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ヤバい奴が異世界からやってきました  作者: Puney Loran Seapon
第12章 北蒲原郡聖籠町『StylishArts』
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第99話『待受』

 『StylishArts』の正面玄関の扉を突き破り、雪崩れ込むように入る雅達。


 早速エレベーターで最上階まで行こうとしたところで……レーゼは小さく舌打ちをする。


「壊されている……。面倒なことを……!」


 エレベーターの操作パネルを押しても反応が無い。恐らく、他の久世が人工レイパーに命じて壊させたのだろう。他の階も同じだと思われ、これで最上階まで行くことは諦めた方が良さそうだった。


「仕方ありませんわね。階段を使って――っ!」


 希羅々がロビーの奥の方を指差したその瞬間、殺気が彼女達を襲う。


 遠くから勢いよく、真衣華目掛けて『何か』が飛んでくる。


「真衣華っ!」

「希羅々っ?」


 希羅々が慌て真衣華の手を引き引っ張ると、それまで真衣華がいたその地点に黒い『何か』が着弾する。


 床に当たった瞬間、爆発。


 攻撃が飛んできた方を見れば、そこにいたのは海老の頭をした人型の化け物。


 体も海老のような甲羅で覆われているが、腕は吸盤が付いた触手のようになっており、まるでタコの足のようだ。吸盤の中心には穴があり、そこから墨のような液体がポタポタと垂れていた。先程の攻撃は、そこから放たれたのだろう。


 人工レイパーである。


 分類は『人工種海老科』だろうか。


「あいつは……!」


 ドローンを狙撃してきた時、ちらりと見えた影が、この人工レイパーと重なり、雅はアーツを構える。


「皆さん、先に行って下さい! あいつは私が引き受けます!」

「私もやる! 後で追いつくから!」


 真衣華も前に飛び出した。彼女の手には二挺の『フォートラクス・ヴァーミリア』が。片方は『鏡映し』のスキルによって複製したものである。


「真衣華、大丈夫ですのっ?」

「平気平気! フォートラクス・ヴァーミリアもあるしね! 皆は先に行って!」

「分かった! 任せたぞ!」


 愛理がそう言うと、雅と真衣華を残して階段へと走り出す。


 そんな彼女達に向かって人工レイパーは吸盤の穴を向け、そこから墨の塊を放った。


 しかし、それが彼女達に命中することは無い。


 雅がライフルモードにした百花繚乱で、桃色のエネルギー弾を放ち、空中で相殺させたからだ。


「あなたの相手は……私達です!」

「行くよ雅ちゃん!」

「はい!」


 雅は百花繚乱をブレードモードに変えると、真衣華と一緒に人工レイパーへと駆け出すのであった。



 ***



 ビルの十階。


 レーゼ達が昇っている階段では、ここまでしか来ることは出来ない。


 今彼女達がいるフロアは、真ん中に大きな穴が開き、丁度『ロ』の字のような構造になっている。


 次の階へは、壁の反対側にある階段を利用しなければならなかった。


 しかし――


「……いるナ。邪魔者ガ」

「いるわねぇ、邪魔者が」


 志愛と優が、揃って眉を顰めた。


 右の通路にも、左の通路にも、それぞれ一体ずつ人工レイパーが待ち構えていたのだ。


 しかも、その二体には見覚えがある。


 一体は、黒猫の顔の、やや筋肉質の真っ黒な細身の人工レイパー。分類は『人工種黒猫科』だろうか。レーゼ達が尾行していた男が変身するレイパーだ。魔王種レイパーに吹っ飛ばされた彼だが、生きていたのだ。


 もう一体は、烏の頭をしたボディビルダーのような筋肉の鎧を持つ、真っ黒い体の人工レイパー。こちらの分類は『人工種烏科』か。雅達がこちらの世界に来た日、希羅々と交戦した奴である。


「前に逃がした奴か……。丁度良い。どこかできっちり倒さなければと思っていたからな」

「以前、いいようにやられましたし……借りは返させて頂きますわ」


 愛理と希羅々が、アーツを刃を手の平でゆっくりと撫でながら前に出る。


 二人の戦意が、人工レイパーにも伝わったのだろう。二体とも僅かに腰を落とし、戦闘態勢に入った。


「相模原、マーガロイスさん。少し手を貸してくれ」

「分かった」

「勿論よ」


 愛理を先頭に、優とレーゼが右方向に。


「あら、マーガロイスさんは取られてしまいましたわね。権さん、ご一緒頂けます?」

「構わなイ。しかしいいのカ? 前はあいつと一人で戦いたがっていたようだガ……」

「気持ちが無いわけではありませんが、そうも言っていられませんし。頼りにしていますわよ」


 希羅々を先頭に、志愛が左方向へと進む。


 こうして、それぞれの場所で戦いが始まるのであった。

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