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安寧の祭り 4

「巫女さん、おつかれ〜」


「お疲れ様じゃったのう」


「今年も素晴らしい儀式をありがとうございました」


神事を終え、教会内に戻った巫女。


そんな彼女に労いの言葉をかけに3人はやってきた。


「ああ、皆さまお疲れ様です。

……疲れた身体に3人の美少女の姿が沁み渡りますね」


「はは、いつもの巫女さんだ」


「そうじゃな、平常運転で安心したわい」


「何かおかしな所でもありましたか?」


あまり予想していなかった2人の反応に腕を組んで首を傾げる。


「大した事じゃないよ。

普段の巫女さんからは想像も出来ないくらいに立派な姿だったから」


「あれは言わば仕事用ですからね。

何の意味もない儀式の仕事を頂いたのですから、その分は真面目にやりませんと」


「巫女さんってあれだけの神事を行えるのに、その方面の仕事は皆無なんですよ。

偶にそう言う依頼が来ることもあるそうなんですが、馬鹿正直に自分の神事に力は無いって説明しちゃうんですよ」


「え?」


「随分ともったいないのう」


花から告げられた衝撃の事実に2人は驚きの声をあげる。


あれ程に素晴らしい神事なら、儀式としての効果は無くても、人の心を動かすのには十分であると思ったからだ。


「本当に効果は無いんだから仕方ありませんよ。

仮にこの神事を見て意識が変わったとしても、それはその人自身の問題であって私の力では無いですからね」


そんな2人の気持ちを知ってから知らずか、巫女は先程花から聞いた理由を告げた。


「巫女さんって神様とかオカルトとかそういうのを信じてないんだよね。

嫌いなの?」


「好きとか嫌いとかの感情は無いですね。

私は自分の見えない物は信じない主義です。

だから、自分には見えない怨霊なんて言われてもピンと来ないんですよ。

逆に言えば見える物なら信じますからね。

2人が異世界から来た勇者と魔王だと言うのは信じてますし、神様の存在もルーナさんやレッスンに来てくれた弁天様は信じる気になっていますよ」


「この話を聞いて分かると思うんですけど、とことん現実主義なんですよ……巫女さんって」


巫女の話を聞いた花は呆れたように頭を振る。


「妾はこの考え方は好きじゃがのう。

逆に言うならば、どれだけ現実離れしたことでも、見たのであればそれを受け入れられる柔軟な考えをしていると言うことじゃろう?」


「そうですねぇ……私が知らない事なんて世の中には沢山あるでしょうから。

オカルトもロマンも否定するつもりはありません……ただ、存在するのであれば私の目に見える形にして欲しいというだけですね」


「ね?言った通りでしょ」


巫女の発言を聞いた花はユウとマオの方を見ながら呟く。


その様子が何やらおかしくて、2人は笑い、それに釣られて花と巫女も笑い合ったのであった。


〜おまけ〜


「そう言えば巫女さんってVの名前の筈なのに、前から付き合いのある花達も巫女さんって呼んでるよね?」


「ああ、あの人って霊感とか一切無いんですけど、唯一神事の技術を継承している正当な退魔士協会の巫女なんですよ。

それが愛称になってしまったんですね」



少しだけ巫女さんの掘り下げをした回でした。

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