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ヤバい奴が異世界からやってきました  作者: Puney Loran Seapon
第20章 カームファリア
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第174話『大蔦』

「っ! なんだっ?」


 聞こえてきた悲鳴に、セリスティアが血相を変えて叫ぶ。


 刹那、少し遠くの方で、逃げ惑う人の姿が見えた。


 何かが砕けるような音も聞こえてきて、ただ事では無いのは明らかだ。


 すると、


「レイパーだぁぁぁあっ! レイパーが出たぁぁぁあっ!」


 逃げる人ごみの中から、そんな声が聞こえてきて、事態を把握するセリスティア達。


「ちぃ! 何だってんだよ、全く……! 行ってくる!」

「私も行きまス! 希羅々! ファム! ラティアを頼んダ!」

「ファルトさんっ? 権さんっ?」


 希羅々やファム、そして不安そうな目をするラティアを置いて、セリスティアと志愛は走り出す。


 慌てて追いかけようとする希羅々。


 だが――


「ねぇキララ! あっちも何かヤバそうだよっ?」

「はいぃ? ――っ!」


 騒ぎが起きているのは、一ヶ所だけでは無い。




 最初の騒ぎを皮切りに、あちこちから次々に悲鳴が聞こえてきた。




 ***




 同じ頃、中央エリア。


 こちらも人があちこちに逃げ出しており、完全にパニック状態に陥っていた。


 その理由は――地面から大量に生えてきた、緑色の太い蔦の大群。


 そのどれもが、全長三メートル以上もある巨大なもので、近くの女性を捕らえては首を圧し折り、殺していた。


 そして、ライナと優はその蔦を見て、顔色を変える。


「ユウさんっ! あれって確か、シェスタリアで私達が戦った、あいつじゃっ?」

「うん! また現れたってわけね……!」


 世界が融合し、雅が異世界組の仲間達と合流するためにシェスタリアに行った時、大量のレイパーが出現した。


 この蔦……いや、『ミドル級アイビー種レイパー』は、その際に優とライナが戦い、逃がしてしまった敵だった。


 あれから随分と姿を消していたこのレイパーが、今再びライナ達の前に姿を現したのである。


「とにかく、とっとと倒さないと……」

「皆! 行きますよ!」


 雅とレーゼがそれぞれ、剣銃両用アーツ『百花繚乱』と、剣型アーツ『希望に描く虹』を構え、蔦に向かって走り出す。


「ユウさん! 私達はこっちに!」

「うん! 手分けしないとね!」


 ライナと優は、別方向にある蔦へと向かう。


 そしてその後すぐ、カームファリアのバスターの駆けつけ、混戦が始まるのだった。




 ***




 そして愛理達も、起こった騒ぎに気が付いていた。


 彼女達のいたエリアにも蔦の大群が出現しており、二組に分かれて殲滅に当たっていた。


 蔦が比較的少な目なところでは、愛理とノルンの二人が戦っている。


「はぁっ!」


 愛理が刀型アーツ『朧月下』を振るい、蔦の一本を斬りおとす。


「アイリさん! しゃがんで!」


 ノルンの声が轟き、咄嗟に愛理が言葉の通り身を屈めると、頭上を緑色のリングが通り過ぎ、離れたところにいる蔦に命中し、木っ端微塵に破壊する。


 ノルンの最大魔法、切断性に富んだ風のリングによる攻撃だ。


 それを見て、愛理が顔を強張らせた。


「お、おいおい……危ないだろう」

「ご、ごめんなさい……あれが最短距離だったから……」

「流石にヒヤっとしたよ。……まぁ一先ず、ここら辺の蔦は全部倒したか」


 辺りを見回し、ホッと胸を撫で下ろして愛理はそう言う。


 だが、すぐに気を入れなおし、再び口を開く。


「アプリカッツァ、まだ動けそうか?」

「はい! まだまだ行けます!」


 ノルンは杖型アーツ『無限の明日』を構え直し、気合の入った声を上げる。


 その時――少し離れたところから、建物が壊れるような大きな音が響いて、二人は顔色を変えた。


 慌ててそちらへ向かい、そこで見た光景に唖然とする。


 多くの死体に、倒壊した建物。


 血臭と死臭が入り混じり、本能的に鼻が拒否してしまう。


 ここは大広場のようだが、その面影が無い程に、悲惨な有様だ。


 特に死体の損傷がひどい。


 縦や横に真っ二つになっているもの、首だけが斬り落とされているもの。四股がバラバラになっている死体も少なくなく、ノルンが嗚咽を漏らす。


 無理も無い。何とか堪えているが、一人だけなら愛理は吐いてしまっていただろう。


 建物の壊れ方も異常だ。何かで砕かれた、という感じでは無い。まるで、鋭利な刃物で斬られたと思う程、残骸の断面が鮮やかなのだ。


 すると、


「おい! お前らもいたのか!」

「愛理! ノルン!」


 声を掛けてきたのは、セリスティアと志愛。


 二人共騒ぎを聞きつけ、ここにやって来たのである。


「ファルトさん……これは一体……?」

「分からねぇ……俺達も今来たところだ。だが、こりゃぁ……」


 セリスティアも志愛も、この衝撃的な光景に言葉が出ない様子。


「ノルン、きつかったラ、ここを離れた方ガ……」

「だ、大丈夫です……すみません、シアさん……」

「……あまり無理をするナ」


 志愛の言葉に、コクコクと何度も頷くノルン。


 愛理とセリスティアは、辺りを警戒していた。


 この光景を創り出した奴が、どこにもいないからだ。


 状況から、まだ近くにいてもおかしくない。


 その考えを裏付けるように、愛理達の耳に、重い足音が聞こえてくる。


 それも、東と西の二ヶ所の建物の中から。


 刹那、二つの建物に黒い線が入ったと思ったら、あっという間に建物が音を立てて崩れる。


 その断面は、他の建物と同様の鮮やかさだ。




 そして……唖然とする四人の前に、二体のレイパーが姿を現すのだった。

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