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ヤバい奴が異世界からやってきました  作者: Puney Loran Seapon
第48章 束音家~西区
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季節イベント『白日』

 ある日の束音家にて。


「ただいまでーす」

「あ、お帰り、ミヤビお姉ちゃん! ――ユウお姉ちゃん、ミヤビお姉ちゃんが帰って来たよ!」

「はいはいラティア、今行くわ。……って、おぉ、またやけに買い込んだわね」


 食料や日用品の買い物に出かけていた雅。玄関で靴を脱ぐ彼女の近くには、大玉のスイカが四つは入っているのではないかというくらい、大きな買い物袋が置かれていた。しかも二つ。


「こりゃ、私らも着いていくべきだったわ。ごめん」

「ああ、いえいえ。スーパーで色々見ていたら、『折角だしこれも買おう』ってな感じでやたら増えちゃって。完全に私の責任ですから、気にしないでください」

「…………」

「あれ、ラティアちゃん、どうしました?」


 買い物袋をジッと見つめて、目をパチクリとさせるラティアにそう尋ねる雅。しかしラティアは、「ううん、何でもない」と言って首を横に振り、袋を一つ抱えだす。紐が手に食い込み、中々に痛い。


「片付けはこっちでやっとくから、みーちゃんはリビングで休んでなさい。すぐお茶淹れる」

「ありがとうございます。お言葉に甘えますね」


 そう言って、雅は肩をグルグル回しながら部屋に入る。


 優が袋の重さに少し驚きながらキッチンへと向かうと、ラティアが既に、食料品を三分の一程、冷蔵庫に仕舞っていたところだった。


「中々手際が良いじゃん。流石」

「あはは、ありがとう。……ねぇ、ユウお姉ちゃん、ちょっと聞いていい?」


 手を止めずに、そう聞いてくるラティア。彼女は少し、神妙な顔をしていた。


「さっき、宅配の人が来たよね? お米、届けに」


 大体の食料品は直接買っているが、米ともなると、車が無い束音家には中々大変だ。故に宅配サービス等を使っている。ラティアが言っているのは、そのことだ。


「……結構な数、届いたよね? 五十キロ分くらい。それに加えて、これだけの食糧……」

「……あー、ラティアはあんま、気にしない方が良いよ」


 何を言わんとしているか、何となく分かってしまった優。多分、ラティアはずっと、気になっていたのかもしれない。


 雅は今まで、ずっと一人暮らしだったはずだ。こんな量の食料品は、普通はいらない。これだけ買っているのは……自分達が居候しているからである。


「異世界のお金とのトレードの仕組みが整ってからは、レーゼさん達も生活費は渡しているし……」

「でも、私は何も――」

「国から、ちゃんと補助金が出ているし、そんな顔しなくていいって。……みーちゃん的にはさ、皆でワイワイ暮らせて楽しいだろうし」

「……前から気になっていたんだけど、ミヤビお姉ちゃんって、どうやってお金を稼いでいるの? 異世界で旅していた時も、上手くやっていたって話だけど……」

「んー、生活費とかは遺産や投資、愛理の動画の出演料とかで大体賄って、そこに補填として、困っている人のお手伝いをしてお駄賃稼いでいるのよ。空き時間使ってなんかやるの、結構得意なのよ、あの子」


 アルバイト程、大げさなものではない。一時間三百円程度。概ね子供のお小遣いレベルだ。だがそれも積もり続ければ、それなりの額になる。


「あー……でも、麗さんが亡くなる前までは、結構苦労していたわね。お小遣い制だったし、投資も出来ないし……ホワイトデーの近くなんかは、相当無茶していた記憶があるかな」

「ホワイトデー?」

「バレンタインデーっていう、大事な人にチョコを渡す風習があるんだけど、ホワイトデーっていうのは、そのお返しね。クッキーとかマシュマロとか、そういうのを渡すんだけど……あぁ、そうそう。あれは私達が中学一年生の頃の話で――」




