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ヤバい奴が異世界からやってきました  作者: Puney Loran Seapon
第52章 ラージ級ランド種レイパー体内
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第458話『多種』

「ミス束音。それはちょっと早いわ」


 横からそんな声がしたと思った次の瞬間、断続的な無数の銃声が鳴り響く。


 思わずレイパー達がその場を離れると、今まで奴らがいた場所に弾丸が直撃し、小さな土塊を巻き上げた。


「な、なっ?」

「これは……っ!」


 雅と希羅々を助けにきたのは誰か。こんな特徴的な二人称を使うのは――


皇奈(おうな)さんっ!」


 黒髪ポニーテールの美魔女、神喰(かみじき)皇奈。


 左腕には、黒光りする細長いガドリング砲が装着されている。肩から腰に掛けて、襷のように掛かっているのは弾帯だ。皇奈の使う武器、ガドリング型アーツ『GottaWin』である。


「ユー達、ちょっと下がっていて!」


 雅達にそう叫びながら、皇奈は勢いよく近づいてくる……のだが、そのスピードは人間とは思えない程、速い。しかも皇奈が動く度に、地面が爆ぜている。


 その理由は、皇奈の足に装着された、黒いブーツにある。アーツ『BooT⇄Star』。瞬発力を何倍にも増幅させるアーツだ。


「あ、あれが……! 実戦で見るのは初めてですわ!」


 希羅々が発する驚愕の声。無理も無い。普通なら、二つ以上のアーツを同時に使用することなんて不可能なのだ。


 だが、一部の人間は、それを可能にする。アーツ同士の親和性、本人の心技体……あらゆる要素を把握、コントロールし、完璧に使いこなすのだ。


 左右に移動しながらガドリングを放ち、三体のレイパーが動くのを牽制する皇奈。ガドリングは雅達だけを綺麗に避けながらレイパーを襲っていく。


 そのまま一気に距離を詰め、さらに人型種モグラ科レイパーの背後に回り込むと、


「喰らいなさい!」


 GottaWinが指輪に消え、右腕に新たな武器が出現する。


 それは全長二メートル近くもある、白光りする杭打機。


 彼女のアーツは、二つだけではない――もう一つあるのだ。


 皇奈の三つ目のアーツ、近接専用、パイルバンカー型の『HollyHole』だ。


 その先端が、レイパーの背中に接している。


 プシュっという空気の抜ける音が鳴った、次の瞬間――発射された杭が、レイパーの背中に轟音を轟かせ、大きく吹っ飛ばした。


『GootaWin』、『BooT⇄Star』、『HollyHole』……この三種類のアーツを使い、更には二つまでなら併用すら可能。


 これが、日本で五指に入る実力の持ち主、神喰皇奈という大和撫子である。


「……あら、意外とタフじゃない」


 足を震わせながらも立ち上がる人型種モグラ科レイパーを見て、皇奈は眉を顰めた。並のレイパーなら、今の一撃で沈んでいたはずである。


 最も、この程度の想定外、今まで何度も経験してきた皇奈からすれば、大した話ではない。


 後ろでは、やっとガドリングの嵐が終わったと思ったシマウマ種レイパーが皇奈の方へと突撃しようとしていたが、


「『アイザックの勅命』!」


 皇奈が呪文のようにそう唱え、左手の平をシマウマ種レイパーに向けると、強烈な重力がレイパーを襲う。立っていられなくなったレイパーが、ひれ伏すように地面に膝を付かされてしまった。


『アイザックの勅命』……敵に掛かる重力を増加させる、皇奈が『BooT⇄Star』から授かったスキルだ。今のように、スキルの名前を言って、手を向けるシークエンスは必要だが、あのラージ級ランド種レイパーの動きすら制限した強力なスキルである。


「ふぅ、流石に三体同時にこれを掛ける集中力はもう無いけれど……あなた一体くらいなら、どうとでもなるわね」


 このスキルは、皇奈の体にもある程度の負担がかかる。今日はもう二回目の使用で、内一体は過去一巨大な化け物相手に使った。既に体には相当な無理がかかっているのだが、皇奈はそれをおくびにもださない。


