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悪役令嬢モノの王子に転生したので知識チートで令嬢たちを幸せにします  作者: 鳴島悠希


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あとがき&キャラについて

『悪役令嬢モノの王子に転生したので知識チートで令嬢たちを幸せにします』にお付き合いくださり、ありがとうございました。


ここでは、各キャラクターの設定やコンセプトなどを簡潔にまとめます。気が向かれた方は目を通していただけると幸いです。


* * *


本作は、過去の反省を踏まえ、まず以下のコンセプトで物語を組み立てました。


① メインキャラクター数を抑える

当初より、主人公ヴァリスとヒロインとなる三人の令嬢――レイナ、ミリア、フェリル――の計四人を物語の中心に据えました。この四人で物語が回るよう、各人に強い個性を付与しています。


— ヴァリス

主人公であり、古代魔法(アーカイブアーツ)を得意とする学者肌の王太子。物語を強引に牽引する「主役」ではなく、親友ポジション的な造形を意識しました。

これはハーレム題材において「ケレン味」が出過ぎないようにするためです。

言い換えれば、純愛要素を押し出しつつも、ハーレムである事実が邪魔にならないよう、行動・言動を読者目線に近づけ、納得感を得やすいキャラ造形を目指しました。


— レイナ

タイトル通りの「悪役令嬢」モチーフでメインヒロイン。

純愛路線のヴァリスがハーレム環境へ移行する説得力を持たせるため、いわば「男にとって都合の良い彼女」としての吸引力=ハーレム誘因の原動力という役割を担います。ただし、それだけでは悪役令嬢要素が無くなるため、当初から本作の“悪役”としてヴァリスと最終的に敵対する設定に。四大魔法のうち禁忌の異端魔法(ヴァルコード)を司らせ、行動理由の説得力のために母ローラの設定が生まれました。


— ミリア

乙女ゲームにおける「ヒロイン」ポジション。

初期は明るいムードメーカー像でしたが、盛り込みの結果“重い”キャラに。

ただ、物語全体を回す役として機能し、ヒロインの面目躍如となりました。

ハーレムという事実への違和感を減らすため、ヴァリスへの想い以上にレイナへの想いが深い――百合要素の見え隠れも意図的です。

司るのは神聖魔法(ディバインアーツ)。終盤の創世神降臨(コール・ゴッド)からの聖戦(ジハード)行使は、本作屈指の見せ場になったと思います。


— フェリル

乙女ゲームにおけるヒロインの親友ポジションからの「転生令嬢」を意識した造形。担当魔法は消去法で精霊魔法(スピリットアーツ)に決定し、ならばと、グループSNE様『ソード・ワールドRPG』(フォーセリア)オマージュで複合精霊アトン――もといアモン――を操るチート枠に。

タイトルの「知識チート」の源泉でもあり、元となったWeb小説の創作者という設定も付与。

盛りだくさんですが、存在感は他二人より一歩引かせたのは正解だったと思います。

なお、レイナとフェリルのどちらをメインヒロインに据えるかは連載開始直前まで悩み、短編で人気のあったレイナに決めました。


② ストレス源となる男性キャラは登場させない

ジュブナイル系の約束事として、主人公ヴァリスと張り合う男性キャラは基本的に登場させず、いわゆる「ストレス展開」を極力避けました。ストレスなしでカタルシスをどう表現するかを本作の目的に据えたためですが、結果的に困ることはありませんでした。


③ 設定で愚かにしたキャラクターを登場させない

②と関連する話となりますが「愚かさ」を演出して主人公側を引き立てるのは王道の手法ですが、物語が冗長化する懸念があり、自分の筆では上手く活かせないと判断し除外。

結果として(作中では)有能な人物ばかり――しかもおっさん多め――になり、モブ側の個性は薄くなったかもしれません。


④ 序盤の伏線と終盤の回収を盛り込む

作者の癖でもあり、これをやらないなら長編である必要がない、というくらいの思い入れで散りばめました(特にレイナ絡み)。無理のある伏線も我ながら幾つかありましたが、回収は概ね上手くいったと自負しています。