 ***




 ある日の放課後。当時二人が通っていた中学校にて。


「あー、やっと授業終わったぁ……。みーちゃん、この後遊びに行かない? 駅の近くに、新しい服屋さんが出来たらしくってさ」

「あぁ、ごめんなさいっ。実はこの後、用事があって」

「また用事? 最近多くない?」

「すみません、この埋め合わせはいつか必ず。――それじゃっ!」


 言うが早いか、雅は鞄を持ち、周りの女子生徒達に挨拶しながら教室を出ていく。


「……怪しい」


 思わずそう呟き、眉を顰めた優。


 ここ二週間程だろうか。雅はこうして、授業が終わった瞬間に帰ってしまうことが多くなった。いつもなら、適当な部活に顔を出し、体験入部よろしく色々やらさせてもらいながら、優と寄り道して帰るのだが。


 平日どころか、休日も何やら忙しそうにしている。


 理由を聞いてみたのだが、「んー……内緒です」なんて言われる始末だ。雅の祖母、麗にも聞いてみたのだが、彼女も知らないらしい。


 優も麗も知らないとなると、これは余程のことである。気になって仕方が無い。


 優は鞄を持ち、気配を殺して教室を出た。雅は廊下の遥か遠く。


 親友に、少し悪いと思いながら、優は雅の跡を付けていくのだった。




 ――そして、午後五時半。


(……んん? みーちゃん、何やっているの?)


 一度家に戻った雅が、何やら大きな荷物を持って向かった先は、家から少し離れたところにある、保育園。


 園庭の方から、遊戯室の中の様子を、カーテン越しにこっそり覗き見ると、何やらマジシャンのような格好をした雅が、手から花を出したり、ジャグリングをしたりしている。雅が何か技を披露する度に、子供達が大はしゃぎしていた。


 ……雅の近くには、人体切断マジックに使うと思わしき、大きな道具。それを見た優が、若干顔を引き攣らせた。マジックは雅の特技ではあるが、ここまで本格的な道具を見たのは、優と言えど今日が初めてだ。やたら大きな荷物を担いでいたが、それはこれだったのかと納得する。


(用事って、このこと? ボランティア? ――おっと、終わったのかな?)


 雅は一時間程マジックを披露した後、保育園を出る。


 帰り際に、先生から何か貰っていたのが気になった。……が、


(あれ? 家とは違う方向……今度はどこに行く気かしら?)


 それよりももっと気になったことがあり、再び優は雅を尾行する。


 午後七時十三分。


 雅が一旦スーパーに寄ってから、次にやってきたのは紫竹山二丁目の東、(あぶみ)一丁目にある、とあるアパート。


 二階の奥の部屋のバルコニーには、齢八十過ぎくらいのお婆さんがおり、雅を見て手を振る。雅が元気よく手を振り返したのを見るに、彼女の次の目的地は、あのお婆さんの部屋のようだ。


 優は、アパート前にあるコンビニに入り、お菓子と飲み物を買って、イートインスペースに座り、雅の様子を伺おうと四苦八苦し始める。中の様子など何も分からない。まるで警察の張り込みのようだが、所詮は真似事である。


 夜九時に差し掛かりそうになった頃。


 この時間になると、流石に店員の目が気になってきた優。軽食を手にここで粘ろうにも、この時間にもなれば不審がられるのも必然だ。


 流石に諦めた方が良いか……そう思っていると、


(おっ、やっと出てきた……っ!)


 アパートの出入り口から雅の姿が見え、ホッと胸を撫で下ろす優。


 しかし、こんな時間まで一体何をしていたのだろうか。そんな疑問を浮かべていたのだが……途端、優は目を丸くする。


 てっきりもう帰るかと思っていたのだが、雅はアパートから出たその足で、道を挟んで隣のアパートへと入っていったのだ。


(い、いやいやみーちゃん、もう九時よ? え? なんでここに?)


 しかも、だ。


(あ……あいつ……っ?)


