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第九十八話 前方蜘蛛、後方蝙蝠

先日初めてレビューを頂きました!

そしたらアクセスが突然ブワーッと来てブクマも一気な増えたんですよ!


レビューのちからってすげー!


「バルメルド君!危ない!」


 バッドアイから逃げていた俺とティアーヌさんは草むらから飛び出す。

 先導していた俺が草むらを出ると同時にティアーヌさんが叫んだ。

 何故彼女が俺を呼び止めたのか、それは頭上から降り注ぐ蜘蛛の糸を俺に知らせる為だった。

 しかし迫る危機に俺は対応が間に合わない!

 両眼に映り降り注いで来る蜘蛛の糸が、以前と同じように俺の体を──


「くっ!《土の精よ!かの者を守れ!》」


 背後でティアーヌさんの声がまた聞こえる。

 今度は俺に対しての言葉ではない。

 次の瞬間、蜘蛛の糸に捕らえられると俺が身を丸めると地面がせり上がり、土がドーム状になって蜘蛛の糸を防ぎ俺の身を守ってくれた!

 身を丸めていた俺は転がるようにドーム状の土から飛び出す。


「助かった!?ティアーヌさんか!」

「バルメルド君、上よ!」


 上を見上げると、民家の屋根や木の幹に蜘蛛の魔物が待ち伏せていた。

 地上ではなく頭上から、獲物である俺たちが飛び込んで来るのを待っていたのかよ!

 蜘蛛たちの無数の眼球が獲物である俺たちを見つめ近づいて来る。

 この広場を抜けるのが村から出る一番の近道なのに!

 後ろからはバッドアイの群れ、正面には蜘蛛の群れ、退路がない!


「ティアーヌさん、この場を切り抜けるいい案ありますか!?」

「片方ならまだしも、前後を挟まれた状態じゃ無理よ!」


 ティアーヌと背中合わせに立ち、屋敷から持ち出した剣に手を伸ばす。

 蜘蛛の魔物相手は禁断の森にフロウを助ける為に入った際戦ったが、あの時は狭い通路で戦ったしマナの実を使ってかなり無茶をした。

 でも今は阻む物がほとんどない屋外。

 他方向から同時に攻められて逃げ切れるかわからない!

 村を出て近くに別の村があれば逃げ込めるけどここは田舎、村を出ても隣村まで距離がありすぎる!

  せめて他に逃げ込める人里があれば……人里が……人里?


「そうだ!エルフの集落!」


 なんで忘れてたんだ!

 ここから離れた場所にレイやニールが住んでいたエルフの集落があるじゃないか!

 ニケロース領の村が滅んだからって、エルフの集落まで滅んでるとは限らない!

 だけど、村が滅ぶと同時に集落も滅んでるかも……何にしても、まずは確認すればいい!


「ティアーヌさん!この先にエルフの集落があるんですけど、そこが滅んだって話しは聞いてますか!?」

「エルフ!?いえ、そんな話しは聞いてないけど……近くに集落があるの!?」


 ティアーヌさんが聞いてないなら、まだ存続しているかもしれない!

 彼女の質問に答えず俺は考えを巡らせる。

 エルフの集落がまだあるなら、この暗闇だ、火を焚いて明かりにしているはず。

 それに集落の中心には目印になる巨木があった。

 それさえ視認できれば、エルフの集落がまだあるかどうか判断できる!

 だけどどうやって?

 エルフの集落は村の出口とは反対方向、しかも道中は山道だからすぐには集落にエルフがいるか直前まではわからない。

 せめてここから確認する方法があれば……!


「バッドアイが来るわ!バルメルド君、エルフの集落はどっち!?そこに逃げるの!?」


 背後を振り返ると能力を解放した状態の両眼に空からバッドアイの群れがこちらに向かってくるのが見える。

 正面の蜘蛛の群れも数を増やしこちらの出方を窺いながら近づいてくる。

 空と陸、両方を塞がれたらもう逃げ場は……空、空だ!

 もうそれしか今は思い浮かべられない!


「ティアーヌさん失礼します!」

「へ?ちょ、ちょっと、何するつもり!?」


 一言断りを入れてティアーヌの身体を左手で抱き抱える。

 さすがに俺の肉体は成人まで成長した身体なだけあって、女性一人を持ち上げるのは簡単だ。

 それ以前にティアーヌが軽すぎてちゃんと食事を取っているのか心配になる。

 いきなり身体を抱き上げられたせいかティアーヌが抗議の声を上げる。


「は、離してバルメルド君!駄目よ、私は……!」

「我慢してください!すぐ済みますから!」

 「え?貴方、なんで……」

「上空に跳びます!舌噛まないようにしてくだざい!」


 注意を促し両足にマナを込める。

 想像するのは普段よりも強く、普段よりも高く飛翔する風の魔法!


「風よ!より高く、ぶっ飛ばせェェェェ!!」

「ちょっと……うわぁぁぁぁ!?」


 足裏から強烈な風圧が生まれ俺の身体を上空に吹き飛ばす。

 民家を軽々と跳び超える。

 だがまだ飛距離が足りず、背の高い木々を抜けること叶わずに正面にバッドアイの群れが接近してくる!


「んなろ!!」


 突撃してくるバッドアイ二匹を足で踏みつける。

 落ちないように足を踏ん張り、もう一度足にマナを込める。


「風……よォォォォ!!」


 バッドアイを踏み台にもう一度風魔法で跳躍する。

 二度目でようやく空を遮っていた木々を飛び越えることに成功した!

 日が沈んだ空は暗闇に支配されており、眼下には森しか見えない。

 しかも跳び上がった足元からバッドアイの群れが追いかけてきて、赤い目の波が迫ってくる。


「バルメルド君、ここからどうやって降りるのよ!?」

「後で何とかします!それよりも、他よりも巨大な木か火の明かりを探してください!」


 両眼にマナを集中させながら答える。

 この眼ならどんな暗闇でも火の明かりを見逃すことはないはず!

 真下にバッドアイが迫る中周囲の森を見回し続ける。

 どっちだ!?

 どっちの方角にエルフの集落はある!?

 何度も視線わ動かして目的地を探す。

 まさかもうエルフの集落も悪魔によって消されてしまったのか……そう考えた時、


「バルメルド君、あそこよ!アレじゃないの!?」


 ティアーヌが指差し示す方向に向かって集中する。

 眼を細めて見据えると、森の一箇所に火の明かりが薄っすらと見える場所を見つけた。

 火の明かりの中央には見覚えのある巨木がある。

 限界まで眼を細め、両眼にマナを流してエルフがまだいるか確認を試みる。

 両眼に映ったのは、巨木に設置された見張り台からこちらを双眼鏡で覗く人物とエルフの青年!!


「見つけたァァァァ!!」


 エルフの集落がまだ存続していることを確認できて大喜びする。

 歓喜の声を上げながら、俺とティアーヌは再び魔物の待つ地上へと落下し始めるのだった。

 

もうすぐ秋アニメが始まりますが、皆さんはどんなの見ます?

僕は毎回全アニメとりあえず保存して後から追いかけるスタイルです。


次回投稿は来週日曜日の22時となります!

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