世紀末ヒャッハー山賊団 1
時間は少し遡り……
「本当にこんな格好に変えるのかのう?」
「そりゃ世紀末ヒャッハー山賊団なんだから。
モヒカンに肩パッドは常識でしょ」
「マオちゃん、何度も言ってるけど口調で正体バレたら困るから変えてね」
「う、うう……分かったの、分かったわ」
現在ユウ達は山賊団結成の一環として、キャラクターの見た目と装備を弄っている最中であった。
モヒカンに肩パッド、更には武器には釘バットを装備している。
本来、見た目や性別、名前を変えるには課金が必要だったのだが、まだベータ版と言う事で、この辺りは自由に弄ることが出来たのである。
と言うわけで天さんのキャラがヒャッハーA。
見た目は割とスマートで身長が高いキャラとなっている。
ユウのキャラクターはヒャッハーB。
身長がAよりやや低い代わりに横幅が広い。
Aが兄モヒカンでBが弟モヒカンという設定であった。
そして最後にモヒカン見習い。
極限まで身長を低くした男の子というコンセプトで、2人がどこまで暴走するか分からないためにいざと言う時に止めに入るのが目的である。
最も止められる自信は全くないのであるが。
「後はボイチェンで声を変えれば……これで完璧ね!」
「あっはっはっ、めっちゃおもろいじゃん!
早速何処か襲いに行こうよ」
「まぁまぁ、待ちなよ弟者。
手当たり次第に襲っても返り討ちにあったり、反撃されて追い詰められるのが関の山って所さ。
先ずはミカジメ料を取りに行くんだよ」
「ミカジメ?」
「裏稼業の人たちが飲食店に対して土地代のようなものを請求する行為ですよ。
表向きはおしぼりとか植木のリースとかを提供して、通常よりも割高な額を請求します。
代わりに店に何かトラブルがあれば駆けつけて解決する用心棒のようなこともやりますね。
偶に作品で見るケツ持ちというのがこれに当たります」
「おう、見習いの割にはよく学んでるじゃねぇか。
俺らはこの肩パッドをリースするという事でミカジメを貰う。
代わりに何かあれば防衛に駆けつけてやるって寸法よ」
「兄貴、流石っす!
それで断られた場合はどうするんスか?」
「そんなもん決まってらぁ。
ヒャッハーしてやるだけよ!!」
「うおおお、兄貴パネエッス!!
……やばっ、ヒャッハープレイ楽しくなってきちゃった」
「私は貴女の見たことない一面を見てとても驚いていますよ」
こうして、準備を整えた3人はショウタの牧場に向かっていったのであった。




