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【本編完結済】帰ってきた元奴隷の男  作者: いろじすた
アフターストーリー

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連続失踪事件 後日談 ①

 "連続失踪事件の容疑者捕まるも拘置所内で自決か!?"


 そう朝刊の一面を飾ったのは、連続失踪事件の犯人である宍倉兄妹の身柄を確保してから丁度半月が過ぎた今朝の事だった。


 これだけ世間一般を騒がせていた事件の容疑者が捕まったにも関わらず、公表までに半月もの時間を必要としたのには被害者が全て【憑依者(つきもの)】だったからだ。


 被害者達が一般人であれば犯人である宍倉兄妹は少年Aとして終結していただろう。それも、世界でも稀に見ない大量殺人として。

 だが、被害者達は既に魂を喰われて身体を乗っ取られた存在。

 謂わば、この世界に存在してはいけない者達なのだ。

 蓮達については、結果論ではあるがこの国の脅威となる【憑依者】共を駆除してくれたという事で大きな罪に問われる事はない手筈となっている。


 そんな訳で蓮達の処遇の決定まではそんなに時間は掛からなかったが、問題は被害者の殆どが身体の持ち主に成り代わって生活していた事が一番厄介だった。


 被害者の家族にはどう説明するんだから始まり、終いには【憑依者】を擁護する者達が出てきたりなどして結論に至るまでかなりの時間を要していた。

 ちなみに俺も何回か会議に参加し何度も同じことを説明しては質疑応答などの対応をした。もう、うんざりするほど……。


 そして、最終的に至った結論は【憑依者】である酒井岳史を蓮達の代わりに連続失踪事件の容疑者とする事にした。どの道、酒井は俺が処分する予定だったし、死人に口なしとはよく言ったものだ。

 

 被害者の家族にはどう説明するかは、まぁ、そこら辺はお上が上手くやってくれるだろう。


 蓮達については、やはりと言うか何と言うか国のお偉いさん達が我先にと手駒にしようと躍起になっていた。俺達には到底及ばないが、人外の【憑依者】をいとも簡単に葬れる存在だ。喉から手が出る程に欲しい人材なのだろう。


 本人達がそう望むのなら別にこちらからどうこう言うつもりはないのだが、蓮達に意思を確認したところ「咲太さんの下に置かせてください」と言うのだから、全力で応えてあげるのが俺の役目だろう。


 案の定、複数の老人達からは、新たな戦力を手に入れる俺達の存在を危険視するような発言を繰り返していたが、そんなの蓮達がいてもいなくても大して変わらないし、そんなに言うなら力づくで奪ってみる?と懇切丁寧に訪ねてみたところ誰も目を合わしてくれなかった。

 俺に対して不満を持っている人達はかなりいると思うからその内に怒涛を組んで何か仕掛けてくるかも知れないので取り合えず用心だけはしておく事にする。


 と言う訳で様々な協議の下、保護観察とまでは言わないが俺が責任を持って面倒を見るという事で落ち着き、蓮達はうちで預かる事となった。


 蓮達はまだ高校生なので一先ず高校を卒業してからうちで働くなり、進学するなりを決めてくれと言ってある。


 事態がひと通り収束したタイミングでずっと引っかかっていた事について確認する事にした。


 ――ランディスの事だ。


 蓮の容姿があまりにもランディスに似ている事についてハッキリしたかったのだ。

 なので、蓮達にランディスの事やピエロの晩餐の事を問うて見たが、知らぬ存ぜぬという反応だった。と言うものの、宍倉兄妹は母の手一つで育てられたらしく父親については、気にはなっていたが聞かされてもいないし聞いたこともないという。


 何の手掛かりも得られず終わるかと思いきや、葵が見せてくれた貯金通帳に記載された送金主の名前を見て鳥肌が立った。

 そこには、"タツミダンジ"と記載されていたのだ。

 ランディスの第一の眷属である巽鍛治である可能性が高い。

 そして、俺がピエロの晩餐を潰した月を最後に毎月続いていた送金が止まっているという事が大きな根拠となりうる。


 俺は、もう少し確信を得るためにとある人物と接触した。


「お久しぶりです。すみません、お呼びたてしてしまって」

「と、と、とんでもありません!」 


 俺の目の前で、滝の様に汗を流している強面の男。

 狭山組組長の狭山銀だ。


 蓮達に対する池袋界隈の暴力団の報復行為について気になったので、彼らと同じ穴の狢である狭山組長に情報収集をお願いしたのだ。


「それでどうでした? 宍倉兄妹と池袋界隈の暴力団の因果関係は」

「驚きました、服部さんの言っていた通りでした」

「やっぱりピエロの晩餐が?」

「はい、ただ、宍倉兄妹というよりもその母親の宍倉雫がピエロの晩餐の庇護下であったため、自ずと兄妹達にも手が出せなかったそうです」


 雫って……。

 ランディスの手記によると、たしか、ランディスが愛した女性の名前も雫だった。


「それにしても、ピエロの晩餐ってそんなに脅威的な存在なんですか?」

「奴らに逆らって消えた組織は数知れない。裏の世界に脚を踏み入れた者として絶対に敵に回しちゃならない存在です」

 くわばらくわばらと言って肩を震わせる狭山。

「話を戻します。という事はピエロの晩餐がいなくなった事で遠慮する必要がなくなったという事ですね」

「はい、その通りです。それにしても、ピエロの晩餐はどうして急に消えたんですかね。かなり巨大な組織だったのに」

「因みにピエロの晩餐が消えたという事はどうやって知ったんですか?」


 ピエロの晩餐は俺が潰した。

 それは間違いないのだが、この事が公表されているわけではない。

 それに、ランディスの眷属達はランディスの命が絶えたと同時に塵になって消えたはずだ。

 いや、待てよ?

 ピエロの晩餐は、巨大な組織だ。

 そんな巨大な組織の組織員全員がランディスの眷属だったとは考えにくい。


「もしかして、ピエロの晩餐の生き残りがいるんですか?」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

終わりませんでした、まだ続きます!

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【余命幾ばくかの最強傭兵が送る平凡な生活は決して平凡ではない】 https://book1.adouzi.eu.org/n8675hq 新作です! よろしくお願いします!
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