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18 ユーインの休日と子ども達3

ユーイン視点→ヴィンス視点









 ユーインはそれぞれの地域を守っている頭達に次はないと告げてからその場を後にした。

 帰る途中、ユーインは懐かしい場所に立っていた。

 その昔、彼がスラム街の子ども達をまとめていたあの頃。

 下っ端が違法奴隷商人に捕まりそうになり、それをかばって自分が捕まった。

 そして無理やり馬車に乗せられそうになったところを若き日の若に救われた。

 ここが初めて若に出会った場所だ。


 その日をユーインが忘れる事はない。


 彼はフードを目深に被り、スラム街を出て行った。






 次の日。

 いつもの様に副執事長室の仕事をしていると部屋をノックする音が聞こえた。


「ランドルです。手紙をお持ちしました」

「どうぞ」


 ランドルが部屋に入るとほっとした様な顔を浮かべた。


「おはようございます」

「おはよう。昨日は何かありましたか?」

「あ。昨日はバーナビーさんがいたので驚いただけです。あと、今度皆で魔道具を買いに行く事になったんです」

「あぁ。それはいいですね」


 子ども達の防犯用にこちらで買おうか迷っていたが解決していた様だ。


「ユーインさんは昨日昔なじみの方に会うって伺いました」

「……それは、どなたから?」

「バーナビーさんです。飲んできたのでしょう?」

「いえ……飲んでくると帰宅がかなり遅くなるので。夜でしたが早めに帰宅しましたよ」

「あ、そうだったのですか。夕食の席にはいなかったのでてっきり……」

「夕食は要らないと言ってしまったので街で食べました」

「あ、なるほど。街って事は……もしかしてルシールの予想が当たったのかな?」

「予想?」

「ユーインさんて休みの日に部屋で本を読むくらいしか浮かばなかったのですが、妹は違いまして」


『きっとユーインさんはネルさんにアクセサリーを贈るためにそう言ったんじゃない?』


「って言っていたのですよ」


 するとユーインは椅子から立ち上がり信じられない言葉を発した。


「あー! ヤベェ忘れてた。まっず。次の休みはいつだ! 誰かに変えてもらわねーと」


 そう言ってからユーインは我に帰った。

 目の前には口を開けて固まってるランドルがいた事を。

 普段ユーインは丁寧な口調を心がけている。

 なので乱暴な口調のユーインを見るのは初めてだったのだろう。

 ユーインはここでは何も見なかった事を約束させ、ランドルは首をカクカクと動かした。











 数日後。

 魔道具を買いに行く子ども達の引率の中になぜかユーインがいた。

 皆、聞いていなかったらしく引率する騎士とヴィンスを戸惑わせたが、自分も魔道具屋に用事があるからと一緒に来る事になった。

 魔道具屋に着き各々が魔道具を選んでいる中、ユーインは店主のドウェインと相談していた。


「金貨五枚くらいのアクセサリーを見せて欲しいのですが」

「金貨五枚ですか。……先日お買い上げになったバーナビーさんより少ないですね」

「金貨十枚で」

「はい。ただ今お持ち致します」


 確かバーナビーさんが使った金額は金貨四枚だったはず。

 あとで思っていた以上にぼったくられていた事に気づいて食堂でグチってたっけ。

 これ、言った方がいいのかな?


 ちらりと引率の騎士を見ると彼もそれに気付いたらしい。

 しかしすでにユーインの前にはアクセサリー型の魔道具が運ばれ吟味していた。


 どうしよう。


 二人がそう思うと店主は子ども達の方に近づいてきた。


『どれがいいかな?』

『ルシールは軽いやつね』

『これなんかいいんじゃないか?』

「あの……貴方方は?」

「あ、僕達の妖精です」


 ランドルが答えるとドウェインは妖精をじっと観察していた。


「はぁ……妖精ですか。とても愛らしいですな」

『愛らしい……褒められたのかしら?』

「うん。かわいいって」


 するとレモンは嬉しいのか両頬を照れた様に押さえる。

 その姿はとても愛らしかった。


「貴方方は話せるのですか?」

「はい。契約しているので」

「素晴らしい。何十年魔道具屋を開いておりますが妖精を見るのは初めてです。これはお礼を言わなければなりませんね。創作意欲がわきました。貴方方がお買い上げした商品を割引させていただきます」

「割引!?」

「特別ですよ」

「それってランドル達だけですか?」

「貴方方もですよ。次からはしっかり払ってくださいね」


 やったーと喜ぶ子ども達。

 自分達もまけてくれるそうで内心嬉しかったものの、ドウェインのユーインへの態度は変わらなかった。


「橙の石と水色の石を見せて欲しい」

「割り増しになりますが?」

「構わない」


 いや、それきっとぼったくられてるから。


 しかし真剣な眼差しのユーインに二人は何もいえなかった。

 割引と聞き喜ぶ子ども達と予想以上の出費のユーイン。

 天国と地獄を見ている様だと戦々恐々としていたのは言うまでもない。



ユーインは高額のアクセサリーをネルにプレゼントする様ですね。

ネルは幸せ者です。

値段聞いたらガクブルしそうですが。


ユーインが作中でやった事はあくまでも演出なのでマネはしないでください。

現実でやったらダメ、絶対!

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