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ヤバい奴が異世界からやってきました  作者: Puney Loran Seapon
第7章 新潟市西区~中央区
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第7章閑話

「お待たせしました、ここです」

「ここが、ミヤビの家……」


 六月二十一日、午後六時二十四分。


 新潟市中央区紫竹山二丁目。


 そこに、束音雅の家がある。白い外壁で洋風モダンな、二階建ての住宅だ。


「全く……戦闘が終わったばかりだってのに、何で歩いてここまで来なきゃならないのよ。絶対電車使えば楽だったのに」

「まぁさがみん、そう言わないで下さい。ちょっと色々事情があるんですよ」


 ちらりとレーゼを見てから雅は、不満そうな顔の優に言う。


 レーゼにとって、見るもの全てが初めての物。ここに来るまでの間も、ずっと辺りを興味深そうにキョロキョロとしていた。


 アーツをぶら下げた、スカイブルーの髪の美少女がそんな行動をしていれば、多少なりとも目立ってしまう。そんな中で公共の乗り物を使おうものなら、ちょっとした騒ぎになるかもしれない。そう思った雅は、到着まで一時間ほど掛かるのを承知の上でここまで徒歩で来たのだ。


「私の家より大きいかも」

「そうですか? 多分同じ位の広さだと思いますが……」


 言いながら、雅は玄関のドアノブを捻る。


 開いたドアを見て、レーゼが眉を寄せた。


「ちょっとミヤビ、無用心じゃない。鍵をかけてないなんて……」

「生体認証で自動的に鍵が開く仕組みなんです。だから大丈夫」

「セータイニンショー?」

「まぁ……魔法みたいなものですね」

「あぁ成程。納得」

「…………」


 雅とレーゼの会話に、優が目をパチクリとさせる。


 2221年のこの世界おいて、生体認証式のロック解除など珍しくも何とも無い。家の戸締りに鍵を使う文化は、とうの昔に消え去ったことだ。今の雅の行動に疑問を持つこと自体、おかしな話なのである。


 もしやこういった技術が全く無い発展途上国から来たのかと失礼な想像をしてしまった優だが、それにしては身に着けている服も品質が悪そうには見えない。


 日本語が流暢な割に、ここまで歩いてくる最中、挙動不審にキョロキョロとしていたのも疑問だ。日本慣れしているようには見えず、偶に交通ルールを知らないのかとさえ思った場面もあった。


 雅が「詳しいことは家で話す」と言っていたのでここまで黙っていたものの……彼女は一体何者なのかと、優は首を傾げる。


「ささっ! 入ってください!」


 雅が玄関に足を踏み入れると、柔らかい灯りが室内を照らす。


「……お邪魔します」

「あ、私の鞄! さがみん、持ってきてくれたんですね!」


 緊張しながら雅の家に上がるレーゼを余所に、雅が壁際に置かれた黒い学生鞄を見て驚きの声を上げる。


「まぁね。あそこに置きっ放しじゃあれだったし」

「いやー、助かります! あれ無くしていたら大変だったし……うわ、一杯通知来てる……って、おや?」


 鞄の中には雅のULフォンが入っている。雅が左の人差し指を空中でスライドさせると、愛理から『Comu』――ULフォンにプリインストールされているチャットアプリだ。一昔前に存在していたモバイルメッセンジャーアプリケーションのような物である――による連絡が入っていることに気がついた。十数分前に送られてきたものだ。


 確認すると、


『相模原は、君のことをずっと探していた。再会できて一番安心しているのは彼女だろう。私達への連絡は後で良いから、今日は一緒にいてやって欲しい』


 ということだ。


 やはり他の皆を送り届けると申し出たのは、気を遣ってくれたからなのだと分かると、雅の心も温かくなる。


「あなた、雅の家に入ったの? セータイニンショーっていうので鍵が掛かっているんじゃ……」

「ん? ああ、私はちゃんと『登録』してるからね。出入り自由よ」


 優の言っている意味が分からず頭に『?』を浮かべるが、とりあえずレーゼは「ふーん」と曖昧な返事でスルーする。


 玄関の横には小さな装置があり、住んでいる人の生体情報が登録されている。登録した人物がドアノブに触れるとロックが解除される仕組みになっているのだ。優が今言った「登録している」というのは、この装置に自分の生体情報を登録している、という意味である。


