トリアとトリアのお母さんはッ!!


『グワァァ

「煩い!!」

 

 飛びかかる幼体の首を剣で切り落とす。

 これで残りは二体!

 一気に幼体を全て仕留めようとするが、残りの二体は他の幼体を俺が殺したのを目の当たりにすると翼をはためかせ始める。

 まさか逃げるつもりなのか?


「逃すかッ!」

「バルメルド君、避けて!」

 

 飛び立とうとする幼体二体に接近しようとする。

 しかしそれを阻止せんと親ワイバーンがその巨軀の体を振り回し、長く太い尾で俺をなぎ払おうとする。

 ティアーヌの呼びかけでそれに気づき、跳躍しそれを避ける頃には、幼体二体は空へと逃げおおせていた。

 怨めしいその姿を睨むと親のワイバーンが視界に割り込み俺の前に立ち塞がる。


「まぁいい、お前さえ……お前サえコろセれバ!!」


 そうだ、このワイバーンさえ殺せばそれでいい──!

 このワイバーンのブレスで、トリアも他の人たちも死んだんだ!!


「お前がァァァァ!!」

『グルゥガァァァァ!!』


 互いの激声と共にワイバーンに剣を振り下ろす。

 だが硬い鱗に覆われた右翼で受け止められ、俺の一撃は弾き返されてしまう。

 さすがに成長したワイバーンだけあって鱗の硬さは幼体の比ではない。

 剣を打ち付けても火花が散る程度で傷つけることすら叶わない。


「無理よバルメルド君!その剣じゃ……」

「わかってる!」


 俺の剣じゃワイバーンの鱗を破壊できないのは知っている。

 だったら、破壊できるようにするだけだ!

 ティアーヌに答える合間も噛み付こうと大口を開けるワイバーンの攻撃を躱し続ける。


「バルメルド君、今援護を……」

「しなくていい!マナ溜めて待っテロ!」


 魔法で援護しようとするティアーヌを制し剣先にマナを凝縮させる。

 マナの斬撃ならばいくら鱗が硬くても破壊はできるはず!


「ウルァァァァ!!」


 気合一閃、マナを凝縮させた斬撃を放つ。

 斬撃が鱗を破壊しワイバーンの背肉を抉り、血と悲鳴を引きずり出した。

 やっぱりマナを圧縮させた斬撃なら硬い鱗でも攻撃が通る!


「通る……ははっ!トぉル!!」


 攻撃が通用すると分かったからか、また全身に力が増幅するのを感じる。

 アドレナリンが溢れ出ているのか脳が震える!

 体が痺れるかのように快感を感じる!

 もっとだ……もっともっトモっトモット力を!!


「もウ一撃ィ!!」


 湯水の様に体内から湧くマナを全て剣に込める。

 柄に埋め込まれた白い魔石が濁った色をしているが気にはしない。

 もう一度、もう一度斬撃を喰らわせれば確実に仕留められる!


『ガァァァァ!!』


 斬撃を放とうと剣を振りかぶるとワイバーンが再び体を捻り尾で薙ぎ払いを仕掛けてくる。

 咄嗟に飛び退きワイバーンとの距離が少し離れると、カチカチと歯を鳴らしなか振り返る。


「いけない!バルメルド君、炎が来るわ!!」


 炎!?

 そうか、あれは炎の息を吐く為の予備動作か!


「二度モ……喰ラうカッ!!」


 剣にマナを込めるのを中断し、左手に集中を切り替える。

 さっき炎を消そうと水を撃った時、ワイバーンの炎の方が温度が高く蒸発してしまった。

 そのせいで、守れたはずのトリアと母親を俺は守れなかった!!

 失敗はしない……二度も同じ失敗は繰り返さない!!

 出し惜しみはしない、ありったけのマナを込めて!


「立テ、泥水ァァァァ!!」


 ワイバーンが頭を振り下ろし炎を吐くと同時にマナを込めた左拳振り下ろし地面を殴る。

 発動させるのは水と土属性、二種の魔法。

 地面から泥を含んだ水柱が大量に噴き出し、津波の様に押し寄せワイバーンの炎を飲み込んだ。

 今度は蒸発させはしない。

 大量のマナで生成した水に含んだ泥が覆い被さるように炎を包む。

 泥と水による相乗効果により炎は鎮火され、息切れを起こしたワイバーンは炎攻撃を中断する。

 息を切らすその隙を逃しはしない!