 アーツをパイルバンカーからガドリングに切り替え、人型種モグラ科レイパーに弾丸を放ち始めると、皇奈は唖然としていた雅と希羅々に向かって、口を開く。


「ミス束音、ミス桔梗院! こっちは抑えておくから、その蜻蛉の相手は任せたわ!」

「あ、ありがとうございます、皇奈さん!」

「と言っても、どうしますのっ? こいつはこいつでキツいですわよ!」


 元々、蜻蛉種レイパー一体に苦戦させられていた二人。皇奈がシマウマ種と人型種モグラ科を引き付けてくれているとは言え、蜻蛉種レイパーの強さは健在だ。


 再び蜻蛉種レイパーの羽が高速で動き、二人に向かって突風が放たれる。


 顔を腕で防御しながら、歯を喰いしばる雅達。突風のコントロールは雑だが、直撃すれば簡単に吹っ飛ばされてしまう。地面を抉る程度の威力もある。下手に当たるわけにはいかない。


「くっ……まずはこれを何とかしなくては……!」

「――そうだ! あれ!」


 風攻撃の嵐に耐える中、雅の脳内流れる電流。


 雅が顔を動かした方向に、希羅々も視線を向ければ、そこにはあった。




 人型種モグラ科が姿を見せた時に出来た穴が。


 雅がエネルギー弾を撃ったことで大きさも広がっている、あの穴が。




【そうか! あそこに飛び込めば、この風を防げるんじゃ!】

「束音さん! 行きますわよ!」


 カレンの声が明るみを帯びる。希羅々の目にも、光が宿った。


 言うが早いか、雅の手を掴んで走り出す希羅々。この突風の中、敵に近づくのは難しくても、逃げることなら何とか出来る。


 突風が地面を削るも、走る二人には命中しない。地面の中に、希羅々と雅は頭から突っ込んだ。


 暗い穴の中。入口が、突風攻撃の雨に襲われる。


「ヤバいですわ! あいつ、このまま(わたくし)達を生き埋めにするつもりでは……!」

「急ぎますよ、希羅々ちゃん!」


 雅の言葉と共に、百花繚乱の刃の中心に切れ目が入り、上下にスライド。出来た隙間に、希羅々のシュヴァリカ・フルーレがすっぽり入り、百花繚乱の刃ががっちりとレイピアを咥えこんだ。


 出来上がるは、全長三メートルもの巨大なランス。


「よし! 行けます希羅々ちゃん!」

「サクッとやりますわよ!」


 二人が同時にランスを上へと突き上げると、空が揺れて突如出現する、巨大な合体アーツ。


 希羅々がスキル『グラシューク・エクラ』で呼び出した、実体のある幻影だ。


 蜻蛉種レイパーの姿は見えず、我武者羅に放ったこの一撃は当たらないだろう。だが、今『グラシューク・エクラ』を放ったのは、別の意味がある。


 巨大なランスの幻影が地面に激突し、舞い上がる大量の土塊。


 同時に辺りに強い衝撃が放たれ、蜻蛉種レイパーが吹っ飛される。


 それでも蜻蛉種レイパーが突風を乱射するが、巻き上げられた土に阻まれ、雅達のいる穴までは殆ど届かない。


「上手くいきましたわ!」


 穴から飛び出る雅と希羅々。風に阻まれることなく穴から出る隙を作る、これが狙いだった。


「希羅々ちゃん! さっきあいつにやったあのグルグル、もう一回やりますよ!」

「蜻蛉を捕まえる時のあれですのっ? でも効かなかったではありませんの!」

「コツがあるんです! 私に合わせて! まずはイージスを!」


 よく分からないが、雅には何か策があるようだ……そう思った希羅々は、「分かりましたわ!」と返事をする。


 瞬間、二人の体を白い光のバリアが包み込む。防御用アーツ『命の(サーヴァルト・)護り手(イージス)』を発動させたのだ。先日カルムシエスタ遺跡で見つけたコートマル鉱石により性能が上がったこのバリア。前は、強いバリアを張ろうとすれば一瞬しか効果が持たなかったが、今は三十秒持つ。


