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ユウマオ、アルバイトをする 2

「うわっ……相変わらず酷い騒ぎだね」


「うむ……SNSで見るたびに近付かないようにしておったが、とんでもないのう」


渋谷駅前を見下ろす2人は、その人数と喧噪から辟易とした気分になっていた。


仮装……というよりはコスプレ集団と化した人の群れが馬鹿騒ぎをしながら街を練り歩いていた。


とてもでは無いが下に降りる気にはならない。


「しかし、このような物を借りれたのは僥倖じゃったな」


「これが無かったらと思うとゾッとするね」


そう言って2人は自分達が跨っているもの……魔女の箒に視線を落とした。


これはルーナの知り合いの魔女から借りたものでありら、何でも今日は地上に出て男性とデートをしてくるらしい。


オンラインゲームで知り合った人物だそうで、とても楽しみにしていたのだとか……因みに当日に盛り上がって精気を吸い取る行為をしても、殺人でなければ特に問題とはされていないらしい。


問題なのはそれを過ぎても帰ってこない者達であり、それが見つからない限りはあの世での通常業務に加えて探索活動も残業として増えるらしい。


そういう訳で、2人は渋谷の上空から見回りのアルバイトをしていた。


因みに見られても誤魔化しが効くだろうからという理由により、2人はパンプキン柄のシャツとスカートにマント、更に頭にカボチャの被り物という出立ちである。


「マオ、調子はどう?」


「うむ……それでは早速サーチをかけるぞ……あそこじゃな」


マオが魔王の持つ眼で見る事で魔の気配が詳しく分かる。


指定された人物に取り憑いた魔物を、ルーナ経由で借りてきた釣竿で釣り上げて一本釣りを狙う。


この釣竿には何故か釣り針が付いていないにも関わらず、任意のものを釣り上げる事が出来るという代物らしい。


「おーし、フィッーーーシュ!!」


「な、なんなんだお前らは!?」


「ふむふむ……戯言はそのくらいにしてお帰り願おうかのう」


ユウに釣り上げられた魔物は定期的な形を持っておらず、グニャグニャとした粘土のように見える。


恐らくは人に取り憑かなければ保てないような存在なのであろう。


「それじゃ、このビクの中で大人しくしててねぇ」


ユウは釣り上げた魔物を腰に下げたビクに入れる。


釣り上げた魔物はこの中に入れて後でルーナに引き渡す事になっていた。


「次はあそこと……ああ、面倒じゃな!?

魔力を通して共有するから頼むぞ」


「お、これは便利だね。

じゃあ、大漁目指して頑張ろ〜!!」


渋谷での喧噪を他所にした2人のアルバイトは順調に進んでいくのであった。

お気付きの方もいらっしゃると思いますが、ユウの使っている釣竿はあの有名な軍師の物です。

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