技術の進化はアダルトから
「さぁ、中にどうぞ」
2人が案内されるままに蔵の中に入ると、左右には無数の棚が置かれており、扉から直進した奥には配信機材などが置かれていた。
「あれ、ここでも配信してるの?」
「ここはアダルトゲームのギリギリチャレンジ企画で使ってますね。
流石に家の方では出来ないので」
「……というか、左右の棚に置いてあるゲーム。
これ、殆どがアダルトか?」
「自慢のコレクションですよ。
まぁ、今となっては骨董品すぎて逆に最新のパソコンなどでは動きませんがね」
「ふーん、そうなんだ」
ユウが何気なく手に取ったゲームには可愛いアニメキャラが描かれていた。
裏表紙にはそのゲームの内容が描かれている。
「え?これってこの時代からアニメーションが入ってるの?
中身フロッピーだよね」
「そのゲームのシリーズは当時から全てのシーンが動くことで人気を博しましたね。
その分、フロッピーの容量も取っているわけですが」
「絵も中々に綺麗じゃな。
この時代だと使える色数も少なかったんじゃよな」
「一番古いものだと16色ですかね。
ほら、これがそうですよ」
「え、嘘でしょ?
こんな綺麗なのに16色しか使ってないの?」
ユウが指摘する通りに、裏表紙に描かれているCGはとても16色とは思えない程に鮮やかな色をしていた。
古臭さはあるものの、現代でも十分に綺麗な絵と言えるレベルである。
「この時代のCGと音楽は工夫の連続で出来ていますからね。
ファミコンなんかも現代と違って3和音しか使えなかったとか。
中には2和音で構成されて曲なんかもあるそうですね」
「ふむ、中々に勉強になる話じゃのう。
ここからは中身がCDになるのじゃな」
マオが開けた箱の中には複数枚のCD-Rが収められていた。
「まぁ、CDも容量はそんなに入らないですけどね。
この辺りから95の登場でコマンドを用いずにインストールが可能となってきます。
それに合わせてフロッピーからCDに変わっていったのですが、枚数が半分くらいになったけど大きさは倍になると言う現象が起きていますね」
「CDだからって劇的に変わるわけじゃないんだ」
「PS1を見ると分かりますが、当時のFFは3枚組、4枚組当たり前でしたからね。
劇的に変わるのは次の世代、DVDの登場からですよ」
「確かにあそこから複数枚組と言うのは見なくなったのう」
「コンシュマーのゲームだと進化が一足飛びで分かりづらいんですけどね。
しかし、パソコンの特にアダルトゲームはその当時の最新技術を積極的に取り入れているので、技術の進化が分かりやすいです」
「そう考えるとこのコレクションって割と価値があるのでは」
ユウが見渡した巫女のコレクション、最初は呆れたものだったが、技術の進化を辿っていると考えると急に歴史的価値があるように思えてきた。




