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夏祭り


更新遅れてすみません。大変お待たせしました。

本日より再開します。他作品も再開しました。


あらすじ──夏休みに入り、湊は幼馴染の桜、友人の中嶋、まさき、エマ、朱里と共に旅行に出かけた。その旅行もついには最終日を迎え、夏祭りに訪れた。



「へえ、マツリのための着付けもあるデスねぇ〜」


 旅行最終日は、みんなで夏祭りだ。

 屋台が並ぶ街並みを僕たちは往く。


「規模はあんまり大きくないって聞いてたけれど、結構本格的ね」


「オミコシわしょーいしたいデス!」


「わっしょい、ですよ?」


 4日目ともなればみんな体力的にはきつくなってくる頃かと思ったが、みんなウキウキとはしゃいでいるようだ。


「どうせなら浴衣来てくればよかったかな」


「さすがに荷物多すぎだろ? また次来るときにはそうすればいいじゃねぇか」


 僕の何気ない呟きに、中嶋はそう言ってくれた。

 また次……か。うん。いいね。

 僕も彼らとはできる限り長い付き合いでありたいと、そう思う。


「お、見ろよ湊。クジ引きがあるぞ」


「やめなさい。あれは当たりなんて初めから入ってないわよ」


「マジか!」


「えっと……多分そうだと思います。出るとしても、何百枚って量のくじを買ってから、新しくBOXに追加された分の方に入ってるんだと思います」


 僕もクジの実態はよく分かっていないけれど、朱里が言うと何となく真実のように感じてしまう。


「商売の邪魔しちゃいけないし、この話は終わろっか」


「花火までは後1時くらいあるわね。見るなら近くの土手がいいらしいわよ。とりあえず、それまでは食べ歩きでもする?」


「そうだな、それがいいんじゃね?」


「おう。じゃあ、手分けして買い集めるか? 俺、焼きそばパン係やるぜ?」

 

「止めとけって。お前すぐ迷子になるだろうが」


 中嶋は本能で生きているようなものなので、気が付くと消えていたりする。それを誰よりも知っているだろう、まさきが渋い顔をしながら止めに入る。

 まさきは中嶋の彼女でありながら、保護者でもあるのかもしれない。


「ハヤくいきまショー! おマツリは、歩くダケでも楽しいデス!」


 キョロキョロと落ち着かない様子のエマは目を輝かせながら急かす。

 そんな彼女につられるようにして、僕達は人混みの中を歩き出す。


「かき氷発見! 行くぞ湊!」


「えっ、おい!」


 中嶋が僕の腕を引っ張り人混みを抜けていく。


「どれにする!? どれにするっ!?」


「うーん。イチゴかなあ」


「なるほど。じゃあ、俺はメロンにすっかな──おじちゃん、イチゴとメロン1つずつ下さい!」


「へいよ、少々お待ちー」


 ガリガリと氷が削られ、山盛りのかき氷ができていく。


「すげぇ、氷なのに! まだ氷なのに美味そうに見えるぜ!」


 確かに。シロップの掛かってないかき氷って、ただの氷だもんな。でも、細かく削られたそれを見てるだけで美味しそうに感じてしまう気持ちはよくわかる。


 やがて、たっぷりとシロップの掛かったかき氷が手渡される。値段の割に結構な量だ。


「うめええぇ!」


 隣で騒がしく吼える中嶋を尻目に僕も一口。


「んー!」


 キンと冷えていて、美味しい!


「なあ、湊のも一口くれよ」

 

「いや、味一緒だから」


「シケたこと言うなよ。湊だって、『かき氷のシロップは香料と色が違うだけで味は同じ』って知識を得るまでは、別の味だと思ってた派の人間だろ? 時々鬼の首を取ったようにその知識をひけらかす奴もいるけどよ、知識がなきゃ気付けない時点でそれは立派に『味』としての役割を担ってるって思うんだよな。俺なんてその事実を知ってなお、別の味として楽しむ心の広さを持ち合わせてるぜ?」


「……随分と言葉を尽くしてくれてありがとう。えっとほら、一口食っていいよ」


 僕は自分のかき氷を1口分掬って中嶋の口へと運ぶ。


 どうやら中嶋にはかき氷に対して並々ならぬこだわりがあるらしい。僕の負けだ。ごめんなさい。


「ちょっ、アンタたち、何勝手にいなくなって、何勝手にイチャイチャしてるのよ!」


「桃原さん、その言い方だとイチャイチャするのに桃原さんの許可が必要になるみたいですよ……」


 朱里のツッコミは相変わらず斬新だなあ。


「勝手にはぐれないで!」と怒るまさきに、中嶋がかき氷を食べさせる。この二人はいつも、さり気なくイチャイチャするよなあ。


「ほら、ツギいきマショう?」

 

 いつの間に買ったのか、お面や綿菓子で両手の塞がったエマがまたもや急かす。


「よし、行こっか」


 ……ああ、楽しいなあ。


他作品も連載再開しました。

よろしくお願いします。

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