 ある程度の安全を確保した上で、雅はランスの先端をレイパーに向け、動かし始めた。――希羅々が最初にやったような高速ではなく、ゆっくりとした動きで。


 蜻蛉を捕まえる時、指をクルクル動かすと目を回すという話があるが、あれは間違いだ。目を回しているわけではない。――あれで蜻蛉の動きが鈍るのは、複眼が、ゆっくりとした動きが苦手という特性を突いているからだ。それをちゃんと見ようと蜻蛉が意識するから、捕まえやすくなるのである。


 さらに雅は、蟷螂よろしく体をゆらゆら動かしながら近づいていく。これも、蜻蛉の弱点を突いた動きなのだ。


 狙い通り、蜻蛉種レイパーの様子が変わる。


 敵の攻撃が止むわけではない。突風は、今も続いており、命の(サーヴァルト・)護り手(イージス)を纏った二人を襲い続けている。時折当たる一発は、鞭で打たれたような痛みがあった。……だがそれでも、レイパーはジッとしたまま、その場から動かなくなっていた。


【二人とも、頑張れ!】


 カレンの励ましの声に、雅達は敵の攻撃にも負けずに足を動かす。


 命の(サーヴァルト・)護り手(イージス)の効果時間は三十秒。これをミスったら、次のチャンスはもう無い。……だが、自分に「焦るな」と言い聞かせながら、二人は慎重に歩を進める。


 そして――


「いまだぁぁぁっ!」

「はぁぁぁあっ!」


 ランスの攻撃範囲内に踏み込んだ刹那、二人はレイパーに向けて、力一杯にアーツを突き出した。


 ランスの先端が、レイパーの顔面を貫き、血を噴き上げ――突風が止む。


 巨大なランスに粉々に粉砕された蜻蛉種レイパーは、最初の時のように傷口を再生させることも出来ず、爆発四散するのだった。


「よしっ! 次ですわっ!」


 厄介な蜻蛉種レイパーを撃破した直後、希羅々は気を緩めることなく、寧ろ引き締めるようにそう叫ぶ。まだ終わりでは無い。レイパーは、もう二体残っている。


 二人が向かう先は――今は『アイザックの勅命』により動けなくなっている、シマウマ種レイパーだ。この機を逃す手は無い。


 ランスを手に一直線にダッシュしてくる雅と希羅々に、シマウマ種レイパーも自分が標的にされていることに気付いたのだろう。


 無抵抗にやられる気等、更々ない。弄り殺されるのはお前達だ――そう言わんばかりに声を振り上げるレイパー。


「っ?」


 超重力の中でも体を起こすシマウマ種レイパーに、皇奈が僅かに眉を顰める。重力をさらに強めるには、集中力が必要だ。人型種モグラ科レイパーの相手をしながらでも出来なくは無いが、皇奈は敢えてそれをしない。


 ――わざわざ今以上のサポートをしてやる必要は、今の雅と希羅々には無いのだから。


 雅と希羅々がランスの突きを放つのと、レイパーが後ろ足で蹴りを繰り出すのは同時。


 激突する双方の攻撃は、膠着。


 しかし、それも一瞬のこと。


 ランスがレイパーの足を、胴体ごと貫いていき、そして――




 小さな悲鳴を上げ、シマウマ種レイパーは爆発した。




「ナイスよ二人とも! さ、後はユーだけ!」


 残った一体……人型種モグラ科レイパーに、皇奈は不敵な笑みを向ける。


 その表情に後退るレイパー。


 その体は、既にガドリングの弾による傷が、いくつも出来ている。最初のパイルバンカーによるダメージもあるだろう。皇奈との戦いで、このレイパーも相当に疲弊させられていた。


