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第百十話 翼竜襲撃

連続投稿二日目です!

今年も最後の月ですね。

年末は連続投稿したいなぁ。


 空から突如現れた翼を持つ巨軀で蜥蜴の頭部を持つワイバーンが現れ、途端に周囲はパニックに陥った。

 ワイバーンが歯を打ち鳴らし始めたかと思うとティアーヌの声が響き渡る。


「皆さん、ここから離れて!」


 その声を耳にした瞬間、俺はその行動が威嚇ではないと理解する。

 避難の指示と共に踵を返し走り出す村人たち。

 逃げる彼らと目が合った。

 それと同時に口内の炎が溢れ始めるワイバーン。

 間に合わない!

 そう悟った俺は──ありったけのマナを両手に込める!


「土よ!!」


 地面に手を着き巨大な壁をイメージし生成する!

 少しでも高く、少しでも広く、炎を防げる土の壁を!!

 俺のイメージが反映され地面がせり上がり魔法による壁が出現し始める。

 それと同時にワイバーンの口から爆炎が放たれた。

 爆炎は一気に広がり村人たちを飲み込んで行く。

 俺の作った土の壁は爆炎迫る中でギリギリ間に合い、俺と周囲にいた十人程の村人を爆炎から守る。

 しかし、壁がギリギリ届かない村人の男が炎から逃げようとこちらに助けを求めてきた。


「待ってくれ!オレも入れてく


 こちらに手を伸ばしながら走る男が炎に飲み込まれる。

 その時俺は見てしまった。

 飲み込まれた男はほんの一瞬で肉体が焼け焦げ、骨も残らず、灰も残らず、焼け落ち消えてしまうのを。

 

「や、焼け死んだ!焼け死んじまったぞ!」

「ひ、ひぃぃぃぃ!」


 同じ光景を見ていた村人たちが恐怖で慄く。

 壁のお陰で俺たちは炎を防げているが、周囲の温度が一気に上がり全身から汗が噴き出る。

心の中で早く終われ、と祈りのように願い続けているとようやく炎が収まった。

 役目を果たした土の壁がボロボロと崩壊を始めた。

 視界を遮っていた壁が無くなり目の前が開ける。

 が……俺たちの目の前に広がっていたのは、焼け野原となった村の広場だった。


「なんだよこれ……」

「ほ、他の人たちは!?」


 仲間を探して村人たちが焼け焦げた広場を見渡す。

 俺も一緒にティアーヌの姿を探すと、ワイバーンのすぐ近く、防壁のような半透明の光の球体の中で身を小さくしているティアーヌと数名の村人を見つけた。


「ティアーヌさん!」


 駆け寄り名を呼ぶと光の防壁が消える。

 中にいた村長たちはみんな無事のようだ。

 ワイバーンの炎を魔法で防いだのであろうティアーヌは、少しふらつきながらも立ち上がり、こちらに振り返る。


「バルメルド、君。無事だったのね」

 「ギリギリ消し炭にならずに済みました」


 肩を貸そうとするが手で制される。

 周囲を焼け野原にしたワイバーンは空に吠えると足で子供を掴んで空へと飛び去っていった。

 俺たちはただ黙ってそれを見送る。


「火ぃ吹いて満足したから……帰ったんですかね?」

「違うわ。子供を巣に運びに行ったのよ。きっとまた戻ってくるわ。報復しにね」


 俺の希望的観測はあっさりと否定される。

 報復と言う言葉に村長たちが狼狽えた。


「ま、また戻ってくるのか!?あの魔物は!?」

「あれだけ大きな個体よ。子供が一匹だけのはずがない。そして目的は、自分の子供を傷つけた村長への復讐……」


 他にもワイバーンの幼体がいる。

 その一言で村人たちが浮き足立ち始める。

 誰もがどうするべきかと不安が広がり始めた時、


「お、おい!何か空から降ってくるぞ!」


 村人の誰かが叫ぶ。

 釣られて空を見上げると、曇り空の中に無数の青い点のような物が見えた。

 次第にそれは村目掛けて接近してくる。


「あぁ……最悪だわ。みんな走って逃げて!」


 空から降って来る物体を目にし、誰もがその場から走り出し、ティアーヌと共に俺も広場から離れる。

 青い物体は急降下しながら村の広場に砲弾の様に落下し、地面に落ちると砂埃を巻き上げる。

 広場から避難した俺たちは遠巻きに落下した物体を見つめる。

 青い物体がゆっくりと開き始めその姿を表す。

 鱗に覆われた身体、三本の爪が生えた翼、蜥蜴のような頭部──ワイバーンの縦長の瞳孔が、俺たちを捉えた。

 俺たちを目にしたワイバーンたちが一斉に鳴き始める。

 親よりもその体躯は一回り小さいがその数およそ三十、いやまだ空からワイバーンが飛来しその数を増やしてる!

