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水族館デート 3

イルカショーが終わった後、2人はそのまま近くにある芝生のあるエリアへと向かう。


ショーの時間を確認した結果、この後すぐにここでコツメカワウソのミニショーが行われるらしいのだ。


「カワウソって見るの初めてかも」


「名前だけならよく聞くがのう。

そういえば昔やっておった恐竜ゲームでテイムは出来たんじゃったか」


「ああ、首に巻いておくと防寒になるんだよね。

なつかし〜」



雑談しながら待っていると、イルカショーのエリアから続々と人が集まってきていた。


「やっぱり多いね」


「イルカショーの直後じゃからな。

しかし、ここで時間を潰しておかねば、展示スペースはもっといっぱいの人であろう」


カワウソがショーをやるエリアはあまり広くはない。


ここに集まっている人数など、多いとはいえイルカショーの一割にも満たないであろう。


残りの9割は順路に沿って次の展示物へと向かったと考えられるのだが、春休みで賑わう水族館で人を堰き止めた後に放出してといえばどれほどの混雑になるだろうか。


それを考えると、このミニコーナーの賑わいが可愛いものへと思えてきた。


「……以上が注意事項です。

では、さっそく呼んでみましょう。

カワウソちゃーーーん」


飼育員でありながらMCも務める若い男の後カワウソを呼ぶ声で小さなカワウソが走ってやってきた。


「きゃーーー」


「かーわーいーいー」


待ちに待ったコツメカワウソの登場に場内は黄色い声援が飛び交う。


「コツメカワウソはカワウソの中で一番小さくて可愛らしいですよね。

逆に一番大きなカワウソはそのままオオカワウソと言うんですよ。

良かったら調べてみてくださいね」


「へぇ〜オオカワウソねぇ」


飼育員さんの言葉にユウは手持ちのスマホで検索をかけてみる。


そこで見た写真の数々を見た感想は、


「ねぇ、これって妖怪か何かじゃないの?」


であった。


「うむぅ……何やら何人か殺っておるような目をしておるのう」


「いや、この目怖いって。

魔物でもここまでの奴はそうそういなかったって」


2人がそう話をしている間もコツメカワウソのショーは進んでいき、顎の力を見せてくれたり、マイクを持って歌ったりと思わず頬が緩むようなコミカルな芸を見せてくれた。


ショーが終わった後は残った展示物を見るために移動を始める。


「何で水族館の熱帯コーナーって必ずイグアナがいるんだろうね?」


「大きくて目立つからではないかのう?」


「あ、見てみて。

チューブ状になってて上をマンタが泳いでる!」


「ノコギリザメの鼻は本当にノコギリみたいじゃな」


残った展示物も楽しんだ2人。


「この後は家に帰ってご飯にするかのう?」


「ふふーん、実はさっきレストランの予約しといたんだ。

近くにあるから行ってみようよ」


「相変わらずこういう所では気が利くのう。

せっかくじゃからエスコートを任せようかの」


こうして2人はデートの締めに近くにあるホテルレストランへと向かって行ったのだった。

オオカワウソはガチで怖いです。

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