 皇奈も余裕綽々というわけではないが、三対一となった今、人型種モグラ科レイパーも、己の不利を悟り、そして――


「あら」

「あぁっ?」

「ふん、逃げ足の速いこと……!」


 レイパーは穴を掘って、逃げてしまう。暗い穴の中、追いかけるのは流石に無謀だ。


 全滅させることは出来なかったが……何とか生き延びることが出来て、雅と希羅々はホッと肩を撫で下ろすのだった。




 その、十分後。場所を少し移して、三人は一休み兼状況報告をしていた。


「成程、皇奈さんも、あっちの建物が気になって」

「そうそう。そしたら戦闘の気配がして、ミス束音とミス桔梗院を見つけたってわけ。二人とも、よく頑張ったわ」

「助かりましたわ。あのままでは、(わたくし)達二人ともやられていましたから」

「しかし、こいつの体内でレイパーに遭遇するとはね。……よく考えてみれば、レイパーを輪廻転生させる怪物なんだから、体の中にうじゃうじゃいてもおかしくはない、か。道理で、追い詰められた瞬間にミー達を吸い込んだわけだわ」


 わざわざ敵を体内に入れる理由は無い。わざわざそれをしたということは、そっちの方が都合が良いに他ならないからだろう。


 これは参ったと言うように、深く息を吐く皇奈。ここはあまりにもレイパーにとって都合の良いフィールド。今回は運よく間に合ったが、毎回都合よくいくとは到底思えなかった。一体これから、何人の女性の命が散るか……考えると、気が重くなる。


「それにしても、ここはなんでこんな空間になっているんでしょうか? あまりにも異質過ぎじゃ無いですか? 外に出る方法も、皆目見当もつきませんし……」

「今は分からないわね。調べていけば、その内何か手掛かりがあるかもしれない。流石に、何かしら外に続く穴みたいなものがあるはずよ。――さて、それじゃあ行きましょうか。Ready(Lady)?」


 いつまでもここで悩んでいても始まらない。皇奈が手を叩いてそう言うと、希羅々が「ふむ」と顎に手を当て、何か考えだし、すぐに何かに気付いたように口を開いた。


「成程、『準備はいい?』の『Ready?』のイントネーションで、発音は『お嬢さん』を意味する『Lady』。その二つを引っかけた、と。つまりは『お嬢さん達、準備はいいかしら?』ってことですわね」

「こら希羅々ちゃん、ジョークを解説するのは鬼畜が過ぎます」

「あらごめんあそばせ。『アイムソーリー、アイアスクド』ってところかしら」

「あら、上手いわね。『ごめんなさい』と『言うんじゃ無かった』を掛けるなんて。発音がネイティブっぽかったら完璧だったわ」

Oh() Nar()……あなたも解説しちゃうんですね」


 ややオーバーリアクション気味に肩を竦めてみせる雅に、皇奈はピューと口笛を吹いてみせるのだった。




 ***




 一方、ラージ級ランド種レイパーの体内、別エリア。……ここは、木々が生い茂る森の中。


 なよっとした体型の、エアリーボブの髪型をした少女が、半泣きになって辺りを見回していた。


「セ、セリスティアさん! ここどこぉっ?」

「だぁあっ! 今確認しているから落ち着けっての!」


 木の上から困ったように絶叫したのは、体の引き締まった赤髪ミディアムウルフヘアの女性、セリスティア・ファルト。


 雅達と同様、ランド種レイパーに吸い込まれた二人。こんな鬱蒼とした場所で目が覚めれば、真衣華のように混乱するのも致し方ない。


 気持ちが悪いくらい静かで、空気も冷たいこの森。何か出てきそうな、嫌な雰囲気がある。


 一応、真衣華もセリスティアも、ここがランド種の体内だということは理解していた。問題は、体内のどこなのかが分からないということ。現状を把握するべく、セリスティアはこうして木に登り、上から状況を確認しているというわけだ。