 アパートの部屋の一室、扉を開けて雅を出迎えたのは――ダウナーそうな見た目ながら、眼鏡をかけた、大学生くらいの美人なお姉さんだったのだ。しかもスタイルが良い。年齢的にも雰囲気的にも、一人暮らしっぽい。


 中学生がこんな夜遅く、あんな女の人の部屋に行くとは何事か。


 顔を真っ赤にした優の頭の中に広がる、ちょっとアレな光景。相手にその気は無くとも、雅ならボディタッチくらいはする。……その気にさせてしまったら、そういう雰囲気にもなろう。


 道の真ん中で、フリーズする優。


 どれくらいの時間が経っただろうか。体感で一時間、しかし現実では五分かそこら。


(いやいや流石にヤバいって! いやいやいやいや! おい中学生!)


 半ば反射的に、大慌てで優はその部屋へと走り――チャイムを押す。連打しそうになったが、それは律せた。己を褒めたい気がしなくもない。


 外まで聞こえてくる、ピンポーンという音。


 程無くして、


「あー、はいはい! 今出ます――っておぉっ? さがみんなんでっ?」


 何故か頭に鉢巻を巻いた雅が顔を出した瞬間、


「あ、あんたねぇ! なーにしてんのよこんな時間にこんな場所でぇっ!」

「あいやっ、違うっ! 誤解っ、誤解ですさがみん! まずは落ち着いて――」

「にゃんにゃんかっ? にゃんにゃんしようとしてたのかっ? こんな夜にっ?」

「話せば分かります! 人間! 私達人間だものっ! 話せばきっと分かりますぅ!」

「ちょ、ちょっと静かにっ! ご近所迷惑だから! ――えっと、あなたは……?」


 優が雅の胸ぐらを掴んで前後に激しく揺さぶっていると、先程の大学生の人が、困った顔で駆け付けてきた。


 この人にも、何中学生に手を出しているのかと文句を言いかけて口を開いた優。だが、その目に飛び込んできた。


 ――奥の部屋、そこに、何やら漫画でも描いていそうなペンタブが。




 ***




「す、すみません。私ったら、とんだ早とちりを」

「いえ、まぁ客観的に見れば、そう思われても仕方ないというか……こっちこそ、ごめんなさい」


 雅が訪ねたのは、漫画を描いている同人作家の部屋だった。名前は木原(きはら)英子(えいこ)という。


「再来週、産業振興センターでガタケットがあるんですよ。そこで出す漫画のアシスタントをしに来たんです」


 やっと誤解が解けて一安心した、という顔をしながら、雅がそう説明する。ガタケットというのは、新潟市でやる同人誌即売会のことだ。


 事情を知れば、なんてことはない。妙な想像をしてしまった自分を恥ずかしく思いながら、優は英子にペコペコと頭を下げていた。


「実は先日も来て頂いていて……今日が三回目なんですよ。雅ちゃん、腕が良くて」

「はっはっは、照れますねぇ」

「みーちゃん、絵も上手いもんね。――迷惑かけたお詫びに、私も何か手伝わせて下さい。みーちゃん程じゃ無いけど、こういうのは、少しくらいですけど経験ありますし」

「えっ? いいの? 正直助かるわ」


 思わず口角を上げる英子。ならばと、手を打ってから、部屋の脇にあるソファの方を指差した。


「折角二人もいるのなら、大事な構図を先に描いちゃおうかな。ちょっとこんなポーズをしてもらっていい?」

「ポーズですか? ……んっ?」


 英子がULフォンで空中に呼び出した立体映像を見て、目を点にする優。


 女の子が二人、片方がもう片方を押し倒している、そんな構図だったのだ。


「よしさぁ早速やりましょうほら早く早く!」

「ちょちょちょちょぉっ?」


 雅が早口で捲し立てながら、鼻息荒く優をソファに連れて行く。あれよあれよという間に押し倒されながら、優は、せめて自分が押し倒す方でしょなどという、半ば錯乱した思考に陥ってしまう。


