ファームファンタジー(仮) 1
「へぇ、これが今話題のオンラインゲームなんだ」
「ベータ版のテストに当たったから一緒にやってみぬか?」
とある昼下がり、マオのPCにインストールされたゲームのアイコンを見る。
ファームファンタジー(仮)と銘打たれたこのゲームは、未だ開発中のソフトである。
今回はベータ版としてテストプレイ社を広く募っていたのだが、何となくそれに応募したマオは見事に当選していたのであった。
というのはメーカー側の建前であり、実は実況プレイをしているライバーの全てが宣伝のために合格しているという裏側があるのだが……しかし、それでもゲームが出来ることは間違いない。
更に当選したプレイヤーは協力者を募るために3人までゲームの招待コードを送ることが出来た。
これをユウに渡して一緒にプレイしようと画策したという訳である。
「面白そうだしいいよ。
それでこのゲームってどんなゲームなの?」
「自分の農場を拡充させるスローライフゲームじゃな。
驚くのは殆どのものが植えることが出来るらしく、武器や防具を植えれば徐々に能力が上がっていくらしい」
「へぇ、面白そう」
「武器、防具は成長速度が遅かったり、その間は装備できないなどのデメリットもあるらしいがの」
「へぇ〜それでオンラインゲームって事は協力したり妨害したりも出来るんだ?」
「その通りじゃな。
メインストーリーで訪れるバトルステージでは最大4人での協力が。
それ以外では他のプレイヤーの農場に奇襲をかけたり出来るらしいのう」
「それ絶対に盛り上がるやつじゃん!
よし、早速やろう」
意気揚々とPCの電源をつけ、マオから手書きの招待コードを受け取った。
「これを打ち込んで……よし、それじゃインストール」
ゲームのプレイ権利を得たユウは早速インストールを開始する。
待っている間は手持ち無沙汰だったので、ゲームの情報を調べることにした。
・ベータ版の割にバグが少なくて丁寧な造り
・最初の友達との共闘面白かった
・寝ている間に誰かに侵入されてアイテム根こそぎ奪われた
「ふーん、PVPも積極的に行われてるみたいだから期待できるね。
インストールも終わったしやってみますか」
こうしてユウは新たなゲームに手を出す事にした。
この先、中々に沼る事も知らずに。