「蜘蛛とナッて奔レ、雷!」

 

 泥水生成への意識を切ると今度は雷属性の魔法を発動させる。

 三体の蜘蛛の姿を模した雷が地面を駆け巡りワイバーンに体当たりする。

 雷の蜘蛛が触れた瞬間、激しい光が炸裂しワイバーンの悲痛な叫びが周囲に響く。

 電流を喰らい動きの止まったワイバーンへと駆け寄りマナを宿した剣を胴体へと振るう。

 しかし刀身が胴体を切り裂くギリギリで身体を逸らされ避けられてしまった。

 それでも剣先が僅かに触れており、鱗ごとワイバーンの腹を掠め血が溢れる。

 もウ一撃!と早速の足捌きで方向転換し今度は足を狙う。

 だが、剣が足に届くよりも早くワイバーンはその大きな両翼を広げはためかせてきた。

 翼を何度も激しく動かすことによって生まれた突風に襲われる。

 両腕で顔を隠すが、突風による息苦しさとあまりの風圧に俺の体はあっけなく浮かされ後退してしまった。

 ワイバーンは両翼による突風を巻き起こしながら、徐々にその巨体で飛翔し高度を上げていく。


「逃げルつモりカ!?」


 上空に飛び立つワイバーンの姿を細目で追う。

 風圧に押され体勢を崩さないようにするだけでも精一杯で身動きが取れない。

 このまま逃げるのかと思いきや、ワイバーンは上昇行動による風起こしを継続させながら、鋭い歯を打ち鳴らして口内に火花を散らせている。

 また炎によるブレス攻撃を行うつもりか!?

 こちらは風圧のせいでまともに身動きできない。

 しかも風を巻き起こした状態で炎を吐かれたら、突風で炎の勢いが強くなるかもしれない。


「さセるカぁ!!」


 未だ有り余るマナを練り上げ、腕を振るい風魔法を起こして風の流れを変える。

 これで身動きが取れる!

 あトは奴ヲ……!

 持っていた剣を地面に突き刺し、背負っていた弓に武器を切り替える。

 まだ俺の弓矢は的に当たる程正確に射る技術はない。

 だったら──当てる以外の使い方をすればいい!!

 矢筒から矢を一本抜き取り、握り締めて大量のマナを矢に注ぎ込む。

 次の一撃で、決める!!


「ティアーヌ!雷ノ魔法を準備シろ!!」


 矢に魔法を込めながらティアーヌに指示をすると、マナの小瓶を飲み干し杖を構える姿を横目で確認できた。

 マナを込めるのを止め、弓を構え矢を弦に乗せ力の限りに弦を引き絞る。

 狙うはワイバーンの頭部、最悪当たらなくてもいい!


「──終ワりダ!」


 ワイバーンの頭部へと矢先を向け、弦を引いていた指を放す。

 弦に押し出された矢が風を切り、魔法で作った突風の合間をすり抜け、飛んでいたワイバーンへと直進する。

 炎を吐こうと顎を上げ空を仰いだワイバーンの遥か頭上を矢が通り抜けようとし、


「落チろ、水柱ァァァァ!!」


 その瞬間に魔法を発動させ、ワイバーンの頭上に大量の水が生成された。

 水が発生源であるマナを込めた矢は、その水量と圧に耐え切れずに砕け散ったが水の生成は止まることはない。

 滝の如く降り注ぐ水がワイバーンを襲う。

 空を仰いでいたのもあり、炎が溢れ始めていた口内に大量の水が流れ込み、その勢いに驚いたのかバランスを崩し落下を始めた。


「ティアァァァァヌ!!」


 全身に水を被り空から落下をするワイバーンを目にしティアーヌに合図する。

 既にティアーヌは魔法の詠唱に入っており、空に雷鳴が轟く。


「《雷の精よ、天轟く一条の光となりて、彼の者に裁きの鉄槌を下せ!》ライトニングスピアー!!」


 杖を天に掲げると暗雲の空から轟音と共に一本の稲妻が迸る。

 空から落ちた一筋の光の槍は、バランスを崩し全身を水で濡らしたワイバーンを撃ち貫く。

 刹那、閃光──音も光も遥か彼方へと消え去り、俺は目を瞑り腕で顔を覆い隠した。

結局新作書く書く言って、未だに100話まで書き終わるのまだまだ先になりそうです。


そろそろ感想にも餓え始めてきたので、誰か下さい(切実)


次回投稿は来週の日曜日22時です!

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