⑤ バトル要素は控える

バトル物は大好きですが、本作では展開が伸びて「知識チート」という主題がぼやける懸念から削減。

最終局面に一定のバトル要素を用意していたため、全体のメリハリのためにも抑制しました。

その副作用で会話劇中心となり、1話あたりの分量確保には苦労しました。


⑥ 好きな作品のオマージュを入れる

「それはもうパクリでは?」と言われれば返す言葉もありませんが(笑)、魔法設定は前述の通りグループSNE様『ソード・ワールドRPG』を参考に。

また、神と魔族の関係性などはMMORPG『マビノギ』の要素を含みます。

これらを含む設定の多くは、カクヨムで全年齢連載中の拙作『ワーロックガーデン』で細密化したものを流用。

今後のファンタジー作品でも同設定を継続使用する予定です。

魔法名はほぼソード・ワールド準拠ですが、ルビは若干オリジナル風味に(たとえば 古代魔法(アーカイブアーツ) はルビからすれば“記録魔法”が正しいのですが、多くの方がイメージしやすいよう漢字名は「古代魔法」のままにしました)。


⑦ その他、脇役のキャラクターについて


■ アルスとミナ

ヴァリスの父母で、本来なら「婚約破棄をした王子」と「ヒロイン」ポジション。母ミナは神聖魔法(ディバインアーツ)の使い手という設定を差し引いてもミリアに非常によく似ています(それがレイナのミリアへの羨望にも接続)。

アルスは王道ファンタジーの主人公然とした造形で、最終戦へ向けた高揚感の演出に寄与しました。


■ ローラとライヴェール(アグレイア侯爵)

伏線回収の要がレイナの母ローラ。テンプレ理解が深いほどローラを疑ってしまう、という空気を意図しました。

ローラのライヴェールへの想いと、その真実を知ったライヴェールの悔恨は、主人公たちを差し置いて本作屈指の純愛&泣きポイントだと作者は思っています。


■ エルフェイン公爵(ミリアの父)/ロズハイム公爵/バルムート公爵

王国貴族の御三方。エルフェイン公はクセがなく、物語進行の潤滑油として活躍。

ロズハイム公は内政チートの相棒的存在。

戦闘の少ない本作におけるバトル要員バルムート公は、実はアルスやライヴェールの剣の師でもある、という裏設定がありました。

ちなみに元のノクターンノベルズ側ではエルフェイン公爵をずっとエルファリア公爵と間違えたまま突き進み、そっちを正にしてしまい、全年齢版の際に修正したという裏話があります。


■ 復讐の女神モリガン

『マビノギ』オマージュもあり、当初から「レイナに宿る魔族=モリガン」と決めていました(悪役令嬢に復讐はつきもの、というメタ)。

ただし主軸ではなく、復活のため影響を周囲に撒く“舞台装置的な悪役”。

全体として後半における母ローラへ疑いを向けるためのミスリード要素です。

作中では蛇足になるため詳細説明は省きましたが、封印の弱まりに乗じて意思の宿る腕輪を複製・拡散し、強い想いを増幅させ異端魔法(ヴァルコード)発動と封印解放を狙っていました。

その一つを得たローラが腕輪に想いを増幅され、残留思念を遺し、幼少のレイナへと影響……という構図です。

精神操作の設定はありますが、封印下では認知の歪みを招く程度の干渉。

レイナも幼少期に母の婚約破棄の話を知って以降、モリガンの影響で「母が王家を恨んでいた」と誤認するに至りました。

なお、子を無事に産ませる力はモリガンにありませんのでレイナの誕生は、ローラの懸命さと奇跡、そしてライヴェールの健やかな体あってのものです。


* * *


ノクターンノベルズでの連載版から大人向け要素を削った本作ですが、楽しんで頂けたら幸いです。


では、このあたりで……ありがとうございました!


2025年9月23日 悠希

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