 一方で英子は、ダウナーそうな顔に似合わず目を輝かせながら、そんな二人をデッサンしていった。こうなっては、もう動けない。何となく屈辱的な立ち位置な気がしてならない優。


 しかし、ふと思った。


「ねぇ、みーちゃん。今回でアシスタント三回目って言っていたよね? ――まさか彼女と、こんなことしてたんじゃないでしょうね」

「…………ぴゅーぴゅー」

「あ、ん、た、ねぇ!」


 下手な口笛を吹いて視線を逸らした雅に、鬼の形相になる優。それでも体勢は維持したままなのは凄いと褒めるべきか。英子は説教を始める優にクスクスと笑いながらも、ペンを走らす手を止めない。




 ――それから、二時間後。夜の十一時も回った頃。


「つっかれたぁ……」


 あの後、雅と一緒にいくつかポーズをとり、それが終わったら背景を描いたり、台詞の誤字脱字のチェック等の作業に追われた優。


 流石に疲労困憊で、雅ですら大きく伸びをしている。


 だが、頑張った甲斐もあって、後は英子が仕上げをすれば、入稿出来るというところまできた。


「いやぁ、助かった。ありがとう」

「いえいえ……。ところで、これ、韓国人と日本人の百合漫画なんですね」


 優が、床に仰向けに転がったまま原稿を眺めてそう尋ねると、英子は「そうそう」と頷く。


「二ヶ月くらい前だったかな? 別のガタケットに出た時、私のブースのところに、韓国人の女の子が来てね。ちっちゃなツインテールをした、ツリ目の子なんだけど、興味をもってくれて……。話していたら、何となくこういうの描きたくなったというか……。流石にその子をモデルにするのは恥ずかしかったから、キャラデザは大分変えたんだけど」


 少し照れ臭そうに呟く英子。


 しかし、「おっと、忘れる前に……」と言うと、


「じゃあ、これは約束の。そんなに多くないけど……」

「いえいえ、ご依頼通りの額ですし、問題無いですよ」

「……?」


 妙なやり取りをしだした二人に、優は首を傾げる。


 すると、


「じゃあ、相模原ちゃんも。貰って」

「え? 貰って……というと?」

「お金。アシスタントのお礼よ」

「ええっ?」


 まさかの話に、ひょうきんな声を上げてしまう優。


 刹那、優のULフォンに、電子マネーが送金されてくる。


 慌てて雅を見ると、彼女は咳払いしてから口を開いた。


「じ、実は完全なボランティアってわけじゃなくてですね……平たく言うと、アルバイトというか……」

「一時間五百円程度だし、お駄賃みたいなレベルだけどね」

「い、いやいや、そんなの受け取れませんって! こっちはお詫びというか、ボランティアのつもりだったし……ん? じゃあみーちゃん、今日あちこち回っていたの、あれ全部まさか……!」

「あ、見ていましたか? いやぁ、お察しの通りです」


 テヘっと舌を出す雅に、優は唖然としてしまう。まさかお金を貰っているとは思ってもみなかったのだ。


「さ、最初の保育園は?」

「あれは、子供たちに手品を。保育園側から依頼を承りまして」

「じゃあ、あのお婆さんは? 隣のアパートの」

「そっちは、夕ご飯作りに。一人暮らしなんですよ。毎日自分で作ったご飯ばかりで、飽きてきたんですって。三日分くらいのご飯を作り置きしました」

「最近、学校をすぐに出ていったのは……」

「あちこちで似たようなことをしていたんです。ちょっとお金が入用で」

「えっ、なんでお金が――」


 と、優がそう言いかけたのだが、それを遮るように、雅が続けて口を開く。


「さて、そろそろ帰りましょうか。流石に家に帰らないと、マズい時間ですし。それじゃあ英子さん、私達はこれで。ガタケットの日には、スペース行きますね。楽しみにしています」

