デートに失敗するタイプ 2
こういうやりとりが聞こえてきて本当に面白かったんですよね。
やっぱり出かけるとネタって拾えるものです。
「で、結局食べに行ったんだよね?」
「なんかある日唐突にご飯行きませんか?ってさそわれたから。
でも、その後のやりとりがまた酷くてさぁ」
白熱する女性の会話に聞き耳を立てるユウとマオ。
表面上は興味ありませんと言わんばかりにスマホを弄っているのだが、
(隣の会話面白すぎるじゃろ)
(ねぇ〜普段こういう話聞く事ないから面白いよね)
とメッセージ機能を使ってやり取りをしていた。
「ご飯に行くまでのやり取りで酷いことある?
あ、誘われたお店のセンスが無かったとか」
「まだ候補があるならいいよ。
何処に行くつもりですか?って聞いたら、店なんてよく知らないから私に決めろって言うのよ。
そっちから誘ってきたのに何で候補すらねぇんだよってキレそうになっちゃった」
「いや、それはキレていいでしょ」
「揉めるのも嫌だったし、ロイヤルなファミレスにしといたけどさ。
この時点で好感度マイナス100点だよね」
言葉とは裏腹にキャッキャッと盛り上がっているのではあるが、女性の不満は止まらない。
(自分で誘っておいて場所決めないどころか相手に任せきりとか有り得なくない?)
(自分は頼りにならないと言っているようなもんじゃからな)
「それで当日何だけど……先ず最悪なのは、そいつに20分も遅刻してきやがったのよ」
「はぁ!?
自分から誘っておいたデートで遅刻してくるとかマジ有り得ん。
電車が事故りでもしたん?」
「それが待ち合わせ時刻30分勘違いしてたって。
10分前に着こうとしてたから20分の遅刻だとか抜かしやがって。
で、遅刻してきたのにすんませんぐらいの軽いの一回だよ。
ほんまゴミ」
「1時間の間違いなら分かるけど30分のズレは絶対嘘でしょ。
っていうか、時間とかはメッセージでやり取りしてたんだよね?」
「うん、そう」
「前日にでも確認しとけよ!
普通は明日は何時に待ち合わせってするでしょ」
「普通じゃ無いからしないんでしょ。
で、現れたやつ見て……はぁって感じよ。
如何にもゲームしかしてないですって感じの典型的オタク男子。
髪の毛もボッサボサで寝起きなん?って言いたくなったわ。
清潔感皆無で一緒に歩くのも拷問よ」
「あんたはちゃんと準備したんでしょ?」
「そりゃ、相手が今までのマイナス覆すイケメンとかの可能性もあったしね。
ちゃんと起きてから風呂に入って髪整えて服を合わせて化粧もして……3時間くらいは使ったかな」
「そんなのが来るって分かってたら適当でも……あ、でもあれか。
その程度の奴にこの程度って思われるのも癪だわ」
「それな!」
(あ〜確かに。
幾ら相手が酷いからって、そいつからの第一印象がこの程度って舐められるのは嫌かも)
(うむ、何となく理解できる話じゃな)
「お待たせしました。
こちら普通と柔らかのハンバーグでございます」
「あ、僕の方に普通を」
「妾は柔らかの方じゃな」
ユウ達が聞き耳に夢中になっている間にハンバーグが完成して運ばれてくる。
「ライスもすぐにお持ちしますね。
ソースは直接かけられますと撥ねて危ないので、お肉の方をソースに潜らせてお楽しみください」
店員さんはそういうと再び厨房へと戻っていった。