 遥か昔の日本で言えば、要は合い鍵を持っているものだと思えば良い。


「……靴、ちゃんと脱ぐんだ」

「え? 何かおかしかった?」

「えっ? あー……ううん、何も問題無い。無いんだけど……」


 こういうところは、ちゃんと日本の文化を知っているのかと驚いて思わず呟いてしまった優。レーゼに関する謎はますます深まるばかりだ。


「日本以外に、靴を脱ぐ文化なんてあったかな……?」

「さがみん、カナダとかノルウェーは、家の中で靴を脱ぐんですよ」

「へー」


 となれば、レーゼはそこら辺の国の人なのだろうか……と見当違いの予想をする優。まさか彼女が異世界の人間だとは思う由も無いが……まぁ当然と言えば当然である。


 そしてリビングに案内される優とレーゼ。二人がテーブルにつくと、雅はお茶を取りに、リビングを出る。


「……どうかしたの?」


 レーゼは家に入ってから、何かが気になるようで忙しなく視線を動かしており、不思議に思った優がそう尋ねた。


「……いえ。ミヤビ、二ヶ月近く家を留守にしていたのよね? その割に、家の中が随分綺麗に見えるから。もしかして、ミヤビがいない間、あなたが掃除していたの?」

「……ううん。普通に、クリーニング機能のお陰だと思うけど」


 家の床や壁、家具等には特殊なコーティング処理が施されており、液体を零したりしてもシミになることは無い。さらに抜け落ちた髪の毛や埃等のゴミは、静電気の力で自動的にゴミ箱へと捨てられるようになっている。