 

「ティアーヌさん、こいつら!?」

「さっき親のワイバーンが吠えたのは、他の子供たちを呼んでたのかもしれないわ」


 何故だなんて聞く意味はない。

 ワイバーンたちの口元から涎が垂れているのを見て理解する。

 こいつらは親のワイバーンと同じ目的でここに来た訳ではない。

 俺たちを餌と認識しているのだ!


「村長への復讐ついでに、他の人間は美味しく頂こうってことかよ!」


 吐き捨てるように呟き剣を構える。

 同時にワイバーンたちが一斉に咆哮を上げながら突進してきた!

 その内の一匹が俺目掛けて突進してくる!


「バルメルド君!外側の鱗は硬い、その剣じゃ刃が通らないかもしれないわ!」

「じゃあ内側を狙います!ティアーヌさんは他のを!」


 駆け込んで来るワイバーンに対し左を突き出す。

 手の平にマナを込め魔法を放つ。


「火よ!爆散せよ!」


 左手から放たれた火玉がワイバーンの頭部に直進する。

 被弾した瞬間に火は爆発しワイバーンの目を潰した。

 爆発の衝撃で大きく仰け反るが、即死までには至っていない。

 ティアーヌの言う通り、ワイバーンの鱗が硬く、あの程度の衝撃では鱗を破壊することができず焼け焦げるまでに止まっている。

 でも仰け反らせれば十分。

 俺は仰け反ったワイバーンの懐に潜り込むとその喉に剣を突き刺す!

 

『グルゥァァァァ!?』


 喉を剣先で突き刺すとワイバーンが驚きの声を上げ、剣先伝って振動が手元に伝わる。

 踏み込みが浅い!?

 筋肉が固くて即死させられてない!!


「うぉぉぉぉ!!」


 雄叫びと共に突き刺した剣を更に押し出す。

 押し出された剣はようやく筋肉を貫きワイバーンの喉を潰す。

 しかし剣が貫通することはない。

 反対側の硬い鱗に阻まれているせいだ。

 俺は剣をすぐに引き抜き一歩下がる。

 喉を貫かれたワイバーンは傷口から血を流しながら倒れ動かなくなった。


「よし……一匹目!」


 剣を振るい刀身に付着した血を振るい落とす。

 俺が一匹倒している間にティアーヌは魔法を連発し他のワイバーンを倒していた。

 しかしそれでもワイバーンの数は多い。

 俺たちが五匹仕留める合間に、ワイバーンは十人以上の村人を殺し肉を貪っている。

 敵の数が多すぎて村人を助けるまで手が回らない!


「クソッ……!おいトカゲ野郎こっちだ!」


 村人を押し倒して襲いかかっていたワイバーンを罵倒し振り向かせる。

 振り向きざまに雷属性の魔法を放ちワイバーンを感電させ、動きが止まったところを腹を斬り裂き仕留めた。

 押し倒されていた村人を助けようと声をかける。


「大丈夫ですか!?しっかり!!」


 抱き起こそうと手を伸ばす……だが、助けた人はもう、息をしていなかった。

 光を失った瞳が虚空を見つめるだけで返事が返ってくることはない。

 伸ばしかけた手が宙を彷徨う。

 周囲を見回すと、目に映るのはワイバーンに襲われる人々の姿しかない。

 逃げようと背を向けた瞬間に飛びつかれている人。

 家屋に逃げ込むも、いとも簡単に壁を破壊し侵入されている。

 武器を持って応戦する人もいるが、彼らは戦争が嫌でここに移住した人たち。

 魔物との戦いに慣れていないらしく、ワイバーンの尾を叩きつけられ容易く倒されてしまう。

 どこを見ても、ワイバーンに襲われ無残に喰われている人しかいない。


「バルメルド君、上!」


 ティアーヌの呼びかけに俺は空を見上げる。

 暗雲だけが支配するにから、赤く染まる灼熱の炎が降り注ぐのだった。

この前テレビでAKIRAやってたんですよ。慌てて録画したもの、まだ見れてない……早く見たいなぁ!


次回投稿は来週日曜日22時です!

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