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異文化交流

「もう桜も満開だね」


「そうじゃな」


上野公園に入る前の入り口。


交番の横にある大きな桜の木が、2人を出迎えるように満開に咲き誇っていた。


スマホを構えてパシャパシャとカメラに収めていると、外国人の観光客が2人に話しかけてくる。


夫婦で観光に来たらしい2人は同時に写っている写真を撮りたいらしく、2人にカメラマンをお願いしているようだった。


2人はそれを快く了承したのだが、マオがふと疑問に思う。


「はいチーズは伝わるのかのう?」


「そんなもの片言でも伝えれば分かるよ。

ワン、ツー、スリー、パシャ!

オーケー?」


「オー!オーケーオーケー!!」


ユウの片言な表現は無事に相手に伝わったらしい。


話していた通りにカウントしていくと、スリーのところで夫婦は思い思いのポーズを決め、ユウはそれに合わせはてシャッターのスイッチを押す。


「サンキュー!ペラペラペラ〜」


「え、あ、何だろ?」


「どうやら妾達も写真を撮ってあげると言っておるようじゃな。

オーケー、サンキュー」


マオはそう言ってカメラを渡す。


「ペラペラノペラペーラ」


「先ほどの撮る時の合図のお返しをしたいそうじゃぞ。

日本式のやり方を教えてくれと言っておるのう」


「ああ、通訳ありがとう。

ハイ、チーズ!パシャリ……オーケー?」


「オーケー!」


こうしてユウ達も夫の方にスマホを渡してカメラを頼む。


「オーケー……ハイ、チーズ!」


スマホのシャッター音が聞こえた事で写真が撮られたことが分かる。


「ありがとう、サンキュー」


「サンキューなのじゃ」


返されたスマホを確認すると2人でポーズを決めた写真がしっかりと写っていた。


「ハバ、ナイスデイ!」


「グッバーイ」


写真を撮り終えた2人は満足したように去っていく。


「何だか貴重な経験しちゃったね」


「うむ、このような交流も良いものじゃな」


こうして2人は階段を登って上野公園へと入っていく。


あちこちで満開の桜を楽しみつつ、行き交う人にぶつからないように注意する。


流石にお花見シーズンの上野公園は、平日の昼間であっても人が多い。


真っ直ぐ歩いて行くと大きな広場に出て、動物園の入り口が見えてくる。


「今日はいいかな、動物園は」


「うむ、それよりも少々くたびれたのじゃ。

あそこで休んで行くとしよう」


マオが指差したのは全国で展開されているお洒落代表のカフェである。


その注文はまるで呪文のようだと言われており、普段は2人とも利用していないのだが、今日のような日ならいいだろうと寄っていく事にしたのであった。

盗難の恐れがあるので軽々しくスマホを渡したりするのはやめましょうね。

この2人は盗まれてもすぐに仕留める事が可能なので気にせずに貸しただけです。

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