花鳥風月騒動
久しぶりの四人です。
「え……これって何かの冗談じゃないよね?」
「金額を見たらそう思うけど、どうやら本当みたいね」
「……これならやりたかったカステムが出来る」
「小生もアップグレードしちゃいますかな?」
退魔協会の一室、この組織に所属する花鳥風月の4人。
彼女たちは4人で共有しているチームの口座に振り込まれた額を見て驚愕していた。
普段は協会の仕事による振込や、依頼達成の為に購入した道具の金額が引き落とされている程度の動きしかない口座である。
退魔士協会の依頼自体も安いものではないのだが、依頼の数が少ないのと、4人で分けるので当然一回の報酬など微々たる物である。
だが、ここ最近は依頼が少なかった為に珍しく配信に力を入れていた。
更にユウ達も取っていた期間限定ボイスの収録にもチャレンジし、それに合わせて公式のグッズもいくつか販売してみたのだが……結果、彼女達からすれば見た事もない大金が転がり込んできていたのだ。
「配信って……お金になるんだね」
「そりゃ、あれだけ大規模の活動になっているわけだしね。
でも、これどうするの?」
「……活動資金にしても多すぎる」
「税金でどれだけ取られるかも分からんでありますしな」
バドがボソッと呟いた事で全員の顔が青く染まる。
「そそそそそそ、そうだよ!
払えなかったら捕まっちゃうんでしょ?」
「ああああああ、なんか多く取られるとか聞いた事ある。
追徴課税って言うんだっけ」
「……返そう。
今すぐ返そう」
「待った、待った!
みんな落ち着くであります!
稼いだお金よりも税金が取られるなんて事は無いであります。
それに小生達が処理しなくても、くじよじの社長さんから税理士を紹介して貰えばいい話でありますし。
教会の運営をしているんですから、ハナさんのお父さん経由で税理士さん紹介してもらってもいいと思うであります」
税金の話になった瞬間に道の領域になった3人が慌てだし、バドが慌てて宥め始めた。
「あ、そっか。
ダディだったら……って、それ多分退魔士協会の関係者だよね」
「ならば協会に紹介してもらうのも手ではあると思うでありますが……やはり社長からの紹介が良いと思うであります。
どんな仕事で稼いだか説明した時に一発で分かってもらえるでありますからな」
「どんな仕事って……あ、そうか。
二次元のキャラクターに入り込んで配信して稼いでますとか、そのキャラクターのグッズやボイス販売で稼ぎましたとか言われても分からない人いるのか」
「会社からの紹介なら、そういうのを専門にやってる税理士さんを紹介してもらえるって訳ね。
流石はバド、頼りになるわね」
こうして大騒動となった収入の件ではあるが、社長である里中に相談する事で一先ず難を逃れた。
だが、彼女達はまだ知らない……その収入が配信の分だけであった事を。
そう、グッズやボイスの収益はまだ換算されていなかったのである。
改めて説明しておくと、花鳥風月は別作品の主人公達であり、妖怪や幽霊退治をしている大学生の4人組です。
花、鳥、風、月で花鳥風月でというチーム名です。
過去の事件からユウ達と出会い、彼女達に師事しつつ、配信稼業に取り込まれています。
退魔士の仕事では直属の上司が巫女さんです。
大学生、退魔士、配信者の三足のわらじなので配信回数は少なめ。
また、チャンネルは4人共有でやっています。