 過剰に物を散らかしたりしなければ、毎日掃除なんてしなくても家の中は綺麗に保たれる。それが、この世界の住宅だ。


「へ、へー……そうなのね。この国に来てから、驚くことばかりだわ」


 レーゼは下手なことを言ってしまったと心の中で反省するも、後の祭りである。


「……ずっと気になっていたんだけど、レーゼさんってどこの国の人?」


 堪らず、優はずっと曖昧にされている謎に切り込む。


 レーゼの顔は、初対面の優でさえ分かるくらいに強張っていた。


「みーちゃんとはどういう関係? あの子、今までどこにいたの?」

「あー……それは……」


 よもや正直に話をしたところで信じてもらえるかは分からないが、かといって他に何と答えれば良いかも分からない。


 答えに困窮するレーゼに、いよいよ優の目も険しくなって来た頃。


「いやー、ごめんなさい二人とも。自分の家が久しぶり過ぎて、どこに何があったかすっかり忘れちゃって……あれ? 何かありました?」


 救世主が現れ、レーゼは思わず安堵の息を吐く。


 白いカップとティーポットが乗ったお盆を手に、雅が戻ってきたのだ。


 優の剣呑の目が、レーゼから雅へと移る。


「みーちゃん……取り合えず、事情の説明よろしく」


 話してくれるまで逃がさない――そういった雰囲気を出す優に、雅も覚悟を決める。


 どのように説明するか、ここまで散々頭を悩ませていたが……正直に話すしかない。優は大事な親友なのだ。異世界に転移してしまったことで、随分心配も掛けてしまった。


 そんな彼女に対し、嘘や誤魔化しを駆使してその場をしのぐのはあまりにも不誠実だ。


「ええ。勿論。少し長くなりますし……頭を疑われるかもしれないですけど、心の準備は良いですか?」


 雅の問いかけに、優が力強く頷く。


 本当に大丈夫なのか、と不安そうな視線を投げかけてくるレーゼに雅はサムズアップをして、雅は紅茶の入ったカップを配る。


「さがみん、改めて紹介しますね。この人はレーゼ・マーガロイスさん。ノースベルグに住んでいるバスターです」

「ノースベルグ? え、何? 国の名前? 何かヨーロッパっぽいんだけど……」


 優の疑問を余所に、砂糖もミルクも入っていない紅茶に口をつけてから、雅は語りはじめた。


 自分が今まで、異世界に行っていたことを。



 ***



「――というわけで、今に至ります」


 途中、レーゼの補足が入りながらもようやく説明が終わる。


 ティーポットの中に入っていた紅茶は、空っぽだ。


 時刻はもう、九時を回っている。


 そして、肝心の優といえば――


「そうかぁ……異世界かぁ……そりゃ見つからないわけだ」


 二人の不安を余所に、意外にもすんなりと雅の話を受け入れていた。


「……え? 本当に信じてる? 私が言うのも難だけど、中々信じがたい話だと思うんだけど……」

「いや、最初はみーちゃんの頭がついに逝っちゃったのかなって思ったんだけど……」

「さがみんっ?」

「レーゼさんが異世界から来たって聞いて、浮かんでいた疑問が全部納得出来る形で解決したっていうか……変な行動の理由が分かったから、信じられたのかも。まあそれと――」


 優はそこで言葉を切ると、雅の方に視線を向ける。


「この子とは付き合いが長いからねぇ……。正直に話をしているのは分かるよ。まぁそれでも、まだ頭の整理はついていないんだけど……」


 細かい話は置いておいて、雅が今まで異世界に行っており、そこにもレイパーがいて、そいつらと戦いながら旅をしている内に、なんやかんやで元の世界に戻ってこれたということは理解した優。


「信じてくれて助かります。そう言えばレーゼさんも、私が別の世界から来た人間だってすぐ信じてくれましたよね」

「私の世界に、こんな物は無かったもの」


 レーゼが、雅の右手の薬指に嵌っている指輪を差してそう答える。


「あ、成程。それでレーゼさん、ここに来るまでずっとアーツを出しっ放しにしてたんだ。てっきり、いつレイパーが襲ってくるのか怖くて出したままにしているのかと思ってた」


 一度レイパーに襲われ死ぬような目に遭った人等は、アーツを指輪にしまわず、常に肌身離さず持っている人も僅かながら存在する。レーゼもそういう類の人かと思っていた優。


「しまえる物なら私もしまいたいわ。腰にぶら下げていると、動く時偶に邪魔になるもの」

「そう言えば、レーゼさんは収納の魔法とか使わないんですか? ミカエルさんがそんな感じの魔法を使っているところを前に見たことがあるんですけど……?」

「便利そうだと思って昔勉強したんだけど……習得出来なかったのよねぇ……」


 誰でも使えるような魔法もあるが、才能と努力の両方を要求されるものもある。収納の魔法は後者だった。


「それにしても、異世界にまでレイパーっているんだ。あれ? もしかして、今日私達を襲った奴らって……」

「倒した奴らなら、多分異世界のレイパーですね。魔法陣から出てきたって言っていたから……」


 雅の知る中で、魔法陣を用いてレイパーを召喚するのは魔王種レイパーのみである。状況的にも、異世界のレイパーと見て間違いないだろう。


「あー……言われてみると、ちょっと見た目とか雰囲気が、私達のよく知るレイパーと違ってたかもしんない」

「私も最初見た時、なんかファンタジーっぽい見た目だなぁって思いました。世界が変わると、ちょっと違いが出るものなんですねぇ」

「じゃあ、最初に私達を襲ったレイパーも、異世界からやってきた奴なのかな?」


 黒猫顔のレイパーを思い出しながら、優は首を傾げる。あのレイパーは、これまで彼女が戦ってきたレイパーの中でも、特に不気味で異質な存在だった。異世界からきたのだと言われれば、納得がいく。


