邪神の加護 2
ユウとマオはルーナに案内されながら神界と呼ばれる場所を歩いていた。
「それにしても邪神って聞いた時にはどんな凄いのかと思ったけど……やってることが個人に対する粘着だなんてみみっち過ぎない?」
「当人にしてみたら大問題なんですけどね。
日常生活に問題はないですが、受験や告白、就職など肝心な所で悉く失敗するように仕向けられていますからね」
「それで飽き足らずに行なっている仕事をきっちりとこなしていたのに失敗していたという過去改変まで行なって嫌がらせをしているのじゃろう?
何というか……人間臭すぎるのう」
歩きながら先程聞いた話をする3人。
たった1人の人間に対してひたすらに粘着して嫌がらせをし続ける日々。
更には過去を改変してまで失敗したという奇跡を押し付ける行為。
神から超常的な何かを与えられるという点では確かに加護というものなのかもしれない。
そんな余計なお世話は必要ないと3人は思うのだが。
「今の人間社会の負の感情がより集まって出来てしまった邪神ですからね。
人間臭い所があるのは仕方ないのかもしれません」
「それにしても何で僕達が討伐任務に選ばれたの?
神様の事だから神様同士で何とかすれば良かったのに」
「一昔前に天照様……あ、本物の方ですよ。
その天照様が神々同士の戦いというものを禁じてしまったのです。
その為にたとえルールを逸脱しても我々には手出し出来ないんですよ。
そして生きている人間を神界に連れて行くことも出来ませんからお二人に頼んだというわけですよ」
「うん?それだと妾達は死んでいることにならぬか?」
マオがそう言うとルーナは露骨にしまったという表情になって顔を背けた。
「え、ちょっと待ってよ。
何か変な事になってるなら教えて欲しいんだけど」
「あ、あははは……あの、お二人って次元の壁の中でどれだけとも分からない時間を過ごされたわけじゃないですか」
「そうだね」
「そのせいか、お二人の身体の時間が狂ってしまったと言うか……周りに与えたり自分達に何か不利益があるとかじゃないんですよ!ほんとに!!
ただ……」
「ただ、何なのじゃ?」
「お二人の寿命が今の所消えちゃってるんですよね。
簡単に言うと永遠に歳を取らない……みたいな?」
「あ、なんだそう言う事だったんだ」
「それならそうと早く言えば良かろうに」
「黙っててごめんなさ……へ!?」
意を決して話した重大事実……その筈だったのだが、ユウとマオは意外にも平然とした顔で受け止めており、予想外の出来事にあまりにも拍子抜けしてしまうルーナであった。




