表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/669

第6章閑話

 静かな水の音が響く、とある場所にて。


 そこに、二人の少女が倒れていた。


 一人は桃色の髪の少女。もう一人は青髪の少女。


 束音雅と、レーゼ・マーガロイスだ。


 近くには、二人のアーツ『百花繚乱』と『希望に描く虹』も落ちていた。


 さらに少し離れたところには、鏡も転がっている。魔王種レイパーが祭壇に飾り、レーゼが奪った、あの鏡だ。


 二人は気を失っているようだが、しばらくするとレーゼの体がピクリと動き、ゆっくりと起き上がる。


「ここは……海?」


 自分の体に付いた砂や、眼前に広がる光景を見て、彼女は呟く。


 海が見えるということは、ここはシェスタリアだろうか……なんてことを思ったレーゼだが、そこで、


「っ! ミヤビ!」


 雅が倒れていることに気がついて、彼女の体を揺する。


「ぅ、ぅうん?」

「良かった……! 無事だったのね!」


 目を覚ました雅は上体を起こすと、胡乱な目でしばらく固まる。


「ミ、ミヤビ……?」

「……っ! そうだ、あいつはっ?」


 随分とボーッとしていた彼女は、ようやく脳が起きたのか、急に辺りを見渡してそう叫ぶ。


 つい先程まで魔王種レイパーと戦って、途中で光に巻き込まれて気が付けばこんなところにいたのだ。まだ近くにいるのでは、と思ったものの、幸か不幸か、レイパーの姿はどこにも無い。


 よく考えてみれば、もしレイパーが近くにいるのなら、自分達が生きているわけは無いだろうと気が付く。


「こんなところにいるってことは、あの光で、私達どこかに転移させられたってことですかね?」

「……分からない。でも、きっとそうだと思う。あのレイパーだけ、別の場所に転移したってことかしらね? それにしても、ここはシェスタリア?」


 そう言いながらも、レーゼの声に自信は無い。


 砂の感触も、海も、どこか違和感がある。


 辺りを見回しても、シェスタリアらしさが無いのだ。


 そもそもここはナランタリア大陸なのかさえも怪しいと思うレーゼ。


「シェスタリアとなれば、あれはドラゴナ島だと思うけど……あんな形状だったかしらね? 隣の白いのは何?」


 レーゼが指を差した方を見る雅。


 そこに見えるのは、レーゼの言う通り、島がうっすらと見えていた。隣には、島のような半楕円形の白っぽい『何か』もある。


 少し前までドラゴナ島にいた雅は、見える島がはっきりとドラゴナ島ではないと確信を持ったが、じゃあ何だと聞かれれば首を傾げるより他は無い。



 が、



 そう思ったのも僅か数秒。



 すぐに、それが何か理解した雅は、目を大きく見開く。



 慌てて砂を一掴みし、すぐに落とす。海の方へと駆け出し、打ち寄せる波へと手を晒した。



「ちょっと……どうしたの……?」



 濡れた手をジッと見つめ、さらには辺りを見渡し始めた雅を見て、何かあったのかと不安になるレーゼ。



 そんな彼女に、雅はポツリと、







「ここは……私の元いた世界……! 新潟……!」







 そう告げた。

ご愛読頂き、ありがとうございます。ここまで如何でしたか?

第6章閑話。タイトルを付けるならば、『転移』。

次回、第7章投稿は9/27(月)となります。後、ついでに一言。










この物語のプロローグが、やっと半分、終わりました。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