「ったく、気味悪ぃ森だな……。よっと」

「あ、あの! 出口、ありました?」


 隣に着地してきたセリスティアに、不安そうに尋ねる真衣華。


 そんな彼女に、セリスティアは「ああ」と言って頷き、その方向を指差した。


「あっちに行くにつれて、木が少なくなっていた。多分出口だと思うぜ。それに、レイパーの爆発っぽいのも見えた。誰かがいるはずだ」

「やった! 早く合流しようよ! ね!」

「はいはい。やっと元気出たか? ――ん?」


 肩を竦めたセリスティアだが、その顔がふと険しくなる。


 再び不安に塗れる、真衣華の顔。段々と付き合いも長くなってきたから、セリスティアが何を察知したのか、大体想像が着いたのだ。


「あ、あの、セリスティアさん……もしかして……」

「マイカ、俺の近くから離れんな。レイパーだ。しかも、一体じゃねぇ。もっといやがる。……三体か? いや、遠くからも一体来ていやがる」

「てことは、よ、四体っ?」


 上ずった真衣華の声が響いた直後、


「ちぃっ!」

「きゃぁっ?」


 何かが飛んできて、慌てて二手に避けるセリスティア達。飛んできたそれは後ろの木に当たると……


「と、溶けてるっ? 何これっ? 消化液っ?」


 幹がドロドロになり、そこから圧し折れていく様子を見て、真衣華の顔から血の気が引いた。エネルギー弾でも、弾丸でも無い。幹の傷跡を見れば、彼女の言う通り『消化液』というのが適切だろう。


 だが、そんなことを気にしている余裕は、真衣華には無いはずだった。何故なら――


「マイカっ! 後ろだっ!」

「えっ? ええっ?」


 暗い森の雰囲気に殺気を隠して近づいてきていた、黒い人型の化け物が、そこにいた。手から伸びる長い爪を、今まさに真衣華へと向けていたのだ。彼女の命を貫くために。


 真衣華の手に出現する、半月形状をした朱色の片手斧『フォートラクス・ヴァーミリア』。それで敵の攻撃を防ぐが、吹っ飛ばされることは免れない。


「大丈夫かっ?」

「う、うん……っ! ――ん?」


 ギリギリ受け身が間に合ったことで、ダメージも少なかった真衣華。慌てて起き上がった彼女だが、ふと気づく。


 自分の首に、何か白い糸のようなものが巻き付いていたことに。


 あ、ヤバ――本能がそう思った時には、既に彼女の体は浮いていた。


 頭上には、巨大な白い蛾。そいつが糸を吐き出し、真衣華の首を吊るしていたのだ。


「てめぇこの野郎っ!」


 セリスティアの両腕に着いた小手が円盤状に肥大し、銀色の爪がそれぞれ三本ずつ伸びてくる。アーツ『アングリウス』、これを慌てて振るい、糸を切った。


 落ちてくる彼女をキャッチした、その刹那――セリスティアはもう一つの殺気に気付き、慌ててその場を離れる。


 直後、


「おおっ?」


 何かの破裂音がしたと思ったら、地面に何か小さいものが撃ち込まれ、小さな穴が開いた。


 白い蛾のもっと空……そこに、全長二メートル近い巨大な梟の化け物がいる。


 そして、ザッザと音を立てて姿を現す、全身濁った黄色の人型の化け物。頭部は穴が開いており、葉っぱで蓋はされているが、そこから時折液体が溢れ出ていた。液体は地面に落ちるとジュっという音を立てており、最初に消化液を放ってきたのはこいつだと、セリスティアは悟る。


「ゲホ、ゲホッ! あ、あわわ……本当に四体いるっ?」

「はっ……俺ら二人に、随分な歓迎じゃねーか……!」


 現れた四体の化け物に、顔を強張らせる二人。


 消化液を放ってきたのは、頭の形状や液体の特性からしてウツボカズラか。『人型種ウツボカズラ科』という分類になるだろう。


 次に真衣華を奇襲してきた犬のような頭をした人型の奴は、顔が尖がっているところを見ると、ジャッカルのような雰囲気がある。『人型種ジャッカル科』といったところか。


 糸を吐いてきたのは、バグモスという異世界の蛾だ。糸を吐いて獲物を捕らえる習性がある。分類はまんま、『バグモス科』。


 最後にセリスティア達に空から何かを吐き出してきた梟。羽ばたいているが、音が殆どしない。こいつも見た目通り『梟種』である。


 四種の異なる力を持ったレイパーが、二人に近づいてきていた。

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