カフェ・ランチ 〜マオさん来店 2〜
「ほな、早速聞いていきたいんですがマオさんは異世界で魔王をやられていたったちゅう話ですね」
「そうじゃな。
政を執り行っておったのじゃ」
「俺、勉強不足で申し訳ないんですけど魔王って一体どういう仕事してはるんでっか?
ほら、俺らのイメージだと勇者と戦うために人間の国にちょっかい出してるっちゅう悪役・・・ですかね?
そんな感じなんですわ」
・魔王=悪役のイメージはあるよな
・最近は異世界系の豊富さで良い魔王も増えたけどな
・RPGの元祖がそのイメージだもんな
「うむ、妾の世界でもそういう風に思われて勘違いされておったがのう。
実際には魔王とは魔国を治める王に過ぎぬ。
人間国の王と何ら変わらぬよ。
民たちの生活を見て何が必要か考え、民と国の幸せを少しずつ増やしていく。
それは人でも魔でも変わらぬ王の仕事であると思うのじゃ」
「なるほど、なるほど。
いや〜ええこと言いはりますな。
それじゃ、その王としての仕事で一番苦労した事はありまっか?」
「うむ、妾が魔王に就任した頃には魔族というのはまだ蛮族のようなものじゃった。
力こそが全てで弱いものが悪い。
弱いものは力あるものから搾取される定め。
その魔族たちに文化と協調性を身につけさせ弱いものも強くなれるような環境を作るのには随分と時間がかかったものじゃ」
・そりゃ大変だ
・修羅の国じゃねぇか
・意識改革から始めるのか
「聞いてるだけで大変ですやん。
急に文化とか言うても中々理解してくれへんかったんちゃいますの?」
「いや、実はその辺りの意識改革というか形だけでも真似させるのは簡単じゃったよ。
力こそ全ての文化じゃから納得しないものの所に出向いてはしばき倒しておったからのう。
一回力の差を見せれば彼奴らは大人しく従っておったわ」
・蛮族じゃねぇか
・力技だった
「なるほどなるほど。
俺も実は後輩に生意気な奴がおりますねん。
何とかバチコン!っと力関係見せたろ思いますけど、マオさんのやり方はこの世界でやったら問題ですわ。
何かいい案ありませんかね?」
「それならゲームで対決してはどうじゃ?
そこでボコボコにして力関係を分からせてやるのが良かろう」
「おっ、ええアイデアですやん。
それ採用させてもらいますわ。
ちなみにオススメのゲームとかありまっか?」
「うーむ、ゲームに関してはユウの方が上手いし知識も上じゃからのう。
明日聞いてみてはどうじゃ?」
「そうさせてもらいますわ。
ああ!マオさん俺、エライことに気付きましたわ!」
・なんだ?
・どうした?
・明日じゃなかったとか?
「うむ、何なんじゃ?」
「もう予定時間過ぎてまんねん」
「は?嘘じゃろう?
まだ20分くらいじゃろう」
「いやいや、もう一時間過ぎてまんねん。
今日はこの辺で締めさせてもらいたいんですけど、最後に告知はありまっか?」
「うむ、明日は妾の相方のユウが遊びに来るのでよろしく頼むのじゃ」
「お、これはウチの宣伝にもなるんでありがたいですわ。
それじゃ今日のお客様はくじよじのマオさんでした。
あ、ウチは最後にさいなら〜で締めてるんで一緒に言ってもらってええですか?」
「うむ、分かったのじゃ」
「それじゃ、せーので」
『さいなら〜」
・さいなら〜
・さいなら〜
・さいなら〜




