世紀末ヒャッハー山賊団 2
「あれ……そう言えば敵に攻められたかどうかなんて分からないんじゃないの?
同盟結んでるわけじゃないから分からないよね」
「え、あ、そう言えば……どうしたらいいんだろう?」
肝心の防衛通知を考えるのを忘れていたヒャッハーA。
Bと共に云々と唸っていたのだが、そこに見習いが声をかけた。
「全く……2人とも何年配信者をやってるんですか?
そんなものはショウタさんの配信画面をチェックしてれば良いだけでしょう」
「あ、確かに!」
「見習いは頭が良いなぁ。
……あれ?これ僕達も見られてるって可能性ない?」
ヒャッハー達……いや、ユウ達も勿論配信しながら遊んでいる。
オンラインゲームという事でコメント欄は見えないようにしているが、この間もコメントは流れているに違いない。
「わざわざ他の配信者さんに私達の正体をコメントしにいく人はいないと思いますよ。
それは鳩と言われる迷惑行為ですからね」
「まぁ、そんな民度の低い人たちいないか」
「実際2人のリスナーの民度ってかなり良いよね。
コラボ先とか、案件企業さんも褒めてたよ」
「配信関係ならヒャッハーと関係ないから口調を戻してよいかの。
妾達はしてはいけない事はやってはいけぬと話しておるのじゃ」
「そうそう、ルールを破った人はその場で注意してるからね。
それで離れちゃうんならそれはそれで仕方ないって割り切ってるよ。
真面目にファンやってくれる人優先だもんね」
2人がデビュー当時から守っている、真面目に応援してくれる人を優先というコンセプトはずっと変わっていない。
それが2人のチャンネルの民度につながっているのであろう。
「適切な距離って大事なんだね。
私はリスナーとプロレスする事があるけど、距離が近い分だけ勘違いしちゃう人が結構出てきちゃうのよね」
「それが天さんチャンネルの持ち味な気もするけど」
「うーん……でも、適切な距離ってのはちょっと意識してみようかな」
「うむ、それも……待った!
どうやら相手がやってきたようじゃぞ」
マオが唐突に叫ぶ。
彼女はゲーム画面以外にショウタの配信画面も出しており、フタ窓で見張っていたのであった。
「お、早速獲物が来たみたいですぜ兄貴」
「ヒャッハッハッハッ、早速思い知らせてやろうじゃないか。
俺らの縄張りでおイタをしたらどうなるかってなぁ!」
「相方達が急にスイッチ入って怖くなるのじゃ」
「そこ、口調!!」
「はい、頑張ってついていきます」
「よっしゃ〜行くぜぇ!!」
三人それぞれが持っている釘バットを空高く掲げるエモートを行う。
こうしてヒャッハー達はショウタの救援……もとい、縄張り荒らしを懲らしめる為に出撃するのであった。