「うん、ありがとう。送っていくよ」

「あぁ、いえいえ。近いですし、大丈夫ですよ。ほら、それより原稿、残りの仕上げがあるじゃないですか」


 やんわりと断ると、雅は優の手を引いて、英子の部屋を後にする。


 ……結局、雅がなんでお金が必要だったのか、聞きそびれてしまった。




 ***




 それから、しばらく時は経った。


 三月十四日の日曜日。午前十時、相模原家にて。


 結局、あれから雅は忙しそうにしており、何故彼女がそんなにお金が必要なのか分からず仕舞いになっていた優。


 今日こそは聞いてみようと、優は束音家に向かう支度をしていた。どうせ、親友に渡すものもある。


 優の手には、紙袋。中身はマカロンやキャンディー、マドレーヌの詰め合わせ。――今日は、ホワイトデーだ。


 だが、いよいよ出掛けようとした時、家のチャイムが鳴る。今、家には優一人。両親二人は今日も仕事だ。


 なんとタイミングが悪い……そう思いながら、優は「今出まーす!」と叫びながら、玄関へと走り、扉を開けると、


「ハッピーホワイトデー! さがみん!」

「おぉっと! みーちゃん! いや、今私も家に行こうと思っていたのよ」


 訪ねてきたのは、雅。彼女もまた、紙袋を引っ提げている。タイミングが悪いと思ったが、むしろ逆だった。


 まぁ入れと優はリビングに親指を向け、彼女を中に招き入れる。


 そして、二十分後。


「あぁ、成程。まぁ、そりゃそうよね……」


 優は、雅から事情を聞いていた。


「いやはは……思った以上に貰いましたからねぇ。――バレンタインのチョコ」


 友人の多い雅。バレンタインデーには、当然友チョコはたくさんあげているし、貰っている。すれば必然、ホワイトデーのお返しの数も多いというものだ。


 一応、雅も予算をきちんと用意していたのだが……中学生になって交流がグッと増えたからか、友達の数が想像以上に増え、用意していた予算を上回ってしまったのである。これではホワイトデーの贈り物が買えないということで、雅はここしばらく、資金繰りに奔走していたという訳だ。


「ちょっとハード過ぎました。来年以降は、もっと予算に余裕を持たせておかないと」

「そっか。でも、それじゃあこれは、みーちゃんの努力と汗の結晶ってわけだ。大事に食べるね、ありがとう」


 雅から貰った、バウムクーヘンや金平糖、マカロンの詰め合わせセットを見ながら、優は静かにそう言った。


 照れ臭そうに笑みを浮かべた雅だが、「あぁ、そうだ」と思い出したように口を開く。


「さがみん、私のアルバイトの件、内緒にしてくれてありがとうございます」

「えっ? ……あー、まぁ? うん」


 まさかバレているとは思っていなかった優は、曖昧に返事をして雅から目を逸らす。


 実はあの日の夜、優は家に帰った後、両親にこっぴどく叱られた。中学生が夜十一時過ぎまで帰ってこないのだから、当然だろう。一応、「遅くなる」という短いメッセージだけは送ってあったのだが。


 だが何故遅くなったのかについては、優は黙秘を続けていた。雅の一件は、客観的に見れば中学生がアルバイトをしているようなものであり、それが公になると色々マズいと思ったからだ。何せ、両親は共に警察関係者。特に優一など、見逃すような真似はしなかろう。


 最も、黙秘を続けたことで尚更怒られてしまった優。


 そこら辺のトラブルの話が、雅の祖母、麗が優香から聞いて、それが雅に伝わったという形である。


「ま、取り敢えずはバレていないみたいだし、一安心ってとこかしら? ――さて、一度お開きにする? お返し、他の人のところにも渡さないといけないでしょ?」

「ええ。まずは近所の人達に渡して、その後は愛理ちゃんのとこに行こうかなって思ってます。それから東区の方にも行って、時間があれば、西区方面にも。夜には、またこっちに顔出しますね。優香さんにもお返し、渡したいですし」

「お、多すぎない?」


 苦笑いを浮かべる優。


 まぁ、しかしこれが自分の親友か、と、納得もするのだった。

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