「……あなた達が最初に戦っていたというレイパー、私達は見ていないのよね。流石に判断が出来ないわ」

「写真撮っておけば良かったなぁ……。あ、もしかすると愛理なら撮ってるかも。今度聞いてみよ」


 そう呟いた後、話が少し逸れてしまっていることに気がついた優は、本題に戻すべく軽く咳払いをする。


「あー……それで、二人は今後、どうするつもりなの? みーちゃんの目的は……」

「ええ。こっちの世界とあっちの世界、両方に存在するレイパーを全部倒して……皆が明るく、前向きに生きていける未来を創るつもりです。でもそれには二つ必要なことがあって……多くの仲間と、両方の世界を自由に行き来出来る方法を探しているんです」

「それで、レーゼさんが仲間の一人だ、と……」

「私とミヤビがこうして異世界間を移動出来ているから、二つの世界を行き来することもきっと出来るはず……。これもあるし」


 そう言うと、レーゼは椅子の横に置いていた鏡を、テーブルの上に持ってくる。


 魔獣種レイパーと戦っている時、この鏡が発光して雅とレーゼはこの世界に来た。つまりこれを調べれば、二つの世界を移動する手掛かりが見つかるかもしれないのだ。


「いきなりこっちの世界に戻ってきたので、これからのことはまだ何も決めて無いんですけど……折角なので、この世界の科学力で、この鏡を調べてもらおうかなって思ってます」

「後は、あの魔王みたいなレイパーを仕留めないと……。放っては置けない」


 自分達がこの世界にいるのなら、魔王種レイパーもいるはずである。魔法陣の存在からもそれは明らかだ。今は大人しくしているようだが……多くの犠牲者が出る前に、見つけ出して倒さなければならない。


「あいつを倒すなら、私とレーゼさんだけじゃどうにもなりません。一緒に戦ってくれる仲間を集めなきゃ。それで、さがみん――」

「……あー、もう。分かったって。協力するわ」

「っ! やった! ありがとうさがみん!」


 しょうがないなぁ、という風を装っていても、雅に頼まれ内心嬉しい優だ。難なら、その誘いが何時来るのかと待ち侘びていたくらいである。


「簡単に承諾したけど、大丈夫なの?」


 だが、それに異を唱える者がいた。


 レーゼだ。


 協力者は多い方が良いとは言え、実力の無いものは足手纏いになる。


 レーゼは優の戦っているところをまだ見ていない。それ故、少し不安だった。


「これでも、みーちゃんを探す間にたくさんレイパーと戦ってきた。そこらの大和撫子とは違うわ」

「ヤマトナデシコ? あぁ……こっちの世界じゃ、アーツを持って戦う人のことをそう呼ぶんだったわね」

「日本じゃ大和撫子だけど、国によって呼び方も変わるわね。レーゼさんの世界じゃ、バスターって言うんだっけ?」

「さがみん、バスターっていうのは、こっちの世界で言うところの警察みたいなこともする人達なんですよ。ところで、一応今後、私達が何をしないとなのかをまとめると……」


 話がごちゃごちゃしてきたので、整理するために雅は空中で指をスライドさせると、空中に大型のウィンドウが出現する。設定を変え、全員がそのウィンドウを見れるようにすると、今後の行動について次のようにまとめた。


『二つの世界を自由に行き来する方法の手掛かりを掴むために、異世界から持ってきた鏡を調べる』

『一緒に戦ってくれる仲間を増やし、なるべく多くのレイパーを撃破する』

『魔王みたいなレイパーは要注意。戦力が充分整い次第、撃破する。それまでは決して無理はしない』


「取り合えず、こんなところでしょうか。……おや、結構話しこんじゃいましたね。もう遅いですし、難しい話は終わりにしましょう。レーゼさんはしばらく私の家で暮らすとして……お風呂、沸かさなきゃ」

「ちょ、ミヤビ……いいの?」

「ええ、勿論。向こうじゃお世話になりましたからね。この世界にいる間は、私の家を使ってください」

「……ありがとう、ミヤビ」

「さがみん、今日は泊まっていきますよね?」

「うん。まだ話したいこともあるし……」

「じゃあ決まりですね! 夕食は……今日は疲れましたし、手を抜いてしまいましょう。確か冷食がいくつかあったはず……」


 お風呂だの夕食だなという単語を聞いていると、大変だった今日が終わりに近づいてきたのだと実感するレーゼ。


 肩の力が抜けると、どっと疲れが押し寄せてくるのだった。



 ***



 簡単な夕食を終えた後、優とレーゼは雅の部屋にいた。雅は入浴中である。


 雅は二人と一緒に入りたいと駄々を捏ねたのだが、一緒に入れば最後、嵐のようなセクハラが来ることなど目に見えている。当然優もレーゼも頑なに拒否し、それでも説得を試みる雅は、強制的に風呂場へと放り込まれてしまった。雅は「なんでですかー!」と文句を言っていたが、文句を垂れつつも最終的には一人寂しくお風呂に入ることに決めたようである。


 ベッドの上に座る優と、机の椅子に腰掛けるレーゼ。二人の間に、会話は無い。何を話せば良いか分からないのだ。


 が、流石に沈黙に耐え切れず、優の方から話しかける。


「レーゼさん、向こうじゃみーちゃんと暮らしてたんですよね?」

「ええ。一ヶ月くらいだけど」

「大変じゃありませんでした? ……セクハラ的な意味で」


 流石親友。友人の行動をよく理解しているものだと、レーゼは苦笑いを浮かべる。


「寝ている間に裸で抱きつくわ、ボディタッチは多いわで……まぁ色々あったわね」

「いなすにはコツがいるんですよ。今度教えます」

「ありがとう。それにしても、ミヤビはこっちでもそんなんなのね。初めて会った時も、いきなり抱きつかれてお尻とか触られたわ。『これが私の世界の挨拶です』って」

「……ちょっとキツめに叱っておきます。何かすみません」


 あの子は一体何をやっているのか、と頭痛を抑えるような仕草をする優。


「違うのよね?」

「国によっては、ハグとかキスはするみたいですけど……セクハラはしませんから」

「キスとかはするのね……」

「するにしても、多分ほっぺにですけどね。それにしたって初対面の人にはしないと思うんですけど……」


 そんな話をしている時だ。


 突如、部屋の戸が開く。


「さがみーん! レーゼさーん! やっぱり一緒に入りましょーよー! 一人じゃ寂しいですー!」

「ちょ、ミヤビ! 服っ!」

「せめて体を拭け!」


 びしょ濡れで素っ裸の雅が、隠さなければならないところも隠さず二人へと近づいていく。


「ああああ濡れる濡れる、部屋が濡れちゃう!」

「ふはははは! 止めたければ私と一緒にお風呂に入るが良い!」

「ええい分かった分かった! 一緒に入ってあげるわよ全く……」

「わーい!」


 優から了承を貰った途端、雅は万歳をしながら風呂場へと戻っていった。


 そんな彼女の背中を見ながら、レーゼが口を開く。


「……大丈夫なの?」

「……度が過ぎるようなら、拳骨で」

「……分かったわ」


 やれやれといった様子で、二人もパジャマや下着を持って雅の部屋を出る。


 何故雅の家に、二人に丁度良いサイズの着替えがあるのか……優はともかく、疲れていたレーゼはこの時、特に気にもしなかった。


 結局、入浴中に二人にセクハラしまくった雅が、鉄拳制裁を受けたことは言うまでも無い。

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